先日、私は検索業界の2人のベテラン、ページゼロメディアのアンドリュー・グッドマン氏、そして、サーチエンジランドの寄稿者であり、ファインド・ミー・ファースターを運営するマット・ヴァン・ワグナー氏にSES シカゴで両氏が参加した「キーワードからバイワードへ」セッションが終了した後、話を聞いた。キーワードに関する会話から始まったものの、トピックはころころと変わり、グーグル、ビング、アトリビューション、そして、小便器の広告にまで展開した。
ジェニー・ハラス(JH): キーワードについて、今、この業界が直面している最も重要な問題は何だと思いますか?
アンドリュー・グッドマン(AG): 私達は進化を違和感なく受け入れています。現在、様々な消費者の検索パターンに反応することが可能であり、この状況を維持したいと思っています。検索エンジンのユーザーの検索の技術は高まる一方です。ジオモディファイアを入力するユーザーもいます… ユーザーが検索を行う意図は増え続けているのです。
しかし、グーグルがブラックボックスに様々なアイテムを投入し、キーワードが利用される前に意図を理解しようとするにつれ、変化が現れ始めています。ユーザーはこの傾向に注意し、利便性を得る代わりにかつて得ていたマイクロデータの一部を失うことを理解する必要があるのではないでしょうか。
マット・ヴァン・ワグナー(MV): 興味深い質問ですね。過去10年間、ユーザーは検索エンジンをより効果的に利用する方法を教え込まれてきました。
個人的には、最も興味深いことは、変わるべきではない用語集、つまりキーワードの本来の姿(一定の期間は安定していたのですが)に対して… 昨年から、グーグルが、プロコトルを変更し、- 検索クエリの特徴のニュアンスを破壊するようなやり方で – ブラックボックスの内側をいじくりまわすようになった点です。
グッドマンさんの指摘に関しては、グーグルは今後も検索を簡素化していくことを望んでいるのでしょうが、採算性は企業間の差別化に左右されるでしょう… グーグルは、会社の競争上の有利な点、そして、顧客候補に接触する方法に関して上手くいくこと、上手くいかないことを理解しているほど知識を得ているわけではありません。ここ1年間でここまで多くの変更を実施したグーグルの方針には、強い違和感を感じます。
検索キーワードの透明性は10年前よりも高くなっていると考えるのが普通ですが… しかし、マッチのタイプやレポートに対する最近の変更により、私達自身、ほぼすべてのクライアントの取り組みを一からやり直さなければならないほど壊滅的なダメージを被っています。
AG: さらに抽象的なことですが、グーグルは受託者責任があると考えています。グーグルは(多くの企業が資金を投じてきた)安定性のレベルをある程度まで示唆してきました。先日、車両を安価な価格でレンタル業者に投げ売りしたとして、自動車メーカーを訴えたディーラーに関する記事を読みました。私達の業界では、ルールを変えたことに抗議してグーグルを訴えることは出来ませんが、モラルの体系、つまり、ある程度の期待をグーグルに寄せており、混乱にはネガティブな反応を示します。
MV: 問題は星の数ほど存在するユーザーは交渉力を持たない一方で、世界を動かす経済的な原動力の大部分の権限をグーグルが握っていることです。マイクロソフトがグーグルと戦えるようになることを誰もが期待していますが、しばらくはグーグルの独走が続くでしょう。例の腹が立ったディーラーは、そのメーカーとは取引せずに、他のメーカーの車を取り扱えばそれで済みます。
JH: 私達にはそんな贅沢は認められません。
MV: 印刷やテレビに戻る手はありますけどね。[笑]
AG: そうです、小便器の上に広告を載せればいいじゃないですか。[全員爆笑] ただし、グーグルは実際に小便器業界の人達ともすぐに向き合わなければならなくなりますよ…
[会話は脱線し、グーグルによる小便器広告の“もしかして”に関する冗談で盛り上がる。]
JH: 完全一致のタイプの拡大、そして、オプトアウトのオプションに関する意見を聞かせて下さい。グーグルは、しばらくの間、オプトアウトすることを認めますが、最終的にオプトアウトすることが出来なくなる傾向が見られます。
AG: グーグルは、その他の企業(ヤフー!、オーバーチュア)と比べると、オプトアウトが多い特徴が見られます…
MV: オプトアウトと言えば、広告のローテーションに関して問題になった時期がありましたね。非難が噴出し、グーグルが[たいして良い製品ではなかったにも関わらず]渋々引っ込める事態になりました。
AG: 最適化をするな。永久に最悪の広告を掲載せよ。
JH: そのセリフは使えませんね。
AG: もう使った気がします。どこかにあるはずです。もうデビュー済みですよ。
MV: あれ、確かグーグルはあのフレーズを変えましたよね?
AG: 「永遠にローテーションさせよ。最適化するな」でしたね。
MV: しかも、確か、「推奨されない」取り組みに分類されていましたよ。
AG: ザガットの推奨ですか?そもそも「推奨」って何でしたっけ?
[今度は誰が何を推奨するかに関する冗談で盛り上がる。]
MV: 最高の広告が最高の広告グループとは限りません。また、クリックスルー率がどれだけ高くても、当該の広告または広告グループの利益が高いとは限らないのです。グーグルはアナリティクス等を試してきましたが、アメリカの全ての企業を最適化することが出来る水準には達していません。ただし、反競争的になってしまうため、実現することは不可能ですが。
JH: グーグルはさておき、お二人ともMSNでキャンペーンを実施していますよね?
MV: MSNって何ですか?
AG: ビング広告って呼ばれてませんでしたっけ?
JH: 古い習慣はなかなか直りませんね。
MV: 私も同じことをしょっちゅうしてますよ。アドセンターと呼ぶように部下を教育したばかりです。
[製品名の話題で盛り上がる…]
JH: それでは、ビングの広告にはどのような印象を持っていますか?また、この分野で今後も競争に生き残れると思いますか?
MV: はい、間違いなく生き残りますよ。ビングは本気です。ヤフー!については若干分からない点があります。マリッサ・メイヤーがCEOに就任したことで、関係が強化され、ディスプレイ広告等が直接ビングに表示してもらえるようになる可能性もあります。
コンテクスチュアル、ディスプレイ、そして、その他のグループは、完全に分離されています。まるで違う国で広告を実施するようなものです。現在のマイクロソフトの取り組みの中で最も私が期待しているのは、アドワーズとのシンクを本格的に行おうとしている点です。マイクロソフトは、グーグルに必死に追いつこうとしていますが、グーグルは常に変更を行っています。
AG: シンクロナイゼーション…は誰もが望んでいることです。グーグルは有料クリック市場の90%を支配しています。そのため、グーグルのアカウントで全てを事細かく最適化することにユーザーは全力を投じています。そのため、ビングで全く異なる取り組みを行うことまで手が回らないのが現状です。
つまり、[シンクロナイゼーションを介して]全てのユーザーに参加してもらうと、マイクロソフトの利益に大きく影響します。現在、大勢のユーザーがフラストレーションを抱えています。
MV: するべきか、しないべきかの問題の一部は解決されたのではないでしょうか… マイクロソフトは、多くの分野でグーグルと競争し、打ち負かすことが出来る力を得られると自負するアイテムを豊富に持っています。しかし、まずは十分な資金を自信のある分野に回し、利益を得られる分野を確立する必要があります。
AG: 個人的には、大きな違いは、マーケットシェアにおける米国での成功の差だと思います。
JH: お二人ともプレゼンテーションの中で、プラットフォームおよびチャンネルの分割が、ツールから得るデータのタイプに影響を与えるとおっしゃっていました。この傾向は続くと思いますか?マーケッターは、全ての異なるチャンネルに対する広告について検討するべきなのでしょうか?
AG: ユーザーが検索を行う方法は細かく… 私が思うに、データを効果的に分割して対応するのか、あるいは、戦略を分割するのかのいずれかを選ぶかが、鍵を握るのではないでしょうか。
役に立つ便利な筋書きおよび行動を起こしやすい分析データを収集する取り組み、そして、バラバラに裂き、統計的には重要ではないレベルのパーツに分割していく取り組みの間には矛盾が存在します。そして、初心者は、小さな枠組みの中のパフォーマンスが低調なアイテムを目にすると、それがデータ内の無作為な不備であり、ノイズでしかなくても、効率が悪いと考えるでしょう。
MV: クロスデバイスアトリビューションの問題が生じており、解決が求められています。しかし、実際に解決することが出来るとは思いません。それでも、データをモデル化し、推測することは可能です。チップが人間に埋め込まれるまでは… not providedの増加に対処する必要があります。ただし、あなたのように2つのデバイスを同時に利用している人が大勢いるため、組織的に取り組まなければなりません。
AG: グーグル等の企業は、[この問題の]解決を求めています。グーグルを止めているのはアップルです。このような企業がお互いを敵視している構図は、少なくともプライバシーの保護にはプラスに働いています。
MV: 2013年は複雑な1年になるでしょう。農場でも買って、チーア(徐々にブームになりつつある植物)の種を埋めた方がいいかもしれません。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Keywords & Search In 2013: Interview With Andrew Goodman & Matt Van Wagner」を翻訳した内容です。
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