効果的なマーケティング活動を行うためには、現状分析が欠かせません。マーケティングにおける分析手法は、主に「定性分析」と「定量分析」の2種類に分けられます。本記事では、定性分析の代表的な手法やメリット・デメリットを解説します。定量分析との違いも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
定性分析とは、数値で表せないデータを取り扱う分析手法です。例を挙げると、商品・サービスを使用したユーザーの感想や行動など、質的なデータに基づいた分析を行います。このように数値としてはなかなか表れてこない、ユーザーのリアルな声を知れるのが定性分析の特徴です。
定性分析を使えば、ある行動の背景にあるユーザーの本音を導き出せます。たとえば、「その商品を選んだ理由」や「サービスを解約した理由」など、行動に紐づいたユーザーの心の動きを調査することが可能です。
定性分析は、さまざまなシーンで活用されています。Webサイト運営の場合、サイトの使いやすさやデザインなどについてアンケートを実施し、サイト改善に役立つ具体的な意見を募るといったケースが一般的な活用方法です。ユーザーのリアルな声を拾うことで、ユーザビリティの改善に役立ちます。
マーケティングにおける分析手法は、定性分析と定量分析の2種類に分けられます。定性分析が数値化できないデータを扱うのに対し、定量分析は数値化できるデータを扱うのが特徴です。以下で、定性的データと定量的データの一例をご紹介します。
【定性的データの例】
【定量的データの例】
また、定性的データを質的データ、定量的データを量的データと言い表す場合もあります。定性分析と定量分析はどちらが優れているというものではなく、両方の分析結果を活かすことが大切です。
定量分析とは?メリット・デメリットや代表的な5つの手法を紹介
定性分析は定量分析を組み合わせると、Webサイト改善に役立つデータを集めやすくなります。たとえば、以下のように定量分析と定性分析を適宜活用するのがおすすめです。
定性分析には、主に以下のようなメリットがあります。
各メリットについて詳しくみていきましょう。
定量分析を行うためには、ある程度まとまった量の数値データが必要となります。なぜなら、定量分析で信頼できる結果を得るためには、母数を確保する必要があるためです。
たとえば、サービスの顧客満足度を1~5の5段階で評価し、3名の回答者を用意したとします。その3名がたまたま全員「5」と答えたら、顧客満足度は5という結果になります。しかし、もし回答者を100名集めていたら、結果はまったく違う可能性が高いでしょう。これは、回答が少なすぎるとデータに偏りが生じるためです。
一方、定性分析はユーザー1人ひとりの本音を分析する手法なので、限られたデータ数でも問題なく分析できます。回答者が少人数でも、特定の行動の背景にある理由をヒアリングすれば、なんらかのヒントを得られるはずです。ただし、データ数があまりに少ないと、意見の偏りが生じる可能性があります。そのため、定性分析でもある程度のデータ量は必要ですが、定量分析よりは少ないデータで信頼できる結果を得られます。
定性分析では、「クリックした」「満足した」という結果だけでなく、その行動や評価の背景にあるユーザーの心理を読み解くことが可能です。マーケティングはユーザーの心を動かすためのものなので、数値データだけではわからないユーザーの背景や理由を知ることが非常に重要です。
定性分析では、ユーザーの行動の背景にある理由を把握できるので、より具体的な改善点を洗い出せます。たとえば、顧客満足度が「2」と出ただけでは、ユーザーが何に不満を持っているのかまではわかりません。一方、顧客満足度で「2」と回答したユーザーにその理由を質問すれば、何に不満があり、どう改善すればよいのかが見えてくるでしょう。
定性分析にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。
上記のデメリットについても確認していきましょう。
定量分析とは異なり、定性分析で得られるデータは厳密な評価基準がありません。
定量分析なら顧客満足度が「2」と出れば「低い」、「5」と出れば「高い」と、評価は明確ですが、定性分析ではこうはいきません。あるユーザーから同じ感想を聞いても、分析を担当する人によって捉え方が異なる場合があります。
定性分析では人の意見・感想などのデータを取り扱うため、分析結果が評価者の主観的な判断に偏るリスクがあります。たとえば、ある人は「この意見は見逃せない」と思っても、別のチームメイトは「とるに足らない意見」と感じるかもしれません。ユーザーと同様、評価者も感じ方は人それぞれ異なるため、チームで共通認識を持ちにくいというデメリットがあります。
ここからは、主にマーケティングに活用できる定性分析の代表的な手法を紹介します。
ユーザーに1対1でインタビューを行う手法です。商品やサービスに抱く印象や、使用感などをインタビューします。良い感想も悪い感想も、マーケティング施策を検討・改善するうえで大いに役立つでしょう。
複数のユーザーに対して、同時にインタビューを行う手法です。座談会のような形式を採用すれば、ユーザー同士の相互作用により、ユニークな意見やアイデアが飛び出す場合もあります。
専門家インタビュー
特定の分野における専門家やプロフェッショナルにインタビューする手法です。自社リソースにはない、専門的な知見を取り入れたいときに向いています。
定性分析の場合は、択一式ではなく自由回答式のアンケート調査を実施しましょう。たとえば、Webサイトの印象についてアンケートを行うとします。択一式の場合は「良い印象」「悪い印象」と回答した人がそれぞれ何人ずついるか、どちらが多いのかといった情報しかわかりません。
一方、自由回答式なら、なぜ良い印象を持ったのか、なぜ悪い印象を持ったのかといった理由を深掘りできます。
インターネットの口コミサイトやSNSなどを活用し、すでにある情報からデータを収集する手法です。サービス名や商品名などで検索して、ユーザーの投稿を調査します。
インタビューやアンケートでは、主催者やほかの回答者に気を使って回答が変化してしまう可能性も考えられますが、口コミサイトやSNSならユーザーのよりリアルな本音を理解できるでしょう。
ヒートマップとは、ユーザーがサイト上のどこをクリックして、どこを熟読したのかといった情報を、サーモグラフィーのようなビジュアルイメージで視覚的に表現したマップのことです。
ヒートマップを作成すると、サイト訪問者の動きを視覚的に把握できます。ヒートマップを活用し、本来あまりユーザーの目につくものではないボタンに視線が集まっている場合、サイトのUIがわかりにくくなってしまっている可能性があります。
ユーザーが実際に商品やサービスを使っている様子を観察したり、感想を聞いたりする手法です。Webサイトなら、実際にサイトを閲覧したり、ボタンをクリックしたりしてもらうとよいでしょう。UIの使い心地や、想定している動線でユーザーが操作できているか、といったポイントを調査できます。
最後に、定性分析を行う場合に注意したいポイントを解説します。
定性分析は、評価者によって結果に差が生じる場合があります。評価基準をできるだけ明確化し、評価者によるバラツキが生じないよう注意しましょう。
定性分析によって得られるデータは、調査側が求めるものだけとは限りません。たとえば、異なるユーザーから真反対の意見得られることもあり、どう分析すべきか困惑してしまう場合もあるでしょう。どちらのデータもユーザーの素直な感想なので、どちらかに偏ることなく、多面的に分析することが大切です。
定性分析に役立つフレームワークを積極的に活用しましょう。フレームワークに従うことで主観を排除し、客観的な分析ができるようになります。
PEST分析
次の4つの頭文字をとったフレームワークです。
自社のコントロール外にある外的要因が、自社にどのような影響をもたらすかを分析できます。
ファイブフォース分析
次の5つの競争要因から、業界全体を多面的に分析するフレームワークです。
自社の強みや特徴、市場でのポジションなどを把握したい場合に役立ちます。
定性分析は、数値としては表れない、ユーザーの行動の背景にある理由や価値観を分析する手法です。数値データと組み合わせることで、具体的な改善策を洗い出せます。定性分析にはいくつかの手法があるので、調査の目的に合わせて選択し、マーケティング施策に役立てましょう。
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