マーケティングで使われている用語のひとつが「カスタマージャーニー」です。商品やサービスの効果的なマーケティング施策を考えるなら、カスタマージャーニーマップが役立ちます。しかし、カスタマージャーニーの作成を行っていない企業も多いのではないでしょうか。
この記事ではカスタマージャーニーの目的や活用例、マップの作成方法などを紹介します。
目次
カスタマージャーニーとは「ペルソナが商品やサービスを知り、興味を持ってから購入するまでの行動や感情」を意味するマーケティング用語です。サービスの利用継続や、再購入の意思決定の感情や行動までを意味する場合もあります。
直訳すると、カスタマージャーニーは「顧客の旅」です。顧客が購入意思を固めるまでに辿る流れを旅に例えています。カスタマージャーニーを可視化したものが「カスタマージャーニーマップ」です。
「カスタマージャーニーは古い」という考えもあります。なぜならSNSの発達で情報収集に使える媒体が多くなり、認知と同じタイミングで購入に至る「パルス型消費行動」をとるユーザーも増えているためです。たしかに、従来のカスタマージャーニーでは効果を得られない場合もあります。しかしカスタマージャーニーマップの作成により、顧客との接点を最適化する施策が可能となるでしょう。変化する消費者行動にも対応できるよう、時代に合ったカスタマージャーニーを考えていく必要があります。
>> 内部リンクNo.58「ペルソナ」の記事へ誘導
カスタマージャーニーの目的は、顧客体験のマネジメントです。
昔と違い、消費者の価値観は多様化しています。タッチポイントも多数あり、サービス利用・商品購入後の情報共有も複雑化している状況です。そうしたなかで、見込み顧客を自社のファンにするためには、顧客体験のマネジメントが欠かせません。見込み顧客との接点を洗い出し、どのようなアプローチを行うべきか検討するのに役立つものが、カスタマージャーニーです。
同じ商品やサービスであっても、顧客によってカスタマージャーニーは異なります。そのため、顧客の属性や環境などを可視化して、複数のカスタマージャーニーを管理していく必要があります。
また、カスタマージャーニーは関係者間で認識を共有するためにも便利です。カスタマージャーニーの共有によって、各担当が同じ認識を持って施策を考えられます。
顧客に対する理解を深められるツールがカスタマージャーニーです。そうしたカスタマージャーニーの活用例もチェックしてみましょう。カスタマージャーニーには次のような使い方があります。
4つの活用例について、それぞれ紹介します。
カスタマージャーニーは商品やサービスの確認に活用できます。商品やサービスの展開にあたっては顧客目線が必要不可欠となるものの、担当者はつい「売り手」の目線で考えてしまいがちです。しかしカスタマージャーニーを作成しておくと、顧客視点に立ち返りやすくなります。顧客に対する理解を深めることにも役立つでしょう。
カスタマージャーニーの作成では、関係者(商品開発・営業・カスタマーサポートなど)の認識合わせが行われます。その認識合わせの結果を可視化したものがカスタマージャーニーマップです。作成しておくと認識合わせの結果をいつでも確認できます。関係者の認識が同じだと、意思決定のスピードも上げられるでしょう。
KPIの設定にも、カスタマージャーニーの活用が可能です。カスタマージャーニーでは、顧客の行動を段階的に分析していきます。段階に応じた施策を考えると、自然とKPIの設定にもつながっていくでしょう。たとえば認知を広げたい段階なら、インプレッションが重要なKPIです。KPIを明確にするためにも作成を考えてみましょう。
>> 内部リンクNo.14「インプレッション」の記事へ誘導
顧客視点で「顧客体験」をマネジメントするためのツールが、カスタマージャーニーです。カスタマージャーニーを活用すると、顧客とのタッチポイントを最適化でき、顧客体験を向上させられるでしょう。顧客体験が向上すると、自社ブランドの価値も高められます。
カスタマージャーニーの作り方について、手順を紹介します。大きくわけると、作り方の手順は次の4つです。
ペルソナ・商品の内容などによって、カスタマージャーニーは大きく違っていきます。横軸に入れるのは、顧客のフェーズやプロセスなどで、具体的には「認知・情報収集・比較検討・購入・購入後」などです。縦軸の項目は自由で、今回は行動・タッチポイント・感情を例として紹介します。
フェーズ | 認知 | 情報収集 | 比較検討 | 購入 |
タッチポイント | ||||
行動 | ||||
感情 |
作成を4つのステップにわけて見ていきましょう。
カスタマージャーニーで最初に設定するのが「ペルソナ」です。ペルソナとは、マーケティング用語のひとつで、『商品の購入やサービスの利用などを行う架空のユーザー像』を意味しています。
ペルソナの例 | 25歳・女性・事務職・独身・一人暮らし・趣味は音楽鑑賞 など |
年齢・性別・職業・年収・家族構成・趣味など、詳細にターゲットの情報を設定していきます。ペルソナを設定するのは、関係者間で同じユーザー像を思い描くためです。
続いて、フェーズを設定していきます。前述のカスタマージャーニーで見ると、以下の部分です。
フェーズ | 認知 | 情報収集 | 比較検討 | 購入 |
フェーズ設定のゴールをどこにするのかは、その商品やサービス次第です。「購入」ではなく、「購入後」がゴールになる場合もあります。サービスの場合は、利用や利用後といったゴールになるでしょう。
フェーズが決まったら、タッチポイント・ペルソナの行動・感情などの情報をカスタマージャーニーに加えていきます。
ペルソナ | 25歳・女性・事務職・独身・一人暮らし・趣味は音楽鑑賞 など | |||
フェーズ | 認知 | 情報収集 | 比較検討 | 購入 |
タッチポイント | 検索・Web広告・SNS | 検索・Web広告・SNS・店頭 | 検索・Web広告・SNS・店頭 | 検索・Web広告・SNS・店頭 |
行動 | 商品の存在を知る | 似た商品の情報を集める | ほかの商品と比較する | 比較のうえで購入する |
感情 | 気になる | ほかによい商品があるか知りたい | ベストなものを選びたい | 購入しよう |
施策 | オンラインセミナー・SNS | SEO・記事広告・SNS・プレスリリース | メルマガ・事例集 | カスタマーサポート・FAQ |
タッチポイントとは、ペルソナが商品やサービスなどと接触する機会のことです。検索・Web広告・SNS・店頭など、タッチポイントにはさまざまなものがあります。ペルソナの行動や感情が決まったら、フェーズごとに必要となる施策を書き込みましょう。
施策を実施したら課題と改善策を見つけ、カスタマージャーニーをブラッシュアップしていきます。
最初に作るカスタマージャーニーは、シンプルなもので構いません。なぜなら、最初から複雑に作ってしまうと柔軟な対応が難しく、改善点も見つけにくくなってしまうからです。そのため最初はシンプルなカスタマージャーニーを作ってブラッシュアップを重ねていきます。
ペルソナが置かれている状況や、購買のプロセスなどは、日々どんどん変わっていくものです。変化に対応するためにも、定期的にカスタマージャーニーマップ全体を見直すスケジュールを決めるとよいでしょう。
なお、作成にあたっては、手段が目的化しないよう注意が必要です。「カスタマージャーニーを作成したところで終わり活用できていない」といったケースも少なくありません。しかし、カスタマージャーニーは施策や改善点などを検討するために作成するものです。常に改善していく必要があるものだという前提でカスタマージャーニーマップを作成しましょう。
カスタマージャーニーを SEOコンテンツに反映する方法について紹介します。SEOコンテンツに反映する場合のおもな手順は以下のとおりです。
このような手順でカスタマージャーニーをSEOに取り入れると、オウンドメディアの成果を最大化できる可能性があります。ただし、SEOはすぐに結果が出るという性質のものではありません。結果が出るまでにはどうしても時間がかかってしまいます。PVやCVRといったKPIの効果検証を行いながら、随時施策の軌道修正をしていきましょう。
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ペルソナが商品やサービスを知って興味を持ってから、購入に至るまでの行動や感情を意味するのがカスタマージャーニーです。マップへの落とし込みにより、顧客との接点を最適化できます。さらにSEOを組み込むと、オウンドメディアを検索ニーズに合わせることが可能です。
カスタマージャーニーは、十分な情報を集めて整理したうえで作成する必要があります。ただし、カスタマージャーニーの作成が目的にならないよう注意しなくてはなりません。
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