SEO担当者に求められるものは、知識、スキル、経験など、多岐にわたります。こうした能力の習得は常に意識しておきたいものですが、SEO担当者としてのマインドセットも備えておきたいものです。心構えが一つ違うだけで、周りとのコミュニケーションや自身のスキル習得にも変化が見られる可能性があります。今回は、SEO担当者として身につけておきたい、感情的要素を紹介するSearch Engine Landの記事を掲載します。
あなたのSEOを成功へと導き、クライアントや同僚からの確固たる信頼を得るために不可欠な感情的な技術を身に着けよう。
ギャリー・ヴェイナチャック氏は、彼の著書である「12.5」の中で、彼の人生とビジネスの成功に不可欠である感情的な技術を探求している。
SEOのプロフェッショナルとしてこれらの技術を身につけることで、あなたのキャリアを成功させるための土台を築くことができるだろう。
もしも、私がキャリアの初期の頃にこれら12.5の感情的要素について知っていたのであれば、多くの状況において異なるアプローチを採っていただろう。
では、それぞれの特徴とその活かし方を見ていこう。
目次
熟練したあらゆるSEOの専門家にとって、好奇心は必ず持つべき要素である。それは、企業、製品、ペルソナ、Webサイト、チームプロセスを深く掘り下げることである。
こうした文脈的知識がなければ、あなたの提案は芯を外し、その結果、クライアント、同僚、チームメイトからの信頼を得ることが難しくなる。
しかし、好奇心は、SEOを強化するだけではない。プロフェッショナルとしての成長を促すのだ。好奇心を持つことで、SEOの最新情報、ユーザー体験のベストプラクティス、プロジェクトマネージメントなどに加え、優先順位をつけることに役立つマトリックスの作成といった「マイナー」な技術を身につけることもできる。こうした技術は、複数のWebサイトやステークホルダーを扱う際に、貴重な技術となる。
最初の失敗や、初期の頃に感じるハードルは、あなたをがっかりさせるために存在するのではない。
現実的に言えば、SEOの成功には多くの労力が必要とされ、一夜にして結果を得られることはあまりない。
SEOのプロフェッショナルになるためには、忍耐が必要であると感じることが多々あるだろう。
こうした際に私が必ず行うことは、多少返信を遅らせながらも、最初の返答を完璧なものにし、ポジティブな要素を強調することである。
「わからない」、「我々のWebサイトでは対応できない」、あるいは典型的な、「不可能である」といった返答に対し、いちいちがっかりする必要はない。
粘り強さとは、どのようにすれば可能となるのかを尋ね、不可能という考えにチャレンジしながら、物事を進めることを意味する。
(幸運にも、StackOverflow、Stack Exchange、ChatGPTは、「不可能」が達成可能であることを示してくれている!)
私はJavaScriptに精通している訳では無いし、ReactやNode.jsの専門家でもない。しかし、それでもなお、Webサイトが正確にレンダリングしていないことに気がつくことができる。
ちょうど最近、私が抱えているプロジェクトの中の一つで、私が信頼しているプラグインが全くレンダリングされていないという事象が発生した。Google Search Consoleは不具合を指摘してくれたが、ユーザーとしては全く異常が無いように見えていた。また、開発者チームは、全てが正常に動いていると信じていた。
私は何ヶ月も、「SEOツールに不備がある。再度確認し、キャッシュをクリアしてほしい。」と言い続けた。
そうした中、Chromeのコンソール機能が表示した小さなエラーメッセージに気がついた。
半日かけて調査したところ、私のSEOツールは問題なく動作していることがわかった。しかし、タグの設定と数ヶ月前に行ったNode.jsのアップデートによって、レンダリングにおける問題が発生していたのだ。
私がいかに誇らしげであったかを、あなたはすぐに想像することができるはずだ。しかし、これ以上に私が誇らしかったことは、その後の対応におけるものであった。
非常に忙しい生活を送っている我々にとって、結果を出すことと期限を守ることは常に重要である。しかし、我々は人間であり、それ故、ときにミスを犯してしまうことを忘れてはならない。
先程のレンダリングのミスを例に取ってみよう。自分の粘り強さが役に立ったとはいえ、これを発見できたことは幸運であったと言えよう。
しかし、私がもっと若ければ、「私は何ヶ月も言い続けてきたのに、あなたはそれを無視してきた。どうするおつもりですか?」と伝えてしまっていただろう。
この発言は、生産的な会話や将来的な共同作業、といったもののための最適なアプローチとは言えない。そして、より賢明なアプローチとして、私は下記のシンプルな内容を提案した。
同じ情報であるものの、異なる感情でアプローチしたため、違った結果を生むかもしれない。
親切にすることはそれほど難しくはない。多くの場合、相手の立場を考え、「お元気ですか?」という、力強くもシンプルな質問をするだけでいい。
そのための課題は、そうするための十分な時間を自分自身に求めることである。
話す前に2回考え、書く前に4回考えよう(文章にはトーンやボディランゲージが存在しないため、誤解を招きやすいのだ)。
ビジネスにおける自身の特有の知識を測定し、プロフェッショナルとしての立ち位置を理解することは重要である。我々は急速に進歩していく時代を生きており、デジタルマーケティングやビジネスも急速に進化している。
他者の専門知識に頼ったり、特定の概念についての知識が不十分であることを認めたり、最新のSEOツールに精通していないことを理解することは間違いではない。
他者と自身を比較し、自身がどの立ち位置にいるかを理解することは、非常に重要なことだ。自覚を持つということは、単に自身の技術や知識を理解することだけではない。それはまた、自身のエゴを抑えることでもあるのだ。
最近、尊敬する上司から貴重な助言を受けた。私はインハウスのSEO担当者として、複数の外部のエージェントとコラボレーションをしてきた。
双方がともに学び、成長していく、素晴らしい関係を築けたパートナーもいた。しかし、決して終わることのない、猫とネズミの遊びのような関係となったパートナーもいた。
どのような関係性であれ、私は猜疑心と防御的な姿勢をもって、荒削りなものから彼らとのコラボレーションは始まっている。
私のこうしたためらいは、こうしたエージェントとの過去の経験からのみ発生するものではないということに気がついた。ビジネスの知識に欠けている外部の者が私の仕事を評価するのでは、という感情が根底にあったのだ。
マネージャーの指導のおかげで、こうした姿勢を私は変えようとしている。エージェンシーは、過去の歴史にとらわれることのない、社内チームの延長上にいる者であると認識するようにしている。
彼らの新鮮で批判的な視点を受け入れ、そこから何かを学ぶことが必要なのだ。時間をかけながら、オープンなマインドを形成し、熱心にフィードバックを求め、私の仕事に存在するギャップを埋めるためのチャンスを受け入れられるようになりたい。
他のチームに所属する同僚と協力関係を築くことは非常に重要である。
共感を示し、傾聴し、彼らの課題と目標を理解し、あなたがどのように彼らをサポートできるのかを示すのだ。
チームメンバーとステークホルダーの両方を教育しよう。こうした努力が、最終的に実を結ぶのだ。
想像してほしい。他のメンバーがWebサイトの微調整による影響をよく理解してくれれば、あなたはWebサイトの番人となり、四六時中監視をする必要はなくなるのだ。
ステークホルダーは、効果的なページタイトルの重要性を理解してくれるはずだ。また、Webサイト、コンテンツ、インフラについての重要なミーティングにあなたを招待してくれるだろう。
あなたのSEOの戦略を他のチームの目標と一致させることにより、より多くのリソースとサポートをあなたのプロジェクトが受けられるようになるのだ。
信頼は、説明責任をもって、獲得することができる。有能なプロフェッショナルとして、その規模にかかわらず、あなたが信じられる変更のみを提案しよう。
うまくいかないときは、結果に対するオーナーシップを持つことが重要である。SEOに関わる成果物や他のチームが進めているプロジェクトにも責任を持つこと。
守ることのできない期限を約束することは避ける。期日通りに間に合わないとわかった場合は、速やかに連絡する。
便利な考え方を紹介しよう。合意事項や約束事を文書で保存しておき、それらをまとめたメールのリストを共有するのだ。
重要な詳細を見落とすことや、期限ギリギリでの依頼を防ぐことができるはずだ。
さらに、SEOがビジネス上の数字に影響を与えることを示すことも重要だ。あなたが行ったSEOの作業は、実際の顧客につながるはずである。
Saleseforce(もしくはその類のツール)を深く理解しよう。Google Analyticsのトラッキングが完璧であり、全体のユーザーファネルと重要なイベントを全て捉えていることを確認しよう。
信頼を獲得し、ビジネスにとって重要な数字にSEOが影響を与えることを示し、説明責任を果たせば、野心的な戦略をメンバーが受け入れるようになる。
そうなれば、コンテンツ作成者、開発者、CROのスペシャリスト、UXデザイナー、UIの専門家など、垣根を超えて協力する土台ができあがる。
あなたの提案が彼らの仕事とどう関わるのか、共通項目はどこか、などを理解しよう。大きな夢を見るべきときが来たのだ。
野望を持つことは簡単ではない。先見の明、戦略、断固とした信念が求められる。
また、他メンバーや意思決定者を説得することも必要だ。初期の段階では特に、困難な課題となるだろう。
初期の段階では、SEOは謎めいたブラックホールのように感じられるだろう。
結果が出るまでに数ヶ月かかることもあるし、因果関係を説明することが困難なこともある。
それ故、戦略に断固たる信念を持ち、信頼できるツールを活用することが重要なのだ。
行動を起こし、あなたの戦略を具体的なWebサイトの最適化に落とし込む。
重要なことは、経営者層向けの、ハイレベルのアクションをまとめた戦略に関する文章を作成することだ。
そして、その文章を、あなたと他チームのリソースを考慮に入れた、一つ一つの段階を踏まえた詳細な計画に落とし込む。
私は通常、年間計画を四半期ごとに分割し、各四半期の開始時にそれらをアップデートしている。
こうした計画を、コンテンツチームや開発チームなど、あなたが頼りにしているチームと共有することを忘れないでほしい。
こうしたチームとは、各月や隔週でミーティングを開き、優先順位の決定や課題について話し合う機会を設けよう。各ミーティングでは詳細なメモを取り、全てのメンバーが共通の認識を持つように心がけよう。
SEOには多くの困難が待ち受けている。苦労して達成した成果が突然急降下してしまうかもしれない。
ある日、重要なキーワードで5位以内を獲得したと思ったら、Googleがアップデートを行い、検索結果の全体の状況が一変してしまうこともある。
これが、楽観主義である必要がある理由だ。トラフィックの下落を他の戦術で相殺できる可能性もある。
しかし、楽観主義にも2つの種類がある。
優れたSEOのプロフェッショナルは、前者であることが多い。
仮に、あなたが行ってきたことが100%正しいという自信があったとしても、ランキングやトラフィックが減少した場合は、戦略に関わるあらゆるステップを再度検証してみよう。
感謝もまた、重要な感情的要素の一つである。目標を達成する途中で発生した、小さな進歩に対しても感謝することを忘れてはならない。
私は各プロジェクトを重要な段階に区別し、各進捗を祝えるようにしている。こうすることでチームの士気を高めることができ、同僚、他チーム、ステークホルダーに対し、進捗を示すこともできるのだ。
他メンバーが行った作業が、会社全体のパフォーマンスに影響を与えるということを強調することも非常に重要である。週次、月次、四半期ごと、あらゆる類のレポートで、私はその結果の背景にいるメンバーへの言及を必ず行っている。
小さな勝利を祝うことで楽観主義を維持することができ、ポジティブな進捗を強調することができる。
SEOのエキスパートとして、あなたがトラフィックとコンバージョンの増加を信じるのであれば、他者もまた、それらを信じることができる。
迷信深い方であれば、「ポジティブな結果は、ポジティブな思考によってもたらされる」という格言を思い出しているのかもしれない。
かつての同僚の一人が、「SEOは、その性質上、批判的なものである」、と述べていた。
少々言い方を変えてみたい。我々は、悪いニュースを伝える役割を担うが、それを恐れてはならない。責任感のあるSEOの担当者として、あなたは「親切な率直さ」を体現すべきなのだ。これが、今回紹介する感情的要素の最後の要素である。
オーガニックトラフィックへの影響や、必要とされる作業を十分に理解しないまま進められるプロジェクトも多くある。
SEOのエキスパートとして、懸念があれば適切なタイミングで伝えることは、あなたの責任である。沈黙し続けることは、よりネガティブな結果をもたらすことが多い。
しかし、優しさと尊敬の念を持って、あなたの意見を伝えることは、非常に重要なことだ。
12.5の感情的要素を体現することで、単純にタスクを管理し、他チームへ大量の作業を依頼するSEOのスペシャリストから、同僚やビジネスにとって意味のあるパートナーへと変貌することができるのだ。
現在のSEOは、UX、UI、マーケティングなど、従来のSEOの領域とされていたもの以外の要素も必要不可欠となっています。これは、特にインハウスのSEO担当者は顕著だと思いますが、他チームとの共同作業が不可欠であることを意味します。こうした状況の中、SEOを専門としていない人たちとSEOを行う際の心構え、のようなものはぜひとも身につけておきたいものです。今回の記事の中で、個人的にもヒントとなった箇所がいくつかありました。皆様にとっても参考になる箇所があれば幸いです。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「12½ emotional ingredients for SEO success」を翻訳した内容です。
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