SEO業界は成熟しつつあるが、SEO自体はいまだに誤解されていることが多い。それには次の3つの理由が考えられる:
このような状況であるため、強固なSEOのスキルを手に入れるには実務経験が必要になる – 経験なしではSEOのエキスパートにはなれない。変更を加え、うまくいくこと、いかないことを確認しなければならない。しかし、SEOチーム(またはSEO業者)がその経験を持っていたとしても、SEOチームが苦労するケースは多いにある。
一つずつ挙げていこう…
目次
あまりにも多くの企業が見かけだけの目標を掲げている。例えば、1ヶ月間に100本リンクを構築することを目標に挙げている企業がある。真面目な話、私でも400ドル程度で1ヵ月に100本リンクを提供することが出来るが、恐らく何の価値ももたらさないだろう。
具体的なランキングやページランクの改善もひどい目標だ。トップレベルの目標として、関連するNon-Branded Search Engine Traffic (NBSET:ブランド名ではないキーワード検索でのトラフィック)の改善、そして、NBSETによるコンバージョンの改善を常に挙げるべきである。
SEOはその他の様々な分野に影響を与える。SEOチームは、企業のその他の部門と緊密に連携を取る必要があり、その他の部署は目標、そして、目標達成に必要な取り組みを行う上で足並みをそろえる必要がある。
強固なコミュニケーションチャンネルに欠け、開発チームとSEOチームの信頼関係が成り立っていない問題はよく見られる。301リダイレクトが典型的な例である。302リダイレクトがデフォルトになっていることが多いが、302よりも301が望まれる理由、そして、自分達でチェックし、認証する必要がある点を開発者は理解しなければならない。
私はマーケティング部門のしつこい連中が大好きだ。しかし、マーケティング部門の人達は、彼らの取り組みがSEOの取り組みを台無しにしてしまうことを理解せずに決定を下してしまうことがある。マーケティングチームが、ユーザーが検索するフレーズとは全く関係のない気まぐれな製品名でサイトのバランスを崩してしまうケースを私は何度も目にしてきた。
これほどSEOの取り組みがあっさりとぶち壊されるケースはない。ある企業は経営幹部のためにサイトをデザインする決断を下した。その結果、ページから大半のテキストを取り去り、サイトを企業のパンフレットに縮小していった。検索エンジンがサイトの内容を把握するのは非常に難しくなったことは言うまでもない。
コミュニケーションだけではどうにもならない。経営陣はSEOに関する知識を取り入れ、SEOそのもの、そして、SEOが重要になる経緯とタイミングを理解する必要がある。それが分かってもらえれば、必要に応じて、決定がもたらす影響に関するSEOのアドバイスを理解してもらえる可能性は大いに高まるだろう。
SEOチームが個別に組織内の別々のグループを説得しなければいけない状況に陥ると、取り組みが妨げられてしまう。マーケティング、開発、そして、重役としっかりとコミュニケーションを取り、効率化を図るため、連絡のプロセスを簡素化する必要がある。
これは頻繁に起きる問題だ。一つの特定のキーワードにトラフィックをもたらすと言う過剰に焦点が絞られた目標が圧倒的に多い。これはSEOの取り組みを見せ掛けだけの取り組みに縮小してしまう。
SEOのような流動的で、不明確な環境では、最も早く/最も大きなROIをもたらす分野を追いかける自由をある程度与えておくべきである。通常、事前に予測するのは非常に難しい。
これは明らかにコミュニケーションと教育に関連する問題である。しかし、コミュニケーションチャンネルが開いていたとしても、SEOの懸念があるかどうかを問わずに決定を下す人は後を絶たない。新たな“最高のアイデア”に取り掛かる前に重要な質問を尋ねる行為をチームに習慣づける必要がある。
マーケティングの人達と同じように私は開発者チームが大好きだ。しかし、SEOを理解していると言う開発者がいたら、信じてはならない。何もうまくいかないはずだ。あるCTOは、検索エンジンはリダイレクトを大ざっぱに解釈するため、301リダイレクトと302リダイレクトは同じだと主張していた。
当該の開発者がSEOにフルタイムで2年以上携わった経験がないなら(SEOのみを担当)、SEOを分かっているとは言えない。少しはSEOについて学んだことがあるのかもしれないが、それだけではエキスパートとは言えない。
この過ちの中で最も一般的なのが、新しいウェブサイトやサイトのデザイン変更を行った後、SEOチームに参加させる行為だ。選んだCMSがSEOに向いてないってどういうこと?なんだって、サイトの全てのページに同じタイトルタグが必要なの?URLにセッションIDがあるの?信じられないかもしれないが、この全ての過ちに私は遭遇したことがある。
事前にSEOを参加させる必要がある点を理解したにも関わらず、すぐに始めない問題が生じる可能性がある。SEOの情報によって、サイトを再構築しなけばいけない場合はどうするのだろうか?手遅れになる前に開発チームに教えてあげる方が傷は遥かに浅く済むはずだ。重要な製品/サイトの要件を決定する大事なプロセスとしてSEOを考慮してもらいたい。
これはよく見られるケースである。ソーシャルとSEOには相互作用が多い。多くのサイトにとって、SEOとソーシャルメディア戦略を組み合わせる戦略が最も適している。この2つの分野を別の部門で実施すると、多くのメリットを失ってしまう。
これらの分野を全て連動して実施すると莫大なメリットが得られる。しかし、そのためには一貫した、互いを補うコンテンツ計画を全ての分野で用意しなければならない。
効果的なPRは、多くのリンクやソーシャルメディアでのアクティビティをもたらす上で非常に役に立つ。PR部門にこのコンセプトを植え付けて、SEOとソーシャルメディアのメリットを理解してもらうと大きなプラスの効果が見込める。
このサイトで別の投稿として取り上げたいくらい頻繁に起きている問題である。頼むからSEOに意見を求めてもらいたい。
CMSの問題に似ている。SEOチームは多くの有益な情報を提供することが出来る。 ユーザビリティとユーザーエクスペリエンスは重要なので、SEOの情報だけに頼るのはよくないが、重要なキーワードを意識しておくことも必要だ。
SEOを少し分かるようになると他の情報ソースをチェックするようになる – オンラインに掲載されている全てのSEOの情報が正しいわけではない。
例えば、About.comのメタタグに関する記事は、キーワードのメタタグが検索エンジンによって使われている点をいまだに指摘している。
また、SEOはもう役に立たないと主張する記事が数多く存在する。
影響を与える際にはある程度の責任が伴う点を理解していない人が多過ぎる。このような無責任なジャーナリズムが横行している点を覚えておいてもらいたい。
SEOにおいて非常にストレスが溜まることと言えば、スパムばかりする競合者がSEOでズルをして自分よりも上位にランクインされる光景を目にすることだ。エピー・ヴォイト氏は、SEOmozで、用語[car insurance](自動車保険)に対して、あるスパムサイトが上位にランクインするために用いた戦略に関する興味深いケーススタディを提供している。この記事を読んだら、Geicoのスタッフは驚くに違いない。
インデックスからサイトが追放されていた、SEOmozの記事に掲載されていた例とは異なり、スパムをしているサイトが上位をキープしている実例は数多く存在する。イライラさせられ、「スパムサイトに勝てないなら、自分もスパムすればよいのではないか」と言う考えが脳裏に浮かぶ可能性がある。それは止めておこう。
グーグルに睨まれるようなスタイルは避けるべきである。ハッピーエンディングは期待できない。
これもグーグルから激しい攻撃に晒される可能性がある問題である。SEOはマーケティングの一つの領域であり、その他にも重要視することは多く存在する。エンドユーザーに良質で、有益な“アイテム”を与える取り組みは、無視することが出来ない要素である。グーグルとビングはともに最も優れた“アイテム”が何かを特定して、検索結果で優遇する方法を必死で探しているのだ。
多くの企業でこれは大きな問題になっている。私はサイトを何度も何度も調整することに没頭している人達と仕事をしたことがある。その労力をリンク構築、ソーシャルメディア、PR等SEOのインバウンドな要素に投じることも出来るはずである。
状況が常に変化している点を理解する必要がある。2011年2月24日にパンダアップデートが行われ、2012年1月10日にはサーチ・プラス・ユア・ワールドが立ち上げられ、そして、2012年1月19日には広告が異常に多いサイトをターゲットにしたページレイアウトアルゴリズムが行われている。
最近では、グーグルのアミット・シンガル氏がセマンティックな検索を取り上げ、結果の10%に影響を与えると発言し、また、マット・カッツ氏はSXSWでSEOを過剰に行うサイトをターゲットにした大規模なアップデートが間もなく行われると述べていた。
目が回りそうだろうか?SEOを巡る状況は今後も頻繁に変わっていくだろう。現在のアルゴリズムの細かい点ばかりにこだわらずに、取り組みの大半を時の試練に耐える戦略に割り当ててもらいたい。
これは調節し過ぎる問題に関連している。SEOは重要であり、注意する必要がある。しかし、最も重要なわけではない。私の言いたいことが分かるだろうか?
何度もこの問題に直面してきた。大規模な企業はSEOの重要性を把握すると、オンページのSEOに焦点を絞りがちである。最初はそれでもよいが、オンページは検索エンジンに対して関連性を明確にする取り組みが基本であり、ランキングがメインではない。
リンク構築に関する作業を企業が苦戦する傾向が見られる。PRやソーシャルメディア等のその他のマーケティングの分野との調整問題が発生するためだ。リンク構築はPRやソーシャルメディアに取って代わるわけではなく、また、必ずしも反目しなければいけないわけでもない。これらの要素を両立させることで多くのメリットが転がり込む。そのため、「オンページオンリー」のSEOからは卒業する必要がある。
今日はこれぐらいで切り上げよう。他にも私が見逃している問題は多くあるはずだ。そのため、是非、皆さんの考え/例/フラストレーションをコメント欄で分かち合ってもらいたい。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「24 Ways To Make Life Hard For Your SEO Team」を翻訳した内容です。
最初は少しネタ記事かな、と思ったりもしていたのですが、いえいえ、リアルな現実と取るべき対処法がうまくまとめられた良記事でした。前半はコミュニケーションに関する課題、後半は運用や考え方に関するものが多かったですが、どれも納得できるものばかりです。SEOおたくのあなたであれば「SEOを分かってくれない同僚」を愚痴りたくなることも実際多いと思いますが、同時に「SEOのためのSEOをしない」ことも気をつけたいものですね。 — SEO Japan
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