エンタープライズ有料検索プログラムは、高度なレベルで実施することが可能であり、またそうするべきである。しかし、高度化することで、パフォーマンスは改善されるものの、その反面、企業内で認識されるパフォーマンスに関する問題が生じることもある。
事実、結果を伝える方法が原因で、素晴らしく、そして、進歩的な有料検索プログラムをシニアマネージメントに満足してもらえないことは日常茶飯事である。
何度も私自身が主張してきたように、平均値と総計を素直に信じるべきではないが、有料検索プログラムを管理する手段として重要な役目を担っている点は疑いようもない。実際に、多忙なマネージャーなら、詳細なパフォーマンスのデータに目を通し、把握することは出来ないだろう。
私達はカテゴリー別、サブカテゴリー別、マッチタイプ別、地理別、メーカー別等、何度も集められたデータに注目する必要がある。何が起きているのかを理解するため、徹底的にデータを調査し、全体像を把握しなければいけない。しかし、その結果、シニアマネージメントへの報告における問題が生じる可能性がある。
経営陣は詳しい情報を調べる時間がない。しかし、総合的なレポートによって、優れたパフォーマンスが二流、もしくは二流以下に見えてしまう危険がある。
1. 有料検索の責任者の管理が及ばないメトリクスを基にプログラムを判断する。
ブランド/ナビゲーショナル検索を競争の激しいノンブランドの検索に混ぜてしまうのが典型的な例である。ブランド検索は、ほぼ例外なくその他のマーケティングの取り組みによってもたらされるため、検索マネージャーはこのスタッツの功績もしくは責任を受けるべきではない。数ヶ月前にこの点については詳しく説明したので、今回は説明を省かせてもらう。
2. 役員は現実を無視した目標を設定する。
優れたSEM会社なら、劣悪に管理されたプログラムを引き継ぐ際、過度な成長を期待されていたことに気がつく。新しいシニアマネージャーが現れ、既に限界のプログラムに“野心”のある目標を決めることもある。
「今年は前年比100%の成長を計画しているので、君にも全力で仕事をしてもらいたい!」市場の限界を理解していない人には、素晴らしいパフォーマンスが“目標を遥かに下回る”と思われてしまう。
3. レポートの誤った数字に注目する。
過去と比べると少なくなったが、検索を理解せず、何も示していないメトリクスに固執する人達がいまだにいる。その例を挙げていく:
上述したスタッツは、潜在的な問題や機会を特定する診断する手段としては有望だが、これらのスタッツをいまだにKPIと誤解している人達が多くいる。これらのスタッツはKPIではなく、マネージメントレベルでは尚更だ。事実、有料検索マネージャーは市場で他の広告とは異なるパフォーマンスをもたらす広告を数多く追加し、これらの広告が大いに役に立っている可能性がある。
ノンブランドの検索結果が全体的に次のように見える以下の例について考えてもらいたい:
勇敢な検索アナリストは、優れた新しいキーワードの宝庫を見つけ出し、次の結果を出すことが出来るTだろう:
すると、無知な経営陣は卒倒してしまう:
「ああああああああああああああああ!クリックスルー率が50%も下がった!コンバージョン率が4%下がった!CPCは50%上がった!解雇決定だ!
しかし、より有効なメトリクスに焦点を絞ることで、異なる反応が返ってくる。「スゴイじゃないか!売り上げが130%以上伸びてる!ROIは改善されたんだ!最高だ!」
4. 経営陣から事実上最も重要なスタッツを隠す。
様々なケースが考えられる。大手の自動車保険会社のケースを例にとって考えてみよう。この会社は、料金の見積もりをリードと考えている。平均的なリードはこの会社にとって250ドルの価値がある。
優秀な検索マーケティングマネージャーなら、リードのバックエンドのパフォーマンスで検索を実施し、特定のタイプのキーワード(もしくは場所等)からもたらされたリードが、その他のリードよりも大幅に価値が高い点(例えば$500)、そして、「cheap/discount/low-budget insurance」(安い/割引/低予算 保険)に対する検索から得られるリードが遥かに価値が低い点(例えば$150)を学ぶだろう。
このようにして過去のデータを見ることで、一部の分野で必要以上に資金を投じていたこと、そして、一部の分野では投資が足りなかったことが見えてくる。従って、会社にとってより有効なROIを得るため、ターゲットを調整することが出来る。
しかし、シニアマネージメントは、自らの視点に頼り、スタッツが大きく減ったことを理由に検索マーケティングマネージャーの解雇を求める可能性がある。
「投資額は増し、リードは減り、そして、コスト・パー・リードはターゲットから完全に逸脱している!」
実際のリードの価値を理解すれば、検索マーケッターが会社にとって適切な取り組みを行っていた点は明確だが、マネージメントがこれらの価値に見向きもしない場合は…
この現象は様々な形態で起きている。eコマースサイトでは、製品ラインによって利鞘の構造は異なり、ハイマージンのカテゴリーでの$100の製品の購入は、その会社にとって、マージンが低い商品カテゴリーの$100の製品の購入よりも、遥かに価値が高い。
実際のマージンのデータをシステムに投入することが出来ないなら、異なる効率のターゲットをカテゴリー別で動的に設定する次善策を薦めるが、カテゴリー全体でデータが集められている場合、スタッツの解釈が難しくなる。
この例では、1週目のデータは、各カテゴリーから営業利益率を最大限に高めるために必要な効率のメトリクスと合致し、良好な結果を示している。
2週目は、マージンの高い製品の関心において季節的な伸びが見られ、そして、マージンの低い製品の関心が落ちている。巧みに管理されたプログラムは、カテゴリーの効率のメトリクスを再び取り上げ、会社の営業利益率を最大化する。一方、平均的な結果だけを見ると、コストと売り上げが減少しているように見える。
集めたスタッツには、プログラムが下火になっているのか、もしくは良好なパフォーマンスを維持しているかどうかを判断する手段がない点に注目してもらいたい。収集したデータが、管理の失敗、そして、機会の損失を意味している可能性もある。
これはアッパーマネージメントの誤解が原因なわけでもなければ、複雑な真実を伝える難しさが原因なわけでもない。後者は実際にもたらしているメリット(このケースでは売上純利益率)を示すスタッツを提示することが出来ない場合、困難を極める。多くの企業は、マージンのデータを清算の時点、もしくはバックフィードにおいて、優れた入札管理プラットフォームに投じることが出来るものの、一部の企業はこの点を理解していない。
プログラムの高度化が進むと – 生涯価値の結果、過去の顧客よりも新しい顧客 & 消費者よりも顧客を呼ぶキーワードは何か等を考慮する – コミュニケーション、そして、評価のメトリクスの伝達は、さらに難しくなってしまうだろう。
完璧な解決策は存在しないものの、役に立つアプローチが幾つかあるので紹介していく:
例: homeowner’s insurance vs car insurance vs personal property insurance vs motorcycle insuranceにおいて、これらの異なる価値のリードには、それぞれの製品において異なる価値のリードをもたらすキーワードが数多く存在しており(Beverly Hills homeowners insurance vs Tumbleweed, Texas homeowners insurance)、集めたリードに対して、大体の金額を割り当て、報告することで、すべてを平等に取り扱うリードの総計と比べ、プログラムの週ごとのパフォーマンスの全体像を遥かに正確に把握することが出来るようになる。
この考え方を拡大して、新しい顧客 vs 既存の顧客、異なるタイプの顧客、eメールの登録等の非コンバージョンの成功を示すメトリクスに金額の価値を含めることも可能である。ただし、推定$の価値を割り当てると、会計部門はレポートに目を通し、報告された金額が彼らの考え方では“リアル”ではないため、信じてもらえないと言う落とし穴があるので注意してもらいたい。
伝達する難しさを理由に複雑なデータを避けるべきではない。レベルを引き上げるためには繊細なアプローチが必要である。従って、レベルを下げるのではなく、引き上げる試みを推奨するコミュニケーションおよび報酬体系を確立する取り組みは、有料検索マネージャー、そして、シニアマネージメントの仕事である。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「4 Reasons Your Boss Might Hate Your SEM Campaign」を翻訳した内容です。
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