検索エンジンがユーザーファーストを掲げている以上、SEOもユーザーを考慮せず成立することはありえないでしょう。以前の状況とは違い、ユーザーを抜きにして語るSEOは存在しないといっても良いくらいです。
しかし、最近SEOを始めた方や、かつてのSEOのイメージを持った方にとっては、いまいちピンとこないかもしれません。
どちらかと言えば初級者向けの記事かもしれませんが、改めてSEOにおけるユーザー体験の重要性を解説している記事を紹介いたします。
10年前は、UXチームとSEOチームは犬猿の仲であった。彼らの目的が一致していなかったからである。
UXチームはユーザーに注視していた。ユーザーに素晴らしい体験を提供し、ユーザーが目的を果たすために、可能な限りの助力を与えていたのである。
しかし、不幸にも、UX観点では優れていることがそのままSEO観点でも優れた効果をもたらすとは言えなかった。
一方、SEOチームは、ファーストビューの上部にコンテンツの大きな塊を配置することを望んだ。
なぜだろうか。
理由は、そういった施策を検索エンジンが評価していたからである。
つまり、ページの内容をより関連性のあるものにするためであった。
また、多数のフッターナビゲーションやタグクラウドの設置も、SEOチームは望んでいた。なぜなら、クローリングとインデキシングのプロセスにおいて有効な施策であったからである。
SEOチームは、コンテンツの内容も検索クエリと合致させることを望んだ。「金融のページ(monery pages)」とするほど、検索クエリとの正確な合致を望んでいた。
また、こうしたページは他の関連するクエリにも最適化することが可能であったため、追加のコンテンツも必要とされていた。
こうした追加コンテンツがサイトを肥大化させた。コンテンツを管理することができなくなり、長期間の運用の結果、重複コンテンツの温床となった。その後、そうした重複ページは削除されることとなる。
ゆっくりと、しかし、確実に、検索エンジンはコンテンツの意味を理解する方法を変更していった。その変化は、前述したような「ハックするSEO施策」を必要としなくなったのだ。実際、このような施策は、SEOの助けとなるどころか、SEOを妨げる要因となっていった。
この変化は良い変化と言えるだろう。なぜなら、こうした変化は、UXチームとSEOチームが互いに協力しあえることを意味しており、ユーザーと検索エンジンの両方にとって有益な施策を共に行うことができるようになったからである。こうした状況が、現在と今後のSEOで勝利するための方法であるのだ。
では、「具体的に何をすべきか」を見ていこう。
目次
すべてのユーザーは疑問をもっており、それを満足させる答えを探している。彼らはその答えを素早く得ることを求めており、可能な限り使いやすいサイトから得たいと考えている。
このユーザーへの回答は以下の3つにまとめることができるだろう。
この記事では、上の最初のステップに注視したい。なぜなら、ここ2年間でGoogleがロールアウトしたアップデートの多くは、「どのようなコンテンツが満足のいく答えとなるのか」という点を改善したものになるからである。
ユーザーが果たしたい目的を理解できていなければ、どのようにして彼らが満足する答えを提供することができるだろうか。
ユーザーの検索意図を理解することが、最初のステップになる。
それを理解することができれば、彼らが満足する答えを作ることができるだろう。
ユーザーが満足する答えは、クエリに対する回答であり、適切な種類のコンテンツで提供することが重要だ。
例えば、「マインドハンター シーズン2 トレイラー」と検索された場合、動画のコンテンツを探しており、求めている動画は、マインドハンターのシーズン2のトレイラーとなる。
実際のGoogleの検索結果画面を見てみよう。
IKEAの中古のワードローブのクローゼットを購入した場合、検索クエリは、「ikea pax ワードローブ 組み立て方」となるだろう。
あなたはクローゼットの組み立て方の説明を欲している。なぜなら、以前の持ち主がマニュアルを紛失してしまうことはよくあるからだ。また、あなたには10ページのマニュアルを読んでいる時間はなく、すぐに理解できる答えを欲している。
下記は、「ikea pax ワードローブ 組み立て方」の検索結果画面である。
多くのユーザーはすぐに閲覧できる簡単な組み立て方の説明動画を欲し、PDFのマニュアルをダウンロードすることを(現時点では)欲していないことを、Googleは理解している。
検索結果画面をスクロールしていくと、マニュアルのダウンロードページが表示されている。動画が役に立たなかった場合に備えて表示させているのだろう。自身の経験からも、非常に理にかなっていると言える。
こうした両方のニーズを満たすために、組み立て方の説明動画とPDFのダウンロードを両方備えておくことが理想だろう。
別の例を見てみよう。「iPhone 11 購入 オンライン」という検索の場合だ。この場合、検索する目的は明らかだろう。iPhone 11を、オンラインで購入したいのだ(物理的な店舗での購入ではないため、近所の店舗の情報は表示されていない)。
この場合、iPhone11を販売しているECサイトがユーザーの満足のいく答えとなるだろう。そして、実際に買うべきECサイトはどこになるだろうか。
ここで非常に興味深いことは、この検索クエリにはニュース性のあるコンテンツも表示させているということだ。検索結果に表示されている「Top Stories」がそれにあたる。なぜなら、この原稿を執筆しているタイミングでは、iPhone11がリリースされてから間もないためである。
Top Storeisにしばしば採用される権威のあるサイトがiPhone11についての記事を書いている場合、こうしたキーワードで上位に表示される可能性は高い。もちろん、そうしたサイトがiPhone11を販売しているのであれば、特に魅力的となるだろう。
この検索クエリの場合、「Top Stories」は時間と共に表示されなくなると思う。小さい枠での表示は残ると思うが、それだけだろう。
ユーザーが満足する答えを提供するには、2つのプロセスを要する。
まずは、ユーザーが達成したい目的(検索意図)を理解することである。次に必要なことは、「適したコンテンツの種類」で提供された「適したコンテンツ」によって、答えを作成することだ。
潜在ユーザーが満足する答えの作成に成功した。しかし、あなたはクリック(サイトへの流入)を勝ち取らなければならない。
コンテンツ作成の初期から最後までを一貫して行う必要がある。訴求力のあるタイトルの作成・メタディスクリプションの記載・わかりやすいURLなどだ。
検索結果のレビューの表示をGoogleは頻繁に変更するが、検索結果で自身のサイトを目立たせる手法としては、今でも効果的である。
Googleがレビューを表示する場合は多くある。また、検索結果のビジビリティを高めるための新しい手法もある。FAQを例に挙げることができるが、「ホテル ニューヨークシティ」の検索結果を見てみよう。
Googleの調査によれば、読み込みに3秒以上かかるページの場合、53%のモバイルユーザーが離脱してしまうということだ。ユーザーは皆忙しいし、待つのが嫌いであるため、非常に納得できる数字だ。
つまり、あなたは、いち早く答えを提供することを心がけなければならない。
早ければ早いほどよい。しかし、競合他社によって市場の勢力図は定義されており、ユーザーもそれに慣れているかもしれない。そのため、競合サイトよりもあなたのサイトの方が早くなれば、その投資から成果を得られる可能性はあるだろう。
ページスピードとユーザー体験の話をする際、私は常にTime to Interactive(TTI)、つまり、「ユーザーがページを使うことができるまでの時間」に注力している。
コンテンツをいち早く届けるためのベストプラクティスは以下のとおりである。
詳細な情報は、「あなたのWebサイトをさらに素早くさせる方法」の記事にまとめられている。
私の見解では、簡単に利用できるサイト(使いやすいサイト)とは、優れたユーザービリティを提供しており、モバイルフレンドリーであるサイトだ。
優れたユーザービリティにおいては、以下の項目が重要となる。
ユーザービリティについての別の記事も紹介しておこう。
ユーザーがどのデバイスを使用していようとも、彼らにWebサイトを効果的に使用してもらう必要がある。多くの場合、レスポンシブ対応が最適解となる。
モバイルのデザインから設計すべきだろう。モバイルの設計が正しく行えれば、デスクトップ版への適応も容易になる。
このトピックについてはすでに多くの記事に書かれているため、ここでは有益なリソースを紹介するにとどめておこう。
Googleが提供するモバイルフレンドリーテストツールも非常に便利だ。まだ利用したことがないのであれば、すぐに確認して欲しい。
今日、UXとSEOはそれぞれの目的を共有できる状態にある。そのため、優れたユーザー体験の提供の継続に注力していれば、自ずとSEOの勝利も見えてくるだろう。
優れたユーザー体験を届けるためには、ユーザーが満足できる答えをいち早く提供し、使いやすいWebサイトを構築することだ。
この内容を心に留め、最高なユーザー体験を提供し続けていけば、SEOで大きな成果を得られるだろう。
かつて、SEOとユーザー体験は全く別の文脈で語られることが多く、それぞれが同じ目的を共有するという姿は想像さえできなかったと思います(もちろん、当時から両立した考えを持つ方もいらっしゃったと思いますが、明らかに少数派であったと思います)。
現在では、SEOを語る上で、ユーザー体験を外すことのほうが珍しくなってきました。
検索エンジンが進化し、ユーザーの嗜好や行動が変化する中、SEO担当者としてのスキルもしっかりと最適化していきましょう。
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