ロケーションベース・マーケティングの3原則 – 実現性、生活パターン、その瞬間

公開日:2011/10/27

最終更新日:2024/03/11

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スマートフォンの普及でロケーションベースのウェブサービス分野がますます熱くなっているようですが、それと共に今後さらに注目を浴びそうなのがロケーションベースのマーケティングです。ユーザーの位置情報と連動して情報配信していくマーケティング手法といえば簡単ですが、その手法は多種多様。今回はロケーションベース・マーケティングに関する原則と題してロケーションベース・マーケティング(しかし長いですね)の基本と可能性を学んでみます。 — SEO Japan

ロケーションベースのマーケティングの原則その1 – 実現性

最近のマーケッター達は、今まで考えもしなかった経緯でロケーションの影響を受けている。モバイルマーケティング戦略を計画および実行する際、無視することが出来ないほどロケーションは非常に重要な役割を果たす。

ロケーションベースのメディア、チェックイン等の魅力とPRを考慮した上で、私はこの旬なトピックを別のブロガーに譲ろうと思う。少なくとも別の機会で取り上げたいと思う。また、プライバシーの問題に関しても今後に先延ばしさせてもらう(情報がユーザーの選択に基づいて受信されると言う指摘、そして、代わりに得られる価値は常にユーザーの役に立つと言う指摘は、ロケーションが話題に上ると必ず前提となる)。

ブランドと交流する際にユーザーの背景を認識することは、あらゆるマーケティングの取り組みにおいて非常に役に立つ。しかし、ロケーションが浸透している現在であっても、計画は若干一方的であり、物理的な位置を中心に展開される(例えばテキサス州のダラス、オハイオ州のアクロンの住民に宣伝したい)。これは確かに重要だが、ロケーションの意識を有効活用し、アイデアを高める方法が幾つかある。

ロケーションマーケティングの分野において、コンテクストは重要な存在であり、検討しているイニシアチブに適用可能な3つの領域に戦略を振り分けると、ロケーションの要素を活用する方法を考慮する上で効果がある:

  1. 実現性
  2. 瞬間
  3. 生活のパターン/ストーリーボーディング

上に挙げた3つの要素をシリーズ記事のなかで一つずつ取り上げていく(註:SEO Japanでは今回、1つの記事としてまとめています)。それでは今回は実現性をロケーションベースのモバイル・イニシアチブに適用する必要がある点を説明していこう。

実現性: マーケティングの機会、そして、思い描いた交流は、マーケティング可能な機会が生じた際に、ユーザーの居場所で実際に実現可能だろうか?簡単に言うと、うまくいくだろうか?

既に経験した失敗こそがこの典型例なのではないだろうか。例えば、昨年ニューヨークで行われた小売業界の有名なカンファレンスでは、モバイルマーケティングのトピックは、参加者、特に出展者の間で上がりそうで上がらなかった。このカンファレンスは、熱烈な関心をあまるとこなく集め、マーケッターがモバイルを活用し、テクノロジープロバイダーが収益を上げることで、モバイルが活躍する年を乗り切るために開催された。

残念ながら、会場およびカンファレンスセンターの近郊ではインターネットに接続することが出来なかったため、モバイルテクノロジーが店内の経験を変えることが出来るのかと言う点には大きなクエスチョンマークがついた。これがマーケティングの選択肢における業界全体の枠組みの動きにどのように遅れをもたらすのかは、誰一人として明確な答えを出すことは出来ないが、間違いなく前に進む上では障害にしかならないはずだ。大きな投資が、ロケーションの制限により、瞬く間に大きなリスクになってしまう。

これは変化に対応するモバイルチャンネルを活用しようと計画しているマーケッターに直に影響を与える。以下に計画時に実現性を考慮する方法の例を幾つか挙げていく:

  • 機能とユーザーエクスペリエンスに異国/異文化を考慮する: アメリカとカナダを中心に北米で製品を販売する消費財や製品のメーカーを例に挙げる。多くのメーカーが同じようなアプローチをしているが、SMSキャンペーンを立ち上げる際は、品質表示タグ、製品の配置、そして、販促品が米国では米国のコードをカナダではカナダのコードを採用している必要がある。
  • 想像する交流の機会は現実的か? 例えば、2Dのバーコードが浸透しつつあるが、配信物での配置と実際の使用例について考えてみよう。飛行機や船では、乗客は理想的なターゲットだが、乗客に接する時間の大半はモバイル機器に接続することが出来ない。このようなタイミングでスキャンする機会を提供すると成功する確率は高いだろう。
  • 同様の業種でネット接続は可能かどうか? 小売店、病院、イベント会場、はたまたクリニックや薬局で、低スピードのWiFiを提供し、顧客に環境が改善された点を伝えることを検討しよう。インターネット接続が問題になるなら、データとイメージのキャッシングに対する上限を設けることも考慮しよう。
  • 交流を望むモバイルオーディエンスはどの程度「移動中」か? 自宅にいない人達とコミュニケーションを取る可能性が高い場合、彼らが適切なローミングデータプランおよび通話プランを契約しているかどうか、そして、自動的に入力する可能性がある言語は何語を用意しているのかを確認するべきである。

このような実現性を考慮する取り組みは、交流が機能するか否かを左右する。そして、十分に検討を重ねると、ユーザーのモバイルエクスペリエンスを大幅に改善することが出来る。

ロケーションベースのマーケティングの原則その2 – 生活パターンを知る

ロケーションおよびモバイルマーケティングを計画する際に瞬間をとらえたアプローチを採用すると、絶大な効果をもたらす可能性がある。この考え方を拡大して、消費者の生活を瞬間の継続的なつながりと考えると、こちらもマーケティングに大きなプラスの効果を与える可能性がある。つまり、生活のパターンが選択肢の一つに挙げられるのだ。

生活のパターン/ストーリーボーディング: コアの消費者はどのようなパターンを見せているだろうか?そして、どうすれば日常生活を通じてマーケッターのメッセージをより有意義にそのパターンに合わせることが出来るのだろうか?モバイルキャンペーンを策定する際は、消費者優先アプローチから入ると効果的な戦略が生まれることが多い。ユーザーインターフェースやデザインのテーマにおける消費者の望みだけではなく、このような瞬間において関わりを持ったきっかけは何だったのか、そして、次はどこで交流を行うことが出来るのかを理解する取り組みは、大きな意味を持つ。瞬間は単一であったが、生活のパターンは累積する。

以前は、生活パターンのマーケティング戦略は、メディアの配置計画を中心に展開されていた。例えば、移動中の働く母親層に1日を通じてマーケティングを行いたかったら、子供を学校に車で送る際に聞くラジオ、大型のカフェで提供されているコーヒースリーブ、eメール、ソーシャルネットワーキングサイト、スーパーの製品の配置、ニュース/娯楽番組、そして、夜間の買い物番組内で広告を掲載し、メッセージを送る必要があった。異なる広告形式、異なるメディアバイイング、様々なレベルでの追跡を全て合わせると大変な仕事になり、リソースの消費も大きい。うまく実施すると、それほど気味悪くもなくなり、ストーカーのような感覚も下がる。また、ブランドがそれぞれの接点でポジティブな価値を加えれば、ブランドがしっかりと定着することもある。

モバイルデバイスは母親と全ての場所へ行動を共にしているため、それぞれの接点、そして、行動の背景を理解すると、数多の機会が発生し、連続する交流がもたらされ、そして、ロケーションを中心とした見解が実現される。すると、役に立つコンテンツ、分かりやすい購入プロセス、実用的なウェブアプリの経験と言う形を取って、すぐに価値がもたらされる。この点においては、この母親がどこにいるのか、さらに過去にどのようなやり取りがあったかを理解する能力が鍵を握る。

このような提示の層の全てに共通することだが、創造的に且つ正確にロケーションが持つ意味を考慮すると、関連性が高く保った状態でブランドのストーリーを徐々に語りかけることが出来るようになるだろう。獲得する取り組みにおいては、刺激を与えるか、あるいは発見することが出来るような環境を整えよう。維持する取り組みなら、ブランドが消費者の生活にもたらすポジティブな事柄を補う必要がある。このようなメッセージを通じたアクティビティを基にして、生活のパターンを活用したマーケティングキャンペーンを実行することで、特定の生活の段階を迎えたタイミングが分かるようになるだけでなく、定期的に見られる消費者のパターンがeメール、SMS、またはプッシュ通知を引き起こし、望ましい行動がさらに活発化するタイミングがいつになるかを推測することも出来るようになるだろう。

あらゆる戦略に言えることだが、ブランドや状況によって、イニシアチブにぴったり合うアイテムは異なるため、今回提供したアドバイスは、経験豊かなプロの力を借り、内部で調整してもらう必要がある。ロケーションは、包括的な取り組みについて考える際の数多くのピースの一つに過ぎないが、現在、いまだかつてないレベルで接触しやすい状況が整っており、その効果は並はずれて高い。皆さんは直接的なデジタルマーケティングの取り組みに、今までどのようにロケーションを活用してきたのだろうか?

ロケーションベースのマーケティングの原則その3 – その瞬間を活かす

マーケティングの取り組みを目標通りに実行することが出来る自信がついたなら、ロケーションに注目し、ハイレベルの関連性を提供することが出来るようになるだろう。技術は素晴らしい進歩を遂げているが、いまだに人間は1度に1個所の場所にしか存在することが出来ない。それゆえ、その場所が非常に大きな意味を持つことが多い(意識していようといまいと)。顧客および顧客候補の人達と記憶に残る、そして、感情に訴えるようなつながりを持つ取り組みに依存しているなら、メッセージやコンテンツにおいてロケーションによってもたらされる関連性は、その他の要素よりも遥かに効果が高いと言える。

最高の戦略を実行する計画を立てる上で、ロケーションをキーワードにアイデアをまとめてもらいたい。ではその2つ目の方法を見ていこう。

瞬間: このタイミングで、より効果的な交流を行うため、この場所を活用する点についてマーケッターは、何を把握しているのだろうか?

モバイルが、以前では不可能であった方法で、デジタルの世界と実際の物理的な世界に橋を渡している点は、私がわざわざ説明しなくてもご存知のはずだ。消費者の立場では、この効果により、必要な情報にいつでもアクセスすることが出来るメリットがある。マーケッターにとっては、その「瞬間」のデータを利用することが出来るコンセプトは、交流に対する検討、転換、維持、さらには、獲得を目指す取り組みを後押しするはずである。
消費者のロケーションが共有されると(ユーザーがアプリでデータの共有を許可して、所在地を入力して、サービスがアクセス可能なプロフィールのデータを投稿するなどして)、あるいは引き出されると(基地局の三角測量、クッキーの値、通信会社が開始した検索、GPS、WiFiのノード、写真のメタデータ、ロケーション特有の“コネクタ”、もしくは適切な場合、リバースIPも利用される可能性がある)、消費者の居場所を把握することが出来れば上々の滑り出しである。この初めの一歩こそが、戦略の終着点であり、多くの場合、基礎的なレベルにも関わらず、ここまで到達することが出来るか否かでイニシアチブに大きな差が出る。

マーケッター達は、その場所がその時何を意味するのかについて考え、この知識を活かす必要がある。

次のように考えてもらいたい: 「ディズニーのテーマパークのすぐ外にいる消費者に向けたコンテンツは、マンハッタンでコーヒーを飲んでいる人へのコンテンツと比べ、どのように異なるべきなのだろうか?」、もしくは「モバイルデバイスでeメールを開いた顧客候補がシラキュースの店舗にいる点、そして、通常レベルのプリンターを探している点が分かっている場合、この店、時刻、在庫、そして、当該の店舗に勤務するスタッフについて知っている点を活用して、どのようにこのコンバージョンの機会を活かせばいいのだろうか?」

どのデータが最も重要なのか、そして、どのデータが、効果的で、継続的で、且つ記憶に残る交流を提供するため、もしくは“優れた行動”を後押しするために使えるか真剣に考えるべきである。

この情報を次の段階に進めるには、APIやWebサービス等のテクノロジーを活用して、実際のロケーションを時間、気温、曜日、サービスへの距離、当該地区のイベント、レイアウト等の広範な要素にマッチさせ、ロケーションに位置する人達の多くに意味のあるメッセージを作成する必要がある。直接マーケティングの関係を当該の人物と築いているなら、重要な特定のメッセージ、割引、もしくはプロモーションに対するセングメンテーション環境と利用可能なデータの接点を組み合わせることで、消費者ベースとの関係を強化することが出来るだろう。また、このような関連する/把握しているデータの接点を交流の表面に近づけると、全体的なモバイルエクスペリエンスを改善する上で役に立つ。入力するデータの量およびナビゲートの“アクション”は少なければ少ないほどよく、また、スクロール/タップ/スワイプ/ズームを最小限に抑えると、顧客にとって効率が良い。このようなアクションを少なくすることで、直帰率や引き返しを抑え、理解およびブランドのポジティブな印象を高めることが出来る。

適切な提携先と構造を基に、分かりやすくキャンペーンを実践すれば、他に類を見ない強力なマーケティングの効果が見込める。


この記事は、socialmediatodayに掲載された「Tips for Location-Based Marketing: Part 1」、「Tips for Location-Based Marketing, Part 2」、「Tips for Location-Based Marketing, Part 3」、を翻訳した内容です。

この種の文章を翻訳すると、微妙に読みにくくなってしまう点が難なのですが、内容自体はうまく整理されており改めてロケーションベースマーケティングの可能性を感じさせるものだったと思います。生活パターンをベースにしたマーケティングは従来は複数のメディアを駆使してアプローチする必要があり難しかったが、モバイルデバイスの普及で、連続的にコミュニケーションを取ることが可能となり、よりストーリーを伴ったマーケティングアプローチができるようになった、という説明は納得でした。

もちろんマーケティングを成功させるにはユーザーの属性や興味、生活や行動を理解し受け入られるアプローチができるかがポイントになりますね。ソーシャルグラフやインタレストグラフ、ソーシャルメディアと連携させることで、さらに様々なマーケティングが可能になるのでしょうね。5年後のロケーションベース・マーケティングの状況がどうなっているか今から楽しみです。 — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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