5年と少し前に立ち上げられたツイッターは、2億を超えるインターネットユーザーの心を鷲掴みにしてきた。興味を持つ人達が読みたいと思ったメッセージを読むことが可能なSMSメッセージを一元管理するこのサービスは、コミュニケーションがモバイル化し、そして、ユーザーがリアルタイムのアップデートを送受信する行為に病みつきになったため、スマートフォン世代を介して大きく成長したきた。
所謂、極秘情報のリークやセレブの炎上の源と見なされることもあるが、世界中の最新の出来事が大手マスコミに報道される前に明らかになることも多く、そのユーザーの多様性のおかげで、ツイッターに対する評価は大きく分かれている。
2011年、ツイッターはネイティブのMacアプリを立ち上げ、新年のツイートの記録を塗り替え、クラウドソースの翻訳を始め、HTTPSのアクセスを許可し、5回目の誕生日を祝い、ディックバー(クイックバー)と格闘し、そして、新しいHTML5の洗練されたインターフェースを公開した。
それだけでなく、ツイッターはツイートデックを買収し、専用のフォローボタンを用意し、iOSのネイティブアプリを提供する提携をアップルと結び、URL短縮サービスを推進し、開発者が登録したアプリが100万を越え、ユーザーのタイムラインの内部で広告の埋め込みを始め、そして、お気に入り、リツイート、そして、ユーザーに関連するフォローを表示する新しいアクティビティタブを加えた。
ツイッターは迅速に行動しているが、ユーザーを維持し、新たなユーザーをサービスに引き寄せることが出来るほど十分に取り組みを行っているのだろうか?
1日に送信されるツイートの量はたった1年間で6500万本から2億本に増え、ツイッターの企業価値は80億ドルと見積もられている – これは適切な取り組みが行われてきた結果と言えるだろう。しかし、ツイッターは、ユーザーがフォロワーと容易に交流することが出来るようにプラットフォームを調節し、今後も同サービスに価値を見出せるような状況を作り出す必要はある。
ツイッターには、その他の人気の高いソーシャルネットワークと同じようにスパムがまん延している。しかし、毎日生まれるスパムフォロワーおよび自動ツイートの数が余りにも多いため、多くのユーザーは、毎日人々のタイムラインに表示される広告、詐欺、そして、リンクベイトを適切に防ぐ能力がツイッターに欠けていると嘆いている。
インスタペイパーのクリエイター、マルコ・アーメント氏は、ツイッターのスパムへのアプローチに対する不満を述べ、「スパムを報告する」ボタンに依存する方法は、ユーザーのモチベーションを下げるだけでなく、大量のスパムツイートに対しては無力だと指摘している:
スパムとの戦いには常に微妙なバランスが要求される: あまりにも活発で、自動化されていると、正当なメッセージの一部が届かないデメリットが発生する。しかし、あまりにも保守的で、ユーザーのレポートに頼り過ぎると、多くのスパムが通過してしまう。
スパムされる可能性のあるサービスは、この局面における優先事項を決定する必要がある: 一部の正当なメッセージの送信を拒否することで少数のユーザーに大幅に迷惑をかけるか、もしくは、多くのスパムを見せることで大勢のユーザーに適度に迷惑をかけるかのいずれかの選択を迫られる。
ツイッターは後者を選択したようだ。現時点では、同社のリソースを考慮すると、賢明な選択だっと言っても問題ないだろう – 「全てのメッセージを届ける義務がある」 – スパムと戦う能力に欠けているわけではない。
アーメント氏は、上述したシステムは、「少数のユーザーが報告し(そして、その他の行動によって)、削除される前に、大量のスパムが表示されることを前提としており、スパムは成功している」と示唆している。スパムのレポート機能を実際に利用しているユーザーがごく僅かである点を考えると、特定のメッセージやリンクが、一部のユーザーに届いており、その後、その他のユーザーのために削除されていることを意味する。
このボタンを利用する少数のユーザーはこの機能の効果に幻滅するようになり、ツイッターのウェブサイトもしくは第三者のアプリを介したレポートの量は減少するだろう。
2億人以上のユーザーを抱えるツイッターだが、パワーユーザーはあくまでもごく僅かであり、同社はグーグルのGメールのフィルターのような発見的なモデルに移行する必要がある。グーグルのスパム管理は今でもクラウドソースを用いているが、分散コンピューティングおよび言語検知に偽のツイートの検知を頼っており、さらにグーグルのブックス検索のチームが開発した光学式文字認識システムを活用して、イメージスパムをスキャンし、学習している。
検索の巨人ことグーグルは、複雑なランキングアルゴリズムを持っていることで有名であり、検索結果に頼り、数百種類の要素を組み合わせてスパムを特定している。
ツイッターはグーグルと同じデータを持っているわけではないが、大量のツイートを持っているはずであり、そこからトレンド、利用パターン、そして、頻度を検知することが可能であり、そうすることでツイッター独自のフィルターを構築することが出来る。アバターを持っていないユーザー、フォロワーが一人もいない状態で大量のツイートを短期間で送信する新しいアカウント、そして、リンクを共有するだけのツイッターユーザーを特定するようにシステムを訓練する取り組みに対して、多くのリソースが必要だとは思えない。
アバターで肌を露出した女性のツイッターアカウントから大量のスパムが送信されている点に気づいているだろうか?ツイッターがユーザーのアバターの写真認識システムを採用すれば、多くのアカウントがスパムアカウントとしてフラグが立てられるため、さらに複雑なアルゴリズムを使って、さらにもう一段階踏み込み、その他の目立ったフラグを評価することも可能である。
当然ながら、ツイッターはこの問題を認識しており、正当なユーザーにほとんどマイナスの影響を与えないスパムフィルターを導入するため、見えないところで作業している。ツイッターのCEO、ディック・コストロ氏は、同社が「リアクティブ」なプロセスから、推測的なシステムの実装への移行を始めたと先日ツイートで明かした:
ボーダフォン等の携帯電話会社にネットワーク上の全てのSMSスパムを特定して、ブロックするように望むのと同じで、これは至難の業である。しかし、現在のスパムを検知し、削除するシステムを大幅に改善しない限り、ユーザーはツイッターに幻滅し、ツイッターが十分にユーザーに気を配っていないと考えるようになるだろう。
ツイッターは、リクエストが行動に移されるコミュニケーションの専用の場所を用意しており、企業はツイッターを使って顧客にリアルタイムの支援を提供している。一部の企業はツイッターのアカウントを介して、革新的なマーケティングキャンペーンを展開し、一部の企業はフォロワーにディスカウントを提供し、また、一部の企業は専用のチャンネルを開設して、長い(そして高価な)電話をかけることなく直接的なカスタマーサポートサービスを提供している。
ツイッターは、ブランド、さらにはセレブにも顧客またはファンを上手に管理するための追加機能を提供する機会に恵まれている。現在、全てのツイッターのアカウントは平等であり、ブランドは、フォロワー/顧客に関する重要な情報を得られる可能性のあるビジネス専門のツイッタークライアントを使ってアカウントを管理している。
フェイスブックは、ブランド/ビジネスの交流においてはツイッターをリードしており、顧客やファンに巧みにサービスを提供するための一連の独自のツールと機能を用意している。
ザ・ネクストウェブの寄稿者であり、シンプリーゼズティのライターでもあるローレン・フィッシャー氏は、「フェイスブックのブランドを受け入れる姿勢は、たとえザッカーバーグ氏がもともと描いていた青写真とは異なる可能性があったとしても、成長を続ける大きな理由の一つである」と先週綴っていた。フィッシャー氏は、フェイスブックのチームは早い段階でサイトを収益化する必要性に気づいていたため、ページとグループで広告を掲載するだけでなく、企業を迎え入れる独自の手段を展開してきたと示唆している。
現在に至っても、フェイスブックはライバルに対して明白な利点を持っている。ツイッターも間違いなくこの点を心得ているはずであり、だからこそ、独自のブランドページの導入に試みており、ツイッターがフェイスブックの戦略の一部を盗んだと言われている。
フェイスブックと同じように、ツイッターも、スポンサーがフォロワーに対して関連するメッセージを提供し、企業がキャンペーンをコーディネートする中心的な場所の役割を果たすことを狙っているとされており、ツイッターのCEO、ディック・コストロ氏と収益部門を統率するアダム・ベイン氏はこのアイデアをツイッターを収益化する多くの計画の一つとして支持している。
エンドユーザーは企業の代表者として本物の人物と交流することが可能であり、また、フォローすることなく(ブランドもセレブも出来れば避けたいはずだ)ブランド側はこの取り組みを実行することが出来るようになると個人的には想像しており、エンドユーザーにもメリットはある。
ツイッターはユーザーが協力して目的を果たす、または答えを出す等の行為を肥やしにして成長してきたため、「コラボレーションを促す」を課題に挙げるのは変な感じもする。ツイッターは協力するようにユーザーを動機付ける必要はなく、交流を行う様々なメソッドを円滑化するツールを提供する取り組みに専念するべきである。
例えばツイッターリストだ。リストは一部のユーザーに愛され、大半のユーザーに嫌われている。この機能は、管理したツイッターのアカウントから、フォローすることなくアップデートをRSSフィードの代わりとして受信することが出来る機能である。リストの問題点は、ユーザーのアカウントに縛られるため、一人のユーザーに限定される点だ。
複数のユーザーにリスト内でアカウントを管理する手段を提供する機能は、派手さはないが、歓迎される機能であり、ユーザー/ブランドにリストの関連性および鮮度を維持する機会を与え、その他のツイッターユーザーの見解を加えることが出来る効果がある。
別のユーザーがフォローしたいと望むリストを見つけることが出来るなら、リスト内でアカウントのリストを自分のタイムラインにインポートし、出来れば、専用のアカウントにターゲットを絞ったツイートを送信する機能も欲しいところだ(グーグル+のサークル機能のように)。
ツイッターは多数の機能を加えるよりも、現在のユーザーエクスペリエンスを調節する取り組みに専念するべきである。新しい機能をツイッターに加えるとプラットフォームが膨らみ、使いやすさ、そして、アップデートを容易に作成することが出来る力に魅力を感じたユーザーは離れていってしまうだろう。
スパムを最小限に抑え、ウェブサイトのレイアウトとデザインを改善し、ブランドがフォロワーに溶け込むためのツールをブランドに提供することで、ツイッターは過剰な拡大に走ることなく、非常にパワフルでポピュラーなサービスにさらに価値を加えられるはずだ。
ユーザーを獲得するよりも、維持することの方がツイッターにとって確実に重要である。ツイッターはフェイスブックとは根本的に違う運営体制を取っているため、ユーザーに親しんでもらえるような経験を提供するだけでなく、独自の機能とサービスを導入して、フォロワーとの交流を支援する必要がある。
ロンドンを拠点に活動するマットは、ザ・ネクストウェブのモバイルエディターである。ツイッターでフォローすることも、フェイスブックでアップデートを購読することも、そして、グーグル+で連絡を取り合うことも出来る。また、eメール:matt@thenextweb.comでコンタクトを取ることも可能だ。
この記事は、The Next Webに掲載された「What Twitter should to do improve the experiences of its user」を翻訳した内容です。
スパム撲滅、UI改善、ブランドとフォロワーのコミュニケーション手段の促進、とどれも納得のアドバイスではありました。個人的にはツイート検索をもっと改善してソーシャルサーチの機能を充実させてほしいですけどね。少なくともリアルタイムサーチをもう少し徹底してもらえると、モニタリングがもっと正確にできるようになるのですが。1日2億ツイートですから、大変とは思うのですが。さて皆さんはツイッターにどんな要望があるでしょうか? — SEO Japan
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