世界最強のコンテンツミル企業ディマンドメディアの秘密

公開日:2010/09/10

最終更新日:2024/03/21

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コンテンツミルの話題を以前から何度かしてきたSEO Japanですが、毎回コンテンツミル企業の代表例として登場するのがハウツー記事サイト、eHowを運営するディマンドメディアでした。SEOを自社サイトに徹底的に導入して年商数百億円(!)をあげているディマンドメディア、なんとこの度IPOまでしてしまいました。日本ではほとんど話題にならないeHowやディマンドメディアですが、実は日本でもnanapiのようなハウツーサイトが人気だったりしますし、今回はサーチエンジンランドからディマンドメディアを徹底解説した記事を紹介します!
— SEO Japan

Demand Media(ディマンドメディア)が新規株式公開を申請した。一部の人々にコンテンツファームと呼ばれるこの企業は、eHow等のサイトで大半のコンテンツを作成し、その他のコンテンツをウェブで人々が検索している情報に直接応じる形で提供している。今回の新規株式公開の申請により、同社がとりわけSEOとグーグルに依存している点が改めて浮き彫りになった。私は今までディマンド・メディアほどSEOに依存している株式会社を見たことがない(SEOの企業をのぞいて)。

SEOとグーグルに関する領域は申請書の14ページで取り上げられいる:

14ページ: グーグルがディマンド・メディアの大部分を投資

私達はグーグルと広範囲に及ぶ関係を持っており、私達の収益の大部分は、グーグルが提供するコストパークリックのパフォーマンスベースの広告から得ています。2009年12月31日までの1年間、そして、2010年6月30日までの半年間で、すべての収益のそれぞれ18%および26%をグーグルとの広告の取り決めから獲得しています。

これで分かってもらえただろうか?ディマンド・メディアは現在の収入の4分の1以上をグーグルの広告に頼っている。昨年は18%であったが、今年は26%に増加している。このセクションは、グーグルがこの提携を打ち切るリスクや現在よりも収益が下がる可能性にも触れている。 確かにあり得る話だが、可能性は低いと私は思う。しかし、このような変化によりジオサインは弱体化していったのだった。ファイナンス・ポストが長い記事の中でこの件を取り上げていたが、残念ながら同サイトでこの記事を見つけることが出来なかった(それでも興味がある人のためにアーカイブされた記事をここに用意した)。

ページ 18: SEOの重要性(そして危険性)

私達が新たなユーザーおよび顧客を魅了/獲得/維持するために採用しているメソッドは他にもあります。それは、検索エンジンの最適化(SEO)と呼ばれるものです。SEOには、検索エンジンの結果ページで上位に格付けされるためのウェブサイトの開発が含まれます。

私たちが所有し、運営するウェブサイト、そして、顧客のウェブサイトで首尾よくSEOを実行する能力は、検索エンジンのアルゴリズム、検索クエリのトレンド、そして、検索サービスが検索結果に固有の情報を表示するための関連する取り組みの定期的な変更に応じて、タイミングよくSEOを修正することが出来るか否かにかかっています。

SEOの戦略の管理を失敗すると、私達が所有し、運営するウェブサイト、そして、私達がコンテンツを配信する顧客のウェブサイトへのトラフィックが大幅に減ってしまう可能性があります。すると、コンバージョン率とリピート客が減ります。さらに、無料のトラフィックを有料のトラフィックで補おうとするため、コストが増します。上述のいずれか、もしくは全ての結果は、私達の事業、収益、財務状況、そして、運営の成果にマイナスの影響を及ぼすのです。

この申請書にも記載されているように、SEOとは検索エンジンから無料でトラフィックを生成するための取り組みであり、広告というよりはパブリック・リレーションズ(広報)の同種の作業である。

パブリック・リレーションズと同じように、良質なSEOはトラフィックを生成する可能性を高めるが、これは約束されたものではない。申請書が詳細にわたって説明しているように、これは主要なリスクの要因である。

ページ 18: 検索はトラフィックの40%近くをもたらす; Googleだけで26%、または26%以上

私達はグーグル、ビング、ヤフー!、そして、その他の検索エンジンに私達が所有し、運営するウェブサイトにもたらされるトラフィックの大半をある程度依存しています。内部のデータによると、2010年の6月30日までの四半期では、私達が所有し、運営するウェブサイトに向けられたページビューのトラフィックの約40%は、上記のインターネット検索エンジンからもたらされているようです(そして、検索エンジンのトラフィックの多くは、グーグルからもたらされていました)。

ディマンド・メディアはトラフィックの40%を無料で手に入れており、そのほとんどはグーグルによってもたらされている。しかし、金額は明記されていない。

グーグルは米国の検索マーケットの65%を持っていると見られており、この数字を参考にすると、ディマンド・メディアが手に入れるトラフィックの26%はグーグル経由であることが分かる。しかし、サイトのオペレータは定期的に検索に関連するトラフィックの80%もしくはそれ以上をグーグルから得ていると報告している。これが正しいとすると、ディマンド・メディアのグーグル経由のトラフィックは32%近くになる。

ページ 19: トラフィックはアルゴリズムの変更の影響を受けやすい

私達が所有し、運営するウェブサイト、そして、私達がコンテンツを配信する顧客のウェブサイトへ向かうビジターの数を維持する能力には、私達がコントロールすることが出来ない面もあります。例えば、検索エンジンは、検索結果のリスティングを最適化するため、頻繁にアルゴリズムを修正しています。

検索エンジンが結果を表示するために利用するメソッドが変更されると、私達が所有し、運営するウェブサイト、または、私達の顧客のウェブサイトのランキングが下がる可能性があり、その結果、私達が所有し、運営するウェブサイト、または、私達の顧客のウェブサイトに検索エンジンからリンクを張るユーザーの数が減ってしまう可能性があります。

私達が所有し、運営するウェブサイト、そして、私達の顧客のウェブサイトの一部は、検索結果のランキングにおける変動を経験しており、同じような変動が今後も起きると私達は推測しています。インターネットの検索エンジンは、フリーランスのコンテンツクリエイターが作成したコンテンツを含む、私達が所有し、運営するウェブサイトおよび顧客のウェブサイトのコンテンツを受け入れられないと判断したり、彼らの企業のポリシーに違反していると判断する可能性があるのです。

私達が所有し、運営するウェブサイト、そして、私達の顧客のウェブサイトに向かうユーザーの減少は、収益を獲得する力に悪い影響を与えます。私達が所有し、運営するウェブサイト、そして、顧客のウェブサイトのトラフィックが減少すると、私達は失ったトラフィックを取り戻すため、コストのかかるソースに訴える必要性が生じる可能性があります。そして、このようなコストの上昇は、私達の事業、収益、財務状況、そして、運営の成果にマイナスの影響を及ぼすかもしれません。

私はこのセクションを重要視している。この点が触れられていて、ほっとした。既に述べたように、検索、とりわけグーグルからトラフィックを獲得する点にここまで依存している株式会社はディマンド・メディアが初めてである。

現在まで、グーグルは“コンテンツファーム”の弾圧を実施する兆候を見せていない。しかし、ディマンド・メディア等の企業に対する一般市民の注目は薄く、そして、質の低いコンテンツを提供し、ランキングを思い通りに操り、グーグルを悪用していると言う批判は十二分にある。新規の株式公開の告知ではこの件について20ページで触れられている:

私達のコンテンツの質が、その他のインターネットに投稿されたコンテンツの質よりも劣ると言う認識は、たとえ根拠がなかっとしても、私達の評判を落としてしまいます。また、ディマンド・メディアは、私達の事業およびビジネスモデルに関するメディアのレポートで実際よりも悪く見られていることが多いのです。

根拠のない批判ではないが、すべて真実と言うわけでもない。ディマンド・メディアおよびその同業者の多くのコンテンツは良質であり、役にも立つ。しかし、そのコンテンツの多くが標準以下だと言う指摘も的を射ている(コンテンツファーム以外にも標準以下のコンテンツは多数あるように)。

グーグルはこのような問題に関する圧力を受け続けているため(数あるうちの一例)、アルゴリズムの変更を行い、質の低いコンテンツを取り除く取り組みが行われる可能性はとても高い。アルゴリズムの変更とは、グーグルが収集したすべてのページを移動し、リストアップするべきページを決定するために利用されているグーグルのコンピューターの“アルゴリズム”レシピへの変更である。

これはウェブのパブリッシャー全般に多かれ少なかれ影響を与える可能性があり、その中にはディマンド・メディアも含まれる。しかし、ディマンド・メディアはその他の多くのパブリッシャーよりもグーグルに依存しているように思えるため、リスクは遥かに高い。

グーグルのウェブスパムチームを率いるマット・カッツ氏は、SMX Advanced 検索マーケティングカンファレンスで、グーグルの「メーデー」アルゴリズムの変更について話していた際、コンテンツファームに触れていた。カッツ氏のの一部を以下に掲載する:

メーデーは、2010年のウェブコンテンツの現状、そして、例えばコンテンツファームなど、質を差別化するためにグーグルが利用しているシグナルに着目することを重視している。同氏は、このアップデートによって影響を受ける人々は冷静になって、どれだけ自分達がコンテンツを作成しているのか、そして、スパム扱いされているのかを確認するべきだと述べた。

グーグルのランキングアルゴリズムを監督するアミット・シンガル氏もまた、先日、ファイナンシャルタイムズの記事のなかでコンテンツファームについて尋ねられていた。しかし、同氏は特にコンテンツファームが注目を浴びているとは言わなかった。記事の一部を以下に掲載する:

「情報のギャップがあるとするなら、そして、誰かがそのギャップを埋めるとするなら、世の中にとって良いことです」とランキングアルゴリズムを担当するグーグルのエンジニア、アミット・シンガル氏は述べた。

要するに、ビジネスモデルが、グーグルを活用するコンテンツを配信して副次的な収入を得るのではなく、グーグルを介して無料で収益を得ることに依存しているなら、グーグルの検索クオリティチームに注意する必要のある潜在的な脅威として警戒されるだろう。だからと言って必ずしも撃ち落とされるわけではないが、そもそもグーグルに睨まれないようにしたい。

ページ 21: 検索データを探索

私達は様々なソースから消費者の検索クエリに関するデータを収集します。ユーザーが私達が所有し、運営するウェブサイトの一つにアクセスすると、私達はソースに関連する特定のデータ、そして、私達のウェブサイトに訪問する特徴に関連するデータにアクセスすることが出来ます。また、第三者からの消費者の検索クエリのデータにラインセンスを供与する活動も行っています。コンテンツ & メディアのアルゴリズムがこのデータを活用し、消費者が求めているコンテンツ、そのコンテンツが広告主にとって価値があるかどうか、そして、私達が費用効率が高い状態でコンテンツを作成することが出来るかどうかを特定します。このような第三者の検索データの取り決めについてですが、通常、個別の量のデータのライセンスは、恒久的に続き、ライセンス供与されたデータのアップデートは行われません。

グーグルが開発されたツールを含め、キーワードのリサーチツールは多数存在し、この類のツールを使えば、人々が検索している情報を見つけることが出来る。しかし、検索アクティビティのデータベース全体にアクセスし、直接的なリサーチを行うことが出来るなら、遥かに効率は良い。ディマンド・メディアは、このようなツールの一部を利用している(ヒットワイズやコムワイズはこの類のデータベースを提供している)。ソースの名前が挙げられていないことは予想外であった。ソースが分かれば質を判断することが出来るからだ。

ページ 24 & 25: ドメインについて

私達が所有し、運営するウェブサイト、そして、顧客のウェブサイトのネットワークの多くは、主に広告のリスティングおよびリンクを掲載しており、十分に発達しているとは言えない状況、もしくは、最低限のコンテンツしか存在していません。

私達の成功はドメイン名の登録の更新に左右されます。ドメイン名の登録は2009年12月31日締めの年度の総収益の41%にあたり、2010年6月30日締めの半年間の総収益の約37%を占めています。

あまり知られていないが、ディマンド・メディアは広告が掲載されているもののコンテンツに欠けるウェブサイトに誰かを迎え入れることで収入を得ている。これは、広範な「ドメイン」の領域に当てはまる。これは検索ではないが、グーグルもこれらの類のサイトにアドセンス・フォー・ドメインズプログラムを通して広告を提供しているため、関連していると言えるだろう。

例えば、bankofelgin.comで、「online checking」のリンクをクリックして向かうページに注目してもらいたい:

これは「bankofelgin.net」で実在するBank Of Elginではない。恐らく、この銀行はかつて.comのドメインを所有していたのだろう。実際に、2006年には.comのサイトも持っていた。しかし、現在は所有していない。

ディマンド・メディアとのつながりはあるのだろうか?約2週間前、このサイトへのビジターには次のような別のメッセージが用意されていた:

こんにちは!bankofelgin.comにはアクセス出来ませんが、正しい場所に来たことに変わりはありません — ehow.comです。私たちはあなたが求めている情報を持っているかもしれません。

そして、ディマンド・メディアの以下のコンテンツを表示するeHowサイトのページに飛ばされる:

DuckDuckGo(ダックダックゴー)検索エンジンを運営する ガブリエル・ウェインバーグ氏は、約2週間前にこのメッセージに気付き、ディマンド・メディアがこのドメインを管理していると確信しているようだ。同氏の指摘は的を射ているかもしれない。しかし、ディマンド・メディアがこのサイトへのトラフィックをこのような方法で買っている可能性もある。

ウェインバーグ氏のエントリが投稿された直後、サイトは変更された。現在、私の予想ではヤフー!が提供する広告を掲載している。ディマンド・メディアがこのサイトを運営しているかどうかまでは確信が持てない。

ドメイン登録に問題があるわけではない。「サイバースクワット」を行い、他人の商標であるドメインでお金儲けする行為を禁じる規則があり、ディマンド・メディアのIPOはこの点で規則に抵触している可能性がある。しかし、SEOが競争の激しい分野と言うなら、ドメインの取り合いはさらに競争が激しいはずだ。

質の高いコンテンツについて

最後に、上述のページの1段目の最初の2本の記事、そして、2段目の1つ目の記事を再び見てもらいたい。タイトルは以下の通りだ:

  1. How to Apply for a Credit Card Online
  2. How to Apply Online for Credit Cards
  3. How to Apply for a Credit Card Online

全く同じ話題にも関わらず、3つの異なる記事が作成されている。そして、1本目の記事と3本目の記事はタイトルは全く同じだ。この話題に対して、1本記事があれば十分である。

eHowは、1本目の記事で「apply for credit card online」、そして、2本目の記事では「apply online for credit cards」と、異なる検索用語を狙っているため、最初の2本の異なる記事を用意している。

この2つのページは3つ目のページと同様に言葉の使いまわしが異なる。しかし、読者の立場で言わせてもらうと、コンテンツを変える必要はない。私が思うに、これらのバリエーションは、グーグルからトラフィックを引き出しやすいのではないだろうか。これは、グーグルの質の侵害を意味する可能性がある。そして、ディマンド・メディアをコンテンツファームを超えるメディアにする試みには、プラスに働かないだろう。

今回のIPO、そして、その他の分析に関連するニュースを読みたいなら、テックミームメディアゲイザーを勧める。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Demand Media’s IPO: The Google & SEO Aspects」を翻訳した内容です。

This article first appeared on Search Engine Land.
c Copyright Third Door Media, Inc. Republished with Permission.

IPOすると会社の状況が色々わかって面白いですね。eHowのビジネスモデルは熟知しているつもりでしたが、私的にはGoogleの広告を掲載した広告が全体の1/4というのは正直意外でした(もっとあると思っていた)。eHowへのアクセスは検索エンジン経由が40%だそうですが、これも実はもっとあるのではと思っていたりしました。あれだけの圧倒的なハウツーサイトともなれば、直接来るユーザーも増えているのでしょうね。上の記事でも色々書かれていますが、検索ニーズだけを意識したコンテンツを格安フリーランサーに増殖させて質の低いコンテンツサイトで儲けている、と時に非難の対象になるeHowですが最初の手段はともかく勝てば官軍的な感じでしょうか。資金を元に質を高めていくこともできるわけですしね。eHowしかり、YouTubeしかり。そういえば日本でもオールアバウトが上場した際の目論見書などにはトラフィックが検索エンジンであることのリスクが書かれていた気がしますが今はどうでしょう。と、有価証券報告書を見ると少し書かれていました。

日本でもソーシャルゲームやグル―ポン程ではありませんが、nanapiなど密かに頑張っている新世代コンテンツミル企業もあります。質を意識していることもあり、コンテンツ量はまだまだ足りないようですが、トラフィックは既に相当数あるという噂も聞きますし、Q&Aサイトで有名なOKWebなんかもハウツーサイトに参入しつつあるようですい、1年後には日本でもコンテンツミルビジネスが話題になるかもしれません。ソーシャルゲームやグル―ポンと違って、新規参入がすぐにできない、コンテンツを蓄積していくのに時間がかかるビジネスだけに、日本におけるこの分野での勝者は意外と早い段階で決まっていくのかもしれません。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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