Facebookとソーシャル時代のプライバシーを検証

最終更新日:2024/02/17

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ソーシャルウェブ、特に実名制が基本のFacebookの普及と共に懸念事項となっているのがプライバシーの問題。今回はブライアン・ソリスがFacebookのプライバシー問題について現状をまとめます。 — SEO Japan

正反対同士は引きあうと言う諺があるが、ソーシャルメディアには当てはまらないようだ。プライバシーとパブリシティに関する考えは完全に相容れない。また、ソーシャルネットワークは、情報の共有とTMI(情報が多すぎる状態)の集中砲火を浴びている。これが問題の核心と言えるだろう。プライバシーと開放性を隔てる境界線は今も曖昧である。なぜなら、この線は、人々が情報を公開して生活する点の利益と危険に関する重要な人生の教訓を学ぶたびに動いているからだ。

私たちがより開放的な社会に進化することで、プライバシーの経済的な価値は反転してきた。数年前、孤独な状態を維持することにかかるコストは僅かであり、一方、公の注目を浴びるコストは大きかった。現在、公開にかかるコストは、プライバシーを増す取り組みよりも遥かに低い。

オンラインのプライバシーの状態、もしくは十分ではないと言う認識は、メディアのヘッドラインで、そして、ウェブ上のステータスアップデートで取り上げられている。しかし、人々の感情を代弁していると思われる意見は、実はメディアの扇動主義を反映している。これから皆さんが見ていくように、プライバシーに関するツイッターの会話は、協議や議論を刺激し、この問題の認識を高めてきた。プライバシー問題の中心にいるのはフェイスブック、そして、そのプライバシーのポリシーに対して継続的に行われる変更である。この最新のPeopleBrowsr(ピープルブラウザ)のレポートは、2010年4月に開催されたフェイスブックのF8カンファレンスと現在のフェイスブックのプライバシーに関する会話の広がりを調査している。

Facebook、プライバシーの扱いに困る

ここ数年、メインストリームメディアおよびニューメディアの強い要請に応え、フェイスブックは、まるでプライバシーの懸念に関連する会話を独占してきたような行動を取っていた。2007年、フェイスブックは、Beacon(ビーコン)と言う広告システムを導入した。このシステムは、第三者のウェブサイトに、ユーザーの行動をフェイスブックのフィードに返すスクリプトを与えていた。大きな反動が起き、そして、共同訴訟にまで発展し、フェイスブックはスタンスを変更せざるを得ない状況に追い込まれた。

2009年12月、フェイスブックはプライバシーの方針を見直したが、瞬く間に批判に晒された。公の場で非難が次々と行われ、プライバシーの規則は再び修正されることになった。そして、その際、ユーザーの意見が取り入れられた。この押し問答は数年間続いている。

しかし、2010年4月21日、世界が注目する中、フェイスブックはサンフランシスコで開催された開発者向けのイベント「F8」でオープングラフの導入を発表した。この告知は喝采および冷やかしを受けたが、フェイスブック、そして、フェイスブックをけん引するマーク・ザッカーバーグ氏は、私たちを新しく、より公でオープンなウェブ、そして、オープンな生活に導こうとしている点は明白であった。つまり、後戻りが出来ないポイントを通過するところだったのだ。

オープングラフは形勢逆転をもたらし、5億名を超えるユーザーを抱えるソーシャルネットワークを、個人に特化したエンジン、そして、関連する情報、コンテンツ、さらに人々を結びつける本格的なコンテクストベースのネットワークに変革するプラットフォームとしての役目を担っている。そして現在、フェイスブック内部およびウェブ上で「like」は標準化され、フェイスブックのペルソナおよびソーシャルグラフはポータブル化している。その代償としてプライバシーが失われ、その代わりに、自分、知り合い、そして、興味のあるトピックに特化した生きた検索をすることが可能なウェブを手に入れたのだ。

「いいね!」ボタンをクリックする範囲内に置くことで、ユーザーはフェイスブックおよびパートナーサイトで紹介するコンテンツや人々の基盤を得ることになる。ハイパーリンクがピープルリンクになりつつある。

ソーシャルグラフの開放を拒んでいた人達は、自ら個人情報をソーシャルストリームに流す川をせき止めていた。ユーザーはそれが難しいと判断し、フェイスブックはユーザー、ユーザーのアクティビティ、知り合い、そして、その他のウェブとの間に壁を立てるプロセスを簡素化した。しかし、フェイスブックはユーザーにプライバシーの管理を任せているため、ユーザーが閲覧する情報、そして、ユーザーが共有する情報はユーザーの設定によって決まる。好みがよりオープンになればなるほど、ソーシャルグラフ内の友達が当該のユーザーを見て、学ぶ機会も増える。そして、これこそが、フェイスブックおよびフェイスブックの外部のパートナーがユーザーエクスペリエンスを個性化する仕組みなのだ。しかし、他のユーザーが感じる印象、そして、フェイスブックおよび外部のアプリやネットワークに表示される情報とコンテンツのカスタマイズのレベルは、すべてユーザーのさじ加減で決まる。

公の会話を探してプライバシーを調査

オンラインのプライバシーを調査するため、オープンな情報のネットワークを利用して公の会話を分析する。何とも皮肉な取り組みである。ここで調査したコンテンツはこの話題をベースにしており、個人には関連していないが、ソーシャルネットワーク上の公のプロフィールがすぐに増加する点は容易に想像がつく。様々な意味で私たちは既に個人に特化したマーケティングおよび広告、そして、同じ考えを持ったグループおよび影響力の強い個人によって共有される言葉の選択や感情に基づいた製品やサービスの改善を実際に目にしている。

ツイッターは、ソーシャルメディアに関しては他のサービスとは一線を画している。オープンなだけでなく、検索エンジンにインデックスされ、そして、APIにも開放されている。プロフィール、アップデート、そして、ソーシャルグラフ(またはツイッターが命名した“インタレストグラフ”)は、分析および学習用には無料で、または、このデータを利用する第三者の開発者には有料で公開されている。 ツイッターのディック・コストロCOOは、ユーザーが登録時にツイッター上の会話は公の場で行われ、見ることが出来る点を完全に理解してもらうことで、プライバシーの問題を回避したと述べていたことがあった。確かにその通りだが、個人が実際にソーシャルメディアに参加して、自分の考えは経験を広める際に、プライバシー、そして、公に情報を公開する本当の意味を理解するのだ。

数字で判断すると、コストロ氏の見解は正しい。ツイッターのユーザーは、プライバシーについて議論を行う際、ツイッターではなく、フェイスブックを取り上げている。

数字で見るプライバシー

ピープルブラウザを使って、悪名高いF8カンファレンスが行われる直前まで遡り、プライバシーまたはプライバシーに関連するキーワードがツイッターで使われた回数をカウントした。

カンファレンス当時の4月24日以前は、フェイスブックのパブリックポリシーに加えられる変更に関する噂が不安を煽り、プライバシーのツイートは、1000本~3000本/日飛び交っていた。F8当日、オンラインのコメント、批判、そして、リアクションでプライバシーが取り上げられ、ツイートの本数は9000本に跳ね上がった。

このイベントが終わりに近づくにつれ、プライバシーの問題は様々なレベルで加熱した。4月25日、プライバシーに関連するツイートは3500本に激減するも、翌日、政治家が騒動に加わったため、再び7500本近くまで激増した。4名の上院議員がフェイスブックに書簡を送り、新しい情報共有機能に対してユーザーに“オプトイン”させるのではなく、もっと簡単に共有する情報、そして、共有する相手を管理することが出来る手段を提供するよう求めた。コミュニケーション、テクノロジーおよびインターネットの下院委員会で会長を務めるリック・バウチャー下院議員は、プライバシー保護、そして、オンラインの企業がネットワーク内で共有される行動および公の情報を基にターゲットを絞った広告を紹介する能力のバランスを見出すよう求めた、新しいプライバシーに関する法案の草案を先導した。

政府が干渉した結果、プライバシー関連のツイートは再び9000本台に乗った。

プライバシーが注目浴びた日に遡ると、この話題を扇動したのは消費者ではなくメディアであることが分かる。そして、ツイッターのユーザーは140文字のプラカードを持って街中を埋め尽くしたわけではない。9000本のツイートと言えども、数百万名ものツイッターのユーザーや5億名のフェイスブックのユーザーから見れば、ほんの一部に過ぎない。

しかし、5月25日になると、プライバシーのディスカッションが最高潮を迎える。少なくともこの調査では、プライバシー関連のツイートは20000本を超えていた。多くのユーザーがオンライン上で抗議活動を行い、ボイコットし、立ち去り、ロビー活動を行った。例えば、この類のグループは220万人のメンバーを抱えている。

6月の上旬、カラ・スウィッシャー氏とウォルト・モスバーグ氏は毎年恒例のAllThingsD(オールシングズD)カンファレンス(D8)で、マーク・ザッカーバーグ氏をつるしあげた。

ザッカーバーグ氏は、プライバシーにおける失態、そして、10代の頃、フェイスブックが台頭した初期の問題発言について謝罪を行った。しかし、同氏のスタンスは明らかであった。ザッカーバーグ氏は、ユーザーがとても公なデジタル生活を共有および経験したいと考えており、異なる快適なレベルでユーザーがつながりを持つことが出来るように手を貸そうとしているのだ。

あまりプライベートではないプライバシーの会話

プライバシーに関する会話が積み重ねられた経緯をよりよく理解するために、私たちはフェイスブック、オープングラフ、ザッカーバーグ、グーグル、#privacy等の特定のキーワードに焦点を絞った。

フェイスブックとオープングラフは、F8から5月の上旬までの間に交された会話の大半を占めていた。4月22日、27日、そして、5月5日には5000本に達し、フェイスブックに関する「#privacy」は500回/日ほど言及され、一方「my privacy」はほとんど目立たなかった。4月20日、10の国々が一団となってグーグルに「私たちの」プライバシーを保護するよう書簡で訴えると、グーグルの名が3500本に現れ、渦中に飲み込まれていった。多くの報道機関がこのニュースを報じ、ツイートおよびリツイートの大半がこの話題を取り上げていた。

しかし、大部分においては、個々のトピックは750回あるいはそれ以下にとどまっていた。

プライバシー vs. フェイスブックのプライバシー

ピープルブラウザのチームは次にプライバシーに関連するツイートと具体的にフェイスブックに言及するツイートとの比較に焦点を絞って調査を行った。5月26日と27日、政府のリアクションを受け、プライバシーに関する一般的な会話は18000本に達し、一方、フェイスブックに言及するツイートは12000本を超えた。28日以降の数日間、プライバシーに関する会話の勢いは収まった。一般的なプライバシーに関連するツイートは4000本に落ち込み、フェイスブックに関連するツイートは2000本まで減少する。しかし、6月2日には、再びそれぞれ8000本、4500本に増加している。7月15日までにプライバシー関連のツイートおよびフェイスブックとプライバシーに関連するツイートはそれぞれ4000本、そして、1000本にまで減り、45日間にわたって約2000本の差を維持していた。

ザッカーバーグ氏がD8に登場すると、ツイッター上のフェイスブックのプライバシーに関する会話は鎮静化していった。

メディアの扇動

このレポートの前半で、私はプライバシーの議論を活性化させる際のメディアの役割に言及した。そこで今度は、公の「@」会話、そして、プライバシーおよびフェイスブックに関する記事へのリンクを明らかに提供している会話を比較した。ご覧の通り、会話はメディアに従っている。100%というわけではないが、大部分においてこの傾向が見られる。個人が様々な方法で会話を進めており、プライバシーに関するメディアの報道に異を唱え、自らの意見、懸念、そして、解決策を表現していた。

しかし、個人、そして、ツイッターの大半のユーザーはプライバシー、オープングラフ、またはプライバシーの設定に対して、メディアほど懸念を抱いていない点は明らかである。それでも、フェイスブックが人々のつながりと社会を公のスポットライトで強制的に照らすと、人々、そして、メディアの力が抵抗を続ける。抵抗なくして、私たちは協力して前に進むことは出来ないのだ。ソーシャルネットワーク、プライバシー、そして、公開の未来の鍵は、一人のひらめきではなく、共同作業による創造が握っている。私たちはかつてのプラバシーの状態を知る唯一の世代になるだろう。時間の経過とともに、この議論は、公と公開の間の違いを見出そうとする、一連の教育的および生産的なフォーラムやミームと化すだろう。プライバシーにおける価値はパブリシティと比較する際にのみ増大する。しかし、公開性における価値は、個人が最終的に自分の経験および他人の印象を形成する方法を心得た段階で上昇する。公開にはリスクが伴うが、参加することで得られる見返りもある。自分に不利に作用することが、有利に働くのだ。

プライバシーに関するリアルタイムのディスカッションを徹底的に調べたいなら、プライバシーの議論が展開される度に継続的に把握することが出来るように私たちが作成した特別版のAnalytic.lyのダッシュボードを参考にしてもらいたい。

Download the report…

Facebook and the New Age of Privacy


この記事は、Brian Solisに掲載された「REPORT: Facebook and the New Age of Privacy」を翻訳した内容です。

どちらかというと「Facebookのプライバシー問題に関する議論」の状況分析、といった記事でしたが、米国でもやっぱりかなり議題にはなっているんですね。Facebookが普及するにつれ、日本でも議論が深まっていきそうな話題でした。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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