原題「Social Signals & Search」のこのセッション、ダニー・サリバンをモデレーターにGoogleのプロダクト・マネッジメントのディレクター、マイク・キャシディとBing Socialのポール・ユウという2大検索エンジンからスピーカーが参加するいきなりの豪華セッションです。
さて以下、内容。
まずはBingのポールから。
ソーシャル以前はウェブページのリンク関係でウェブが成り立っていた。今は人々の関係で成り立っている。
検索する際に、友達の興味や関連情報を一緒に表示させたら誰にとっても便利なのでは?
例えばBingで検索する際に、Facebookの友達の情報を一緒に表示する。例えば特定のレストランを検索結果に表示した際、友達がLikeしていたらその情報も一緒に表示する。映画でも同じ。Bingの検索とソーシャルを統合した結果。例えばWindows 7についての記事が検索結果に表示された時、友達がそのページをLikeしていたらそれも同時に表示する。場合によってはツイッターのつぶやきも同時に表示する。
つまり
「ソーシャルプレゼンスとウェブプレゼンスの融合」
だ。
プロセスとしては単純化すると下記の6段階に分けられる。
ネット上が人々がコンテンツをシェアする。
↓
コンテンツがFacebookやTwitterに伝わる。
↓
それらのソーシャルな情報が「公式な形で」Bingにリアルタイムに来る。
↓
Bingがコンテンツをプロセス、インデックスする。
↓
Bingがランキングして関連付ける。
↓
Bingではユーザーが検索、ソーシャルとウェブが融合した体験ができる。
—
Bingが参考にするソーシャルの情報。
ユーザーのアトリビュート:
友達・フォロワー・フォロー
ユーザーのアクション:
リツイート、リプライ、同じリンクをシェアしているユーザー
単純な「Like Farms」(ライク・ファーム = リンクファームと比較してこう呼んでいる)は既に通じない!
とはいっても、現状、Like数が品質とかなり関連性があるのも事実。
スパムはコミュニティの分析でかなり特定できる。実際のコミュニティに比べて単純。
検索エンジンがソーシャル化するに連れ、考慮すべきこと:
品質、信頼性、人気、時間軸
良いコンテンツを共有されやすい形で提供することが大事。
スパムは通じない。
続けてGoogleのマイク・キャシディ。元Direct HitのCEOなんですね。どこかで聞いたことがある名前だと思いました。
まず僕自身のことを少し。Direct Hitは検索結果のクリック率を参考にしたアルゴリズムを持っていた。Ask Jeevesに売却した後、XFIREというオンラインゲーム用にインスタントメッセンジャーを手掛けていた。最後にMTVに売った。その後、FriendsTipsという友達によるレコメンデーションサービスを手掛け、Googleに買収され、そのまま僕も参加した。
さてGoogleのソーシャル検索とは何か?
・人々の関係性に基づく関連性
・レコメンデーション
・世界中の情報を整理する。
の3つがキー。
Google ContactsやGoogle Profileを参考。
ソーシャルシグナルとは何か?
・ソーシャル検索
・ユーザーの質
・人気。
現状のGoogleではソーシャルの結果を通常の検索結果とより融合した表示するようになっている。例えばGoogleやTwitter、LinkedInで友達がシェアしていればそれを表示する。友達がシェアしていれば優先表示する場合もある。シェア情報をどこまで共有するかはユーザーが個別に設定できるようにしている。
今後もっと新しいことを行っていく予定!と締めくくる。
以下、サリバンと二人のやりとり。サリバンがリアルタイムで募集したQ&Aの質問を投げて二人が答える形。
サリバン:ソーシャルの情報は検索結果に影響を与えるのか?Googleはあると話したがBingはどうだ?
Bing:多くの人々がネットで情報共有している。検索ユーザーの友達であればそれを表示する以外に、ランキングの要素にも使われる。
サリバン:検索結果にソーシャル情報が今まで以上に融合されているがユーザーの反応はどうか?
Google:色々データを取っているが、かなり良い。
Bing:まだデータ収集中だが、傾向としては良い。
サリバン:BingはツイッターとFacebook以外に何か統合しているか?
Bing:ない。
サリバン:GoogleはFacebookのデータを融合できていないがどうなんだ?
Google:「パブリック」に取得できるデータは全て取得したい。(註:案にFacebook批判?)
サリバン:まだ十分に統合されていない人気サイト(YouTubeやFlickrなど)もあるがサイトで優先順位を決めていくのか?
Bing:特定のサイトを優遇するつもりはなく、人の信頼性をより重視する。
Google:同じく、特定のサイトを優遇するつもりはない。
サリバン:其々のユーザーが様々な「オーソリティ」を持っている。フォロワー数も1つだが、その質も様々。アルゴリズム的にどの辺まで見ているのか?
Google:詳細はいえないが、かなりインテリジェントなアルゴリズムを持っていることだけは伝えたい。
Bing:例えばフォロワー数が多いだけで評価するわけではない。
サリバン:ユーザーとして、他のユーザーの質を事前に評価する方法はあるか?
Google:ユーザーを目に見える形でスコアリングした情報は提供していない。
サリバン:特定の検索結果がソーシャルデータを元に検索順位が変わったのかどうか確認する方法はあるか?
Google:ない。
Bing:ない。
サリバン:ユーザーのオーサリティを、サイト毎(例:ツイッターとFacebook)に個別に判断するのか?それか例えば同じ人物と分かれば他のサイトの情報を元にオーサリティに影響を与えるのか?
Google:ソーシャルグラフを元に、ユーザーをサイトを跨って特定しようとしている。技術的に簡単ではないが、それを目指している。
Bing:アイデアは面白い。(註:答えがいまいちはっきりせず)
サリバン:短縮URLサービスに関する問題はあるか?短縮URLがリンクパワーを引き継ぐかどうかという話題も過去にはあったが。
Google:思いつく限りは、、、ない。
Bing:ない。
サリバン:ソーシャルに参加していなくてもソーシャル検索に反映されるのか?
Google:名前や他のリンク等の関係から判断して反映させることはあるかもしれない。
Bing:現状は主にFacebookをベースにしている。
サリバン:オーサリティが高いユーザーがお金をもらって情報を広めたら検索結果を操作できないか?
Bing:オーサリティはトピックレベルでも判断している。例えばそのユーザーが普段発言しないようなテーマの投稿をしていたらオーソリティとして評価しない。
サリバン:FacebookがFBMLからiFrameに移行したが、iFrameの場合、検索エンジンはどう評価するのか?実際のコンテンツはFacebook上に無い形になるが。ウェブページではiFrame経由のコンテンツは評価されないが。
Bing:質問の意図を100%理解していないので今答えられない。後で相談してくれ。(註:気になる質問なんですけどね。。確かにテクニカルに考えるとかなりアバウトな質問なのですが)
Google:Facebookのプロフィールページからリンクされていれば判断できるのでは。
最後に、会場でソーシャルが検索結果に統合されていくことについてどう思うか?とサリバンがアンケート。大半は良いと答えていました。
とりあえずはダニー・サリバンがスーツを着ていたので驚きました。何か心境の変化でもあったのでしょうか。BingはFacebookとの連携をかなり強調していましたね。現状、Googleにはできないことですし、そうなるのでしょうか。他社のサービスとの連携を売りにしないといけないところに一抹の悲しさもありますが、ま、検索サービス自体で差別化するのも難しいですしね。そこまでBingの検索エンジンとしてのレベルがGoogleと比較して遜色ない程高くなっているともいえますが。スパムは既に通じない的な話もありましたが、どうなんでしょうね。
Googleの彼はまさにシリアルアントレプレナーですね。前半の説明はほぼBingと同じですがFacebookが入っていないのが厳しい感じ。書くことも余り無く・・・汗 最後に「これから新しいことをもっとやっていく!(More to come!)」と強調していたのが少し悲しく。というか期待したいですね。
Q&Aは、書いてある通りで特に追記することもないですが(正直、少し後半だれていました)、Facebookのファンページが検索結果でどう取り扱われていくかという点は気になりましたね。
最初のセッションでソーシャル検索がテーマになるのが時代ですね。なんだかんだで一番気になったのはGoogleとFacebookの今後の関係でしょうか。Bingの検索結果にFacebookが融合されているから、Bingを使うユーザーが増える、、、なんて未来が来るのでしょうか。その前にGoogleは何らかの手を打つのでしょうか。 — SEO Japan
SEO最新情報やセミナー開催のお知らせなど、お役立ち情報を無料でお届けします。