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メディアは、利鞘が全てである。eHowは1998年に創設され、$3600万ドルのベンチャー資金が投じられていた。しかし、元々のコスト構造は、コンテンツのコストが高いために崩壊した。そして、eHowの経営は大きく傾き、2004年に$10万ドルで売却されていた。オリジナルのサイトのオーナーは、グーグルボットをブロックしていた。グーグルボットのブロックを解除し、既存のコンテンツに基本的なSEOを実施するだけで、このサイトは売却後2年で$400万ドルの収益を獲得するようになり、収益は400倍に増えた。
ディマンドメディアはeHowを2006年に買収し、コンンテンツの価格および質を下げつつ、サイトを拡大していった。その後、同社はeHowに依存した状態で株式を公開し、$15億ドルと評価されることになった。ディマンドメディアのIPOの直前に、グーグルのマット・カッツ氏は、グーグルの公式ブログでコンテンツミルに警告を発していた。
ディマンドメディアが現在の評価額に値するかどうかを問う議論が行われており、一時、ニューヨークタイムズは、About.comをディマンドメディアに組み込み、合併会社の49%を所有することで、ディマンドメディアを買収しかけていた。しかし、7年前にたった$10万ドルで売却されたサイトについて、ここまで白熱した議論が行われている点こそが重要だと私は思う。現在、確かに機会は縮小し、当時とは変わっているはずだが、その他の人達が見出さなかった価値を見出し、見捨てられていたアイテムをリサイクルする取り組みは、とても有益なのではないだろうか。
eHowの取り組みに関する6ページの記事の6ページ目に、OCR ソフトウェアを使って、SEO業者が実行可能なリサイクルのアドバイスが掲載されている:
コストを低く抑えることが肝要だと同氏は語った。出来れば、知的財産のコンテンツに料金を支払うことなく、著作権の有効期限が切れているマテリアルを探すべきだと同氏は主張している。1923年以前に出版された本なら全て利用することが出来るようだ。
同氏は大量の古い書籍をウェブサイトに掲載するプロセスを行っていると述べていた。例えば、数時間の作業で、世紀の変わり目のクレオールのレシピをビンテージのクレオール料理のサイトに変えることが出来るようだ。その後、グーグルのアドセンスプログラムを使って、エビや鍋やスパイスに対する広告を載せて、エビのレシピを求めてやってくるビジターを導けばよい。
この取り組みのスピンオフとも言えるのが、LoveToKnow(ラブトゥノウ)であり、1911 百科事典をオンラインで提供している。また、アーティクルベース(寄稿者のサイトにリンクを張ることで人気を得たアーティクルファームの)は、現在、全てのアウトバウンドリンクにnofollow処理を行い、なんと毎月$50万ドルの収益を上げているのだ。
アーティクルベースはどのようにしてここまでの規模に成長したのだろうか?アーティクルベースおよびEジンアーティクルズは、3、4年前に記事ディレクトリサイトが大きく失墜したスランプを乗り越えた“選ばれし少数”のサイトである。しかし、両者のモデルは前回のグーグルのアップデートの後、ピークを迎えたようだ。
コンテンツファームは、検索業界にとって政治的な問題になりつつある。「悪魔のSEO」をプレスの視点で「スパム製造機」へと置き換えつつある。リッチ・スクレンタ氏は、100万のスパムページが毎時作られている点を表すスパム時計を作成した。その後、同氏は、20のコンテンツファームサイトをBlekko(ブレッコ)の検索結果から追放し、スパムマンを見捨てることでさらにスパムを追い詰めた。
また、マイクロソフトもバッシングに加わり、ハリー・シャム氏は、グーグルがウェブ汚染に資金を提供していると強調した。ブレッコのモデルが、グーグルがウェブをゴミのようなコンテンツで汚染していると言う主張に基づいている点に関して、マイクロソフトは同意している。その一方、エンドユーザーの不満は大きいものの、メディアがグーグルに関する見解を求めることが可能なエキスパートは、 – グーグルの恥ずかしい見せかけを強調する行為に快感を覚えているSEO業者を除けば、ほとんどいない。フリーランスのライターは、ウェブを台無しにしたのはマーケティングだと主張するかもしれないが、現時点では、グーグルを擁護する側には、信頼されており、有名な人物は見当たらない。グーグルのアプローチを擁護することが出来るのは、収益のストリームで利益を得ている人達のみである。そのため、グーグルはコンテンツファームに背を向けざるを得なかったのだ。
ディマンドメディアのローゼンブラットCEOは、営業のプロであり、グーグルがコンテンツファームに関する警告を初めて行った際、同氏は上記の論理を用いて、グーグルの言うコンテンツファームとは“重複するコンテンツ”を意味すると述べ、警告を一蹴した。しかし、次の日、盗作されたコンテンツを配信していることが見つかり、ディマンドメディアは大慌てで対応を迫れたのだった。 🙂
グーグルは、ビング等に対する中傷PRキャンペーンを強化したことで、グーグル自身が偽善者もしくは無知に見えてしまっている。例えば、グーグルが詐欺広告を提供している点に気づかず、グーグルのエンジニアが広告ネットワークをこき下ろした件など、例は豊富にある。
コンテンツファームに関しては、Answers.com(アンサーズ.com)が$1億2,700万ドルで買収されている点は注目に値し、また、ニュースレターの末尾のアスクセクションのアスクの戦略に関するニュースが巷には溢れている。アンサーファームモデルのソーシャルな面について、フェイスブックがこのスペースに注目していると噂されており、そして、ツイッターはFlutherと呼ばれるソーシャルアンサーサービスを買収している。グルーポンでさえこの分野に注目しているようだ。Quora(クオーラ)はテッククランチで好評を得ているが、既に成熟したテクノロジーのコアを越えて拡大を行うのは難しいだろう。
一見すると、StackExchange(スタックエクスチェンジ)の成長には目を見張るものがあるが、プログラミングのニッチからは抜け出せていない。個人的には、このサイトは、ニッチサイトの一部を引っ張るトピックのエキスパートを見つけて、その他のマーケットでも活躍しようと試みている人には、料金を支払うか、サイト内での権利を認める必要性に迫られると思う。最悪の場合、オンラインのスキームに関してプログラマーほどの知識を持っている人が少ないため、その他のサイトは、リーダーシップに欠けるだけでなく、管理するのも難しくなるだろう。ヤフー!アンサーズに掲載されているジャンクを一目見れば分かってもらえるはずだ。ワードプレスのテーマ、そして、オープンソースのCMSツールがQ & Aサイトに用意されているものの、私がこの類のサイトを構築するなら、広範なサイトはスパムに汚染されており、通常のニッチのサイトは大衆に受けいれられるのが難しいため、早い段階で単一の狭いニッチを選択するだろう。このエントリを作成している時点で、グーグルにインデックスされており、100回以上閲覧されているマハロのページは、50ページを下回る。これでは、賄賂やPR処理班が控えていたとしても、完全な失敗と言わざるを得ない。
moultanoと言うあだ名のグーグルのエンジニアが、以下の見解をハッカーニュースで述べた:
組織レベルでは、グーグルは無秩序状態である。特に検索の質においては、かつては自分で有益な取り組みが出来ることを実証すれば、基本的に重要だと思ったことには何でも手を出すことが出来る。このような優先順位を移すメカニズムさえ存在しないのではないだろうか。
私たちはこの問題に長期的に取り組んでおり、若干ではあるが、進歩している。このような取り組みは、最近の批判的なニュース記事が配信される遥か以前から行われてきた。私個人も1年以上前から作業を行ってきた。結果の質を下げずに“トピックの精度”を“質の改善”のために犠牲にする変更を、なかなか行えないことが問題である。しかし、間もなく大きな変更が幾つか実行されるだろう。
トピックに合う劣悪なコンテンツで結果を水増しして、関連性を高める行為の良い例が、前回の検索結果のスクリーンショットに現れている。ブレッコはファームを禁止したが、ファームのコンテンツがないと、トピックに一致する関連するコンテンツはあまり見当たらない(要するに、コンテンツファームは確かに質が低いかもしれないが、コンテンツファームなしでは、同レベルの関連性を維持することは難しい)。
グーグルはクロームのプラグインを作成し、エンドユーザーにコンテンツミルに関するフィードバックを要請しているが、テクノロジーに詳しい人達にしか接触することは出来ないだろう。そして、フィードバックは非公開である。グーグルは、一部のリンク売買で証明したように、気に入らないサイトを追放するためには、あらゆる手だてを使って正当化を行うことも出来る。メリットがある場合には見て見ぬふりをして、個人的に嫌いなサイトを追い出すのだ。
最近のウォールストリートジャーナルの記事の中で、新しいシグナルがグーグルの関連性アルゴリズムに加えられたと言うアミット・シングハル氏のコメントが掲載されていた:
シングハル氏は、グーグルが多数の“シグナル”、つまり、サイトの格付けを行うためのアルゴリズムに導入するファクターを加えたと明言した。以前、グーグルは、ユーザーが検索結果を訪問した後、すぐに“戻る”ボタンをクリックしたかどうかを計測していると述べていた。これはサイトに対する満足感が欠落していることを示唆している。
さらに、グーグルは、変更点を定期的に評価するために雇った社外の人々からのフィードバックを得ている。このような“人間評価者”は、特定の検索クエリに対する結果を調べ、“このサイトにクレジットカードの番号を登録しますか?”や“このサイトから自分の子供の医療に関するアドバイスを参考にしますか”のような質問への回答を求められる、とシングハル氏は述べた。
コンテンツファームのモデルを、厳しい編集のフォーカス、優秀な編集者、そして、ウィキのソフトウェアを用いて、進化させる方法は注目に値する。元eHowのオーナーによって作られたWikiHowは、相対的なリソースが限定されている点を考慮すると、そのトラフィックのレベル、そして、編集の質はとても高い。ジャック・ヘリック氏は、how-toで2回も大儲けしたのだ。
AOLはハッフィントン・ポストを$3億1,500万ドルで買収した。それでは今回の買収に関するエントリに目を通してもらいたい。この分析は若干粗いが、少なくとも的を射ているはずであり、- ハッフィントン・ポストのページビューの多くは、プロに委託したコンテンツによって稼ぎだされていると言う、多くの人々の見解を打ち砕いている。
ページビュージャーナリズムと距離を置く編集者達は、既にAOLを辞め始めている。 しかし、コンテンツファームのビジネスモデルに興味があるなら、AOLの事業計画が漏えいしているので確認しておこう 😀
通常のコンテンツファームに加え、グーグルはスクレイパーのウェブサイトとも戦っている。実際に、別の目的で同じコンテンツを投稿するサイトに対するアルゴリズムの変更が既に実施されており、さらに、コンテンツファーム対策のアルゴリズムが先日実行され、多くのコンテンツファームに大打撃を与えた。それでは、Sistrix(シストリックス)のデータで上位の敗者の面々を確認してみよう。
このリストに名前が挙がっていないコンテンツファームに気がついただろうか?それは最大のコンテンツファームなのではないだろうか?以下にeHowのライバルのリストを掲載する(SEM Rushを基に算定)。赤い背景のアイテムは打撃を受けたページであり、黄色の背景のアイテムもまた影響を受けた仲間のディマンドメディアのサイトであり、緑のアイテムはトラフィックを得たアイテムである。 p>
ジェイソン・“リンクのためなら何でもする”・カラカニス氏は、先日、コンテンツファームのビジネスモデルから距離を置くべきだと主張するスピーチを行い、そうすることでここ数年間同氏がマハロに関して言ってきたことが全て嘘だったと認めた。これには驚いた。スタートアップのコミュニティ – かつては、同氏の強引なPR丸出しの策略を褒めちぎっていた – が今回はそっぽを向いた点は興味深い。カラカニス氏は、ビジネスモデルに工夫を加えたと主張したものの、劣悪なコンテンツは増えるばかりである。同氏の信用はこれで地に墜ちた。そして、ランキングも地に堕ちていった。シストリックスは、上位にランクインするキーワードが少なくなっただけではなく、グラフが右肩下がりであり、平均的な位置が降下している点を示している。
アスクやeHow等の大規模なコンテンツファームは今後も短期的には健闘するだろう。結局、グーグルはコンテンツファームの結果を出版社に注目させ、その後、作られたコンテンツを出版済みの書籍のコンテンツに徐々に切り替えていくのではないかと思う。大半の読者は、300または400ページの本を1冊書いて$1万ドルの収益を得られればラッキーだとは知らないはずだ。出版社は、さらに目に触れる機会が増えれば、その他にも色々なアイテムを売ることが出来ると作家に伝えるものの、コンテンツのターゲットが絞られていなければ、作家にはプラスに働かないだろう。しかし、この安価なコンテンツは、ミルのコンテンツよりも遥かに構造がしっかりしており、また十分に吟味されている。
先週、検索結果にさらに多くのeブックが反映されるようになった。ただし、私がオンラインにあまり掲載されていないレアな技術的なアイテムを探しているために、このような結果が表示されたのかもしれない。
私は、コンテンツファームに対するアルゴリズムのアプローチが必要だと主張する一方で、リンクの意図を判断するグーグルの偽善的な立場を明らかにした。しかし、誰も明白な疑問以外には関心がないようだ。誰もがグーグルが最も罰を与えたサイトを知りたがっているが、誰も最も得をしたサイトを知ろうとしていないのだ。
ディマンドメディアは、トラフィックのデータがほとんど変わっていないと発表している。
しかし、eHowのランキングが実は上がっている点には触れられていなかった。事実、新たな分布図は過去の分布図と全く変わっていないように見えるが、若干、左上がりに傾いている。これはランキングが上がっていることを意味する。eHowのデータは、アップデートの前よりも15%改善されており、今回のアップデートにより、eHowよりも多くのトラフィックを手に入れたのはユーチューブのみである。
ゴミのようなコンテンツの存在、そして、そのコンテンツが上位にランクインしている点は誰もが気づいていた。しかし、関心を示さなかった。大半のユーザーは検索の消費者としては、思っている以上に消極的であり – デフォルトの順序が変わっても、上位にランクインした結果をクリックする傾向がある。eHowが安価で使い捨ての回答工場と自らを名乗るようになって初めて、同サイトのビジネスモデルに反感を持つようになったのだ。
ディマンドメディアは、有効期限が切れたドメインをeHowのページの奥深くに301リダイレクトするなど、目に余るガイドラインの違反によって、さらに利益を得ていた。同じような行為を実施していた知り合いは、グーグルで罰を受けていた。しかし、eHowは違うようだ。
ローゼンブラットCEOのインタビューを聞くと、期限の切れたドメインをリダイレクトするような人物とは思えないはずだ:
私たちはグーグルには本音で語ってもらいたいと本気で思っています。マット・カッツ氏やグーグルが質について何を言おうと、私たちは支持します。それがグーグルの利益なのです。私たちは繰り返し、重複するコンテンツを…浅はかで、質の低いコンテンツを削除するグーグルの取り組みを称えると言ってきました。私たちもグーグルも消費者を幸せにすることに100%集中しているのです。それが正しい取り組みであり、ビジネスにもプラスに働くのです。
グーグルの都合のよい解釈を広めれば、お咎めなしで済むだろう。だからこそeHowは、コンテンツファームの烙印を作り上げた時よりも早く否定したのだ。
記事ディレクトリ、そして、話題が集まるサイトは、eHowが誕生する以前から存在している。しかし、eHowのマーケティングキャンペーンは非常に辛辣且つ毒に満ちており、競合者の大半の仕事を文字通り破壊してしまったのだ。
そして、現在、グーグルは“コンテンツファームを叩き”(アルゴリズムを介してeHowをどうにか避けて)、ディマンドメディアの競合者の多くは苦しい立場に追い込まれた。その一方で、リチャード・ローゼンブラット氏は、さらに数百万ドルを荒稼ぎした。eHowは選ばれし者だからだ 😀
コンテンツファーム万歳!
この記事は、SEO Bookに掲載された「PreviousI am Long Mahalo…Google Kills eHow Competitors, eHow Rankings Up」を翻訳した内容です。
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