マーケティング用語のペルソナは、商品企画や各種施策での重要なキーワードです。日頃使っていてなんとなくは意味をわかっていても、実際にペルソナを設定したことはない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ペルソナの定義やターゲットとの違い、ペルソナのメリットや設定方法などを解説します。
目次
ペルソナ(persona)とは、本来は「仮面」「登場人物」などといった意味を持つ言葉です。マーケティングでは「商品の購入やサービスの利用などを行う架空のユーザー像』といった意味で使われます。
ペルソナの設定にあたっては、リアリティが非常に重要です。設定にあたっては、年齢・性別・居住地から始まり、年収・家族構成・ライフスタイル・趣味などまで決めていきます。なぜなら、詳細なペルソナ設定を行うと、具体的な施策を立てやすくなるためです。また、詳細なペルソナ設定をしておくと、関係者内で共通の認識を持ってユーザー像をイメージできるようになります。顧客の行動を分析するカスタマージャーニー作成のためにも、ペルソナ設定が必要です。
ペルソナとターゲットを混同している方も多いのではないでしょうか。どちらも、商品やサービスを利用するユーザー像という意味では同じです。しかし、ペルソナとターゲットではどれだけ深くユーザー像を設定していくかに違いがあります。
ここでは、BtoCでのターゲット・ペルソナを例として紹介します。
ターゲット設定では、年代と性別のように、ざっくりしたユーザー像を決めます。そのターゲットをリアルな人物像にまで落とし込んだものがペルソナです。
マーケティングにおいて、ペルソナ設定を行うメリットについても紹介します。代表的なメリットは次の3つです。
3つのメリットについて、それぞれの概要を見てみましょう。
ペルソナ設定では、ユーザーのニーズを商品やサービスに反映できることが大きなメリットです。
商品やサービスの開発にあたっては、企業側ではなく、ユーザーの視点に立ってニーズを考えなくてはなりません。企業の視点で見てしまうと、ユーザーにとって価値ある商品やサービスを提供するのが難しくなります。
ユーザー視点の精度を高めるために用いられているものがペルソナです。ペルソナは、現実に存在するリアルな人物をイメージして設定を行います。設定したペルソナのニーズを満たすような商品やサービスは、そのほかのユーザーにとっても有益である、というのが基本的な考え方です。そのため、なるべく具体的なペルソナ設定を行う必要があります。
商品やサービスに携わる関係者のあいだで認識を合わせられることも、ペルソナ設定によって期待できる大きなメリットです。年齢や性別のみ設定するターゲット設定では、幅が非常に広くなってしまうため、関係者のあいだに認識のズレが生じてしまう可能性があります。認識のズレが生じていると、無駄な作業につながりかねません。
事前に詳細なペルソナ設定をしておくと、認識のズレを防ぐために効果的です。開発や施策の検討段階で課題が生じても、詳細なペルソナ設定があると解決しやすくなるでしょう。そのため、現実に存在するような人物を思い描けるペルソナ設定が必要です。
時間やコストを削減できることも、ペルソナ設定を行うことによるメリットです。対象となるユーザーが絞り込めていないと、開発や施策の検討に時間がかかってしまいます。詳細なペルソナ設定があると、開発や施策での時間・コストの削減が可能です。
普段「なんとなくペルソナ設定をしている」という方も多いのではないでしょうか。効果的なペルソナ設定を行うために、方法とポイントを紹介します。
4つのステップにわけて、方法とポイントを見ていきましょう。
ペルソナ設定では、まずSTP分析を使ってターゲットを明確にします。STP分析とは市場を細分化して狙うべき市場を決める、マーケティングのフレームワークのひとつです。「マーケティングにおいては必要不可欠」といわれている、新規開拓や事業改善などで用いられています。
STPをそれぞれ分析することによって市場を細分化して、狙うべき市場を見定め、自社の立ち位置を決めます。
STP分析では、目的や事業内容などに合わせた顧客セグメントの作成が必要です。性別・年代・年収・悩みなど、顧客セグメントの項目が決まったら、注力するべきターゲットを選定しましょう。ターゲットを選定すると、ユーザーの属性が明確になるため、ペルソナの設定がスムーズになります。
ターゲットの選定を行ったら、ペルソナ設定に必要な情報を集めていきましょう。ペルソナ設定にあたっては次のような情報が使えます。
すでに自社を利用している顧客の購買データは、企業にとっては非常に重要な使える情報です。顧客に対して、興味を持ったきっかけや購入を決めた要因をアンケートでヒアリングする方法もあります。Webアクセス解析の結果も使える情報のひとつです。
さまざまな情報から、ユーザーがどのような過程を経て購入に至るのかを分析してみてください。
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情報を収集して分析したあとは、実際にペルソナ設定を行っていきます。開発担当者や企画担当者などがリアルなユーザー像をイメージしやすいように、できるだけ詳細なペルソナ設定を行ってください。ひとりではなく、関係者が複数人で議論をしながら設定していくと、ペルソナに対して共通の認識を持ちやすくなります。
ただしペルソナ設定では、「自社や担当者の希望」を反映させないよう注意が必要です。また、得られた情報から共通項を見つけるといったかたちでペルソナ設定を行うと、リアルな人物像から遠ざかるため、気をつける必要があります。ペルソナの設定で価値観や趣味まで掘り下げていくのは、ユーザーの視点に立って考えるためです。抱えている課題や情報収集の方法などの要素を盛り込んでいくと、行動パターンを予測しやすくなります。
また、Yahoo!知恵袋のような質問系のサイトもペルソナの具現化に役立てられますので、ペルソナ設定時にはチェックしてみましょう。
ペルソナは「一度設定したらそこで終わり」といった性質のものではありません。設定したものをずっと使い続けるのではなく、常に見直しを行って改善していく必要があります。なぜなら、ユーザーが置かれていく状況は常に変化していくものだからです。社会情勢が変わると、ユーザーのニーズも大きく変化していきます。「ニーズは常に変化していく」という前提を持ち、常にペルソナをブラッシュアップしていきましょう。
ペルソナ設定では気をつけておきたい注意点があります。とくに気をつけたいペルソナ設定での注意点が次の2つです。
失敗しないペルソナ設定のために注意点も解説しますので、内容をチェックしてみましょう。
ペルソナ設定では、自社や担当者などの希望を反映させないよう注意が必要です。商品やサービスのユーザーに対して、担当者が希望や思い込みを持ってしまうといったケースは少なくありません。しかしペルソナ設定で「こうあってほしい」といった希望・思い込み・先入観を入れてしまうと、リアルなユーザー像とは乖離してしまいます。
希望・思い込み・先入観が入り込まないようにするためには、データの収集と分析を徹底することが重要です。希望は反映させず、データを取り入れ、なるべく実際にアクション起こすユーザーに近いペルソナを設定しましょう。
どれだけイメージがしやすいペルソナを設定できるかも重要なポイントです。関係者全員が同じイメージのペルソナを思い描けるように、できるだけ平均的でリアルな人物を設定しましょう。リアルなペルソナ設定を行うにあたって使えるもののひとつが、人物写真です。フリー素材サイトにある人物写真を使うと、外見のイメージを共有できます。外見の情報まで共有しておくと関係者間で共通のペルソナをイメージしやすくなりますので、設定時には試してみましょう。
関係者が共通の認識を持って施策を展開していくために必要となるものがペルソナです。詳細なペルソナ設定によって、プロジェクトの方針も明確になります。ただし、ペルソナは設定後も常に改善を行っていかなくはなりません。マーケティングで期待する成果を出すためにも、ぜひペルソナ設定を取り入れていきましょう。
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