2週間前、グーグルはサーチ・プラス・ユア・ワールド(日本語)を立ち上げた。それ以来、グーグルは、サーチ・プラス・ユア・ワールドが検索の関連性を大幅に低下させ、グーグル+ソーシャルネットワークを過剰に贔屓していると言う批判に晒されている。そんな中、グーグルの検索チームを指揮するアミット・シンガル氏はこの批判を真っ向から否定している。
大半のグーグルのユーザーは喜んでいるとシンガル氏は主張している。サーチ・プラス・ユア・ワールドは当然ながら完璧ではない。この点は同氏も認めている。しかし、やがて改善されていくようだ。ツイッターやフェイスブック等のソーシャルネットワークからのコンテンツの組み込みにおいては、グーグルが長く継続することが可能であり、新しい機能の構築に踏み切れるような、長期的な契約に合意することが出来ればグーグル側は受け入れる考えを持っているとシンガル氏は述べている。
本日、私はグーグルの検索アルゴリズムを監督する“グーグルフェロー”のアミット・シンガル氏と、サーチ・プラス・ユア・ワールドに対するリアクションについて話し合った。ボールド体で質問を綴り、その下に字下げしてシンガル氏の答えを記載していく。
サーチ・プラス・ユア・ワールドに関する議論を見たあなたのリアクション、または考えを聞かせて下さい。
グーグルは長期的なスパンで製品を作り上げているにも関わらず、ローンチ後の2週間で製品および全体的な方向性を判断されているように思えます。
明らかにまだ製品を完成させていません。まだグーグル・プラス・ユア・ワールドは完璧ではないのです。しかし、今後、改善していきますし、グーグルはさらに機能を加えていきます。私達 – つまりグーグルは常に製品をローンチし、その経験から教訓を得ているのです。
もう一つ言いたいことがあります。気づいたことがあるのです。グーグルに寄せられているユーザーのフィードバックには、ブロゴスフィアのリアクションとは対照的なリアクションが見られます。この製品を見たユーザーは気に入っており、これは初期のデータ分析の結果と同じです。
ユニバーサル検索やグーグルインスタントにおいては、ローンチ当初は現在よりも多くの苦情が寄せられていましたが、その後、気に入ってもらえるようになりました。
注記: 今週の前半、グーグルのウェブ検索サポートのフォーラムを私はチェックしたが、昨年、グーグル+の共有にグーグルリーダーを統合した時のようにその他の製品のローンチに見られた大きな批判は確かに見られなかった。
サーチ・プラス・ユア・ワールドは2つの大きな変化をもたらしました。1つは公開済みのコンテンツと共に非公開で共有したコンテンツを検索することが出来る点です。一部の人達はこの点に不満を持っています。シンガルさんのリアクションを聞かせて下さい。
ユーザーはこのような結果を得る度に、実は喜んでいます。この製品がいかに個人に特化しているかを考慮すると、個人の経験を基に、または、クリックスルーを通して観察することが可能な総数を基に判断するしかありません。
その他の機能と同じように、グーグルはランキング等を改善していきます。しかし、このシステムを養成するユーザーの人数が限られている、製品を立ち上げたばかりの段階では、パーソナルの成果には私は満足していません。
グーグル+があまりにも贔屓されていると言う懸念についてはどう考えますか?
繰り返しますが、ブロゴスフィアは本の内容を表紙で決めつけようとしているのです。
注記: その後、私はジョン・バッテル氏、マット・ホーナン氏、そして、トム・ブルー氏が[television]や[knives]等に対する結果に関連性の低いリスティングが掲載されている点を指摘したブログの例を挙げた。するとシンガル氏は次のように述べた….
確かにグーグルのシステムの欠陥を指摘する例は幾つかあるかもしれませんが、私達のシステムの処理が完璧ではないクエリは無数にあります。
しかし、グーグル+が、非公開共有された結果ではなく、検索ボックスの中で、もしくは新しいPeople & Pages(人物 & ページ)の結果の中で、あまりにも贔屓されていると言う懸念があります。
この点については私達がずっと説明し続けているように、グーグルは個人のコンテンツ、および、グーグルプラスで個人的に共有されているコンテンツにしかアクセスすることが出来ないのです。その他の企業のコンテンツにアクセスすることは出来ません。
しかし、先週立ち上げられた「Don’t Be Evil」ツール(日本語)はグーグル+のコンテンツ以外のコンテンツを人物 & ページの結果に掲載していますが、この点についてはどうでしょうか?
大勢の人達が製品をローンチしてから2週間でいきなり結論を出していると言う私の主張は、この点を指摘しています。グーグルは、全ての個々のユーザーの役に立つに製品を作成しているのです。この製品は、検索の主要な材料としてアイデンティティを、そして、もう一つの主要な材料として関係を手に入れるでしょう。
このような議論は、とても有名な人達、彼らのためにすることが出来た取り組み、そして、何が最も理に適っているのかを中心に行われています。しかし、製品を開発する時は、一部の人達のことのみを念頭に置くべきではないのです。
ベン・スミスと言う名の私の友人に対する検索を行い、劣悪な結果が現れた件は取り上げられていないようです。有名な人達だけのために実際に製品を作ったら、本来の目的を放棄することになります。特定の人々に対して異なる動きをして、次に実際に大事な本当の関係に対して異なる動きをする製品を作ることなど不可能なのです。
このポイントは十分に強調されていないように思います。大勢の人達はこのような有名人の言動ばかりに夢中になり、大事な人達を見つけることが可能なこの製品の素晴らしさにはあまり注目してもられていません。
しかし、人物 & ページのセクションは、現在、有名人や有名企業を中心に掲載しているように見えますが。
まだ製品を立ち上げてから2週間しか経過していません。グーグルはこの製品の未来を考慮してデザインしてきました。 私達は現在の製品の状況だけを考慮していたわけではなく、今後うまく稼働することを目指しているのです。今後、グーグルは、目的地を探している際に、その目的地に関して発言した可能性がある知り合いの人物を紹介する機能等の機能にも関心を示すでしょう。
2週間しか経過していない現段階の製品に対して結論を急いでいるようであり、グーグルがこの製品を本当のアイデンティティおよび関係を基に構築していくポテンシャルは視界に入っていないように思えます。
人物 & ページで現在ユーザーが目にしているのは、グーグル+のプロモーションですか、それとも、グーグル+をプッシュする以上の意味を持った検索結果ですか?
何かに関心を抱いた際に、知っている人物として誰を関連付けるかと言う点についてグーグルは考えています。彼らが当該のユーザーと何かを共有したことがあるなら、明らかです。有名人を使って初期のシステムを構築するのは容易ですが、これはあくまでもこの製品のはじめの一歩に過ぎません。
しかし、今はどうですか?これはグーグル+のプロモーションを超える取り組みと言えるのでしょうか?
私達は現在この製品をプロモーションとは考えていません。これはクエリに対して気になるアイデンティティを持つ人々を見つけることが出来る場所なのです。
現時点では、この場所はとても有名な人達で占領されています。その点は私も認めます。従って、グーグルはこの製品を使って、ユーザーが知っておくべき本当の社会が存在すると言う局面を表に出す試みを行う予定です。
なぜソーシャルサイトのリンクを追加して表示しないのですか?例えば、[music]の検索でブリトニー・スピアーズのグーグル+のページが表示されます。ブリトニー・スピアーズはツイッターとフェイスブックのアカウントにグーグル+のページからリンクを張っています。人物 & ページの結果内にこれらのリンクを代わりのリンクとして表示することは出来なかったのでしょうか?
グーグル+のページをクリックすれば、アバウトページでリンクを利用することが出来ます。[代わりのリンクを表示することは]可能です。なぜならグーグルプラス上でよくブリトニー・スピアーズのアイデンティティを把握しているためです。しかし、その他の[有名ではない]人達に対してこのようなリンクを提供することは出来ません。
それでは、本当に知りたい人がその他のソーシャルネットワークを利用している場合はどうでしょうか?
[サーチ・プラス・ユア・ワールド]に関するリアクションに話を戻します。例えば、グーグル+を頻繁に利用していない人の場合は、確かに当該のユーザーの随分前の投稿を見せるべきではないのかもしれません。これは、この製品をローンチして学んだ大きな教訓の1つです。私達はこの製品をどうすれば改善することが出来るかを学んでいます。グーグルは既に今こうして話をしている間にも改善点を導入しているのです。
ツイッターやフェイスブック等をサーチ・プラス・ユア・ワールドに統合するためには、これらの企業に何を求めますか?
グーグルの優れたリアルタイム検索で得た教訓は、ユーザーに愛用される製品を一度構築しても、その後、他の誰かがその製品の運命を決めることが出来てしまうと言う点です [ツイッターとの契約は更新されず、グーグルのリアルタイム検索サービスは、あまりにもツイッターに頼っていたため、閉鎖せざるを得ない状況に追い込まれました]。
グーグルのユーザーにとっては最悪の経験であり、私達のチームにとっても後味の悪い結果となってしまいました。私達は一生懸命素晴らしい製品を作り上げたものの、その努力は水の泡になってしまったのですから。
グーグルは、その他のサービスから情報を導入することには賛成する立場を取っていますが、短期間で解消されず、グーグルの製品を閉鎖に追い込むことがない条件で行われなければなりません。
契約を結ぶことなくツイッターのデータのファイヤーホースを得ることが出来たとしたらどうでしょうか?その場合はうまくいきますか?
やはり条件に依ります。製品を構築したものの、契約を変えられてしまうような屈辱は二度と味わいたくないのです。
しかし、契約を必要とせず、ユーザー達が行った投稿に、つまりファイヤーホースに完全にアクセスすることが出来る場合はどうですか?これで十分ですか?
それだけでは足りません。良質な製品を作るには、誰が誰なのか、そして、その人が誰に関連しているのかを理解する必要があります。コンテンツと同じように関係も重要なのです。優れた製品を作るためには、あらゆるタイプの処理を行う必要があります。しかし、根本的にはコンテンツだけが重要だと言うわけではありません。アイデンティティ、関係、そして、コンテンツ、全て重要なのです。それ以外は確立された製品をつまらなくしてしまいます。
アイデンティティおよび関係に関するフィードを与えられた場合はどうでしょうか?つまり、個人を描写する情報、そして、公開済みのソーシャルなつながりをグーグルが知ることが出来たとしらたどうですか?
グーグルは、ユーザーにとって適切なアイデンティティ製品を構築し、適切な関係管理を行うためなら、あらゆる関係者と話をする用意はあります。
オープンソーシャルグラフ API等の取り組みはまさにこのような製品を提供する予定ではなかったのですか?それとも、このような類の基準が既に出来ているのでしょうか?
このような基準が存在し、既に幅広く採用されていたら言うことはありません。グーグルが気づいた問題が一つあります。それは、グーグルプラス上で様々なリンクスパムのつながりが見られる点です。例えば、誰かが投稿を特定のパターンで行った場合、実際の人物ではない点が分かるような高度な分析システムをグーグルは開発する必要があります。
それだけではありません。コンテンツだけではないのです。アイデンティティも重要であり、このようなアイテム、そして、この製品を作るために必要なものを挙げていくと、グーグルがクロールする公開済みのデータだけでは足りないことが見えてきます。
インタビューは以上で終わりだ。個人的には、サーチ・プラス・ユア・ワールドに関する議論をデータの共有に関するグーグルとフェイスブックのこう着状態を打破し、さらに、昨年失ったツイッターのデータを取り返すチャンスと見ている。
フェイスブックもツイッターも、グーグルが – グーグル独自のグーグル+ソーシャルネットワークを使って – データをそれぞれの事業を脅かす形で利用するのではないかと恐れるに足る事情を抱えているのだろう。
しかし、グーグルの検索結果にもっと取り上げてもらいたい事情も抱えているはずである。同様にグーグルの検索エンジンは、より多くのソーシャルネットワークのコンテンツを組み込み、ソーシャルな関係をより深く理解することで、メリットを得られるはずである。
さらに、グーグルの検索エンジンは、グーグルプラス以外のソーシャルネットワークともソーシャルなつながりを持つことが出来れば、プラスの効果を得られるのではないだろうか。特にグーグルの検索エンジンには今後も、私が依存している取り組み、つまり、最高のコンテンツをウェブ全体から、それがどこに置かれていようと掲載していってもらいたいのだ。
私はフェイスブックとツイッターが今週立ち上げた「Don’t Be Evil」ツールを取り上げたエントリの最後(日本語)で、グーグル自身のソーシャルネットワークと検索エンジンとの間でグーグルが行う奇妙な駆け引きについて紹介した。
また、フェイスブックとツイッターが直面するグーグルとの駆け引きに関しては、この関係の詳細、そして、この問題の潜在的な解決策を先週投稿した別のエントリで綴っているので(ソーシャル vs 検索の対立を緩和させる案)(日本語)であわせて読んでほしい。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Two Weeks In, Google Says “Search Plus Your World” Going Well, Critics Should Give It Time」を翻訳した内容です。
ただそもそも今回批判を浴びている根源的な理由でもある、Googleは「世界中の情報を整理し、検索できるようにする」ポリシーを変えたのか?(Google+のみを優先表示し、FacebookやTwitterの情報を表示しない仕様から)という素朴な疑問に関する質問も答えも無かったのが少し残念でしたけどね。当面はなんとなく曖昧なまま進んでいく気がしますが、さてきっと古くからのGoogleファン&Googlerの心にどこか残り続けるであろうこの疑問がGoogleの今後にどういう影響を与えていくのか気になる所です。 — SEO Japan
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