ビジネスモデルは重要だが、今日、それはコモディティ化されている
最初に言わせてもらうと、もちろん、ビジネスはお金を儲けなければならないのだから、それをもたらすビジネスモデルは重要である。しかし、私が言いたいのはそういうことではない―私が言いたいのは:
ビジネスモデルがコモディティ化した今、“彼らはどうやって儲けているのか?”というのは興味深い質問ではない。答えは全て明白なのだ。
だから、あなたが次に何百万ものユーザーを持つ消費者モバイル/インターネットサービスを見た時は、賢い回答を期待してそのビジネスモデルについて尋ねるのはやめよう―彼らには、選ぶことができる既存のソリューションがたくさんあるのだ―その代わりに、まだコモディティ化されていないビジネスの部分について尋ねることを始めよう(詳しくは後で)。
マネタイゼーションをアウトソースする
最初のドットコムバブルと今日を比べると、消費者インターネットサービスにとって多くのことが変化した。おかげさまで、マネタイゼーションは今ではつまらない問題だ。なぜなら、以前は存在しなかったような収益を上げるための様々な選択肢が山ほどあるからだ:
それだけでなく、消費者は、サービス―90年代には奇抜だったもの―にお金を支払うことを知っているしそのつもりがある。もしあなたがAirbnbのようにある種のマーケットプレイスを提供すれば、消費者は手数料を予期する。もしあなたがFacebook上でソーシャルゲームを作っているなら、彼らはもっとバーチャルの物を買うことができることを予期するだろう。彼らは、iPhoneアプリに0.99ドルを支払うことを予期するだろう。
これをドットコムバブルと比べるのだ。そこでは、あなたはそれらのマネタイゼーションサービスを社内で自ら築き、全く新しいユーザー行動を作ろうとしていた。eBayの場合、人々はお互いに(そしてeBayに)手数料を送金していた。小さなウェブサイトは、広告収入を得るためには、広告ネットワークに接続する代わりに、セールスチームを作らなければならなかった。携帯アプリを作ることには、“次の打者”として控えるのにキャリアとの何カ月もの交渉を伴った。私の最後のスタートアップ、広告テクノロジー会社では、1990年代後半に初めてウェブサイトを始めた時には既存のソリューションがなかったために独自のアド・サーバーを構築したESPNのような会社に遭遇した。
繰り返しになるが、彼らは自分たちのニュースサイトを作ることの一部として独自のアド・サーバーを構築したのだ。そしてそれは、彼らが、製品を良くするというよりはビジネスモデルをサポートするためにたくさんのコードを書くエンジニアを持っていたことを意味する。
製品体験のルネサンス
私たちは、Ruby on Railアプリが成功するたびにアド・サーバーを作る必要がないことに感謝しよう。これが、消費者製品サービス会社に自分たちが一番得意とすることに焦点を合わせることを許す。さらには、新しいウェブサイトを作るのにもはや500万ドルは必要ない。あなたの会社が離陸することに伴う数々のリスクは、あなたが安いサーバーホスティングと、オープンソースソフトウェアの山と、複数の追加収益源を組み合わせる時に、大幅に減少する。
これが、本当に重要なことに取り組むことができるように私たちを解放するのだ:優れた製品を作って市場に出すことだ。
近頃、けん引力を持つ前の会社の主要コストは、製品をコードするデベロッパーのアパートの家賃だ。けん引力を持つ前の会社の利益性は、チームがどれ位早く頭数を増加させたいかにだけ基づく。もしチームがプロダクト/マーケット・フィットを達成することができれば、その他の多くの問題は解決される。
Facebookの37億ドルの収益の裏にある教訓
昔、私はFacebookのビジネスモデルに懐疑的だった。なぜなら、彼らは自分たちが生成したページビューごとにたった0.2セントの広告収入しか受け取らなかったからだ。2006年、私は、彼らが年間で最大1500万ドルを生み出すことができるかもしれないと計算した―いいビジネスだが、世界を変えるようなものではない。私はこのトピックについてこんな記事を書いた:Facebookが10億ドルのビジネスを築けることを私が疑った理由と、自分が酷く間違っていたことから何を学んだのか(日本語)。
記事の中で書いたように、私は間違っていたのだ。実際に、Facebookは2011年に37億ドルを生み出し、今年は50億ドル以上を生み出すだろう。私は面白い間違いをした―彼らはページビューごとの収益は劇的に増やさなかったが、その代わりに月に1兆ページビューまで成長して成長して成長したのだ。私のメンタルモデルは全く間違っていた。
実際、私たちは広告とトランザクションをベースにしたモデルでたくさんの経験がある。魅力的なソーシャルウェブサイトがその広告上に0.1%から0.5%のCTRを持ち、平均0.50ドルのCPMを得ることは極めて明白だ。もしあなたが何かを販売する、もしくはフリーミアムサイトを持っているなら、0.5%から1%のアクティブユーザーがコンバートすることを期待できる。以前のブログ記事の中で話したように、世の中にはたくさんのベンチマークがある。要するに、オーディエンスを持っていれば、あなたは収益を見つけることができるのだ―大きな問題は大きなオーディエンスを獲得することだ。
最後のドットコムバブルは、私たちが今直面している世界とは異なる世界について考えることを私たちの多くに条件付けた。1997年、インターネット上にはほんの1億人のユーザーしかおらず、そのほとんどがダイヤルアップモデムだった。もう一度繰り返すが、そのドットコムバブル全体が、そのバブリーな良い状態を全てかき集めても、1億のダイアルアップユーザーから土台が作られたのだ。その数字の20倍以上、つまり、ブロードバンドとモバイルに20億人以上のユーザーを持つ今日とそれを比べてみるのだ。このグラフ(Googleを介してWorld Bankによって提供された)は、ものすごいことになっている。
要するに、消費者マーケットはこんなにも成長し、あなたが製品をきちんとすれば上昇のチャンスは膨大なのだ。その成長機会の全てを考慮し、プラグイン収益モデルを考慮すると、優れた会社を作ることの主な障害は、全くビジネスモデルではないように思える。
実際、ビジネスモデルは2次的あるいは3次的問題のように思える。だから、ここでも、私はそれについて質問するのをやめようと主張するのだ。
月5,000万以上のユニークビジターで、Twitterの収益モデルがどうなるのか疑問に思うのはやめよう。明らかに、それは何らかの広告の形になるだろう。もしかすると彼らは、どうにかしてフリーミアムかトランザクション料を試みるかもしれない。もしあなたが彼らは最終的に1,000億もしくは100億の会社になると思うなら議論することはできるが、ビジネスモデルがないために彼らが失敗するかしないかの会話はスキップしよう。
尋ねるべき新しい質問
ビジネスモデルがもはや第一の質問ではないという私の意見に同意するなら、尋ねるべき本当の質問は何だろうか?ビジネスモデルをうまくいかせることは、実に、ビジネスモデルがささいなことになるくらいの規模に達することなのだ。
もっと重要な質問を尋ねよう:
この製品は、1億人のアクティブユーザーを引き込み、維持することができるのか?
史上初めて、1億人以上のアクティブユーザーに達することが実際に現実的だ。そもそも、それはどれくらいすごいことなのだろう?近年では、ZyngaやFacebookやTwitterやGrouponやLinkedinなど、多くのスタートアップがそれを成し遂げてきた。そして、私たちは、DropboxやPandraやその他の企業がそこに達するのも目にすることになると思う。
アーリーステージにある企業にとって、この質問を尋ねることは、まさに、そのチームの熱意、最初のマーケット、プロダクト/マーケット・フィットの評価をテストすることなのだ。当然ながら、もし彼らの製品が機能していなければ、彼らはそこに近づきもしないだろう。
スタートアップがプロダクト/マーケット・フィットを得て拡大し始めると、この質問への回答はマーケティングと技術能力を中心に展開する。さらに、その製品は、最初のマーケットが飽和するにつれて進化しなければならないかもしれない―大学でのFacebookやアーリーアダプター・オーディエンスのいたTwitterのように。
まとめ:
この記事は、@andrewchenに掲載された「Stop asking “But how will they make money?”」を翻訳した内容です。
米国だからこそ可能な考え方ともいえますが、確かに私も何かといえば「マネタイズはどうするの?」と質問する人がいると、たまにイラッとくることはありますが、その理由はここに書かれていることを何となく感じていたからかもしれません。と、そこまで深くはなかったと思いますが。しかし確かに以前はウェブメディアを運営する場合でも自身でアドサーバーを組まないといけないような時代がありましたよね。今と比べればサーバー等ハードウェアのコストも信じられない位高かったですし。今日現在、スマホアプリにしてもトラフィックがあれば、とりあえずお金にはなりますからね。オンライン決済も10年前に比べればはるかに一般普及しているわけです。そういう意味ではウェブスタートアップ・ベンチャーにとってはマネタイズが以前に比べればはるかに簡単な時代になっているのは事実でしょう。特に消費者向けサービスであれば、アクティブな会員が一定数いれば、スケールはともかくある程度は広告収入や付随有料サービスで成り立ってしまう可能性は高いです。
そうはいっても、皆が皆成功できるわけではありませんし、日本は米国に比較すれば一部のソーシャルゲームを除けばマネタイゼーションはまだまだ多くのスタートアップ・ウェブサービスにとって難しい課題であることも事実です。とはいえ、この記事を出して勇気を出して夢を持って頑張っていけば、いずれは明るい未来が来ることもあるはず。 — SEO Japan [G+]
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