ソーシャルメディアを使って米国の自動車産業を支援する方法

公開日:2010/05/19

最終更新日:2024/03/21

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今日からフォード・モータースのソーシャルメディアマーケッター、スコット・モンティのブログ記事を紹介していきたいと思います。スコット・モンティ氏は、フォードのソーシャルメディア戦略の担当者で、Social Media Marketing Blogと言う人気ブログも運営しています。フォード・モータースは大企業がソーシャルメディアを最も積極的に活用している1社と言え、その総責任者がスコット氏です。SEO Japanでは主にスコット氏がフォードで行っている活動を記事にした内容を紹介していきたいと思います。まずは2008年の11月に書かれた記事ですが、スコット氏がフォード・モータースの仕事をするようになった背景や当時の状況が細かく説明されており、今後配信予定の記事を理解する上でも参考になると思います。 — SEO Japan

本当に大変な一週間だった。自動車業界に詳しくない人のために分かりやすく説明しよう。まさに修羅場だったのだ。

本当に共有する価値がある場合を除き、私は仕事の話はしないことにしている。そのため、共有する価値があると思ったときは、好きなことを言わせてもらう。皆さんと分かち合いたい重要な情報を私は持っているのだ。

今週、私はずっとツイッターで、そして、出来る限りブログのエントリで人々と直接交流してきた。しかし、L.A オートショーに参加していたため、思ったよりも会話に参加することは出来なかった。

そして、フォードでの私たちのソーシャルメディアへの取り組みが始まろうとしている。GMの私の同僚は相当強力なチームを擁しているが、私はたった一人で自分の出来る取り組みを行っている。フォードはソーシャルメディアの分野において強固な公のプラットフォームを持っていないため、個人レベルの交流が主流となる。そして、週の大半が、水鉄砲で山火事の消火活動に当たるような状態であった。

そこで私は自分の知識そして意見をブログで共有することに決め、そして、出来るならば皆さんの協力を得て、失速する米国の自動車産業に手を差し伸べることにした。基本的には業界全体を支援しているものの、私の見解は必然的にフォードに偏っている。なぜなら、最も詳しいのがフォードであり、忠誠を尽くしているのもフォードだからだ。それでは、順を追って説明していこう。

2008年 春

私はフォードで面接を受けた。素晴らしい経験をさせてもらった。当時、フォードは第一四半期の収益を発表したばかりであった。久しぶりの黒字であり、アラン・ムラリーCEOが掲げる2009年までにフォードを黒字にする計画が順調に進んでいた。採用プロセスの一環として、イノベーション、そして、ワクワクするような製品開発の現場を目の当たりにしたことも、私がこの仕事を引き受けた理由の一つである。[余談: ボストンからデトロイトに引っ越しするほどの衝撃であった – 私はデトロイトに良い印象を持っていない東海岸のエリート気取りだったのだ。しかし、教訓を得て、このエリート志向を克服した。]

しかし、現在、私たちは大きく異なる状況に身を置いている。燃料費は急激に上昇し、一次産品のマーケットが倍増し、不動産が危機を迎え、金融市場は枯渇している。これらすべてが自動車産業にネガティブな影響を与え、しかも、四半期内で発生したのだ。その結果、思いもよらない急激且つ強烈な不振が自動車産業を襲った。

私個人は、この業界や経済が失速するとは思っていなかった。しかし、私はフォードの将来、そして、消費者が望み、価値を見出すような素晴らしい自動車を作ろうとする同社の取り組みに関しては、今でも楽観視している。

問題は、私たちの主張がまだすべて(そして公平に)語られていないことだ。フォードは毎日のようにメディア、連邦議会、そして、オンラインのありとあらゆる場所で袋だだきに遭っている。私たちは現金を死に物狂いで求めているわけでもお先真っ暗のシナリオで一般市民を脅かそうとしているわけでもない。私たちが伝えたいのは、既に改革が進行していること、そして、つまり成功への階段を登り始めていることだ。

ここでの私の目標は、連邦倒産法第11章の届け出について意義深い議論を交わすことではなく(もしくは連邦倒産法第7章の整理の可能性について)、供給と需要経済について討論することでもなく、広報の失敗をこきおろすことでも、この悲劇における無数の関係者の誰かに責任を負わせることでもない。

皆さんにこのエントリを読み進めてもらい、これから提供する情報を役立ててもらえると嬉しい。最終的には、決断しなければならないのだ。しかし、感情的になり、よく考えずにデトロイトおよびワシントンで起きていることに反応するのではなく、あくまでも情報を得た上で結論を出してもらいたい。

そして、コンテンツを読んで、見て、聞く以外にも以下のことをしてもらえるとありがたい:

近い将来、外に出て、地元のフィード | リンカーン | マーキュリーのディーラーを訪問してもらいたい。そして新車に試乗し、ご自分の目で確かめてもらいたい。まさにDrive One(ドライブ・ワン)を実感することが出来るはずだ。

フォードの進歩

それではフォードに関するあまり知られていない幾つかの事実を紹介していこう。その多くは、ドライブ・ワン キャンペーン: Drive Safe. Drive Green. Drive Quality. Drive Smart(安全運転、エコ志向の運転、質の高い運転、賢く運転)に関連している。このようにフォードはすべての分野で進歩を遂げているのだ。

    • フォードのアラン・ムラリーCEOはまだこの職について2年しか経過していない。同氏はボーイングから抜擢された優秀な人物で、とても評判が良い(そして、とても感じがいい)。現在進行中の変革の多くを実現することが同氏にとってのONE Ford – 真のグローバル企業 – のビジョンである。
    • フォードの自動車の比率は約70%がトラック& SUVであった(ガソリンが安い頃の需要に応えて)。しかし、この比率を変え、60%を乗用車&クロスオーバーにした。
    • 私たちは、トラック & SUVの複数の工場に柔軟な製造機能を加えて、乗用車の工場に改造した。つまり、乗用車からトラック、もしくは再びトラックから乗用車の製造に変更する場合でも、数ヶ月ではなく、数時間あれば製造準備を整えることが出来るのだ。
    • フォードは成功を収めている欧州&南アメリカの工場のモデルを採用し、より多くの良質な小型車を米国にもたらしている。
    • フォードは、製造するすべての車において、燃費を節約する傾向が見られる中、クラス最高、もしくはクラス最高の1社になると言う決意を固めた。
    • 私たちは市販するハイブリッド車の数を倍に増やした。この中には世界で最も燃費が低いSUVのフォード・エスケープ・ハイブリッド、そして、トヨタのカムリハイブリッドを少なくとも6マイルは上回るフォード・フュージョン・ハイブリッドも含まれる。
    • フォードはエコ-ブーストエンジンを導入している。このエンジンはフォードの大半の車に搭載されることになり、燃費の効率を最大で20%まで引き上げ、同時にCO2の排出量を15%削減する。
    • フォードの自動車にはプレミアム・ガソリンを必要とする車種はない。
    • 私たちは積極的にプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、バッテリー駆動の電気自動車(BEV)、水素、圧縮天然ガス等を試している。フォードは、消費者に手が届く範囲内の価格で製造することが確実に出来るまでは新しい製品をリリースしない。

フォードは多くの人々のために手ごろな低燃費の自動車を提供する。

    • 私たちは様々なビジネスの局面で環境に優しい取り組みを行っている。フォードが製造する車両に限らず、製造前後の効果も含まれている。例えば:
  • フォードはシートのクッションの素材に大豆を利用している
  • 石油ベースの製造部品を植物ベースのポリオールに切り替えている(その結果二酸化炭素排出量を削減)
  • 本社では午後6:に照明が落とされ、それ以降電力が必要な場合は電話をかけ、システムに必要な時間を伝えなければならない
  • 私はデニムからリサイクルされたフォードの鉛筆を利用している
  • フォードのローグの工場は世界最大のグリーンルーフを持つ
  • フォードの英国のダゲナムにある工場は風力で稼働している
  • スペインの工場にはソーラーパネルが装備されている

フォードの現在のシステム開発の詳細を知りたい人は、フォード・デジタル・スニペッツで確認し、RSSを購読しよう。また、ツイッターで@FordDriveOneをフォローする手もある。

日常的にフォードで行われている優れた開発の話はこれで切り上げ、私が懸念を抱いている別の分野に話を移そう。この一連の騒動の中、私たちはあらゆる面で払ってきた犠牲について忘れがちである:

    • 全米自動車組合(UAW) – 多くの組織に嫌われている – は譲歩し、現経営陣との協力関係の継続を望んだ。そのため、私の見た限り、フォード VS UAWの構図はなくなった。
    • 2008年の年明け、フォードは従業員を15%削減(事務職および肉体労働者)し、さらに10%を2009年1月に削減する計画を立てている。
    • 誰一人 – 誰一人 – 2008年にボーナスを貰うことはなく、2009年に給与が上がることもない。
    • フォードのビル・フォード会長は、2005年から給与を貰っていない。また、黒字に転換するまで貰わないと宣言している。
    • アップデート: さらに、ビル・フォード会長はフォードが配当の提供を停止して以来、一度も配当を受け取っていない。また、受け取ったボーナスはすべて慈善団体に寄付してきた(大学進学希望の高校生を対象としたフォード奨学金が受け皿)。

ほぼすべての経営陣に会ってきた経験から言わせてもらうと、彼らは一生懸命働いており、フォード、顧客、そして、すべての従業員の幸せを心から願う、立派な人達だ。人を見る目については自信がある。また、このチームおよび経営陣に少しでも疑いを感じたら、ここまでフォードに忠誠を誓うことは出来ないだろう。

最後に、我が国が米国の自動車産業を支えている点を理解していもらいたい。困難な時期、自動車産業は米国を支えてきた。第二次世界大戦では、自動車工場は飛行機および船を製造する施設として活躍し、自動車の製造は後回しにしていた。9/11の直後、すべての自動車メーカーは不況を乗り切るため、米国市民に0%の融資を申し出た。

現在、この国は自動車業界に何をしてくれているのだろうか?

支援の手を差し伸べるには

以下に、私たち全員が結束することが可能な提案を幾つか挙げていく。他にも案があるなら、コメント欄で紹介してもらいたい。

1. 発見したことを共有する
私はデリシャスで米国の自動車産業のページを作成した。もし、支援もしくは自動車業界に関する記事、動画、オーディオファイル等を見つけたら、デリシャスのアカウントで「for:US_Auto_Industry」とタグをづけてもらいたい。タグをつけてもらったコンテンツは、私がリストに加える。

それと、このエントリをディグ/スタンブルアポン等に投稿してもらえるとありがたい。

2. 積極的に動く
GMの仲間はフェイスブックのコーズ「米国の自動車産業を支援することで、米国の経済を支える」を依頼した。このコーズをフェイスブックのプロフィールに加えると、他の人達にも参加を呼び掛けることが出来るようになる。既に6,500名のメンバーが登録しているが、まだまだ足りない。

3. 自分で学習する
上述したように、自動車産業とその影響の複雑な状況に関する知識や理解が大幅に欠けている。私自身も知らないことはある。しかし、誤解を解く記事を読みたいなら、まずは以下のエントリに目を通してもらいたい:

デリシャスのUS自動車産業ページには他にも記事が掲載されている。

4. 運転してみる。
前にも申し上げたように、私の意見を理解するためには、実際にフォードの車を運転するのが一番だ。最近フォードの車に乗っていないなら、脱帽するのではないだろうか。

ドライブ・ワンのサイトを訪問し、ウェビソードに目を通してもらいたい。そして、共有し、エンベッドし、フォードがイノベーションを起こしている点を周りに人々に伝えてもらいたい。

5. この動画を見て、共有する
以下の動画は映画「スミス都へ行く」の実生活バージョンと言えるだろう。ぜひ、皆さんに見てもらいたい。


以下にマックコッター議員の開会の挨拶の記録を掲載する。ここで直接ダウンロードすることも出来る。

マックコッター議員の冒頭の発言

最後に時間を割き、この若干な長いエントリを読んでくれた皆さんの心意気に感謝したい。ご覧の通り、私は情熱を持ってこのエントリを作成した。皆さんにもその役割を果たしてもらえるとうれしい。

アップデート: このエントリを投稿してから、総合的な情報を掲載したウェブサイトを作った。それがザ・フォード・ストーリーだ。目を通し、周りの人たちに紹介してもらえるとありがたい。

写真: detroitderek


この記事は、Social Media Marketing Blogに掲載された「How You Can Use Social Media to Help the U.S. Auto Industry」を翻訳した内容です。

当時まさに米国の自動車メーカーが危機的状況だった時に書かれた記事ですね。当時の緊張感とスコット氏のやる気が感じられて、想いが伝わる記事になっていると思います。しかし1社員のコメントとは言え、この記事を読むだけでフォード・モータースに対するイメージって大分変わりました。。。もちろん良い意味で。彼の記事がフォード・モータースの全てを表しているわけではないことは当然理解していますが、人の顔が見え、その人が自分の意見を発することって大事なんだな、と改めて感じられた記事でした。

大企業は中小企業と比べて個人の意見を発信していくことは難しい環境にあるとは思うのですが、フォード・モータースのようなどちらかと言うと米国でもかなり保守的な企業がソーシャルメディアの担当者を雇って、さらに個人ブログを好きに書かせている(多少のルールはあるのでしょうが)と言うこと自体が驚きですよね。もちろんあそこまで危機的状況に陥ったからこそ、やれているのかもしれませんが。。。今後の記事にご期待ください! — SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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