グーグルがペンギンアップデートをローンチしてから約2週間が経過した。新しいスパム対策アルゴリズムは意図した通りに改善を続けているようだ。しかし、なかには、ペンギンの攻撃を受け、回復するにはどうれすればいいのか悩んでいる人もいる。また、「ネガティブSEO」を恐れ、懸念を持つ人達もいる。そこで、私はグーグルのウェブスパムチームを引っ張るマット・カッツ氏に連絡を取り、これらの質問や関連する質問をぶつけてみた。
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アルゴリズムアップデートの目標は検索結果を改善することだ。それでは、ペンギンはグーグルにどのような成果をもたらしているのだろうか?
カッツ氏は「グーグルの観点からは成功したと言える」と述べている。
当然だが、ペンギンがリリースされた直後、奇妙な結果の例(日本語)を挙げる人達が続出した。公式のバイアグラのサイトはリストアップされない一方で、ハッキングされたサイトが結果ページに表示されていた。また、[make money online](オンラインでお金稼ぎ)では空っぽのウェブサイトが上位にランクインし、その他の空っぽのサイトが健闘していた点を指摘するレポートが上がっていた。そして、盗用者のサイトがオリジナルのサイトよりも上位にランクインしていた。
このような現象が起きているにも関わらず、本当に成功を収めたと言えるのだろうか?
カッツ氏は、これらの問題の多くはペンギンが立ち上げられる前から存在しており、この新しいスパム対策アルゴリズムが原因ではないと答えていた。
確かに、既に修正されているバイアグラの問題は、ペンギンが実施される前に問題視されていた。従って、ペンギンがこの問題を引き起こしたわけではない。
誤検出、つまり何もスパムしていないにも関わらずペンギンの攻撃を受けた人達についてはどうだろうか?
「調査する必要があるケースが幾つか起きているが、今回の変更はパンダやフロリダと比べるとインパクトは少ない」とカッツ氏は指摘した。
昨年行われたパンダアップデートは、質の低いスパムサイトをターゲットにした規模の大きなアップデートである。フロリダアップデートとは、検索の品質を改善することを目指し、2003年に実施された大きなアップデートである。
すべてのアップデートに対するリアクションを私は見てきたが、私もこの二つのアップデートはペンギンよりも多くのサイトに影響をもたらしたと思う。もちろん、同意できない人もいるだろう。また、ランキングが落ちた人がいると言うことは、上がった人もいることを思い出してもらいたい。プラスの影響を得た人達が声を上げる姿を私はほとんど見たことがない。
基本的にグーグルは、意図した通り、ペンギンアップデートがスパムをしている人達をつかまえていることに自信を持っているように思える。
レポートを精査していると、誰かのランキングが落ちたきっかけがスパムであるケースがよくある。しかし、ペンギンが功を奏しているなら、なぜ明らかにスパムをしている一部のサイトは上位に堂々とランクインしているのだろうか?
「完璧なアルゴリズムなど存在しない。完璧を目指しているが、“改善”しているかどうかを重要視している。」とカッツ氏は述べている。
また、カッツ氏は、スパムが関わっていることを確信した際に、ページに対して高い精度で見極めるようにペンギンは作られていると説明している。一部のスパムが逃げ切るマイナス面もあるが、誤検出が少ないと言う良い面もある。
今回のアップデートにおける難問の一つが、回復する方法を伝えられないことだ。ペンギンのペナルティを受けた場合、グーグルをスパムしていると見なされたことになる。
今までは、グーグルをスパムした場合、再審査リクエストを提出するよう求められていた。しかし、グーグルはペンギンのペナルティを受けた場合は、再審査リクエストが有効ではない(日本語)と明言している。グーグル曰く、スパムを一掃すれば自然に回復するようだ。
しかし、ペンギンの攻撃を受けたサイトを調べると、ひどいリンク構築を行っていることがペナルティを与えられた主な理由の一つだと思える。有料のワードプレスのテーマ、もしくは、質の低い相互リンクを利用していたり、リンクを購入していたり、先日狙い撃ちされたネットワークを含むリンクネットワークに参加していた人達がターゲットにされていたのだ。
リンクをコントロールすることが出来ない場合、どのようにネットワークを離脱すればいいのだろうか?
「一掃することは可能だ。」とカッツ氏は答え、この点において同氏が作成した2本の動画を見るよう薦めていた:
「基本的には出来ることを解決してもらいたい。」とカッツ氏は述べている。
リンクプロフィールを浄化したら、どのように回復した点を伝えてもらえるのだろうか?次にペンギンのアップデートが行われた際に、グーグルからのトラフィックが回復しているのが分かれば言うことはない。
ここでもう一つの重要なポイントに結びつく。ペンギンはパンダと同じように時折更新されるフィルターである。ペンギンは絶えず行われているわけではなく、グーグルの定期的なスパムのフィルタリングに加えて、サイトをスパムとしてタグ付けするために採用されているのだ。
ペンギンはパンダのようにサイトワイドのペナルティなのだろうか、それともページ限定のペナルティなのだろうか?カッツ氏はこの問いには答えないだろう。しかし、パンダがサイトワイドに影響を与えていた点を考慮すると、ペンギンも同じようにサイトワイドなインパクトを持っていると仮定して問題ない。
要するに、サイトの一部がペンギンに睨まれると、サイト全体が被害を受けるのだ。繰り返すが回復するにはスパムを一掃する必要がある。スパムを削除したものの回復の兆しが見られない場合、新しくサイトを作り直さなければならない可能性があるとカッツ氏は指摘している。
ペンギンアップデートが行われる前、「ネガティブSEO」がよく話題に上がっていた。一部の場所では、この状況は悪化しているように思える。競合者に攻撃を受ける危険に晒されているとでも言いたげな記事が次々と投稿されている。
このような恐怖は、基本的に完全に推測に基づいているようだ。グーグルは先日一部のリンクスキームをターゲットにしていた。その結果、一部のサイトはトラフィックを失っていた。また、グーグルは「人為的」もしくは「不自然」なリンクを持つサイトに警告を行ってきた。この警告により一部の人達は警戒レベルを上げた。そしてペンギンアップデートが行われ、リンクをスパムしているとしてペナルティを受けてトラフィックを失う人々、もしくは、壊滅させられたリンクスパムからメリットを受けられずにトラフィックを失う人々が増えていった。
このような出来事が続き、劣悪なリンクをサイトに向けるとサイトに害をもたらす可能性があることを、人々は考えるようになった。しかし、以前も申し上げた通り、「ネガティブSEO」は新しい問題ではない。ネガティブSEOは、数年前から存在している。それにも関わらず、大きな問題とは見られてこなかったのだ。
サイトが別のサイトを攻撃するのは難しいとグーグルは述べている。同社の言い分は正しいように思える。とりわけ、質の低いリンクをレベルの高いサイトに向けても、その他の優れたシグナルが抑え込もうとすると見られているためだ。善が悪に勝るのだ。
カッツ氏は、ネガティブSEOは稀であり、成功させるのは難しいと強調しており、「 グーグルは他の人に害を与えることが出来ないようにするため、とてつもない量の取り組みを行ってきた」と述べている。
また、同氏は、以前グーグルが述べたことを再び強調した。今年の早い段階でグーグルからパブリッシャーに送られた70万本のメッセージ(日本語)の多くは、質の低いリンクネットワークについてではなく、また、同日に全て送られてきたわけでもない。実際には、多くのサイトが、グーグルのスタッフおよびアルゴリズムによるペナルティを受けていたものの、明かされていなかったのだ。つまり、グーグルはこの情報を明らかにする決断(日本語)を最近下したことになる。
新たなメッセージが送信されている。ダン・ティース氏もその一人だ。ティース氏のサイトは、ネガティブSEOがうまくいくことを証明しようとする一部の人達から標的にされていた。ティース氏は、その後、不自然なリンクに関する警告を受信したのであった。また、同氏は一部のランキングを失っていた。これはネガティブSEOが実際に効き目があることを証明しているのだろうか?
ティース氏は、ランキングを失った原因は自ら加えた変更による可能性が高いと語っていた。同氏はホームページに向かうリンクを全てのページから削除したようだ。これらのリンクを再び掲載した後、ランキングを取り戻したと私に打ち明けている。
全体のトラフィックは悪化していないようだ。これはネガティブSEOが潜在的な脅威であると言う懸念に反している。なぜなら、ネガティブSEOキャンペーンが功を奏し、ティース氏のサイトをペンギンアップデートの餌食にしていたとしたら、同氏のサイトのトラフィックは大幅に減少していたはずである。
それでは、リンクの警告についてはどうだろうか?ティース氏は、ネガティブSEOの試みが原因だと考えている。これは恐ろしい。また、ティース氏は、再審査リクエストを3通提出したものの、全て“スパムは見当たらない”と言うメッセージ付きで返ってきたとも述べている。 ペナルティに関連する警告以外の警告を受けたのだろうか?
私はカッツ氏にこの件について質問してみたが、ティース氏の件へのコメントは拒否された。しかし、リンクの警告はランキングの落下の前に行われるとカッツ氏は指摘していた。サイトが問題箇所を修正し、すぐに再審査リクエストを提出すれば、ランキングの落下を食い止めることが出来る可能性はある。
ネガティブSEOに関する議論は今後も行われるだろう。一部の人達が、全てのサイトにとって大きな問題だと確信しているためだ。この件について、私はSEOブックの議論に参加している。是非、目を通してもらいたい。
今まで以上にリンクの値段が安くなっているため、懸念が存在するのは容易に理解できる。ティース氏のサイト、もしくは、1日でサイトに2万4000万本のリンクが向けられ、警告を受けたこの人物のサイトに起きた出来事は、気掛かりである。
この人物に対する警告は、ペンギンによってランキングを落とした後に行われたようだ。そのため、ネガティブSEOのリンクが実際にランクの落下をもたらしたのだろうか、それとも他の何かが黒幕なのだろうか? 実際のサイトを見ることが出来ないので、何とも言い難い。
ペンギンによってトラフィックが減った一部のサイトが、ペンギンのペナルティ以外の原因でトラフィックを落とした可能性がある点が、この問題をさらに複雑にしている。グーグルは、ランキングを操作する試みの一部と見なすと、リンクのクレジットの譲渡を停止する可能性がある。このような人為的なリンクに大幅に依存している場合、ペナルティを受けたからではなく、リンクのクレジットが認められなくなるだけで大きくトラフィックを落とすことがある。
自分のサイトへ向かうリンクを“否定”したいと堂々と願望を発表している人が大勢いる。 私はこの機能に関する質問を投げかけたが、グーグルは、現時点ではこのような機能を追加するかどうかに関しては沈黙を貫いている。いずれにせよ、ペンギンによるペナルティを受けているなら、私ならこの機能が提供されるまで待つようなことはしない。出来るだけ自力でスパムを一掃するべきである。
SEOブックの討論によって、一つの優れた考え方が提示された。それは、グーグルがサイトに向かう質の低いリンクに対してペナルティを与えているわけではないと言う点である。リンクを無視し、クレジットの譲渡を阻止しているものの、サイトにペナルティを与えてはないのだ。個人的には、この考え方はネガティブSEOの懸念を鎮静化する上で大いに役立つと思う。
また、私の経験上、ネガティブSEOは、ペンギンの影響を受けた人達の多くが懸念を抱く対象ではないことを再び強調しておこう。競合者に陥れられたのではなく、積極的にスパムに関わっていたためにターゲットにされた可能性が高い。
2週間前に投稿し、ペンギンへの対処に関するアドバイス – 今も有効 – を掲載した「Googleのペンギンアップデートから回復するためのアドバイス」(日本語)を参考にしてもらいたい。ペンギンのペナルティを受けたことが確実なら(トラフィックが4月24日に大幅に減ったため)、次の取り組みを行おう:
ところで、リンクが密かに挿入されているワードプレスのプラグインのリストがたった今投稿されたようだ。リストに載っているプラグインを利用しているなら、それがペナルティの原因になっていた可能性がある。
繰り返すが、サイトを詳しく調べてもらいたい。私がサイトをチェックすると、信じられないぐらい簡単にサイトが加担している劣悪なリンクネットワークを見つけることが出来る。だからと言って、ペンギンをうまくかわしたスパムが存在しないわけではない。ただし、ペンギンの影響を受けてしまったなら、つかまらなかったスパムサイトを挙げて不満を漏らすだけでは、何の解決にもならない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Two Weeks In, Google Talks Penguin Update, Ways To Recover & Negative SEO」を翻訳した内容です。
マット・カッツ自ら「完璧なアルゴリズムは存在しない」と言い切っているように、誰をも満足させる検索結果はありえないと思いますが、Googleの検索アルゴリズムが着実に一歩一歩進化は遂げているのは間違いないと感じます。ここまで独占的なシェアを得ると、自身で進化を遂げること自体がチャレンジングになるのではと思ってしまいますが(かつてのWindowsデスクトップ検索しかり・・Microsoftがデスクトップ検索に真面目に取り組んでいればここまでGoogleにシェアを取られることもなかったかも?)、「検索」を全ての基盤に置くGoogleだけに絶え間ない進化には感心してしまいます。SEO業者としては辛い面もあるのですが。。。汗
同時にパンダやペンギンでリンク中心のSEOは終わった、これからはコンテンツマーケティングだソーシャルだ、という話もありますが、Googleで「SEO」の検索結果1ページ目を見る限り、「なんだかんだいってやっぱりリンクじゃん」と良くも悪くも思ってしまうのも事実なんですけどね。ただ日本語と英語の結果を比較すると、英語の方はコンテンツをより重視している感もありますし、この辺はまだまだGoogleの日本語解析力に課題あり、言い換えればトリック重視のSEO業者にもまだまだ勝機あり、といったところなのかもしれません。時間の問題とは思いますが、コンプガチャじゃないですけど儲けられる時に儲けようという会社も多い世知辛い世の中です。 — SEO Japan
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