最近、目にする機会が増えた「AMP」とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
SEO対策としては比較的新しいものであり、モバイルサイトの対策として有効らしいとは聞くものの、具体的にどんなものか疑問を感じている人も多いと思います。
今回は、AMPの概要や目的、SEOに与える影響といった基礎知識から、AMPの仕組み、実装方法までご紹介します。
目次
AMPとはAccelerated Mobile Pagesの略で、モバイルページの表示を高速化する仕組みです。
2015年10月に、GoogleとTwitterが共同で開始したオープンソースプロジェクト(AMPプロジェクト)により、誰でも参加や改善できるGoogle推奨のフレームワーク(AMP HTML)として誕生しました。
AMPプロジェクトが開始された背景には、モバイルユーザーの増加とその行動にあります。
2015年に日米など10か国において、モバイルからのGoogle検索がPCを超えたと公式に発表がありました。
In fact, more Google searches take place on mobile devices than on computers in 10 countries including the US and Japan.
また、Googleのモバイル部門グローバルプロダクトリーダーであるDaniel An氏は、Think with Googleの記事中で
と述べており、モバイルのページスピードが遅いことによる離脱率の高さは問題になると指摘しています。
こうした状況の中で、モバイルのウェブ表示速度を飛躍的に向上させ、快適にするのがAMPなのです。
AMPではどのようにして高速表示を実現しているのでしょうか。
一般的なWebページでは、リンクをクリック(またはURLを直接入力)してから、対象のコンテンツを読み込みます。
これに対してAMPでは、Googleなどがあらかじめキャッシュとして保存しておくため、瞬時にコンテンツが表示されるのです。
また、読み込みを重くしたり、レンダリングを阻害したりする要素を徹底して排除するため、AMPで利用できるHTMLとCSS、JavaScriptには制限をかけています。
これにより、データの軽量化と確実かつ高速な動作を実現しているのです。
主に下記のフレームワークにより高速化を実現しています。
このような仕組みから、AMPはニュースや製品情報、レシピ、動画、ブログなど、あらゆるタイプの静的なコンテンツにおいて高い効果があります。
逆に、地図案内などの動的で双方向性を重視したコンテンツには向かないため、適用ページをしっかりと見極めることが重要です。
【参考】
AMPプロジェクト公式サイト|How AMP works
Why AMP is fast
AMPの導入により期待できる効果としては、大きく2つが挙げられます。
AMPの本来の目的である表示速度の高速化により、スピードの遅さを原因としたモバイルユーザーの離脱が防げるようになります。
リッチカード(検索結果をカードのように表示)を実装することにより、検索結果をカルーセル形式のリッチカード(カードを左右にスクロール可能)として表示できます。
検索結果の表示画面をリッチカードとして目立たせることで、CTR(クリック率)の向上が期待できます。
【参考】
Googleウェブマスター向け公式ブログ|リッチカードが世界中で利用できるようになりました
AMPの導入にはいくつかのデメリットも存在します。
データの軽量化や高速化のため、フレームワークの制限が大きく、利用できないタグやスタイル、JavaScriptがあります。既存のデザインを活かせない可能性があるので注意が必要です。
たとえば、通常のimgやvideoは利用できず、替わりにamp-imgやamp-videoの利用や、objectやembedのように、利用が許可されていないタグもあります。AMP HTMLで利用できるタグは、AMPプロジェクト公式サイトの技術ドキュメントから確認できます。
また、外部のスタイルシートやデータサイズの制限、ユーザー作成やサードパーティ製のJavaScriptも使用できません。
現在サイトで利用している機能がAMPでサポートされていないかもしれませんが、AMPプロジェクトはオープンソースによって進化を続けているため、改善も期待できるでしょう。
モバイルでの高速化に有効な手法としてGoogleが推奨しているAMPですが、現時点では検索結果のランキングには影響しないと明言しています。
検索結果のランキングに影響はない
有効で表示可能なAMPページが含まれているかどうかは、検索結果ページでのサイトのランキングには一切影響しません。
違いは、サイトにAMP版が含まれていると、検索結果にアイコンが追加されることです。
検索順位に直接的な影響は与えないものの、表示速度が速くなることやカルーセル形式のリッチカード表示により、ユーザー体験(UX)の向上、ページからの離脱防止効果は大いに期待できます。そのため、間接的とはいえ、SEOに影響する可能性があります。
ユーザーのサイトへの利便性や満足度が高まることにより、ランキング要素の一つであるランクブレイン(Googleの検索アルゴリズムに採用されている人工知能システム)にも影響を与えるでしょう。
【関連記事】
SEO Japan|Googleがランキング要素のTOP3を公式に発表。
続いて、サイトをAMP化する方法について見ていきましょう。
ゼロからの作成や既存のサイトをAMP化する方法、CMSのプラグインを使う方法、実装状況の確認を紹介します。
ゼロからAMPページの作成を行う場合は、AMPプロジェクト公式サイトのチュートリアル(日本語版)を参考にして進めるのがよいでしょう。
テンプレートに沿って、AMPとして識別するための宣言やAMP JSライブラリの読み込みなど、必要なマークアップを記述します。
チュートリアルでは、AMPにおける画像や動画の含め方、デザインやレイアウトの変更方法などにも触れられており、基本的なAMPページの作成ができます。
既存のサイトをAMP化する際も、HTMLからAMPに変換するチュートリアルに沿って進めましょう。
WordPressやはてなブログなどのコンテンツ管理システム(CMS)を使っている場合は、プラグインを導入、有効化することで、簡単にAMP化することが可能です。
AMP化できたら、きちんと実装されたか、ページとして有効か、表示可能かなどをチェックします。
また、サーチコンソールでは、どのページがインデックス登録され、検索対象になっているかも確認できます。
【参考】
Googleウェブマスター向け公式ブログ|Google Search Console をサイトのAMP化にも活用しましょう
Googleウェブマスター向け公式ブログ|リッチカードが世界中で利用できるようになりました
AMPはAccelerated Mobile Pagesの略で、モバイルページの表示を高速化するフレームワークです。
により、高速化を実現することで、ページスピードが遅いことによるユーザーの離脱を防止し、さらにリッチカードとして表示されることによるCTR向上なども期待できます。
一方で、利用できるHTMLやCSS、JavaScriptには制限も多いため、既存サイトの機能がサポートされない怖れもあります。
GoogleはAMPを推奨しているものの、現時点では検索結果のランキングには一切影響しないと公表しています。ただし、UXの向上により間接的に影響してくることは考えられます。
AMPを実装するには、AMPプロジェクト公式サイトのチュートリアルとテンプレートに沿って進めるほか、WordPressなどのCMSを利用している場合はAMP用のプラグインでも対応できます。
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