クラウドファンディングのキャンペーンを成功させる前に知っておくべきこと

公開日:2013/08/29

最終更新日:2013/08/29

ブログ

米国ではKickStarterを筆頭に、かなりの普及を見せているクラウドファンディング、日本でも少しずつ盛り上がってきているようです。今回はクラウドファンディングのキャンペーンを成功させるためのティップスをインタビュー形式でまとめた記事をThe Next Webからご紹介。KickStarter等、米国サイトを念頭に置いていますが、日本でも十分参考になる内容。クラウドファンディングの活用を考えている方は是非。 — SEO Japan

多くの起業家と経験豊かなビジネスが次のプロジェクトへの資金供給をするために一様にKickstarterやIndigogoのようなクラウドファンディングに注目しており、これらの新生アイディアを支援するあなたのお金をめぐる競争はこれまで以上に高まっている。

しかしながら、多くの人が挑戦するからといって、彼らがみんな成功するわけではない。一般人に自分のアイディアに対して資金供給をしてもらおうとする際、あなたに必要なことは、何が効果的で何がそうではないかに関する熟練した洞察だ。

そこで、私たちはSpindowsの創設者/CEOおよびKickstarterHacksのクリエイターであるClay Hebertと、8月22日に開催される‘Kickstarterで成功する方法’という彼のTNW Academyのクラスに先立って話し合った。クラウドファンディングのエキスパートである彼は、KickstarterとIndiegogoにおいて26人の起業家が210万ドル以上の資金を集めるのを助けてきた。

このクラスでは、Clayは広範囲に及ぶクラウドファンディングの知識をきちんと共有し、あなたのクラウドファンディングプロジェクトの成功を確実にするための最高の戦略、秘訣、技を網羅するつもりだ。

TNW: KickstarterやIndiegogoのようなクラウドファンディングのプラットフォームは、優れたアイディアを実現しようとしているスタートアップや個人にとって本当に不可欠なツールなのでしょうか?それとも‘古いやり方’でそれをすることはまだ可能なのでしょうか?

CH: それはビジネスのタイプによります。クラウドファンディングには主に2つタイプがあり、それらは全く異なるタイプのスタートアップのためにデザインされています。

KicksterterやIndiegogoのようなプラットフォームは、“報酬ベース”のクラウドファンディングプラットフォームで、支援者はプロジェクトを金銭的に支援する見返りに報酬を手にします(通常は、アルバムや本など生産されるアイテム)。報酬ベースのプラットフォームは主に、通常50000ドル以下のプロジェクトを完成させるために必要なお金を調達することを求めているクリエイティブなプロジェクト向けのものです。

支援者が会社の株式を少しだけ手に入れる“株式ベース”のクラウドファンディングを提供するFundable.comのようなプラットフォームも存在します。株式ベースのクラウドファンディングプラットフォームは、株式と引き換えに、認定された投資家からの通常50000ドル以上の運営資金を求めているスタートアップ向けです。

例外もあり、50000ドルという数字はおおよそのガイドラインでしかないのですが、企業向けSaaS分析アプリケーションを作るために500万ドルの資金調達をするのに対して、ドキュメンタリーを完成させるために10,000ドルを調達することは全く異なるのです。

TNW: Kickstarter/Indiegogoのようなプラットフォームは、なぜこんなにも数多くの支援者を引き付けているのですか?その理由の一部は、‘ゼロから参加したい’という人々の心理なのでしょうか?

CH: アーリーアダプターの心理は間違いなく理由の一部です。人々が興味深いプロジェクトを発見して支援する時、彼らはそのプロジェクトを自分の友人やソーシャルネットワークに共有することが多いのです。そこには面白いものを最初に発見し共有するという要素があります。

慈善寄付のプラットフォームもさることながら、KS/IGは、他の場所では手に入れることができないアイテムを先行販売する独占オンラインストアとして一番うまくいっています。Pebbleウォッチが1,000万ドルを調達したのは、支援者が創設者のEric Migicovskyはいい人だと考えた(実際いい人です)からではありません。彼らが1,000万ドルを調達したのは、支援者がPebbleウォッチを欲しいと思ったからなのです。Pebbleは、最高に素晴らしい製品を作り、その製品のストーリーを鮮やかに伝え広めました。それがクラウドファンディング成功のカギなのです。

TNW: クラウドファンディングプロジェクトを設定する際、人々が犯す最大の過ちは何ですか?

CH: プロジェクト制作者が繰り返しているいくつか重要な間違いがあります。
最大の過ちは、マーケティングは放っておけば何とかなると考えることです。メディアは、莫大な数百万ドルのプロジェクトを取り上げることを好みますが、多くの人はそういったメディアの記事を読み、簡単にプロジェクトを作り出すことができ、そのプラットフォームが30,000ドルもしくは50,000ドルを調達するだろうと仮定します。

実際には、あなたは自分自身でキャンペーンページに大量のトラフィックをもたらす必要があります。KickstarterやIndiegogoは面白いプロジェクトを宣伝することに関していい仕事をするのですが、それでも、視聴数やお金の大部分(通常80~90%)は、他のチャンネルやプラットフォーム外のプロモーションの取り組みからやって来ます。

あらゆる優れたオンラインマーケティングと同様に、あなたは自分のプロジェクトに心底関心のある特定の層を見極める必要があります。もしもあなたの最初の回答が、熱烈な“全ての人!”であるなら、試作段階に戻ることです。全ての人に手を伸ばすことはできません。あなたには、特定のオーディエンスのためのユニークな製品が必要なのです。理想的には、Eメールリストやブログやソーシャルネットワークを介して事前に自分の仲間を築いていることです。

まだ仲間を築いていないのなら、誰が仲間なのか見極めることです。関心のある人々に話をする情熱を持っているのは誰なのか?もしそれがあなたでないのなら、誰がそれをするのかを把握し、興味深いオファーを作り出す必要があります。

これは全て事前に起こるべきことです。あなたはローンチ前にマーケティングプランを築く必要があります。ローンチしてからでは遅いのです。時間は押し迫っているのです。

私が目にしている2つ目に大きな過ちは、どのようにして人々が自分たちの報酬価格に値段を付けるかです。

あなたが直接もしくはZapposのようなサイトで何かを購入する時、顧客リスクはほぼゼロです。Zapposは双方の無料配送と素晴らしいカスタマーサービスに投資をします。リスクがないために、Zapposは製造者の希望小売価格(MSRP)もしくはそれに近い額を請求することができます。あなたはZapposではないのです。多くのクラウドファンディングプロジェクトは生産されず、多くが目標出荷日よりもずっと遅くに出荷されます。クラウドファンディングキャンペーンに貢献することには先天的な顧客リスクがあるのですが、何にせよ私たちはそれをするのです。

支援者に対するこのようなさらなるリスクを補うために、プロジェクト制作者はMSRPより低い価格付けをするべきです。10ドルの‘デジタルのハイタッチ’(MSRPよりはるかに高い)の代わりに、より多くの価値を提供するのです。例えば、Kickstarterプロジェクトの最低報酬では、AJ Leonが、たったの13ドルでエッセイ付きの本を全てのデジタル形式(PDF、ePub、mobi、オーディオブック)で提供しました。それはMSRPよりもはるかに安いのです。

TNW: キャンペーンを設定する際にあなたがいつも奨励する5つの秘訣は何ですか?

CH:

  1. ユニークで面白い製品を用意する。
  2. 事前に(数年とは言わないとしても数か月前に)仲間を築く。それができなかったのなら、関心のある特定のコミュニティを見極め、その人たちに話ができる情熱を持った人を見つける。
  3. 広まるストーリーを伝える。動画は非常に重要。“プロジェクトを支援しないとしても、誰かがこの動画を共有するだろうか?”と自分に尋ねる。
  4. マーケティングプランを立てる。
  5. MSRP以下で値段を付ける。できる限り価格と同じだけの価値を追加する。

TNW: クラウドファンディングは全ての人に適していますか?それを使用すべきでないことは何ですか?

CH: クラウドファンディングは、間違いなく全人向けではありません。Kickstarterには、プロジェクトが適合すべきカテゴリとガイドラインの具体的なリストがあります。もしあなたのプロジェクトがそれらのカテゴリに当てはまらなかったり、それらのガイドラインに適合しなければ、Kicksterterは適切な選択ではありません。Indiegogoはもっとフレキシブルで、他にももっとニッチなクラウドファンディングプラットフォームやセルフサービス方式のプラグインがありますが、全てのプロジェクトがクラウドファンディングにふさわしいわけではありません。

ユニークでない、面白くない、もしくは新しくない製品は、クラウドファンディングキャンペーンの成功に必要な興味を生み出さない可能性が高いです。もしあなたが仲間を築いていなかったり、どんなグループが関心を持つか具体的に知らなければ、あなたのプロジェクトが成功に必要なけん引力を獲得することはないでしょう。

クラウドファンディングは、それがドキュメンタリーを完成させることにしろ、レストランを救うことにしろ、始まりと終わりと定められた結果のある特定のプロジェクトに向いています。

TNW: 単に資金を調達する以外にクラウドファンディングの道を歩く理由はありますか?

CH: もちろん。クラウドファンディングには、ファンドレイジング以上にたくさんの恩恵があります。

PannaのDavid EllnerやPebbleのEric Migicovskyのように、市場の需要を実証するためにKickstarterのようなプラットフォームを使用し、その実証を使ってベンチャーキャピタルを存続して資金調達をした起業家がかなりたくさんいます。

時には、最初は拒否をしたVCが、起業家にとってより好ましい条件で、小切手にサインをしています。

成功するクラウドファンディングは、製品に関する認知や噂を築いてアーリーアダプターを特定する(そして市場に売り出す許可を獲得する)のにも使用されることがあります。

TNW: Canonicalは非常に注目を浴びるIndiegogoプロジェクト(30日間で3,200万ドル)を実施し、物足りない結果に終わっているように見えますが、何か私たちがそこから学べることはありますが?また、異なるアプローチを推奨してもらえますか?

CH: Canonicalは大きなファンドレイジングの成功を祝うべきだったので、とても残念です。彼らは正しいことをたくさんしたし、私は彼らを応援していますが、彼らは2つの決定的な間違いを犯したのです。

彼らはファンドレイジングのゴールをあまりにも高く設定しすぎました。大部分の企業は、クラウドファンディングを介して50万ドルもしくは100万ドルを調達することにワクワクします。Canonicalはたったの8時間で200万ドルを調達しましたが、それはほぼ前代未聞のことです。

残念なことに、彼らはゴールを3,200万ドルに設定しました。それはどんなクラウドファンディングプロジェクトにとっても桁外れに大きな目標です。しかし、彼らの2つ目の過ちは、フレキシブル・ファンディングではなく、固定ファンディングを選択したことだったのです。

常にオール・オア・ナッシングのファンディングモデルのKickstarterとは違って、Indiegogoは、固定ファンディングとフレキシブル・ファンディングの2つの選択肢を提供しています。

固定ファンディングモデルは、Kickstarterのようにオール・オア・ナッシングです。もしゴールを達成しなければ、何も得ることはないのです。

Indiegogoのもう一つの選択肢、フレキシブル・ファンディングは、このプロジェクトにとってパーフェクトな選択だったはずです。たとえCanonicalが目標に達しなかったとしても、Indiegogoからのわずかに大きな手数料を差し引いて調達したお金をキープすることになります(目標を達成したプロジェクトが4%に対して、目標に達しなかったプロジェクトは9%)。

Canonicalは本当に革新的な製品アイディアを持っていました。彼らは、自分たちのストーリーを上手に伝え、とても強力なUbuntuコミュニティを活用することに成功しました。1000万ドルは、どんなクラウドファンディングプラットフォームでも膨大な資金です。もし彼らがフレキシブル・ファンディングを選択していたなら、調達した資金の大部分をキープすることができ、Ubuntu Edgeを市場にもたらすことができたでしょう。固定ファンディングを選択したために(最終週に2000万ドルを調達しなければならない―可能だが、あり得そうもない)、このプロジェクトは資金提供を受けず、20,000人以上の支援者は返金されることになるでしょう。

小さなゴールを設定するか、もしくはフレキシブル・ファンディングを選択していれば、CanonicalとUbuntu Edgeは大きな成功を収めることができたのです。

ヘッドライン画像はThinkstock、Johnの画像はJohn.doより


この記事は、The Next Webに掲載された「Planning a Kickstarter campaign? Read this first」を翻訳した内容です。

こういうノウハウは日本で余り事例が紹介されていないだけに、参考になる点が多かったのではないでしょうか?読むだけで何かクラウドファンディングにチャレンジしたくなってしまうような記事でした。 — SEO Japan [G+]

記事キーワード

  • Facebook
  • X
  • はてなブックマーク
  • pocket
  • LINE
  • URLをコピー
    URLをコピーしました!

編集者情報

  • X
  • Facebook

アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

メディアTOPに戻る

RECRUIT

一緒に働く人が大事な今の時代だからこそ、実力のある会社で力をつけてほしい。
自分を成長させたい人、新しいチャレンジが好きな人は、いつでも歓迎します。