CASE
事例
今回紹介するのは、栃木県を中心に地域に根ざした企業を掲載する求人サイトBecalの事例です。
サイトを運営するのは株式会社新朝プレス様。
認知度の高い有料のタウン誌を発行しており、タウン誌のサービスと連携して「地方に素敵な会社があるということを伝える」ために求人サイトの運営を行っていました。
サイトへの流入数や掲載企業への応募数が少ないなどの課題がありましたが、弊社がご支援させていただいたプロジェクトを通じて地域サイトとして大きな成果を上げることができました。
※通常、CV率はセッションを分母といたしますが、新潮プレス様のご意向により当プロジェクトではPVを分母としています。
改善の結果、コンバージョン意欲の高いキーワードで1ページ目に表示され、流入数の増加とニーズの高いユーザーの集客が可能に。そして、コンバージョン数も倍以上となる成果を達成されました。
地域専門の求人サイトがユーザーをサイトに集めて掲載企業に応募してもらうには、豊富な掲載企業数やコンテンツをもつ、大手求人サイトとは違う戦略が必要になります。
そこで今回は、ニッチャー戦略で集客増を成功させた地域専門の求人サイトの事例を紹介します。
ポイントはSEO及びコンバージョン改善、そして改善方針となる戦略の立て方でした。
求人サイト新朝プレス様の施策前の課題は「サイトへのユーザーの流入数が少ないこと」でした。
流入するユーザーが少ないということは、企業に応募する可能性のある求職者が少ないことを意味します。
求人サイトの目的は、企業と人をつなぐことですが、その求人サイトに「情報を求める人」が充分に集まっていなければ目的を達成することは困難です。
ヒヤリング時、新朝プレス様ではターゲットキーワードを「Iターン転職」や「Uターン転職」と決めていらっしゃいました。
しかし、
などのお悩みをお持ちでした。
そこで、まずは「新朝プレス様がそもそも伝えるべきことは何か」「新朝プレス様の魅力は何か」などの根幹部分から情報を整理し、基礎的な戦略を固めたうえで、ターゲットの更なる明確化や競合の分析を行うことにしました。
弊社が行った施策内容の一つ目がコミュニケーションのコンセプト策定と、策定したコンセプトの伝え方の決定です。
コミュニケーションコンセプトとは、4つの要素を加味した上でターゲットに伝えたい核となるメッセージであり、「このメッセージがターゲットに的確に伝えられれば、コンバージョン率の改善に大きく寄与する」というものです。
実施方法は、以下の4つの要素におけるインサイトをそれぞれ分析し、少し今より先を見据えた形でユーザーに刺さる、また対話できるポイントを探ります。
強みとは言い換えれば、魅力です。
新朝プレス様の魅力を明確にすることではじめて、「ユーザーに何を訴求すべきか」、「ユーザーに対してどのようにコミュニケーションをとるのか(Webサイトでいえばサイトデザインなどで、どのように情報を見せるのか)」を決めることができます。
今回の事例では、ヒアリングした内容をもとに弊社からご提案し、新朝プレス様と協議の上、以下の3点を設定いたしました。
強みや魅力は事業や会社が異なれば、その内容も大きく変わります。
WebサイトのSEOやコンバージョン改善のために、競合や他社の成功事例にあった施策をそのまま利用しても成果が出ないのは、各企業で魅力が異なるためです。魅力や強みの内容次第でユーザーとの適切なコミュニケーション方法が変わります。
魅力を明確にした後は「2.ユーザーのニーズ」を分析します。
コンバージョンを改善させるには、ユーザーが求める情報を提供することが重要です。
そのポイントは「ユーザーの心理に何が起きているかを特定すること」です。
ユーザーの背景・心理を理解するための要素として、以下の3つにまつわる調査データを収集し、仮説とデータによる検証からインサイトを抽出します。
今回の例では以下のような考察が得られました。
なぜUターンをしたいのか、Uターン転職の不安、Uターン転職で希望する最低年収などをアンケートや調査で得たデータをもとに分析することで、ユーザーの心理や背景を知ることができ、ユーザーのニーズが明確になります。
こうしたユーザーの心理を理解することは、コミュニケーションをとる相手の解像度が上がるため、さまざまな施策への応用が可能です。
しかし、相手の心理が見えてきただけでは、その先の展望は見えません。
次にユーザーの環境をとりまく「3.社会・文化の展望」を調査・分析します。
ここではユーザーの心理からもっと抽象度を上げたテーマ「働く」を軸とし、キャリアや生活、仕事にまつわる俯瞰的なデータを分析していきます。
具体的に今回の例では、以下のような考察が得られました。
※2019年6月時点での調査内容です。
先のユーザー心理と上記のデータをあわせて見ることで、転職市場における人の動きが見えてきます。
心理背景、環境背景の次は「4.競合との差別化」を検討します。
「自社と似た事業、ポジションをもつサイトや企業はどういったメッセージでユーザーに訴求しているのか」を問いに据えた分析・調査です。
競合の中でも、より自社と近いカテゴリに属する会社を分析し、差別化できるポイントやユーザーに訴求するべきポイントを洗い出します。
1~3の調査を踏まえて競合調査を行うことで、市場におけるポジショニングやユーザーに響くメッセージが見えてきます。
今回の場合、大手や地域専門の求人サイトのメインコピーやコンテンツなどを分析した結果、求人サイトは以下の3つの要素で訴求していると判断しました。
4の分析結果と、転職のモチベーションに「現状からの脱却」「ストレスフリー」が重要なことから、ユーザーに響くメッセージは「安心」と「不安払しょく」がカギと考えられます。
また、分析からU/Jターンを後押しするような郷土愛に寄り添ったメッセージを打ち出している求人サイトがないとわかりました。
ユーザーに響くメッセージに「安心」と「不安払しょく」の要素が必要なこと、郷土愛に寄り添った求人サイトがないことから、地域企業とのつながりが強い新朝プレス様の独自の立ち位置が見えてきます。
そして、自社の強み、ユーザーのニーズ、社会・文化の展望、競合との差別化のポイントをおさえたコンセプトの案を弊社からご提供。
新朝プレス様の中で協議いただいた結果、コミュニケーションコンセプトは「あなたが好きになる仕事がきっとある」に設定しました。
この過程を経てプロジェクトに関わる方々のイメージが統合されていくことも、コンセプトを作成するメリットのひとつ。
弊社からの客観的なデータ・洞察・アイデアを元に、改めて自社のサービス内容、ターゲット、市場の概況について語り合うことで、関係者の頭の中でマーケティングの方針がクリアになっていきます。
自社の魅力を明確にして、かつユーザーや競合の分析でコミュニケーションコンセプトを決めたら、いよいよサイトの構造設計を見直します。
サイトの構造設計において重要なことは、Googleアナリティクスやヒートマップツールを用いて、既存のサイトのどこに課題があるのかを抽出して定義することです。
どのページからユーザーはサイトに訪れているのか、どのページでユーザーがつまづいているのか(離脱しているのか)を明確にすると、よりユーザーが訪れるページの作成や、ユーザーがより満足するページの作成が可能になります。
自社の魅力や競合の分析などからコミュニケーションコンセプトを設定し、既存のサイト課題点を整理した後は、具体的なサイト構造の改善です。
サイト構造を改善する際に、見直すポイントとしては、以下が挙げられます。
デザインやコンテンツの一つひとつに、「コミュニケーションコンセプトとズレがないか」「ユーザーが使いやすいか」「モチベーションをあげることができているか」などを考えなければなりません。
課題の定義や改善案の提出にあたり、ユーザーや競合の調査、キーワードの検索意図の調査など、コミュニケーションコンセプトを策定する際に行った調査も含めた材料を出し尽くたうえで、新朝プレス様と協議を行いました。
協議を終えた後は、制作を担当する会社の選定と依頼の実行です。
選定した会社からリニューアルのデザイン案を頂いたうえで、弊社のSEOとCROの知見を用いた添削を行い、課題がある点についてはその理由や代替案を出して実装していただきました。
上記のような施策と合わせて、クローラビリティ(※)の改善を行うことで、ユーザーだけでなく、検索エンジンの認識も促進できます。
※クローラビリティとは、データベースに情報を登録する機能を持つ「クローラー」がWebページを巡回しやすい状態か、を指す回遊性のこと。
新朝プレス様では、主に内部リンク構造の最適化による施策を実施。
クローラビリティの改善は
などの利点があり、SEO施策として欠かせないものです。
ここまでの過程を経て、サイトリニューアルから1年後に新朝プレス様で得られた主な結果は以下の2つです。
他にもPV数が136%増になったことも大きな結果ですが、この結果に関しては数字が増えたことよりも、サイトに訪れたユーザーの質が向上したことが大きいでしょう。
ターゲットであるユーザーにリーチできるキーワードでコンテンツをつくり上位表示させたことにより、リニューアル前よりもコンバージョンする可能性の高いユーザーがサイトに増える結果となりました。
以上のような結果を出せたポイントは、以下の3点です。
調査・分析によってわかったことをもとにコミュニケーションコンセプトを設計することで、サイトのデザイン、コンテンツ、情報設計において一貫性が生まれ、伝えたいメッセージをニーズのあるユーザーに届けることが可能になりました。
また、今回の事例を通じて、求人量では大手のサイトに分があっても、魅力にもとづいて表現・設計したサイトは検索エンジンにしっかりと評価されることがわかりました。
今回の新朝プレス様の事例からわかる重要なポイントは以下の2つです。
以前のように、キーワードを散りばめた記事を大量に放出することで上位表示を狙い、ユーザーの流入数を増やす手法はほとんど通用しません。Googleの検索エンジンの精度の向上や、コンテンツを見るユーザーの目が厳しくなったからです。
とはいえ、資金力があってふんだんにお金をかけられる大手だけが上位を独占するわけではありません。
ニッチな分野や業種であっても、自社の魅力の明確化、徹底した調査によるユーザーや競合の分析、それらを踏まえたコミュニケーションコンセプトの策定とサイトへの反映ができれば、検索エンジンの評価やユーザーの流入数、そしてコンバージョン率を改善できます。
しかし、徹底した調査・分析によるコミュニケーションコンセプトの策定や、策定したコミュニケーションコンセプトをどのようにサイトへ反映するかを判断することは簡単ではありません。
効果的な施策を行うためには、専門家の力を借りるのも一つの手でしょう。
アイオイクスでは、サイトの目的を明確化し、SEO及びCRO(コンバージョン改善)施策を通じて、貴社の売上改善を支援いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
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