最近、Googleは、Structured Snippets(構造化スニペット)を導入したと発表した。構造化スニペットとは、関連するデータを直接検索結果に表示する取り組みである。
Googleによると、表示されるコンテンツは、ナレッジグラフ、そして、その他のデータソースから抽出されるようだ。
Search Engine Landのニュース編集者、バリー・シュワルツは、記事「Googleの構造化スニペットが見つかる場所」の中で、Googleが、ウェブサイトのコンテンツを直接検索結果に表示する姿勢を強化することで、サイトのビジターが減ると懸念していた。
Googleが、検索結果の表示に関する決断を下した後では、何を言っても後の祭りだが、構造化スニペット、そして、Googleが所有権を持たないウェブサイトのコンテンツを引き続き抽出する行為に関して、5名のSEOのエキスパートに意見を聞くことにした。
それでは、一流のエキスパートによる見解を、早速、紹介していこう:
構造化スニペットに対して、懸念を持っていますか?
スマーティー: 今のところ、懸念を持つような状況には遭遇していません。
経験上、構造化スニペットの情報は、十分とは言えず、サイト内部にもっと情報があることをユーザーに伝える効果があります。構造化スニペットは、リスティングを目立たせ、好奇心を刺激するように思えます。
そのため、私は心配していません。
Googleによる、ウェブページから答えを抽出し、直接検索結果に表示する継続的な取り組みに対して、どの程度懸念を持っていますか?
Googleが、検索エンジンではなく、パブリッシャーのような役割を果たそうとしている点に関しては、懸念を抱いています。しかし、今回の件に関しては、情報を把握する試みをウェブマスターに押し付けるのではなく、自力で解決しているため、満足しています。
今回に関しては、Googleは「このコードを使いなさい。時間を割いてウェブページをコーディングをやり直せば良いことが起きるかもしれません。数年後にこの実験を中止する可能性はありますが…」と言っているわけではないのです。
今回、Googleは、既存のコードと情報を活用しているだけであり、今後の展開を楽しみにしています。
Googleの構造化スニペットに関する意見を聞かせて下さい。
エリック・エンゲ: Googleのこのタイプのスニペットには、大勢の人達が懸念を持つようになると思います。当然です。それは致し方ないでしょう。
以下のSupermanの例を見れば分かるように、データはimore.comのウェブサイトから抽出され、SERPに表示されています。
ここで2つの興味深い疑問が浮かびます:
1. Googleが表示する情報はパブリックドメインに該当するのか?
私は法律の専門家ではありませんが、妥当な情報だと思えるパブリックドメインの情報なら自由に利用することが出来ると確信しています。著作権の対象にならないからです。
例えば、オリンピアはワシントン州の州都です。この情報を個人のウェブサイトから学んだとしても、関連しているなら、利用することが出来ます。つまり、パブリックドメインの情報を基にパブリッシングのビジネスを構築するのは得策とは言えません。
2. 米著作権局が定義するフェアユースに該当するのか?
該当するなら問題はありません。フェアユース(公正利用)の概念は複雑であり、許容範囲は曖昧です。第三者のサイトから得るコンテンツの量が鍵を握ると思います。
別のサイトを引用する人達、あるいは、第三者の著作権保護された作品のフェアユースの利用を試みる人達の間では、ソースを明らかにする行為は常識です。しかし、アメリカの著作権局は、「著作権のある作品のソースを示す行為は、許可を得る行為の代わりにはならない」と指摘しており、これだけでは十分ではない可能性があります。
フェアユースの議論は、米国に限られ、法律は国によって異なる点を忘れるべきではありません。Googleは、この件に関して、いずれ説明を求められるでしょう。
構造化スニペットに関して、懸念を持っていますか?
シャリ・サロー: はい。しかし、大勢のSEOのエキスパートとは異なる懸念を持っていると思います。
Googleの経営陣が、簡単なクエリに対して答えを与えて、UXを良くしたいと望む理由は理解しています。
私の懸念は、Googleがウェブサイトからトラフィックを「盗む」ことではありません。むしろ、Googleが推奨する方法で、多くのサイトが、単純な情報を知るためのクエリに対する答えをフォーマット化したため、Googleが誤って答えを提供してしまうことの方が怖いのです。
どのようにコーディングしようが、どのような形式を用いようが、質の低いコンテンツは、質の低いコンテンツです。
例えば、WikipediaのSEOの定義をチェックして下さい。この定義には私は納得できません。構造化スニペットによって、この定義は受け入れられてしまうのでしょうか?その可能性はあります。
それが私の懸念です。提供する情報が事実に基づいている点を証明するために、Google、あるいは、他のサービスの好むフォーマットに合わせなければいけない状況は好ましくありません。
Googleは、どのようにこの問題を解決すると思いますか?
シャリ・サロー: 適切な引用に関して積極的に関与するなら、ナレッジグラフに対する引用が、100%疑う余地がない点をGoogleは裏付ける必要があります。つまり、何もかも明らかにしなければならないのです。
Googleが、ウェブページから答えを抽出し、直接、検索結果に表示するアプローチを強化している点に関して、どの程度懸念を持っていますか?
シャリ・サロー: 検索結果のリスティングのために、コンテンツを取り出す行為ですか?正直に言うと、Googleが登場する前から、検索エンジンは、ウェブページから一部を抽出してきました。.
価値の判断は、厄介な問題です。現在、Googleの言うことは何でも真に受ける状態になっています。Googleが上位に格付けした文書は、「正しい」答え、もしくは、「最善」の答えだと心から信じているのです。
私達の社会では、検索結果を批判的に評価する方法も、クエリを形成する方法も教えていません。
私はテクノロジーに偏ったデザインは好きではありません。Googleはこの傾向を強めており、私が懸念を抱いているのは、まさにこの点です。
この問題に関して、何か特別なことをしていますか?
シャリ・サロー: 当然です。現在、Googleでテストを行っています。そのうち結果を発表する予定です。
Googleが検索結果にコンテンツを直接する方針を推進している件を問題視していますか?
AJ コーン: Googleの構造化スニペットに関しても、Googleがウェブページから答えを取り出し、検索結果に表示する取り組みに関しても、特に心配していません。
「ザック・エフロン 年齢」、「アルフ 声優」等の問いに対する答えを提供する取り組みに収益を依存してきたのなら、今まで運が良過ぎたのです。
このようなクエリの裏側にある隠れた意図を理解し、答えに関する豊かなUXを提供することが出来るかどうかが、勝者と敗者を分けるでしょう。
ウェブページから答えを抽出し、直接検索結果に表示する取り組みをGoogleが推進している点に関して、懸念を持っていますか?
デレク・エドモンド: 広告収益を引き続き得るために、ユーザーをGoogleに留める必要がある事実に関しては、理解しています。また、大方、構造化スニペットを表示するサイトにメリットを与えるように情報を提示しているような気がします。
私達に出来ることはほとんどないため、特に懸念は持っていません。
ウェブサイトのパブリッシャーには、お馴染みのことですが、結局、私達ユーザーは力不足なのです。Googleの要求に応えざるを得ないのです。今回の件からも分かるように、オンラインビジネスを運営しているなら、自分でオーディエンスとネットワークを構築することが、何よりも重要だと言えるでしょう。
Googleは、営利団体であり、時代の最前線を進み、利益を得るためには、ルールの範囲内でなら、何をしても許されるのです。
とは言いましたが、Googleの成功は、文字通り、第三者のソースから情報をキュレートする能力にかかっています。Googleの取り組み、そして、(参照情報、そして、リンクに対する一連の基準に関して)第三者に強制する取り組みとの間には、笑ってしまうほど、皮肉としか言えない矛盾があります。
この新しい方針により、仕事のアプローチを変更、もしくは、修正しましたか?
デレク・エドモンド: いいえ、全く変えていません。
個人的な意見ですが、検索エンジンの結果で上位にランクインすることで得られる見返りは、Googleが、情報に基づいて構造化スニペットを表示したために少量のトラフィックを失うリスクよりも重要だと思います。
そもそも、Googleが、私達(もしくはクライアント)の情報に基づいて、構造化スニペットを表示するなら、それは信頼、そして、ブランド構築、そして、マーケティング戦略を認証した証だと考えています。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Reaction: What SEOs Think About Facts & Answers Showing In Google Search Results」を翻訳した内容です。
記事にあった「ザック・エフロン 年齢」、「アルフ 声優」のSEOが運が良すぎた、というコメントには笑ってしまいましたが、Google自身がキーワードを意識したSEOを推奨していませんし、ロングテールのワードにニッチに対応するSEO自体が既に終焉を向いつつあります。SEOのみでトラフィックを意図的に増やすことは以前と比べ格段に難しくなってきているのは事実ですし、SEOを意識しつつコンテンツマーケティングなりソーシャルなりに他面的に取り組むのが重要になっていくのでしょう。SEO一本で勝負してきた専門家には辛いところもあるかもしれませんが、、、それがウェブの進化でありそこで働く者の宿命でしょうか。 — SEO Japan
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