マーケティング活動では、調査・分析に時間をかけることが大切です。マーケティングにおける分析手法は、主に「定量分析」と「定性分析」の2種類に分けられます。本記事では、定量分析のメリット・デメリットや代表的な手法を解説します。定性分析との違いも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
定量分析とは、数値化したデータを用いた分析手法のことです。たとえば、売上高やCV率、クリック数など、数字で表せるデータのことを指します。
マーケティングにおける分析手法は、主に「定量分析」と「定性分析」の2種類に分けられます。
定量分析は数値化したデータを扱うのに対し、定性分析は数字で表現できないデータを扱う分析手法です。たとえば、ユーザーが商品を購入した理由や、その行動の背景にある価値観などは、数値としては表れないため定性分析で扱うデータになります。以下にて定量分析と定性分析で扱うデータの例を紹介します。
例:「Webサイトのデザインに対するユーザーの感想」を調査する場合
定量分析 | 「1.良い」「2.あまり良くない」「3.普通」「4.良い」「5.非常に良い」といった選択式で回答してもらう |
定性分析 | 印象や感想を自由に記入してもらう。 「他にはないクールなデザインで印象に残った」「淡い色で可愛らしいけど、文字が見えにくい」など |
また、定量分析で扱うデータを「量的データ」、定性分析で扱うデータを「質的データ」と呼びます。定性分析と定量分析は、どちらも同じくらい大切なものです。それぞれの利点を知り、必要に応じて使い分けましょう。
定性分析の代表的な手法やメリット・デメリット|定量分析との違いも解説
定量分析には、以下のようなメリットを期待できます。
定量分析の最大のメリットは、客観的な事実をもとに分析できる点です。平均値や割合などの「量的データ」には、主観的な要素が一切含まれません。たとえば、Webサイトへの印象をアンケート調査した結果、「とても良い」と回答した人が25%といたという事実は、誰が見ても同じ結果です。そのため、定量分析は担当者による偏りや認識のズレが生じにくく、誰もが同じように判断できます。
定量分析は、「とても良い」と答えた人が多い・少ないなど、全体の傾向を把握するのに向いています。市場やユーザーのおおよその構造や傾向を把握すれば、自社が取り組むべき課題のヒントを得られるでしょう。
定量分析では数値データを扱うので、他部署や経営層にプレゼンをおこなう際に説得力を持たせやすいのもメリットです。とくに、経営陣は「どの程度利益が上がるのか」「どの程度世間にインパクトを与えるのか」といったポイントを重視します。そのため、「60%のユーザーがこの機能を求めている」のように数字を交えたデータは強力な武器となります。
また、調査結果をまとめたグラフや表を作成すれば、調査結果をよりわかりやすく説明できるでしょう。チーム内での情報共有もスムーズにでき、より効率的に議論を進められます。
定量分析にはさまざまなメリットがある一方、以下のようなデメリットも存在します。
定量分析で信頼性の高い結果を得るためには、ある程度のデータ量を確保する必要があります。データ量が不足していると、調査結果にバイアスが生じる可能性があるためです。
たとえば、回答者が10人のアンケートと、回答者が100人のアンケートでは、後者のほうがより信頼性の高いデータを得られます。母数が少ないとそれだけ1人あたりの回答の比重が大きくなり、たまたま似たような感性の人が集まったときに、結果が大きく偏ってしまうでしょう。
しかし、膨大な量のデータを集めるためには、時間もコストもかかってしまいます。オンラインアンケートを実施するなど、短期間で多くのデータを収集するための工夫が必要です。
定量分析は「良い」と答えたユーザーが多い、「悪い」と答えたユーザーは少ないといった表面的な結果は把握できますが、その行動の背景にあるユーザーの心理や価値観までは把握できません。たとえば、サービスの満足度に関するアンケート調査で過半数が「満足していない」と答えたことがわかっても、それだけの情報では、なにをどう改善すれば良いのか分析することはできません。そのため、施策の決定や改善を目的とする場合は、定量分析と定性分析を組み合わせる方法がおすすめです。
定量分析で扱うデータの収集には、以下のような方法が用いられます。
データの収集方法について詳しく見ていきましょう。
いくつかの選択肢から回答を選ぶ「選択式アンケート」は、定量分析の代表的な手法です。たとえば、満足度を「あまり良くない」「良い」「とても良い」といくつかの段階から選択できるようにする場合や、1~10点などの点数で評価できるようにする場合などがあります。
A/Bテストとは、Aパターン、Bパターン…と複数のパターンを用意し、最も優れた結果を出したパターンを評価する方法です。Webマーケティングでは、Web広告やランディングページ(LP)を数パターン用意し、それぞれのコンバージョン率を計測するなどの手法が用いられます。
Webサイトやアプリのアクセスログを収集・分析する手法です。アクセスログ解析が可能なツールは多数あり、Webサイトの場合はGoogleアナリティクスのアクセス解析を活用するのが一般的です。PV数やサイト滞在時間など、定量的データを手軽に取得できます。
モニタリング調査とは、ユーザーに商品やサービスを実際に体験してもらい、満足度などの定量的データを得る手法です。たとえば、会場を用意してユーザーを招待する方法やユーザーの自宅に商品のサンプルを送付する方法などがあります。
POSデータとは、顧客にサービスや商品を提供し、金銭のやりとりが発生した時点での販売記録データのことです。店舗の売上データや顧客の購買履歴などのデータを取得でき、商品開発やマーケティングに役立ちます。
ここでは、定量分析の代表的な手法をご紹介します。選択式アンケートやアクセスログ解析といった調査手法で得たデータをもとに、以下のような方法で分析を試みてみましょう。
ロジスティック回帰分析とは、とある事象が発生する確率を予測する手法です。ロジスティック回帰分析では、「発生するか」「発生しないか」の2値を対象とします。たとえば、ランディングページ(LP)を見て商品を購入したユーザーを「0」、購入しなかったユーザーを「1」として分析すれば、「購入」という事象が発生する確率を予測できます。
クラスター分析とは、データをいくつかのクラスター(集団)に分類し、それぞれの特徴を分析する手法です。なお、クラスター分析では、データを年齢や職業といった属性ではなく、趣味趣向や行動などの類似性によってグループ分けします。たとえば、「◯◯に対するこだわりが強く、支出も多い」「◯◯に対する関心はほどほどで、ボリューム的には2番目に多い」といった具合です。このように顧客をいくつかの集団に分類すれば、それぞれに適したアプローチ方法を考えられます。
アソシエーション分析とは、一見するとわからない、データ同士の関係性を明らかにする手法です。たとえば、「◯◯が好きな人は■■にも興味を持つ可能性が高い」といった関係性が明らかになれば、「◯◯好きが多く集まる場所に■■の広告を出稿する」などの施策を考えられます。
身近なところでは、動画の視聴履歴から「次のおすすめ」を表示するレコメンド機能にもアソシエーション分析が活用されています。
マーケティングに定量分析を活かすためには、以下のポイントをおさえることが重要です。
活用方法についてそれぞれ見ていきましょう。
定量分析では、データ量が不十分だと偶然による偏りが生じやすく、分析精度が低下してしまいます。たとえば、アクセスログ解析でデータを集める場合、数日分のログでは不十分で、正確な分析結果は導き出しづらいです。少なくとも月単位でのデータを蓄積しておきましょう。
定量的なデータを分析する際、多くの数値データを取り扱うことになります。そこで仮説を立てることが大切です。たとえば、サービスの顧客満足度がこれまでよりも低い数値になったら、「なぜ今回は顧客満足度が低いのか」と仮説を立てながらデータを読み、検証しながら分析をおこなうことがポイントです。
仮説の裏付けには、定性分析が役に立ちます。たとえば、満足度調査で低い数値を選んだユーザーに「なぜ、その数値を選んだのか」という自由回答式のアンケートを実施すれば、回答の背景にある理由を深掘りできるでしょう。
定量分析とは、数値として表せるデータを用いた分析手法です。客観的な事実をもとにした分析ができ、担当者によるバラツキが生じにくいなどのメリットがあります。ただし、定量分析は表面的な結果しか得られず、背景にある理由は仮説を立てるほかありません。具体的な改善策を模索するためには、定性分析と組み合わせることが大切です。マーケティングにおける調査・分析に、今回ご紹介したポイントをぜひお役立てください。
アイオイクス 株式会社は、これまでデータ分析からサイトの改善提案まで、Webマーケティングにおけるさまざまなコンサルティングサービスを提供してまいりました。お客様の現状をヒアリングしたうえで、どの施策からおこなうべきか、最善の施策を提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。
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