エンタープライズ SEOプログラムの管理は、国連で同意を得るぐらい難しい: 対立する議題、言語の障害、そして、手続き上の問題が多く発生する。最終的には目標を達成することが出来るものの、苦労が続き、遅々として進まないこともよくある。
幸いなことに、主な障害は大半の企業に共通しており、障害を乗り切る方法が幾つか存在する。それでは、このプロセスをナビゲートする上で役に立つ、9つのエンタープライズ SEOが直面する一般的な障害、そして、その解決策を挙げていく。
まずは基礎的なサイトベースの障害を幾つか見ていこう:
多くの企業は、時代遅れのコンテンツ管理システム(CMS)を利用しているために身動きが取れなくなっており、また、既製の製品は大規模なサイトに対する最適化には向いていないことがよくある。
自社でCMSを開発する解決策が多くの企業で採用さている。確かに優れた選択肢だが、多くの企業がこの選択肢を採用したために座礁している。考えている以上に難しく、予測していた以上に時間とリソースも必要となるのだ。
既存の製品を大幅にカスタマイズする作業は難しいが、前に進む方法としてより現実的である。可能ならば更に一歩進み、「企業サイト向けの大規模なコンテンツの最適化戦略」で紹介されているソーシャルメディア向けのツールや機能を導入してみよう。
ハイブリッドのアプローチは、暫定的な解決策として妥当である。例えば、時代遅れのCMSに動きを封じられているパブリッシャー達は、ワードプレスをサイトの特定のセクションで活用している。ワードプレス VIPはエンタープライズレベルにおいて優れたオプションと言えるだろう。
しかし、多数のプラットフォームを用いているウェブサイトは、複雑化する恐れがあるので注意してもらいたい。CMSによって動きを制限され、フルスケールの移動が計画されていないなら、部分的な解決策であっても、何もしないよりは良いはずである。
すべてのサイトは何らかの技術的な問題を抱えており、大きなサイトは大きな問題を抱えている傾向が見られる。インデックス不足、過剰なインデックス、コンテンツの重複、ページネーションやファセットナビゲーションに関する問題、不十分なクロールパス、サイトの内部のコンテンツを支えることが出来ない軟弱な内部リンク構築等だ。
技術的なSEO(もしくはSEOのデザインの)の基礎をここで取り上げる必要はないが、このような問題を解決しなければ、ほとんど前進することは出来ないだろう。
包括的なサイトの評価(良質なSEOにおいて信頼されている手法)を通じて、問題を特定し、改善点を推奨する解決策がまず考えられる。次に継続的なモニタリング(出来ればエンタープライズSEOのツールセットの力を借りたい)、そして、定期的な再評価を行う。嫌でも新しい問題が次々に現れるだろう。
しかし、ほとんどの大規模な企業に存在する官僚主義の障害を乗り越えることが出来なければ、最高のサイト評価であっても大した情報を集めることは出来ないだろう。エンタープライズSEOを成功に導き、維持するためには、効果的な変更の管理を徹底する必要がある。
従って、3からは組織的な特徴を持つ障害に的を絞っていく…
予算がなければ、SEOの取り組みは行うことは出来ない。社内で行うにせよ、アウトソースするにせよ、時間、資金、そして、リソースは必要である。
ブライアン・プロヴォスト氏も「エンタープライズSEOの最強ガイド: これだけは知っておきたい25のポイント」(日本語)で説明しているように、“無料の”検索結果は実は無料ではなく、エンタープライズSEOは安価な取り組みではない。技術、編集、そして、マーケティングの取り組みに対して、少なくともスタッフに推奨事項を実施してもらうために必要はリソースを用意しておかなければならない。
予算を確保するためには、重役の支持を得なければならない。そうすることで、SEOの存在を認めさせ、継続的な改善の効果を証明することが出来るようになる。ビル・ハント氏は、数年前から損失した機会を伝える取り組みを薦めている。イアン・ルーリー氏も、「エンタープライズSEOの効果を証明する難しさ」(日本語)の中で、幾つか参考になるアイデアを紹介している。
継続的な支援およびリソースを確保する上で立ちはだかる大きな壁がる。それは、粗末に特定された目標と非現実的な期待だ。
検索リファラーやコンバージョン率を伸ばす等の全体的な目標は、始まりに過ぎない。会社が何を達成しようとしているのかを、高いレベルで、そして、特定のサイトのセクションおよびコンテンツ、または製品のタイプに対して明確に特定する必要がある。
ベンチマークを確立し、意義深く、容易に消化できる方法で進捗状況を報告する上で、分析チームが大きな役割を担う。
目標の設定は、部門レベルでの実行にも当てはまる。テクノロジー、コンテンツ作成、そして、マーケティングは、十分に特定した一連の目標を設定し、効果を計測しなければならない。
この問題と同時に発生し、避けておきたい問題が、非現実的な期待である。重役陣は、組織を活性化し、アクティビティに刺激を与える手段として、非常に高い目標を掲げることがある。この目標を達成する可能性がゼロなら、すぐに支持を失ってしまうだろう。
我慢を教えることも期待の管理に含まれる。エンタープライズ SEOは、長期的な取り組みであり、メリットは数ヶ月、そして、数年をかけて得られる。手っ取り早く得られる利益、そして、簡単に達成できる目標を活用して価値を証明するだけでなく、SEOが終わらないプロセスである点を全てのスタッフに分かってもらう必要がある。
IT部門では、SEOの技術的なイニシアチブの多くが急停止するため、この部署には特に注意する必要がある。
テクニカルチームは、命令された作業に基づき、組織を支援するために行動する。SEOプロジェクトが優先されていないなら、重要な作業は手つかずのまま残ってしまうだろう。
このでは、トップダウン & ボトムアップの解決策が求められる。SEOの存在を証明することに成功し、予算を確保したなら、指令を出す権利、そして、リソースを手にしたことになる。SEOプロジェクトに数名フルタイムで従事させることが出来れば言うことはない。
しかし、現実にはSEOのみに専念させることは難しく、その他の多くのチームもまた強く、そして、時にはより計測可能なプロジェクトを盾にテクノロジーの人材を求めるだろう。そのため、SEOの推奨事項を優先し、インパクトを見返りを証明するために出来ることはすべて実施しなければならない。
計画表に出来るだけ多くの取り組みを組み込み、適切なアイテムを優先しよう。複数のサイトを運営しているなら、ネットワーク全体で適用可能な解決策を特定しておきたいところだ。
先程も申し上げたように、手っ取り早く得られる利益を利用して価値を証明する手もあるが、その際は大きな要望を押し通す方法を見出す必要がある。さもないと求められている長期的な維持可能な利益を得ることは出来ないだろう。
この点に関するアドバイスがもっと必要なら、イアン・ローリー氏が投稿した「ITチームを味方につける方法」に目を通しておこう。
効率よくスタッフをトレーニングし、成功に導くツールを与える取り組み、そして、一貫してこれらの作業を実施してもらい、日常的なワークフローに導入してもらう取り組みは大きく異なる。
コンテンツ作成を例にとって考えてみよう。編集チームは、検索エンジンのビジビリティを気にしていないわけではない。事実、自分達のコンテンツを成功させたいと望んでいる。SEOチームほど気にかけているわけではないだけだ。これは人間の本質であり、誰も責めることは出来ない。
スポットの確認を織り交ぜた継続的なトレーニング、そして、定期的にフィードバックを行うことで、この問題を解決することが出来る。人による管理は常に必要とされている。
様々な部門の間の調整にも同じことが言える。全てのチームがSEOの作業への影響を理解していなければならない。
特にマーケティングおよびPR部門は、SEOを考慮する必要がある。なぜなら、この2つの部門の仕事の多くは、SEOにプラスの影響を与えるからだ。しかし、このメリットがが実際にもたらされるケースは少ない。
全てのブランド/部門/チームで一人、SEOの責任者を任命するアプローチは有効である。こうすることで、SEOチームに深みが増し、異なる部門に話しが分かる直接的な接点が生まれるのだ。
マーシャル・シモンズ氏が「エンタープライズSEOが失敗する理由」(日本語)の中で指摘していたように、かつて検索結果で比較的上位に君臨していたサイトは、その後もその地位に満足してしまう傾向が見られる。
この公式は最終的に失敗する。遅かれ早かれ、何かを見過ごしてしまうか、十分に実施しない過ちを犯してしまう。また、現在、検索エンジンは、今まで以上に変更を加えており、取り組みに考慮するべき新たな要素が次々に現れている。
エンタープライズ SEOには、努力、そして、継続的な管理が欠かせない。時折、重要な鍵を握るチームに新しい活力を吹き込むことで、プログラムに対する焦点およびエネルギーを改めることが出来る。定期的にサイト、チーム、そして、プロセスに対して外部のレビューを実施することで、取り組みを評価し、その効果を立証する手法を私は薦める。
内部のプロセスについては以上である。次は会社およびサイトの双方に関連する障害である:
強固なブランド、そして、ドメインは、検索で優れたパフォーマンスを発揮する傾向がある。ブランドのシグナルに関する議論はここでは取り上げないが、ユーザーの信頼度が増す、CTRが高くなる、エンゲージメントが伸びる等の様々な間接的なメリットがブランドにもたらされる。
エンタープライズレベルでは、多くの組織が、信頼されているドメインでブランドを確立することで、プラスの効果を得ている。しかし、全ての企業がこの点を理解しているわけではない。
サイトが大きくても、ブランドが大きいとは、もしくはドメインが強いとは限らないのだ。
大きなマーケティング部門やオーディエンス開発部門を持つ方針には理由がある。メディアが何であれ、ブランド、オーディエンス、そして、カスタマーベースを構築するには、時間、そして、労力が必要になる。オンラインの世界、とりわけ検索にも同じことが言える。
そのため、技術的な問題を解決し、最適化したテンプレートおよびコンテンツを手に入れよう。しかし、ブランドおよびドメインを強くする取り組みにも同レベルの労力を注ぎこんでもらいたい。
上述した取り組みを行う上で必要な、多くのメカニズムを既に手に入れているなら、それに越したことはない。それでも、全てのマーケティングおよび事業展開のイニシアチブの計画および実施にSEOが組み込まれていることを確認してほしい。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「How To Get Past 9 Common Enterprise SEO Roadblocks」を翻訳した内容です。
SEO Japanでも地道にエンタープライズSEOの記事を配信していますが、SEOの知識がある人は日本にも大分増えてきたと思いますが、この分野のエキスパートはSEOの知識に加えエンタープライズサイト全般に関する幅広い知識やなんといってもコミュニケーション能力はまだまだ少数だと思います。GoogleのSEO対策が厳しくなる一方(これが本当のSEO”対策”ですね)んの現在、この分野はまだまだ十分に顕在化はされていませんがニーズは高いと思いますし、SEOで頑張って行きたい方はチャレンジしていく価値は十分にあると思います。 — SEO Japan [G+]
SEO最新情報やセミナー開催のお知らせなど、お役立ち情報を無料でお届けします。