Googleアルゴリズムの進化 – ソーシャル、リンク、そして、民主主義

公開日:2013/12/03

最終更新日:2024/02/16

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数々のスパム検出アルゴリズムやハミングバードアップデートで進化を続けるGoogleですが、大きな流れでいえばリンクベースの評価基準をよりソーシャルベースの評価基準へと移行させつつある、ということがあるようです。リンクはSEOにより濫用され続けてきた歴史がありますし、ソーシャルメディアの普及でリンクを評価軸の中心に置くのはそもそも良いのか?という話もあります。今回はマット・カッツが今後のGoogleについて語った話を元に筆者がGoogleのアルゴリズムの進化について考えた次世代SEOを占う記事を。 — SEO Japan

ハロウィーンの当日に行ったハングアウトオンエア(HOA)のライブ放送イベントにダニー・サリバンに参加してもらった。このイベントでは、ハミングバード、そして、ソーシャルシグナルに関して、意外な新事実が幾つも明らかになった。このイベントをスコット・スカウクラフト氏が、大事な箇所を5分間の動画に見事にまとめてくれたので(スコットマジックと私は呼んでいる)、是非、視聴してもらいたい:

YouTube Preview Image

整理すると、以前、グーグルは、ソーシャルシグナルをランキングの要素として利用する点に関して、技術的に大きな欠点を抱えていたようだ。しかし、ハミングバードの導入により、グーグルは、(その他のシグナルに加え)ソーシャルシグナルを巧みに処理するためのインフラが整備されたことになる。

これは、先日行った調査で、グーグル+のシェアのリンクがランキングに影響を与えていない点が判明した理由なのかもしれない — しかし、同時に、グーグルプラスがランキングインパクトを与える日が、間近に迫っていることを示唆している可能性もある。

ダニー・サリバンは、HOAで幾つかの比喩を用いていたが、その中でも、米国が誕生した頃の投票制度の例えは特に分かりやすかった。票を投じるためには、資産家の白人の男性でなければならず、民主主義とはほど遠いシステムであった。

時代の流れと共に、白人以外の人種、裕福ではない者、そして、女性にも投票権が与えられるようになった。米国は進化を遂げ、基本的には18歳以上の全ての市民が投票することが出来るようになった。

この民主主義は検索でも行われているのか?

その問いに対して、簡潔な答えを提供する必要があるなら、イエスでもあり、ノーでもあると私は答える(あまり単純ではないが…)。もう少し細かく状況を解説していこう。

今まで、SEOを動かしていたのはリンクであった

これは、大地主の白人男性のみが投票権を得ていたシステムに相当する。ウェブでは、リンクを実装するには、ウェブサイトを持っている必要がある。土地の所有と比べると、大した投資ではないが、それでもある程度の投資が求められる。ソーシャルメディアのアカウントを開設する際の投資と比べると、遥かに犠牲は大きい。

グーグルは、今後、ソーシャルシグナルをランキングの要素として利用するようになる

冒頭の指摘を再び整理すると、次の2つのポイントが浮かび上がってくる:

  1. グーグルは、現在、ソーシャルシグナルを利用していない(または大々的には利用していない)
  2. 今後は利用するつもりである

スパムが支配する世界

これが現実だ。そのため、あるタイプの票を無効にする必要がある。自分自身への投票も無効扱いされる。自分に票を投じるための行為は、認められず、単純にカウントの対象外になる。

当該の分野の専門家の票は重要視されるべきである

あるトピックにおいて、エキスパートと認められる人物であり、そのトピックにおいて、優れたコンテンツを作成したと評価されているなら、当該の人物の意見は、何も知らない人の意見よりも重視されるべきである。リンクベースのアルゴリズムは、常にこの方式を介して、運営されてきた。ソーシャルシグナルにおいても、同じ方式が用いられることになる。

ウェブにおいて、リンクは、社会的証明の最初の形式であった。優れたコンテンツに対して人々(この比喩では、裕福な白人の地主)が票を投じる手段であった。元々のグーグルのアルゴリズムでは、ページランクは、誰がトピックのエキスパートなのかを示す手段であり、リンクのページランクが高ければ高いほど、低いページランクのサイトのリンクよりも、重視されていた。このシステムも時間の経過と共に進化し、関連性が大きな要素として定着した。

ソーシャルメディアの世界では、トピックのエキスパートの評価は、関連するコンテンツが、言及される、シェアされる、そして、+1される等のアクションを介して、決められていく。

ソーシャルでの投票は、労力と関与のレベルがリンクよりも低い

ウェブサイトのオーナーのみが票を投じる世界(ウェブサイトを持っていなければ、リンクを埋め込むことが出来ないため)が民主的とは言えないと指摘することも出来るが、リンクを使ってコンテンツに「票を投じる行為」には、ソーシャルメディアでコンテンツを共有する行為よりも多くの労力、そして、関与が求められる。

Social Media Signals Lack Commitment

票の重み付け

いいね!や+1ボタンのクリック — 労力のレベル(とても低い)関与のレベル(低い)

コンテンツのシェア — 労力のレベル(低い)関与のレベル(並)

リンクの掲載 — 労力のレベル(高い) 関与のレベル(高い)

ウェブサイトのパブリッシャーは、まったく信頼されていない低レベルのサイトから距離を置き、ブランドの評判を守らなければならない。スパム丸出しのアフィリエイトサイトにリンクを張ってしまうと、ターゲットのオーディエンスからの評価は落ちてしまう。ソーシャルメディアでも同じことがいえるが、ソーシャルメディアでのコンテンツの共有は、数分間で消えてしまうものの、ウェブサイトにリンクを張ると(削除するまでは)その場所に残る違いがある。

いずれのシナリオにせよ、ろくでもないサイトにリンクを張る気にはならないが、本当の問題は、曖昧な領域に属する。ソーシャルメディアでコンテンツをシェアする前に、どの程度、当該のコンテンツの質をチェックするだろうか?時間がないものの、何かを推薦したいなら、見たところ質が高そうなコンテンツを見つけたら、さらに数分間を割いて、質を吟味しようと思うだろうか?誰よりも早くシェアしたい欲求が強く、最後のチェックをスキップしてしまうだろうか?用心、そして、努力に影響を与える可能性があるシナリオは、他にも多く考えられる。

このように、曖昧な領域が存在するものの、二流のコンテンツのシェアがもたらすリスクは低い。一方、ウェブサイトでは、低レベルのコンテンツにリンクを張ることで、ブランドおよび評判が被るダメージは大きい。

解決策

あくまでも個人的な意見だが、堂々と発表させてもらう。次のような公式が採用される確率は非常に低いと私は考えている:

Social Signals and Link Signals Together

ソーシャルメディアでの証明のシグナル – シナリオ 1

ウェブリンク、グーグル+でのリンクのシェア、+1 -> ソーシャルシグナルの選別 -> 票

先程申し上げた通り、ソーシャルメディアを介して、ユーザーが投票(シェア、+1、コメント)に投じる投資は、ウェブサイトにリンクを掲載する際の投資とは異なる。そのため、若干、異なる仕組みで、票が処理されるのではいだろうか。次のような仕組みの方が、有効に働くと私は思う:

Social Signals and Link Signals Separately

ソーシャルメディアでの証明のシグナル – シナリオ 2

ウェブリンク -> リンクのシグナルの選別 -> リンクベースの票

グーグル+でのリンクのシェア -> グーグル+でシェアされたリンクの選別 -> グーグル+の票

+1 -> +1の選別 -> +1の票

コメント -> コメントシグナルの選別 -> コメントの票

ソーシャルシグナルの選別を行う仕組みは、シグナルによって大きく異なることを強調するため、2つの表を提供した。「ソーシャル票とリンク票を足して、それで終わり」と言うわけにはいかない。どのような形で投票が行われるにせよ、コンテンツに「票を投じる」人物/ブランド/パブリッシャーの信頼性に応じて、重みづけが行われるはずである。

しかし、上の表には、シグナルによって、ランキングに与える影響が大きく異なる点が反映されていない。特定の種類のシナリオでは、リンクが強い影響力を持ち、ソーシャルシグナルは全くインパクトを与えない(あるいは、その逆)ケースも考えられる。

まとめ

リンクとソーシャルシグナルは、ともに社会的証明の形式の一つだが、どのように動くか、そして、何が関わるのかに関しては、全く異なる。そのため、グーグルが適用する仕組みにも、違いが生じると私は考えている。いずれにしても、多くのプラットフォームで評判を確立し、様々なタイプの社会的証明のシグナルを得ることが、オンラインマーケティングの中心的な取り組みになることに変わりはない。

大きな企業では、大きなスケールで行われる。零細企業では、一部の分野、または、地域のマーケットに絞って、この取り組みが行われる。企業の規模に関係なく、やることは同じである。自分が所属するマーケットで、リーダーとしての地位を確立する必要がある。これは、最終的なゴールである。また、最後になるが、グーグルは、グーグル+のシグナルを何かに対して、カウントする試みを始めようとしているようだ。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「What Everybody Missed About Hummingbird: Social Signals」を翻訳した内容です。

ソーシャルシグナルの重要性がさらに叫ばれる最近ですが、記事の筆者の分析は中々面白かったですし、なるほどそんなに単純な話ではないことも改めて理解できました。もちろん今の時点でも例えば「いいね!」数が多ければよいものではないことは自明の理ではあるでしょうが、「ソーシャルシグナルが大事(オーソリティに限る)」といわれた時点で、その手のサービスがまた大量に登場し無作為に電話営業され販売されそうなことは容易に想像はついて怖い面もあります。ソーシャルシグナルの場合、現状のリンクペナルティのように外すことも難しそうですし。さらなる混乱を巻き起こさないためにも、Googleも簡単には検索結果に影響力があるとはいえなそうなソーシャルシグナルですが、さて2年後3年後の検索結果にどこまで影響を与えているのか興味深い限りです。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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