SEOコンサルティングサービスのご案内
専門のコンサルタントが貴社サイトのご要望・課題整理から施策の立案を行い、検索エンジンからの流入数向上を支援いたします。
無料ダウンロードする >>
「コアウェブバイタル(Core Web Vitals:ウェブに関する主な指標)」とは、ウェブページにおけるユーザーエクスペリエンス(UX)を数値化したもので、Googleが検索評価において重視する3つの指標(LCP、INP、CLS)です。
サイト表示の速さや操作のスムーズさ、レイアウトの安定性といった体験要素は、SEOにも直結する重要な要素となっています。実際、2025年3月、6月、7月に実施された検索アルゴリズムのコアアップデートでも、「良質なコンテンツ+良好なUX指標」を満たすページは順位上昇の傾向が見られました。
この記事では、コアウェブバイタルの基本から各指標の詳細、SEOとの関係、改善方法までを網羅的に解説します。
目次

コアウェブバイタルは、ユーザーが快適にサイトを利用できるかを数値化する仕組みです。ここでは、その概要とGoogleが重視する理由、企業サイトへの影響を解説します。
コアウェブバイタルは、Googleが提唱するウェブサイトのUXを定量的に評価するための重要な指標です。もともと、ウェブページのユーザー体験をさらに向上させる取り組みを「ウェブバイタル」といいますが、その中でも特に検索評価において重要視されているのが「コアウェブバイタル」です。
具体的には、ページの主要コンテンツが表示される速さを示す LCP(Largest Contentful Paint)、ユーザー操作に対する応答性を測るINP(Interaction to Next Paint/旧FID)、ページ閲覧中のレイアウトの安定性を表すCLS(Cumulative Layout Shift)の3つが対象です。これらが一定の基準を満たすことで、ユーザーにとって快適な閲覧体験が保証され、検索結果における上位表示の可能性も高まります。
Googleがコアウェブバイタルの導入を開始したのは2021年6月です。コアウェブバイタルを重視する背景には、検索結果の品質向上とユーザー満足度の最大化という明確な目的があります。単に情報が掲載されているだけでなく、ストレスなく快適に利用できるウェブページこそが、検索ユーザーに価値を提供すると考えられています。
例えば、主要コンテンツが表示されるまでに時間がかかる、ユーザーの操作に対する反応が鈍い、読み込み中にレイアウトが大きくズレるといった体験は、離脱率や直帰率を高め、結果として検索順位の低下につながる可能性があります。
逆に、表示速度や操作性、視覚的安定性といった体験品質を満たすサイトは、滞在時間やコンバージョン率が向上し、検索評価にもプラスに作用します。Googleが体験を指標化して評価軸に組み込んだのは、検索の「質」を技術的に保証する取り組みといえます。
企業サイトにおけるコアウェブバイタルの改善は、SEOの枠を超えてブランド価値や収益に直結する重要な取り組みです。ユーザーがストレスを感じることなく情報へアクセスできる環境を構築することは、企業への信頼感を高め、商品購入や問い合わせといったコンバージョン率の向上につながります。特に採用ページやECサイト、サービス紹介ページでは、表示に時間かかかったり操作がしづらかったりすると、数秒の差で他社サイトへ流れてしまう可能性があります。
コアウェブバイタルを構成する3つの指標は、それぞれユーザー体験の異なる側面を測定します。ここではLCP、INP、CLSの定義と基準を紹介します。
LCPは、ページの読み込みパフォーマンスを評価する指標です。ユーザーがページを開いた際に「最も大きな主要コンテンツ(画像や動画、テキストブロックなど)」が表示されるまでの時間を計測します。この数値が短ければ短いほど、利用者はストレスなくページの内容を確認できます。
Googleは、良好なユーザー体験を提供するためには、ページの読み込み開始から 2.5秒以内 にLCPが完了することを理想としています。2.5秒を超えると「改善が必要」、4秒以上では「不良」と判定され、検索評価に不利となる可能性があります。モバイル・PCのどちらにおいても共通して測定されますが、特に通信環境が不安定になりやすいモバイルでの最適化が重要です。
| LCPの評価 | 基準 |
|---|---|
| 良好 | 2.5秒未満 |
| 改善が必要 | 2.5秒~4秒未満 |
| 不良 | 4秒以上 |
INPは、ユーザー操作に対する応答性を測定する指標です。クリックやタップ、キーボード操作など、ページ上で行われるすべてのインタラクションの応答時間を評価します。
Googleは応答性の高いUXを提供するためには、INPを 200ミリ秒(0.2秒)未満 に収めることを理想的な基準としています。200ミリ秒(0.2秒)を超え500ミリ秒(0.5秒)未満の場合は「改善が必要」、500ミリ秒(0.5秒)を超えている場合は「不良」と判定されます。
| INPの評価 | 基準 |
|---|---|
| 良好 | 200ミリ秒(0.2秒)未満 |
| 改善が必要 | 200ミリ秒(0.2秒)~500ミリ秒(0.5秒)未満 |
| 不良 | 500ミリ秒(0.5秒)以上 |
以前はFID(First Input Delay)と呼ばれる指標でしたが、2024年3月により実態をとらえやすいINPへ移行しました。FIDが「最初の操作に対する反応速度のみ」を計測していたのに対し、INPはあらゆる操作を対象とし、外れ値を除いた上で最も長い処理時間を報告します。そのため、より実態に即した体験品質を示すことが可能です。
例えば、商品ページでのスクロールや入力フォームでの操作がスムーズでないと離脱につながりやすいため、INPはビジネス成果とも密接に関わる指標といえるでしょう。
CLSは、ページ読み込み中に発生するレイアウトのズレ(視覚的な不安定さ)を数値化した指標です。例えば、読み込み途中に広告や画像が突然挿入され、ボタンやリンクの位置がずれて誤ってタップしてしまった経験は多くのユーザーにあるでしょう。CLSはこのような視覚的ストレスを測定し、スコアとして算出します。
Googleは、良好なユーザー体験を提供するためにはCLSスコアを0.1未満に収めることを推奨しています。0.1~0.25未満は「改善が必要」、0.25を超えると「不良」と評価されます。視覚的安定性を確保することは、ユーザーの誤操作防止だけでなく、サイトへの信頼感を高めるうえでも重要です。
| CLSの評価 | 基準 |
|---|---|
| 良好 | 0.1スコア未満 |
| 改善が必要 | 0.1スコア~0.25スコア未満 |
| 不良 | 0.25スコア以上 |
コアウェブバイタルは、単なる技術的な指標にとどまらず、検索順位やユーザー行動、さらにビジネス成果にも直結します。その影響を具体的に見ていきましょう。
コアウェブバイタルは、Googleが導入している「ページ エクスペリエンス評価」の一部として検索ランキングに一定の影響を与えます。特にコンテンツの質がほぼ同等の競合サイトが並んだ場合、表示速度や操作のしやすさ、画面の安定性といった体験指標が優れているページのほうが、検索結果で上位に表示されやすくなります。ただし、コアウェブバイタルだけで順位が決まるわけではありません。リンクの評価やコンテンツの専門性、ユーザーの検索意図との一致度など、他のランキング要因と総合的に判断されます。そのため、SEO施策を行う際には、体験品質の最適化とコンテンツ品質の両立を目指すことが欠かせません。
ページ エクスペリエンスの構成要素はすべて重要ですが、ランキングでは、ページ エクスペリエンスの一部の要素が平均以下であっても、総合的に優れた情報を含むページが優先されます。優れたページ エクスペリエンスが関連性の高い優れたコンテンツに勝ることはありません。しかし、同様のコンテンツを含むページが複数ある場合は、ページ エクスペリエンスが検索ランキングで非常に重要になります。
コンテンツ以外のUX(ユーザーエクスペリエンス:ユーザー体験)の総称を「ページエクスペリエンス」といい、Googleが重視している指標の集まりを「ページエクスペリエンスシグナル」といいます。コアウェブバイタルは、「ページエクスペリエンスシグナル」を構成する重要な要素のひとつです。ほかには、ページがHTTPS化されているか、モバイルフレンドリーであるか、セーフブラウジングに準拠しているか、煩わしいインタースティシャル(強制的に表示されるポップアップ広告など)がないかといった要素も含まれています。
これらはすべて、ユーザーが検索結果からサイトを訪れた際に感じる利便性や安心感を保証するものであり、Googleは総合的に評価しています。つまり、コアウェブバイタルの改善は単体で効果を発揮するのではなく、他の体験品質要素と組み合わせることでSEOへの効果が最大化されるといえます。
コアウェブバイタルの改善は、検索順位の向上にとどまらず、ビジネス上の成果につながる可能性がある点でも重要です。例えば、表示速度が遅いページでは、ユーザーが待ちきれずに離脱してしまうかもしれません。逆に、表示速度が早く快適なユーザー体験を提供できれば、滞在時間が延び、購入や問い合わせなどのアクションにつながりやすくなります。結果的にコンバージョン率(CVR)の向上などビジネス成果にも大きく寄与する場合もあります。
また、スムーズで安定したサイト体験は、ユーザーの信頼感を醸成し、ブランド全体の評価を高める効果もあります。コアウェブバイタルの改善は、SEO施策としてはもちろん、マーケティングや売上拡大の観点からも取り組むべきテーマといえるでしょう。
近年はGoogleのAIモードやChatGPT検索など、AIを活用した検索体験が広がっています。こうした環境では、AIクローラーが情報を正しく理解できるかどうかが重要になり、サイトのHTML構造や読み込みの安定性が大きな意味を持ちます。コアウェブバイタルの改善によって、AIモデルが参照しやすい情報源を形成しやすくなります。つまり、ユーザー体験の質を整備することは、従来の検索最適化だけでなく、AI検索時代においてもコンテンツを適切に評価してもらうための基盤づくりにつながります。
コアウェブバイタルを改善するためには、まず現状を正しく把握することが欠かせません。ここでは主要な計測ツールとその特徴、活用の仕方を紹介します。
Google Search Consoleは、対象のウェブサイトがGoogle検索でどのような順位になっているかを監視、管理、改善するのに役立つGoogleの分析ツールです。Google Search Consoleにはさまざまな機能がありますが、コアウェブバイタルの状態を確認できる「ウェブに関する主な指標」というレポート機能も存在します。
レポートでは、LCP、INP、CLSの各指標について「良好」「改善が必要」「不良」といった評価区分が視覚的に表示され、どのURLが課題を抱えているかを簡単に把握できます。これにより、改善対象のページを特定し、優先度を付けて対応を進めることが可能です。また、モバイルとPCの両環境でデータが分けて表示されるため、ユーザー属性やアクセス環境に応じた改善戦略を立てられます。無料で利用できる点も大きなメリットであり、定期的にチェックすることで早期に課題を発見し、SEO施策へ反映することができます。
PageSpeed Insightsは、Googleが提供する無料の公式診断ツールで、ページごとの表示速度を手軽にチェックできます。このツールの特徴は、実際のユーザー環境から収集される「フィールドデータ」と、特定の条件下で再現テストを行う「ラボデータ」の両方を提供してくれる点です。フィールドデータは実際の利用者の体験を反映するため、現実に近い評価が得られます。一方でラボデータは、改善策を検証する際のシミュレーションや再現性のある分析に適しています。両者を組み合わせることで、現状の把握と施策の検討をバランスよく行うことができます。
Google公式のSearch ConsoleやPageSpeed Insightsに加え、補完的に利用できるツールを組み合わせることで、より精緻な改善が可能となります。例えば、 Lighthouse はChrome DevToolsに搭載されているオープンソースの分析ツールで、ラボ環境での詳細なパフォーマンス診断に優れています。
また、Web Vitals JavaScriptライブラリをサイトに導入すれば、ウェブサイトのフィールドデータ収集を自動化できるほか、自社のユーザー行動に基づく独自の計測の実装、リアルタイムでの監視やカスタム分析も可能です。さらに、GTmetrixなどの外部サービスは、国やデバイスを指定したシミュレーションを提供し、より多角的な視点での評価をサポートします。
こうした補完ツールを目的や技術レベルに応じて使い分けることで、問題の早期発見から改善効果の検証まで、ワンランク上のサイト改善が実現できます。
コアウェブバイタル改善には優先順位があります。企業サイトでは、取り組みやすさと効果の大きさを踏まえ、CLS、LCP、INPの順に段階的に進めるのが現実的です。
CLSの改善は、コアウェブバイタル施策の中でも比較的着手しやすい分野です。レイアウトのズレを防ぐには、まず画像や広告枠にあらかじめサイズを指定しておくことが有効です。サイズを固定することで、読み込み途中にコンテンツが突然動いて誤クリックを誘発するような状況を避けられます。
Webフォントの読み込み最適化も効果的です。対象ページで使用する文字だけを含んだサブセットを作成しファイルのサイズを削減したり不要なフォントを排除したりするなど、表示速度への影響を最小限にとどめるための施策です。
これらの改善は比較的短期間で効果が見えやすく、サイト全体のユーザー体験を大きく損なわずに導入できます。そのため、最初に取り組む改善ポイントとして最適です。
LCPは、メインコンテンツの表示速度に影響します。LCPが低下する原因は、画像の数が多い、画像ファイルサイズが大きい、CSSやJavascriptの多用などいくつかあります。
具体的な施策としては、画像や動画の圧縮・形式の最適化(WebPやAVIFなど次世代の画像フォーマットの利用など)、リソースのキャッシュ活用やCDN(Content Delivery Network)導入による配信の高速化が挙げられます。
また、サーバー応答の高速化も重要で、データベースの最適化やキャッシュ機構の強化が有効です。そのほか、JavaScriptやCSSを非同期読み込みに設定することで、不要なレンダリング遅延を防げます。これらはやや技術的な対応が必要となるため、Web担当者や開発チームとの連携が不可欠です。しかし、LCPの改善はユーザーにとって「早くページが見える」という体験価値を高めるため、UXとSEOの両面で大きな効果が期待できます。
INPの改善は、ユーザー操作に対する応答性を向上させる施策であり、最も技術的ハードルが高い領域です。主にフロントエンド全体の処理効率を見直す必要があり、JavaScriptの最適化が鍵となります。
具体的には、コードの分割や不要スクリプトの削除、遅延読み込みによる負荷分散、処理を並列化するためのWeb Worker活用などが有効です。また、イベントリスナーの数を整理して処理の集中を避けることも改善につながります。
こうした施策は専門知識を必要としますが、応答性が改善されればユーザー体験は飛躍的に向上し、離脱防止やコンバージョン向上に直結します。
コアウェブバイタルはSEOに直結するようなものではありません。しかし、Googleがユーザー行動を重視している昨今において重要度が日に日に増している項目といえます。対策には時間がかかり、かつ効果が見えにくいものですが取り組む価値が十分にあると考えています。
渥美 嘉将
アパレルECの運営を経験した後、SEOコンサルタントとして10年以上の実績、計100件以上のクライアント案件に携わる。テクニカルSEOの知見が豊富で分析、改善起案を得意としており、長年に渡り月間数億UU規模の大規模WebサイトにおけるSEOプロジェクトをメインで担当し続けている。お客様に寄り添うことを何より大切にしている。
コアウェブバイタルは、SEOの順位要因であると同時に、ユーザー体験やビジネス成果を左右する重要な指標です。LCP、INP、CLSの3つを定期的に計測し、優先順位をつけて改善を進めることが、長期的な成果につながります。特に企業サイトでは、検索評価だけでなくブランド信頼やコンバージョンにも直結するため、ツールを活用した継続的な改善が欠かせません。
SEO最新情報やセミナー開催のお知らせなど、お役立ち情報を無料でお届けします。
