今回の記事によって私はやっかいなことになるかもしれない。
私は20年以上もグラフィックデザイナーとして働いていて、こんなことを口にすべきではないのだ。結局のところ、奇跡を起こすのが私の仕事だ。魔法のデザインの杖を振り、ビジネスを実際よりも強く賢く力強いものに見せるのだ。
つまらない言いわけではぐらかし始める前に、話を先に進め、声を大にして言おう。
良くデザインされたウェブサイトを持つことは、賢いビジネスの手段だ。
しかし良いデザイン、それが本当に素晴らしいデザインであっても、全てのビジネスの問題を解決してくれるわけではない。それとは全く程遠いものなのだ。
基本的なマーケティングプランの準備が整っていないのであれば、デザインでそれを取り繕うことはできない。
私が誰かと新しいプロジェクトについて話している時に最初に尋ねる質問は、「誰を対象にしようとしているのか?」だ。多くのビジネスが最も基本的なマーケティングの課題である「誰に売ろうとするのか?」ということを考えることをしないままに、デザインについて考える時間を費やしているということにショックを受ける。
誰にアピールするのかが明らかになっていないのであれば、世界で一番格好いいデザインであっても、あなたの販売活動を助けることはできないだろう。
まず誰を対象とするのかをはっきりとさせ、それが決定した後でデザインに焦点を当てるのだ。自分のビジネスに思い描いた人を特に引き付けるような色選びや写真選びをする時になれば、もっとより良いデザインを見つけることができるだろう。
マーケティングミックスにデザインを追加する前に、あなたが何を言いたいのかということをはっきりさせておかなければいけない。
これはあなたにとっては簡単なことだろう。結局のところ、あなたは質の高いコンテンツに不可欠の要素についてよく知るためにCopybloggerを読んでいるのだ。だから、メッセージを伝えることをデザインだけに頼ることができると考えている人がいるのが不思議なのである。
こんな風に考えてみてはどうだろうか:あなたは大変素晴らしいウェブサイトを持っていて、それによってユーザーがもっと知りたいと思うには十分な時間その場に立ち止まらせることができるかもしれない。それは素晴らしいことだが、もし彼らがあなたのサイトを読んでみて焦点の定まらないつまらないコンテンツであることが分かれば、あなたは彼らを失うことになる。
良いデザインは顧客を入口までは連れてくるかもしれないが、良いコンテンツは顧客が戻って出て行かないようにするのだ。
良いデザインと中身のある価値の高いコンテンツを揃えた時に、これらの要素がそれぞれに持つ力が倍増する。メッセージを伝えることをデザインだけに頼るようなことはしてはいけない。
デザインの決定を個人的な好き嫌いに基づいてはいけない。ターゲット市場を惹きつけるものとあなたのメッセージを一番に伝えることができる色や形式に基づくのだ。
あなたのターゲット市場が、黄色が魅力的で新鮮であなたのサービスが愛されるような色だと考えるのであれば、あなた自身が黄色をあまり好きではないということは関係がない。
もしあなたが、サイトや資料にあなた個人の好みを反映させれば、あなたが商売で引き付けたいと思っている人にはそのデザインが全く響かないというリスクを負うことになる。
まずは自分自身のエゴをチェックし、あなたが売りたい人はだれなのかということを考えること。
彼らの問題は何か?どんな色や形やコンテンツが彼らを惹きつけるのか?
あなたの個人的な好みよりも、これらの答えを決断に反映させるのだ。
グラフィックデザインに奇跡を期待してはダメだ。それは確実にあなたのビジネスイメージを作る価値ある1つのパーツではあるが、信頼できるマーケティング戦略の代わりにはならないのである。
素晴らしいデザインとは、あなたが提供すべきものを包んだ見事な包み紙である。確かに包み紙は重要である。しかし、包み紙の中にはいつだって何かいい物が入っていなければならないのだ。
まずは入念な下調べをすること。そして、誰を対象とするのかと何を伝えたいのかということが分かった時に初めてデザインについて考え始めること。これはあなたが決定するどんなデザインにも当てはまることだ。
そしてこれらの二つの要素について初めに検討することによって、あなたが選んだ色や書体や画像が、対象とするマーケットに訴えて心をつかむことを実質的に約束するのである。
この記事は、Copybloggerに掲載された「The Myth of Beautiful Design」を翻訳した内容です。
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