ワーストプラクティスと言う言葉を聞いたことはあるだろうか?恐らく一度もないはずだ。
何かが変わるまであらゆるアプローチがベストプラクティスと呼ばれる。
アドセンスのウェブサイトについて考えてもらいたい。
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グーグルのコンテンツファームのアップデートで最もダメージを受けたサイトの面々を見てみると、その多くがグーグルがケーススタディとして用いていた有料のアドセンスのパブリッシャーばかりであった。例えば、ハブページズやEジンアーティクルズだ(註:共に大量のページがサイト内にあることで有名な大手コンテンツファームサイト)。
誰もがこれらのサイトのコンテンツは良質であり、必ず復活するだろうと考えている:
私たちは時間の経過とともにこのサイトのライターのコンテンツがユーザーにとって魅力的である点が証明されることを確信している。私たちはグーグルが主要なアップデート後の結果を調整することが出来ると信じており、また、今後数週間で復活すると前向きにとらえている。実際に過去のアップデートでも私たちは復活してきたのだ – ポール・エドモンドソン
問題は多くのビジネスが、もはや復活することが出来ない点である。事実、一部のサイトは二度と立ち直ることは出来ないだろう。ウェブは進化してきたが、アルゴリズムはその先を進んでいるのだ。
この問題を悪化させているのは、グーグルがサイトに有料のアドセンスの情報を与えており、その他のサイトが明確な承認の証拠と捉えるケーススタディとして取り扱っている行為である。
これが見本です!
グーグルが提案するベストプラクティスに従っている企業をグーグルが葬った後でさえ、この手のケーススタディは存続し、グーグル地獄へ案内しているのだ。
このようなフィルター/ペナルティをさらに腹立たしくしているのは、自分のサイトがネガティブな報いを受けている一方で、コンテンツを盗み、アドセンスに包めているサイトが、ネガティブな報いを受けていないがために、自分のサイトよりも上位に格付けされていることがあるケースだ。:)
スプログサイトは単独では長くは存続しないが、集合すると自分よりも上位にランクインし続け、美しく、重要なコンテンツを作るために数年間に渡って努力をしてきたとしても、そのコンテンツに対してスポットライトを浴びることは出来ない。
カルト・オブ・マック(註:Appleネタで有名な人気情報サイト、コンテンツファームではない)も報告している:
昨日も伝えたように、カルト・オブ・マックは、くだらないコンテンツファームに対するグーグルの戦いで犠牲になった。グーグルが先週の木曜日にアルゴリズムを調整した際に、私たちのサイトは、不可解な理由でランキングを落とされてしまったのだ。
しかし、本日、カルト・オブ・マックは復活した。グーグルニュース(毎日のトラフィックの重要な源)およびグーグルの通常の検索結果にも掲載されるようになった。しかし、未だに私たちのコンテンツを盗んだ一部のスクレイパーサイトよりもランキングが低い状態であり、何もかもが元通りに戻ったわけではない。
太字で綴られた部分は、今回の新しい“アルゴリズム”によるアプローチにおける最も許せない点である。グーグルにサイトを八つ裂きにされ、自分のコンテンツを盗用しているサイトにランキングで抜かれてしまうのだ。また、大半のコンテンツを盗むサイトはグーグルのダブルクリック & アドセンス広告で収益を得ている。
たった今聞こえた“いただきます”と言う声は、あの憎たらしいスプロガー達が現在ペナルティーをうけているサイトからコンテンツを盗む際の合図である。
カルト・オブ・マックは幸運にもメディアの注目を十分に浴び、考え直してもらえた。残念ながら、ダメージを被ったウェブマスターの多くは特別扱いしてもらえないだろう。また、既定のトラフィックレベルを基に契約をしている人や、利鞘が少なく、赤字化してしまった人達は、どん底に突き落とされたと言っても過言ではない。借金して成長を買わないことの重要性、そして、利鞘および現金の安全策の重要性が改めて浮き彫りになった。
ページビューから最大の収益を得るために全てを最大化するアプローチの問題は、状況があっという間に変わってしまうと言う事実だ。私は、グーグルが私の友達に送ったアドセンスの最適化に関するアドバイスの一部を見せてもらったことがある。私は友人にその最適化のアドバイスはよくても短期間しか役に立たず、真に受けて実行してしまうと、やがて痛い目に遭うことになると伝えた。
グーグルは、グーグルのアドバイスに従ったサイトであっても、グーグルに多少の収益をもたらすなら、容赦なく切り捨てるはずだ。なぜなら、すぐに違う人がアドバイスに従おうとしているからだ。
私の友人は幸運にも私のアドバイスは、グーグルから直接得たアドバイスよりも信頼できる点に気づいた。もしグーグルのアドバイスに耳を傾けていたら、友人のビジネスは破壊されていた可能性がある。
グーグルは、SEOを他人を食い物にする連中として位置付けることを生きがいとしているが、以下に関して際どい行動を取っているのは何を隠そうグーグル自身である:
グーグルアドセンスは“手っ取り早く稼ぐ”カテゴリーを持っている。これは私たちのウェブサイトには見当たらないタイプのアイテムである(このサイトにアドセンスの広告を掲載しない理由の一つでもある)。
アドセンスのファームアップデートで最もダメージが大きかったサイトの一つがワイズギークであった。確かにワイズギークは20%近い広告クリックスルー率を稼ぎ出していた。しかし、トラフィックが75%下落しており、5%のクリックスルー率であってもクリーンなサイトを構築していた方が結果的には良かったのではないだろうか。
とは言ったものの、ワイズギークは、グーグルのアドセンスのベストプラクティスに単純に従っていただけに過ぎない:
最も収益性が高かったベストプラクティスに基づくアプローチが突然不十分なアプローチになってしまった。結果は常に推測することが出来るわけではない。グーグルがコンテンツファームを攻撃する決定を下した際、次のような状況を予測出来た人はいただろうか?:
アップデートが行われる前、私はeHowが生き残ることは確信していたが、グーグルのエンジニア達を見くびっていたようだ。と言うよりも、エンジニア達のことを知らなさ過ぎたのかもしれない。eHowを見過ごし、多くの個人のウェブマスターを葬ってしまうようなコンテンツファームのアルゴリズムが、まさか展開されるとは私は思ってもみなかった。
これはグーグルの大企業のサイトなら何でも許容するポリシーの延長と見ることが出来るのではないだろうか。最近のアドセンスのスレッドの中で、ブレット・タブキ氏が最高のコメントを残していた:
架空の世界で独占企業によってルールが決められ、ルールが施行される場合 – 不正行為は存在しない。
唯一の「不正」は法律の線の外側にはみ出すときのみである。 – ブレット・タブキ
ファーマーアップデートが行われてからと言うもの、既に解雇が始まっている。巨大な役に立たないコンテンツミルのウェブサイトだけではなく、穢れのないコンテンツを用意している組織でさえ、従業員の削減が行われているのだ。
アスクザビルイダーも、グーグルアドセンスのケーススタディの一例である。コミュニティではニッチのプレイヤーとして評判は良かったが、シストリックスのデータを参考にすると、最新のグーグルのアップデートが行われた後、87%のトラフィックを失ったようだ。
コンテンツファームとスクレイパーを中傷する人は多いが(実際に中傷を受けるに値する)、本物の悪人はCPC/CPMベースの広告である。
注目が、ページを切り替えた頻度ではなく、ページにとどまった長さを基に売られる世界を想像することが出来るだろうか?検索結果を修正したいなら、グーグルはアドセンスを修復することに焦点を絞るべきである。閲覧者の広告に対する露出をより正確に計測する技術は存在する。その技術をマーケットにもたらす信頼できるプレイヤーが必要とされているのだ。ユーザーと広告主の双方に信頼されているプレイヤーが相応しい。
グーグルは、クリック/インプレッションベースの広告を双方にとって魅力的なアイテムになるように作り、これが現状の原因となった。そろそろこのモデルから卒業するべきではないだろうか – po
私は以前からグーグルのアルゴリズム中心主義は明らかなごまかしであり & 「アルゴリズムがやった」と主張する一方で、意図的な決定を実行するための、詐欺まがいの言い訳に過ぎない気がすると主張してきた。
次のシナリオを想像してもらいたい:
このようなことを考えていくと、一つの明らかな疑問に行き着く: グーグルを信頼することが出来ますか?
簡単に行ってしまえば、答えはイエスだ。
正確に答えるならば、グーグルの最大の利益になることを“常に”グーグルが行うと思って間違いないと言う答えになる。グーグルが次々に新しい分野に進出し(ペイメント、ローカル、モバイル、eコマース、ローン、クレジットカード、旅行、結婚、ファッション等)、検索の独占状態を使ってその他のマーケットを操作するなか、グーグルを仲間だと思う人は常軌を逸していると言わざるを得ない。
今日、明日は仲間かもしれない。しかし、ライバルとしてグーグルが戦いを挑んでくる日は必ずやって来る。そして、実際にその日がやって来たら苦労するはずだ。:(
その日が来るまで、常にグーグルのベストプラクティスに従っている人にこれだけは言っておきたい … 😉
警告はしておいた。
この記事は、SEO Bookに掲載された「When Best Practices Lead To Miserable Failures」を翻訳した内容です。
なかなかのオチでございました。アップデートの件から始まった記事でしたが、Googleが検索エンジンに留まらず様々な(お金になりそうな)分野に今後も事業拡大していくことは疑いがないわけですし、今後もアップデートや新サービス投入の際に様々な軋轢を産んでいくのでしょうね。もちろんユーザーにとってより便利な世界になるのであればそれはそれで喜ばしいことでもあるのですが、検索エンジンであることの優位性を生かしすぎると問題視はさらに強まっていくかもしれません。
しかし今回のアップデート、「広告がページ上部にありすぎると順位が落ちる(=eHowは上部に広告がなかったので落ちなかった)」説が先日のSMX Westでも展開されており、業界的にもそれなりに納得していた人も多かったと思いますが、よくよく考えるとそもそもGoogle自らクリック率の高い広告位置としてページ上部を推奨しているわけですからね。納得できないウェブマスターがいてもおかしくはありませんね。。。 — SEO Japan
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