複数のAIプラットフォームが機能する時代を先行するCMO・SEO担当者になるには(Part1)

公開日:2025/10/28

最終更新日:2025/10/28

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本記事は、「BrightEdge」というSEOとAIに関するサイトパフォーマンスを計測できるツールを提供している企業のLemuel Park氏の発信を元にしたSearch Engine Journalの記事「The CMO & SEO: Staying Ahead Of The Multi-AI Search Platform Shift」を翻訳したものです。

※SEO Japan補足:「BrightEdge」
企業向けSEOプラットフォームを提供する企業。この記事の著者Lemuel ParkはBrightEdgeの共同創設者兼CTO。BrightEdge分析は同社のデータ分析ツールによる調査結果を指す

AI検索とGoogle検索を行き来する、マルチプラットフォームでの検索の世界が到来しつつある今、「検索はどのように進化していくのか?」「ChatGPTは脅威なのか、それともチャンスなのか。」「大規模言語モデル(LLM)の最適化は、検索エンジンの最適化と同じなのか。」とSEO担当者とCMOの双方が最も気にかけている問題があります。

この2部構成のシリーズでは、こうした疑問に答えながら、今後SEO担当者およびマーケティング責任者(CMO)が大きな変化を乗り越えるための明確な方向性と焦点をお伝えします。

この記事で学べること

エコシステムの進化

依然としてGoogleが優勢な世界ですが、ネイティブAI検索プラットフォームがどこで成長しているのか、そしてそれが何を意味するのかを解説します。

チャンス vs. ピンチ

AIプラットフォームがかつてないブランドの露出の機会を生み出す一方で、新しい投資収益率(ROI)の考え方が求められる理由と、それが我々にとってピンチとなるのか、チャンスとなるのかを解説します。

LLM最適化戦略

AIと検索プラットフォームを問わず、SEOの重要性がこれまで以上に高まっている理由と、最適化すべき具体的なポイントを解説します。

CMOの優先事項

AI検索において、権威性と信頼性のシグナルがこれまで以上に重要になっている理由を解説します。

組織の連携

AIファーストの検索市場で戦略的に戦うために、マーケティング、PR、技術チームを統合する必要がある理由を解説します。

検索エコシステムは今後6か月でどう発展するのか?

上記の質問に答える上で、私は今、本当に興味深い現象を目撃していると感じています。検索環境は根本的な変革を遂げており、今後6か月で大きく加速していくでしょう。

Googleは依然として約90%の市場シェアを握っていますが、AI検索プラットフォームは無視できない爆発的な成長を見せています。

具体的な数字を見てみましょう。ChatGPTは月次で21%の成長を示しており、週間アクティブユーザーの数は7億人に到達する勢いです。

ClaudeとPerplexityも、それぞれ21%と19%の成長で同様の数字を記録しています。しかし、私が特に注目しているのはGrokです。月次で1,000%を超える成長を記録しました。

出典:BrightEdge Generative ParserおよびDataCube分析、2025年7月。

※SEO Japan補足:「Generative Parser」
AI生成コンテンツを解析するツールの名称。

確かに小さな基盤からのスタートですが、この成長軌道は注目すべきダークホースと言えるでしょう。一方、DeepSeekは1月の急増後、徐々に減少を続けており、この新興市場のボラティリティを浮き彫りにしています。これについては後ほど詳しく触れます。

※SEO Japan補足:「Deep Seek」
中国発のAI企業が開発した大規模言語モデル(LLM)。

※SEO Japan補足:「ボラティリティ(volatility)」
価格や数値の変動の激しさ、不安定さを表す用語。ここではAI検索プラットフォームの利用者数の変動性を指す

ユーザー行動も複数のAIプラットフォーム上で進化している

特に興味深いのは、ユーザー行動の進化です。人々は単にGoogleからAI検索へ切り替えているわけではなく、具体的なニーズに応じてプラットフォームを使い分け始めています。私が観察している使い分けは以下の通りです。

  • 深い調査が必要な時はChatGPT。
  • 素早く事実を確認したい時はPerplexity。
  • 信頼できる情報が必要な時はClaude。
  • 包括的な情報を得たい時はGoogle。
BrightEdgeからの画像、2025年8月

BrightEdgeから引用:2025年8月

CMOに求められる、AIとSEOに対する向き合い方の変化

マーケティングの観点から見ると、各種AIプラットフォームへの最適化は急務であると言えます。SEOはもはやGoogleだけを対象とするものではありません。もちろん、依然としてGoogleに最も注力すべきという点は変わりませんが。

マーケターは、それぞれ独自のデータ取り込みパイプラインを持つ複数のAI検索への最適化を考える必要があります。ChatGPTとClaudeの場合、AIモデルが安全に再利用できる、明確で構造化された引用付きのコンテンツが必要です。Perplexityの場合は、従来のキーワード密度よりも、タイムリーさ、信頼性、簡潔さが重要になります。

もはやWebサイトの運用は、クリック数を増やすための最適化だけでは不十分です。影響力と引用を得るための最適化が求められています。つまり、これらすべての異なるタイプのAI体験において、適切なタイミングで適切なコンテキストの中に表示されることを確実にする必要があるのです。

検索ボットからAIユーザーエージェントへの進化

この動きを主導しているのが、ChatGPTとそのユーザーエージェントです。

7月のBrightEdgeの分析によると、ChatGPTのユーザーエージェントによるリアルタイムページリクエストが、その活動量をほぼ2倍に増やしたことが明らかになりました。つまり、質問に答えるためにリアルタイムのウェブ検索を利用するユーザーが、わずか1か月で2倍近くに増えたということです。

例えば、最新のレビューをもとに「Apple Watch vs. Fitbit」を比較したいとします。この場合、ChatGPTユーザーエージェントはあなたのブラウジングアシスタントとして機能し、あなたの代わりに情報を探します。これは従来の検索エンジンやクローラーとは根本的に異なる仕組みです。

「Apple Watch vs. Fitbit」

BrightEdgeから引用:2025年8月

まとめると、今後6か月間で、私が「マルチAI検索の世界」と呼ぶものが確立されると考えています。ユーザーは、その時々のニーズに応じて、プラットフォーム間を流動的に切り替えることに慣れていくでしょう。クロスプラットフォーム最適化をいち早く理解した人々には、大きなチャンスをもたらす事になるでしょう。

ChatGPTのようなAIプラットフォームの台頭は、CMOにとってチャンスなのかピンチなのか

すべてチャンスと捉えるべきです。

各AIプラットフォームは独自の機能やその特性を確立しつつあります。GoogleはAI OverviewsとAI Modeに注力しています。ChatGPTは会話型Q&Aから完全なウェブ検索とAIを統合したサービスへと、興味深い進化を遂げています。

Perplexityは、引用を重視し、モバイルユーザーにとって使いやすいUIで、一流の「回答エンジン」としての地位を確立しています。また、ニュースプロバイダーやリアルタイムデータとのより深い統合も計画しています。

Claudeは会話機能を超えて、優れたファクトチェック機能を備えたコンテキスト検索へと拡大しています。一方、MicrosoftのBing Copilotは、ドキュメント生成とウェブ検索をシームレスに統合したハイブリッド型として位置づけられています。

AIプラットフォームの台頭により、CMOは新たなマーケティングチャンスを得られる反面、各プラットフォームの特性を理解し、将来を見据えた戦略的な対応が必要になっています。

CMOが理解すべき、ランキングから参照・引用への移行

ここで重要なマインドセットの転換があります。私たちがWebサイトの運用において注目すべき指標は「ランキング」から「参照」へと移行しているのです。AIによる要約は単に上位10件のリンクを表示するのではなく、回答の中でサイトを参照し、出典として示します。

AIによる要約の中で引用されることは、従来のブルーリンクで上位にランクすることよりも大きな影響力を持つ可能性があります。そのため、CMOは自社がどこにランクしているかだけでなく、自社のコンテンツがどこでどのようにAIから参照され、引用されているかを追跡し始める必要があります。

技術インフラの要件とCMOのSEOチームへの依存

技術面では、構造化データと明確な情報設計は、もはや「あれば良い」というものではなく、必須の基盤となっています。

技術インフラの要件

BrightEdgeから引用:2025年8月

AIは正確な情報を引き出すためにこの構造に依存しているため、schema.orgマークアップ、クリーンな技術的SEO、マシンリーダブルなコンテンツ形式が不可欠です。

※SEO Japan補足:「schema.orgマークアップ」
検索エンジンにコンテンツの意味を伝えるための標準化されたタグ

ブランド、CMO、そして権威性と信頼性の重要性

ここで重要になってくることがあります。権威性とブランドの信頼性が、これまで以上に重要になっているのです。AIは、権威があり、信頼でき、頻繁に引用されていると判断するサイトから情報を引き出す傾向があります。これは、すべてのデジタルチャネルにわたる長期的なブランド構築、ソートリーダーシップ(「この業界ならこの企業」という認知、ブランディング)の重要性を高めています。

人間とAIアルゴリズムの両方に向けて、E-E-A-Tシグナル(経験、専門性、権威性、信頼性)に注力する必要があります。

CMOがSEOとAIで競争優位性を獲得する方法

こうした変化に積極的に適応しているCMOこそが、競争優位を獲得していると言えます。

つまり測定方法、技術的SEO、ブランドの信頼性、チーム間の連携を見直しているCMOです。優秀なCMOは、既に自社が継続的な可視性と影響力を確保できるよう、対策を始めています。

AI検索への移行は急速ですが、賢明なエンタープライズマーケターは、これをブランドエンゲージメントを深め、人間のユーザーとAIエンジンの双方にとって信頼できる情報源になるチャンスとして捉えています。

確かに挑戦的な取り組みと捉えられますが、これを正しく実行できることの、ブランドにとっての潜在的な利益は計り知れません。

これはROIについて考える、まったく新しい方法なのです。

LLMへの最適化は、Googleが言うように検索エンジンの最適化と同じなのか

タイで開催されたGoogle Search Central Liveでの、「SEO担当者はGEOのために最適化する必要はない」というGaryのアドバイスを受けて、私はGaryの意見が正しいと考えています。「SEO」と「GEO」は頭字語が違うだけで、特にGoogle検索に関しては、本質は変わっていません。

SEOはこれまで以上に重要になっており、AIはこの分野の専門家への需要を加速させています。あなたのウェブサイトは依然として、高速で、モバイルフレンドリーで、技術的に正しく構築されている必要があります。検索エンジンとAIシステムの両方が、あなたのコンテンツを効率的にクロールしてインデックスできなければなりません。適切なURL構造、XMLサイトマップ、クリーンなコード、高速な読み込み時間といった技術的最適化は、今でも成果をもたらしています。

CMO、SEO、そしてLLM最適化の基礎

さて、すべてのLLMに向けた最適化について話す時、成功の鍵は依然としてコアSEO(特にテクニカルSEO)とコンテンツの基礎にあるという共通点があります。

  • 強力な内部リンクは、AIクローラーがあなたのページ間のつながりを理解するのに役立ちます。
  • すべてのページがクロールしやすい状態であることを確認してください。
  • 明確な見出し、スキーママークアップ、FAQセクションを使って、コンテンツ全体で関連する質問に答えましょう。
  • 人々が何を達成しようとしているのかを理解し、答えを提供して、AI検索結果で引用される情報源になることを目指してください。

    これまでのSEOと同じように。

LLMプラットフォーム固有の違い

より多くのブランドが複数のAIプラットフォーム上で発見され、解釈されるようになるにつれ、各プラットフォームが独自のインターフェース、ロジック、そしてブランド認識の形成方法を持っていることを理解することも重要です。

各プラットフォームは独自の強みを発展させています。ChatGPT Searchは包括的な文脈を持った回答を提供します。Perplexityは視覚的な統合と関連コンテンツで優れています。Google AI Overviewは構造化された階層的な情報の提示に長けています。

具体例を挙げましょう。ユーザーが「何が最高か?」のような比較の質問をすると、ChatGPTとGoogleのアプローチは似ています。しかし、「どうすればよいか?」のような行動指向の質問になると、両者は大きく異なります。ChatGPTは意思決定をサポートするコーチのように振る舞い、Google AIOは調査アシスタントの役割を保ちます。

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BrightEdgeから引用:2025年8月

トラストシグナルの違い

各プラットフォームは、トラストシグナルのパターンも異なります。Google AI Overviewsは、レビューサイトやRedditのようなコミュニティソースを引用する傾向があり、「コミュニティはどう考えているか?」という視点を重視します。

※SEO Japan補足:「トラストシグナル(Trust Signal)」
AIが情報源の信頼性や権威性を判断するための手がかりのこと。

一方、ChatGPTは通販サイトのソースをより頻繁に参照する傾向があり、「どこで購入できるか?」という視点を重視します。これは、各プラットフォームが信頼性と権威性の検証に対して異なるアプローチを採用していることを示唆しています。

CMOとマーケティングチームのためのAI最適化3ステップ

これから組織が取り組むべきフレームワークをご紹介します。

①複数のAIエンジン全体での自社のAI上のブランドプレゼンス(AI検索結果上の自社コンテンツの露出度)を追跡します。AI Overviews、ChatGPT、その他のプラットフォームでの引用と言及を通じて、可視性が時間とともにどう変化するかをモニタリングします。

②主要なプロンプトにおけるブランド言及の違いを理解することに焦点を当てます。ChatGPT、AI Overviews、その他のAI検索エンジンのどのプロンプトでブランドが言及されるかを素早く特定し、コンテンツを効率的に最適化できるようにします。

③特定のプロンプトを深く掘り下げて、AIシステムがなぜそのブランドを推奨するのかを理解します。センチメント分析を活用することで、各AIエンジンがどのブランド属性を好むかについて正確な洞察が得られます。

関連記事:The Triple-P Framework: AIと検索によるブランドの認知度・出現率のパフォーマンス

※SEO Japan補足:「センチメント分析」
テキストデータから感情や意見を抽出・分析する自然言語処理技術

マーケティングにおけるAI、検索、チーム間の連携

私が見てきた中で効果的な取り組みの一つは、マーケティングチーム全体でのより緊密な連携です。広告戦略とオーガニック戦略はこれまで以上に足並みを揃える必要があります。なぜなら、広告とオーガニックのAI Overviewsはしばしば一緒に表示されるため、メッセージング、ブランディング、ターゲットとするインテントは完全に一貫している必要があるからです。

さらに、PRとコンテンツチームの間でより良い調整が必要です。メディア、レビュー、権威あるサイトでのオフサイトの言及が、AIの要約で誰が引用されるかに直接影響を与えるからです。

まとめ「マルチプラットフォームでの検索に対応する」とは

変化に積極的に適応しているCMOは、進化し続ける環境の中で、競争優位性を確保できるよう各種プラットフォームでの露出の仕方や、そのための発信に取り組んでいます。

これまでのように、広告とオーガニック検索を分けて考えたり、自サイトの各ページがどのように引用されているか?のような情報を個別に見るのではなく、全体像を捉える必要があります。

その上で自社のWebサイトはどのようなポジションで、ユーザーからはどのように受け入れられているのか?それはどのプラットフォームで、どのように言及されているのか?また、その理由までを把握し、最適化に取り組むことが「AI時代の検索における最適化」と言えるでしょう。

AIと検索に関してCMOが抱く3つの大きな疑問

Q:AIがGoogleを駆逐する?
A:いいえ、AIはGoogleをさらに強化しました。

Q:SEOは終わった?
A:いいえ、SEOはこれまで以上に重要になっています。生成AIへの最適化(GEO)は、これまでのSEOの基礎の上に構築されています。

Q:すべてが変わる?
A:変化すればするほど、変わらないものも増えます。

※SEO Japan補足:「AIによって変化していくほど、普遍的な点が際立つ」と筆者は言いたいのだと解釈しています。例えば、AIによる検索が台頭し、以前からあるテクニカルSEOの施策が再度スポットライトを浴びているように思います。AIやユーザーの行動が変わることで、大きく変化するマーケティング手法・指標もあれば、本質的で普遍的な施策はより重要性が増して残り続けるだろう、という主旨と受け止めました。

このシリーズのパート2(次回投稿予定)では、従来のSERP検索の未来と、エージェント型SEOが検索ファネルをどう変えるかを取り上げます。こうした変化が、SEOの役割とCMOの管轄下にあるすべてのチームにどのような影響を与えるかを解説します。

SEO Japan編集部より:

本記事の内容は、正直なところ新しい話ではなく、業界内ですでに多く語られてきました。
AIと検索のマルチプラットフォームの活用化が進む現在、先日SEO Japanでリリースした「BtoB製品・サービスの選定や導入検討に関わる会社員・経営層437名を対象にしたAI時代における検索行動の実態調査」でも同じ結果が見られています。

今後AI検索の重要性が高まるのは確実ですが、CVや流入の計測が難しい現時点では、AhrefsのBrand Raderなどを参考に試験的に対応する方も多いようです。

当社内でも「AI Overviewsの影響をどう測るか」「PerplexityやChatGPTで自社がどう扱われているか」といった具体的な問いが増えてきており、AI検索対応は、既存SEOの延長線上にある“現実的な改善テーマ”として扱われつつあります。

構造化データやFAQ、内部リンクの整備といった地味な要素への向き合いと、ブランドの信頼性や専門性などのマーケティングでは当たり前とされてきた文脈の整理が、AI検索時代における“引用される条件”として再定義されています。

SEO担当者としてこうした改めて言われている内容を「本当にできているか?」と今一度整理し直すことが、中長期的に最も価値を生む取り組みになるのではないでしょうか。

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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