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グーグルがコンテンツファームを堂々と話題に挙げるようになった頃、ディマンドメディアのリチャード・ローゼンブラットCEOは、同社のサイトをコンテンツファームと呼ぶことに嫌悪感を示し、同サイトの質、そして、そのための手入れを強調していた。当然だが、コンテンツファームのコンテンツを見ることに嫌気が差していた人達は、異なる見解を持っていることが多かった。
グーグルが今月の初めにパンダアップデートを世界展開した際、コアのパンダアルゴリズムに対するアプローチを調整し、ユーザーがブロックしたデータを導入した:
本日、グーグルはこの改善を世界中の英語を用いるユーザーに展開し、新たにユーザーフィードバックのシグナルを導入し、ユーザーがより質の高い検索結果を探すことが出来るようにしました。信頼度が高い一部の状況では、グーグルは、ユーザーがアルゴリズムに対してブロックしたサイトに関するデータを導入し始めました。さらに、この変更は質が低いウェブサイトの“ロングテール”にも深く入り込み、以前はアルゴリズムが評価することが出来なかった質の高い検索結果を返すようになりました。このような新しいシグナルのインパクトは初回の変更よりも範囲が狭く、米国のクエリの約2%が影響を受けました。これに対して初回の変更では12%近くの米国のクエリが影響を受けていました。- アミット・シングハル
ディマンドメディアのサイトの多くは初回のアップデートでダメージを被ったが、コンテンツファームが衰退することで、影響を受けなかった同分野で活動しているサイトのトラフィックが急激に増加する状況が生まれた(競合者の多くが失速したため)。アンサーバッグやリブストロング等のサイトが衰退する中、eHowのトラフィックは大幅に増加していた。グーグルはエンドユーザーがブロックしたデータに頼りたくなかったのだと私は思う。容易に競合者の飛躍を妨害することが出来るためだ。しかし、アップデートを介してeHowに打撃を与えるために、このデータを利用する必要があったのだろう。eHowは幾つかの特徴を持っていた(一部の古い質の高いコンテンツ、素晴らしいウェブデザイン、配信提携、多くのメディアでの露出)。このような特徴が原因で、ブロックに関するデータを利用しない場合、犠牲を出すことなく打撃を与えるのが難しかったのだ。
フォーブスドットコムは、ディマンドメディアのグーグル経由のトラフィックが40%減少したと予測したヒットワイズのデータに注目した:
1月の一週間目および二週間目で、グーグルからディマンドメディアを訪問したのは0.57%であった … 4月の中旬にパンダアップデートがすべて展開されると、ディマンドメディアは痛みを感じることになった。4月16日の時点で、グーグルのダウンストリームの0.34%にとどまり、2011年の年明けと比べると、40%減った。
ちなみにここ数週間でディマンドメディアの株価が約40%下落した。
その点を考慮して、eHowが狙われた理由を考えてみよう。その前にコンテンツファームの台頭と衰退を視覚的に表したインフォグラフとeHowに関するストーリーの1部に目を通しておこう。2部はこれから始まる。
結局、コンテンツファームがまともに宣伝を行っていたら、誰も気づかなかったし、気にもとめなかったのではないだろうか。ディマンドメディアが安物の使い捨ての答え制作工場として、ワイアードで特集されるまでは、“コンテンツファーム問題”が取り上げられることはほとんどなかった。
このエントリはジャーナリストを煽るだけでなく(リストラ、アウトソース、そして、テクノロジーの変化により仕事を失った人達)、オリジナルのコンテンツを作成し、その後eHowがリライトした作品に居場所を奪われた人達の逆鱗に触れたのであった。
このエントリ(eHowが大儲けしていると主張していたが、これはコンテンツの価値の下落の説明によっては、曖昧である)は、ディマンドメディアをIPOに向かわせること、そして、より多くのメディアの配信提携先を獲得することを目的としていた。
しかし、実際にはウェブコミュニティを怒らせ、そして、同業者を増やし、ディマンドメディアが明かした青写真を基にコンテンツファームが乱立したのだった。マーケティングが多くの人々の怒りを買い、同時に怒らなかった人達が直接競合するようになると、マージンが割れるため、マーケティングのアプローチとしては失敗と言えるだろう。
ジャーナリストがディマンドメディアの悪口を躊躇うことなく言えたのは、あまりにも賃金が低かったため、詳細なリサーチを行うことが出来なかったからだ(最低賃金を下回っても喜んで働くなら話は別だが)。そのため、eHowのビジネスモデルをジャーナリスト達が探り始めると、eHowのライター達に次のようなことを打ち明けさせたのだった:
「ゴミのような作品を書いていることは自覚している」とその人物は述べた。「家でジンを作る方法に関する私のアドバイスが誰にも読まれないことを祈っている。なぜなら自ら毒を盛っているようなものだからだ」と続けた。
そして、「eHowのアドバイスには絶対に耳を傾けるべきではない」と、自らの作品のほとんどが掲載されている、ディマンドメディアのトラフィックの多いウェブサイトの一つの名前を挙げていた。
スケールが大きければ大きいほど、自分の行動の問題点を見つけるのが容易になる。1%の大きな数字は、10%の小さな数字よりも大きい。手を抜いて、大きな規模で運営するなら、出来るだけ多くの敵を作り、あとは天に祈るのみである。運は後々必要になるからだ。
素通りすることが出来ないほど常軌を逸したタイトルがeHowには幾つか存在する。私の友達が幾つか教えてくれた。そして、5分間の検索で、次のようなコンテンツを私自身も見つけた:
鼻をほじる
お下劣系
生産性に関するアドバイス
礼儀を磨く & 礼儀作法を学ぶ
アドセンスのクリック詐欺
ディマンドメディアは、eNomと呼ばれる大手のドメインネームの登録機関を買収し、eHowを支えるリンクを掲載し、ドメインをeHowの奥深いページに301リダイレクトすることで、期限切れのドメインの一部を活用した。
大半のeHowのアウトバウンドリンクは、ジャバスクリプトでコーディングされており、ディマンドメディアのライターがコンテンツの基盤として使ったオリジナルのコンテンツのソースをグーグルが評価しないようにしていた。
リンクを放出すれば、仲間のウェブマスターからそれ相応の見返りを得ることが出来るが、ページランクのブラックホールを好むパブリッシャーはいない(所有している場合は別だが)。
eHowは浅はかなコンテンツを大量に生産するだけでなく、ディマンドメディアはeHowから集めたデータを使って、姉妹サイトを作り、自動的にページを作り、検索エンジンに自らの結果を供給していた。
ある行為に勤しみ、別のことを主張すると、ある程度時間を稼ぐことが出来るかもしれないが、その搾取的な方法がグーグルの競合者達に大きなマーケティングのヒントを与えてしまうと、寿命が残り少ない点を悟ることになるだろう。また、ワイアードのエントリが、メディアのディマンドメディアバッシングを呼び起こした結果、同じように若干対立している立場の人達を除き、四面楚歌の状態にディマンドメディアは陥った。
結局、ディマンドメディアを失墜させた大きな問題点は、ブランディングだったのである。
グーグルが間抜けに映る状況は何としても避けたいところだ。それがSEOで最も重要なルールである。
この記事は、SEO Bookに掲載された「Why Was Demand Media Torched by Google? Branding」を翻訳した内容です。
しかしトラフィックだけでなく株価までも40%下落するとは・・・。Googleの影響力の強さを改めて感じる出来事ですね。Googleに依存しすぎるウェブビジネスの怖さも感じますが、しかし内容を読んでいると「大手とはいえ、上場企業とはいえ、落とされてしかりかな。。。」と感じることも事実ですけどね。日本でもnanapiをはじめ頑張っているコンテンツサイトが成長しつつありますが、Demand Mediaの成功だけでなく失敗からも学ぶべき点は多くありそうです。って既に十分してると思いますけどね。 — SEO Japan
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