ビングが、検索エンジンを本日リニューアルしたと発表した。この発表では、ソーシャルを検索にもたらす点が強調されている。ちょっと待ってもらいたい!ビングは既にソーシャルを検索エクスペリエンスの一部として提供しているのではないだろうか?その通りである。しかし、ビングは、とりわけソーシャルの要素を新しいサイドバーの領域に移すことで、この分野を改善しようと試みている。
新しい機能は、数日のうちに米国のビングユーザーに提供され、その他の地域のユーザーには数週間以内に提供される見込みである。早い段階でこの機能にアクセスしたいなら、この通知ページを訪問しよう。
目次
マイクロソフトの投稿では、“新しいビング”をどのように売り込んでいるのだろうか?コアサーチ、スナップショット & サイドバーの3つのカラムのデザインが目玉の機能として紹介されている。
ビングは新しい機能を説明する短い動画を作成している(下に掲載)。この動画に目を通してもらったら、変更点を私独自の視点で紹介していく。
それでは、変更点を詳しく見ていこう。
最も大きな変更であるため、新しいソーシャルサイドバーをまずは取り上げる:
サイドバーには、検索にどれだけ関連しているかによって(ビングが判断)、様々なソーシャルの要素が表示される。コスタリカを検索した結果が上のスクリーンショットである。すると、4つのメインの要素のうち3つが表示された:
それぞれのアイテムを詳しく見ていく。
「Friends Who Might Know」(フレンズ・フー・マイト・ノウ: 知っている可能性がある友達)のカラムでは、ビングにサインインしている場合、検索している事柄に関する知識を持っている可能性があるフェイスブック上の友達が薦められる:
このケースでは、様々なフェイスブックの友達が提示されていた。フランク・グリューバー氏はコスタリカに関する写真を共有していたため、リストアップされていた。その他の人達がこのリストに掲載されたのは、コスタリカに関する様々なページをいいね!していたためだ。
マウスをリストアップされた友達の上に合わせると、薦められた理由を詳しく知ることが出来る。この例では、パティ・ベイリー氏はフェイスブックでコスタリカに関連する多くのページをいいね!していた。
価値があるのは一目瞭然である。コスタリカに旅行するつもりなら(今年の年末に実際に行くつもり)、通常の検索リスティングによるリサーチの他に、アドバイスを求められそうな友達を見つけることも出来るのだ。事実、ビングはこの作業を簡素化する機能を加えている:
上の例では、私はパティ・ベイリー氏の隣の小さな人物/シンボルアイコンをクリックしている。このアイコンをクリックすると、検索のトピックを表示するボックスが現れる。このボックスには、希望に応じて、通常の検索結果のリンクをベイリー氏への質問と共に加えることが出来る。ポストボタンを押すと、質問がベイリー氏のフェイスブックのニュースフィードに送信される。
質問をすると、フェイスブックのタイムラインを閲覧することが可能な人はこの質問を見ることが出来るようになる。友達はこの質問に関する質問を受けるが、その友達はこの質問を見ることが出来ない。ダイレクトメッセージを送るようなものである。
検索に関連する質問をしたい相手が表示されなかった場合はどうすればいいのだろうか?そんな時、サイドバーの上部にある「Ask Friends」(アスク・フレンズ:友達に尋ねる)ボックスが役に立つ。友達に一度に尋ねることが出来るのだ:
検索を行った後、「アスク・フレンズ」ボックスに入力する。すると、入力した内容がフェイスブックの友達に自動的に送信されるのだ。 当然だが、この質問を見る友達はフェイスブックに左右される。フェイスブックの「エッジランク」アルゴリズムは、投稿を全ての友達に向けて表示するのではなく、特に興味を持ちそうな友達を推測しようと試みる。
よく見てみると、私の投稿は私のみに見せるようにタグ付けされていることが分かる。なぜこうなったのかはわからない。私がこの新しいビングの機能を公式にローンチする前に使ったことが原因なのかもしれない。もしくは、ビングがフェイスブックと連動することを許可した際に、私にのみアクティビティを表示するように制限したことが影響している可能性もある。
アプリに対して具体的にコントロールすることが出来る点を思い出させてくれる。フェイスブックで、アカウントの設定、そして、アプリにアクセスすると、ビングが表示されているはずだ。そこでアプリの投稿を閲覧することが出来る友達をコントロールすることが可能だ:
そして友達が質問に返答すると、答えは次の画面のようにオリジナルの質問のセクションに表示される:
また、これから説明するようにアクティビティのセクションでも返答が表示される。
ところで、グーグルは既にこのような機能を1月に導入している。詳細は「Googleの検索結果に「Google+で尋ねよう」リンクが現る」(日本語)で確認してもらいたい。 グーグル+の機能に関しては、介入し過ぎていると私は感じたが、ビング上の同様の機能は歓迎するべき機能のように思えた。
ここまで紹介してきた機能は全てフェイスブック限定の機能である。友達にアドバイスを求めることが出来るが、あくまでもフェイスブックの友達のみである。その他のソーシャルネットワーク上の友達には尋ねられないのだろうか?あるいは、友達ではないものの、情報ソースとして役に立つ可能性がある人を探し出すことは出来るのだろうか?
ビングでグーグルを検索するとどうなるか考えてもらいたい。People Who Know(ピープル・フー・ノウ: 知っている人)のセクションには、グーグルのウェブスパムチームをけん引するマット・カッツ氏を含む様々な人物が表示される。カッツ氏の上にカーソルを合わせたところ、同氏のプロフィールが表示された:
カッツ氏が表示されたのは、ビングがツイッターにアクセスして、グーグルの検索に関連する人物と判断したためだ。その通り、カッツ氏はグーグルの関係者である。また、「ピープル・フー・ノウ」から、ビングが見えないフェイスブックの罠からいかに上手く逃れているかが分かる。カッツ氏はフェイスブックのアカウントを2010年に無効にしていた。ビングがフェイスブックのみを頼りにしていたなら、カッツ氏は推薦する人物として表示されなかったはずだ。
しかし、ソーシャルサイドバーに表示されるのはフェイスブックとツイッターだけではない。ソーシャルな提案は、リンクトイン、クオラ、フォースクエア、ブロガー、そして、なんとグーグルプラスを対象としているのだ:
上のスクリーンショットは、グーグル+とグーグルのソーシャルネットワークの取り組みの責任者であるグーグルの重役、ビック・グンドトラ氏である。グンドトラ氏のグーグル+のページはグーグルに関する検索に関連しているとビングによって判断されたため、薦められている。
ビングはどのようにグーグル+の情報を手に入れているのだろうか?単純だ。これらのページは既にビングがクロールした公開されているページである。この点についてビングは次のように説明している:
「ピープル・フー・ノウ」のコンテンツを手に入れるため、ビングは公開されているブログ、ツイート、そして、グーグル+の投稿を掘り出し、当該のトピックに関連する情報を探し出します。
また、ビングはピープル・フー・ノウのセクションで行われる推薦は、全てのユーザーに同じ人物が推薦されると明言している。フレンズ・フー・マイト・ノウと同じように、ユーザーごとにパーソナライズされるわけではない。
グーグルが検索とソーシャルを統合する取り組みを修正し、今年の1月に導入したサーチ・プラス・ユア・ワールド(日本語)が引き起こした論争を覚えている人もいるのではないだろうか。簡単にまとめておく:
現在、ビングもオープンウェブのデータを利用して、グーグルよりも多くのソーシャルネットワークを活用した推薦を行っているようだ。グーグルさえも対象にしているほどである!これはグーグルへの切り札として使われることになるだろう。
しかし、グーグルはビングのようにはオープンウェブから同じデータを得ることが出来ないと主張している。ツイッターは、昨年グーグルからのアクセスを閉鎖しており、グーグルがオープンウェブのデータすら得られないようにしている。グーグルがツイッターとの契約を更新したとしても、いつか消えるかもしれないデータを基に機能を構築するのは二の足を踏むだろう。一方、フェイスブックは公開している投稿をオープンウェブに放出する行為を禁止しているように思える。
ビングは、ツイッターとフェイスブックと提携を結ぶことでこれらの問題を回避し、また、グーグルによる妨害も受けていないようだ。グーグルとツイッターには過去のいざこざを忘れ、フェイスブックにも完全にデータを開放してもらいたいと私は望んでいる。この問題に関する私の見解は次のエントリで確認してもらいたい: サーチ vs ソーシャル戦争を終結させるソーシャルデータ法案4条(日本語)
サイドバーの最後の要素がアクティビティのセクションである。 これはビングのフェイスブックとの統合を介して行われる、ユーザーが投げかけた質問、もしくは知り合いによって投げかけられた質問の連続したフィードである:
上の例は、ビングのVP、デリック・コーネル氏がフェイスブックの友達に質問をしている画面である。私は友達の一人であり、同氏の質問が私のアクティビティフィードに表示されている。このフィードをクリックすると、返答することが出来るようになり、カーソルを合わせると、質問への全ての返答が表示される。
自分の質問にカーソルを合わせると、受け取った質問を見ることが出来るようになる:
残念ながら、アクティビティのセクションから特定の質問に対してフェイスブックに飛ぶ機能も、そして、すべてを確認することが可能なアクティビティページの類も用意されていない。ビングを利用しており、返答をチェックしたい際は、奇妙なことにフィードを表示させるために検索を行う必要がある。検索を行わない場合は、フェイスブックのタイムライン、もしくは友達のページにアクセスして返答を探し出さなければならない。
冒頭で私はビングが以前は – 大部分を占める左側のカラム – 「通常」または「メイン」の検索結果に表示されていたソーシャルの要素を移動したと述べた。2010年10月に初めてビングがソーシャルを前面に押し出した取り組みによって、ソーシャルの要素は次のように表示されていた:
もしくは次のように表示されることもあった:
これらの要素は見当たらなくなった。結果には今でもソーシャルの要素は若干現れるものの、僅かである。なぜ、このような方針に切り換えたのだろうか?
「[ソーシャル]のアノテーションは期待していたほど役に立たなかった。また、このアノテーションは関連性が低かった。ユーザー達はこのアノテーションが表示された際、関連しているのかどうか判断することが出来なかった」とコーネル氏は話していた。
これは、ソーシャルアノテーションが役に立つ、もしくは少なくともクリックスリー率の改善に貢献すると示唆するグーグルの言い分に反している。これは、パブリッシャーにグーグルがこの点を計測するためのツールを提供している理由の一つである。
今後、この点に関してさらに議論が交され、そして、実験が行われていくだろう。しかし、このアノテーションを取り払ったことで、今回のローンチの準備として、先週整理が行われていたデザインが、さらに見やすくなったことは間違ない。
先程も申し上げた通り、ソーシャルの要素はないわけではない。それでは次の検索結果について考えてみよう:
一つ目の例は、上方向を指すグレーの矢印が表示されている。赤い矢印は私が加えたものであり、グレーの矢印にカーソルを合わせると何が起きるかを示している。青い丸で囲まれ、特定の検索結果がツイッターとフェイスブックでトレンドになっていると指摘する小さなボックスが現れる。このトレンディングアロー(トレンドを示す矢印)はツイッターやフェイスブック、もしくは双方のサイトで人気のあるアイテムの隣に表示されることもある。
2つ目の例はサムズアップアイコンを示している。このアイコンにマウスのポインタを合わせると、青い丸で囲まれ、追加の情報が提供される。このケースでは、4名の友達が記事が掲載されているサイトをいいね!している点が指摘されている。友達のアイコンの上にカーソルを合わせると、友達の名前が表示される – 3人以上いても全員のリストを見ることは出来ない。また、このアイテムがツイッターで人気が上がっている点も教えてもらえる。
まとめ:
アノテーションボックス内には、サイトの名前が表示されることがある。例えば、[Obama]の検索で返される次の2つの結果に注目してもらいたい:
1つ目の例は「The White House」と記されたリンクが掲載されている。このリンクをクリックするとフェイスブックの公式のホワイトハウスページに向かう。反対に、バラク・オバマのキャンペーンサイトは、同じように人気の高いフェイスブックのページを持っているにも関わらず、リンクは用意されていない。
この違いは何だろうか?以下にこの仕組みを紹介する:
ビングは昨年から検索結果のパーソナライゼーションを開始しており、この取り組みは今も継続され、ロケーションと過去の検索履歴がキーシグナルとして採用されている。しかし、ソーシャルもまた役割を担っている。
ツイッターとフェイスブックで概してトレンドになっているアイテムは、短期間上位にランクインする可能性があるとビングは指摘している。
その上、テストを行った結果、私自身、もしくは私の友達によっていいね!されたアイテムもビングにサインインしている場合、結果の上位に表示されることが判明した。これはグーグルのサーチ・プラス・ユア・ワールドに似ている。
「ディシジョンエンジン」と言うキャッチフレーズと共に3年前にビングがローンチされた際、タスクを完了する上で役に立つと言う宣伝文句も用いられていた。しかし、実際にはこの約束はどんな方法であれ達成されているとは思えなかった。
スナップショット – 中央のカラムに表示される新しい情報 – はタスク完了を実現する方向に進んでいる:
上のスクリーンショットはスナップショットの例である。「Ray’s Boathouse」のリスティングに対して、このスナップショットが表示された。このスナップショットにカーソルを合わせると、レビュー、レストランへの地図、そして、オープンテーブルを介して予約を行う機能が中央のカラムの右側に現れる。
先月、新しいビングをプレビューしている際にその他の例を幾つか見た。うまく実装されていると私は感心した。ビングはイェルプ、ファンスナップ、そして、その他のパートナーのサービスからも情報を引き込んでいる。
残念ながら、このレビューを書いている時点では利用できなくなっているようであり、次の機会に詳しくチェックしてみる。間もなくスナップショットのみを記事で取り上げ、準備が出来たらこの記事にリンクを張るつもりだ。
ビングのリニューアルは素晴らしいタイミングで行われる。 グーグルが昨年の1月にサーチ・プラス・ユア・ワールド(日本語)にリニューアルした際は、リスティングに個人の情報を過剰に掲載し、グーグル+化を必要以上に行っていると感じた一部のテクノロジーの批評家達から総スカンを食らっていた。
そして、かつてのグーグルのようにすっきりしたデザインを採用し、ソーシャルを脇に移動した(必要な場合はその場に留まるものの、あくまでも控えめに振舞う)ビングが登場する。一見すると、魅力的に思える。
その上、ビングの検索結果は質が高い。ビングのブログの投稿は、グーグルかビングかを分からなくした状態で検索結果を見てもらい、好む結果を選んでもらう実験を行ったところ、ビングを選ぶ人が多かったとしきりにアピールしている:
ビングは、グーグルとビングの痕跡を消し、ブランドを隠した結果のテストを定期的に実施している。昨年の1月にこのテストを実施したところ、34%がビングを、38%がグーグルを好むと答えていた。
同じ調査を現在行った結果、ビングの検索結果を好む割合がグーグルを大幅に上回った。 ブランドの痕跡を消した2つの検索結果を見せられた調査参加者の43%がビングを好むと答え、グーグルの結果を好むと答えた人は28%のみであった。
つまり、この調査結果は、ビングがコアの関連性および検索の品質において3年の間に進歩を遂げている証拠であり、また、検索がウェブの結果を遥かに超える領域になりつつある一方で、強固な基盤を築く取り組みはビング、そして、検索全体の未来において重要であることを意味している。
ビングのサーチサミットで提供されたトレンドを示す図を以下に掲載する:
これはあくまでもビング自身が実施したテストである。グーグルはグーグルでビングに勝るテストを行っているはずである。また、グーグルは一般の検索ユーザーはサーチ・プラス・ユア・ワールドを好んでいると主張している。確かに一般のユーザーがグーグルを見捨ている動きは見られない。グーグルのユーザーの大半はグーグルに今でも満足していると言っても問題はないだろう。
また、現実として、グーグルが実施しているパーソナライゼーションはビングよりも役に立つ。私は他にも多くのテストを実施したが、結果はユーザーのソーシャルネットワークでのつながりによって異なる。しかし、とりあえずはサイドバーに関する記事を確認してもらいたい: ビングのソーシャル検索 vs グーグルのサーチ・プラス・ユア・ワールド
私は先週からグーグルよりもビングを多く使ってきた。ペンギンアップデート(日本語)がグーグルの結果を改善したかどうか(日本語)を評価するためだ。数回検索を行ってどちらが優れているかを判断することは誰にも出来ない。
しかし、ビングの結果がグーグルの結果に匹敵していると感じる点は確かである。昨日はグーグルの代わりにビングのみを使ったほどだ。苦労しなかったし、実際に情報を探し出すことに成功していた。心の片隅では家 – グーグルに走って帰るべきだと感じていたが、ビングを使えば使うほど、その感覚は薄れていった。
ビングは今までで一番グーグルに近づいていると言っても過言ではないだろう。第三者による調査が必要である。いずれにせよ、2社の競争は全てのユーザーにメリットをもたらすはずだ。
その他のサイトも今日のビングのニュースを取り上げている。テックミームの要約を見たいならここをクリックしよう。CNETは、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏による情報提供が行われた裏側に迫っている。ニューヨークタイムズは、ビングのリニューアルがグーグル対策と調和していると指摘し、優れた見解を提供している。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Bing Relaunches, Features New Social Sidebar」を翻訳した内容です。
それはともかく、競合サービスが切磋琢磨しながら進化していく姿は見ているだけで素直に素晴らしいです。日本は検索サービスから完全に脱落してしまった立場にいるわけですが、中国や韓国は独自の検索エンジンを地道に開発・発展させ続けている中、今後のウェブ&ソーシャル時代に大丈夫なのかなぁ、、、(もちろんゲームも重要ですけど)と第三者的に傍観してしまう私でした。 — SEO Japan [G+]
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