SMX Westから少し時間が立ってしまいましたが、気力があるうちにSMX Westの総括を書いておきたいと思います。今回各種セッションに参加して感じたことをまとめてみると、下記の3つに集約されるかなと思っています。
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1. Twitterの急速普及によるリアルタイム検索への注目
今回、最も旬なテーマだったのがリアルタイム検索でした。Twitterの普及で情報が秒単位で大量に生み出されるようになった現在のインターネット。元々リアルタイムに近い情報発信やブログやFacebook、MySpace等でも行われていたと思いますが、Twitterの普及と共にその量は1年前とは比較にならない程、増大しました。またそれに伴い、最新の情報を知りたいと言うニーズも増え、従来からあった「リアルタイム情報の検索ニーズ」が顕在化し、GoogleやBingは対応に追われ、また進行勢力の検索サービスも登場しつつあります。
現時点では、既存の検索エンジンはTwitterのつぶやき等、リアルタイムコンテンツをどう検索結果に取り込んでいくか試行錯誤している段階かとは思います。Twitter自身は自身でリアルタイム検索サービスを作ると言うよりはコンテンツをAPI等で外部公開して外部の検索技術を持っている会社により良い検索サービスを開発させることで、自身の存在感をよる上げていくような戦略を取っていると思われます。
リアルタイム検索の技術自体は、単に最新の情報から結果表示していけば良いと言うレベルでは、日々増大する膨大なリアルタイムコンテンツの量を前に到底対応していけないでしょうし、情報の新規性や関連性、信頼性等、リアルタイムコンテンツ検索の結果はどのような形で提供するのが一番良いのか、と言う試行錯誤や技術革新はしばらく続いていくと思われます。
来年のSMXまでにどの程度、リアルタイム検索が進化し、またGoogle等の既存検索エンジンがどこまで対応し、通常のウェブ検索と融合しているのか、Bingはどこまで対抗していけるのか、また逆に新手の新興勢力は表れるのかなど興味はつきません。
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2. SEMは戦術が進化、SEOの基本は変わらず
リアルタイム検索以外の話題で言えば、肝心のSEOやSEMに関して言うと、特別に新しい何かがあると言う訳ではありませんでした。
SEM(リスティング広告の意味で使っています)に関しては、僕自身はほとんど参加しなかったので細かい話はできないのですが、セッションのアジェンダを見た所、キーワードリサーチやライティング、アドワーズ広告の活用手法、最新キーワード自動入札ツールの紹介など、SEMが普及した上でさらに効果的な活用法を学びたいマーケッター向けのセッションが多数あったようです。また多変量解析を使ったランディングページのLPO等、高度なセッションもあったようです。SEMは確実にインターネットマーケティングの基本手法として普及し、また運用手法も進化しているようですね。
一方、SEOに関しては、セッションはそれなりにありましたが、テクニカルなSEOの話、大規模サイト向けのSEOなど数年前から変わらないような内容が大半でした。ユニバーサル検索やYouTube対応のSEOの話もありましたが、内容的には特に目新しいものも無く。リンク獲得の手法や有料リンク問題などの話題もありましたが、これも以前からある話。SEO手法自体はアメリカでも過去数年ほとんど変わっていないんだな、と言うのが正直な印象です。
リンク問題に関してはGoogleは認めないと言うスタンスは一切変わっていないようですが現場では実際アメリカでも色々あるようでSEO会社によってもスタンスが違うようです。この件に関しては、Googleが「確実に有料リンクを特定して無効果させる」完璧な技術を開発することは永遠にほぼ不可能とは思いますし、同時にGoogleは完全否定のスタンスを続けていくしかないでしょう。有料リンクをどう活用するかは、SEO会社やサイト運営者の考え方次第とは思いますし、今後もこの議論は尽きそうにないですね。
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3. 検索エンジンは「ユーザーの検索意図の理解」が勝負
2でSEOの新手法が出なかったように、検索エンジン自体も基本のウェブ検索のアルゴリズムにはさほど革新的な変化と言うのは起きていないのかと思います。ただ、画像検索や映像検索、ローカル検索にリアルタイム検索と検索対象となるコンテンツは増えてきたので、その対応と技術改善を行っているのが現状ではないでしょうか。また基本のウェブ検索においてはそれらの情報を如何に検索結果画面に、ユーザーが満足できる形で提供していけるか、と言う部分で試行錯誤している段階かと思います。
この部分で最も重要となるのが「いかにユーザーの検索意図を汲み取って最適な結果を出すか」と言う技術になります。検索キーワード自体もそうですが、検索履歴やIPアドレス、またインターネット全体での検索トレンド等を元に、ある時は検索結果に地図を表示し、またある時はTwitterのつぶやきを優先的に出し、ある時は画像と映像をからめた結果を出し、また場合によっては従来のシンプルなウェブ検索結果を出す。この「検索意図を理解し、より最適な検索結果ページを出す」が、検索対象となるコンテンツが多種多様になっている現在のインターネットではより重要になってくると思います。
Googleが様々な試行錯誤と技術開発を行っているのは今回良く分かりましたが、果たしてBingがどこまで対応していけるのか、と言うことが非常に気になりますね。Yahoo!もコアの検索エンジンはBIngを利用しつつも「ユーザーの検索体験をより良いものにする」追加機能は色々搭載していくと言っていましたし。今回のパネルディスカッション等を聞く限り、アメリカでもBingの評価はまだまだ高くは無いですが、個人的にはGoogleが唯一の検索プラットフォームとして君臨する世界もどうかと思っていますので、是非今回のYahoo!との提携を通して頑張ってほしいとは思います。
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上記、あくまで僕が参加したセッションをベースにした意見ですが、検索の世界もTwitterのつぶやきと同様、リアルタイムで進化していることだけは間違いなさそうです。SEOの手法が余り変わらないからと言ってうかうかしていると気付いた時には全てに後れを取っていそうですので、今後も最新情報を収集しつつ、ユニバーサル検索やリアルタイム検索等の対応等、今からできることはやっていきたいと思います。
ちなみに次回の参加予定イベントですが、6月にアメリカのシアトルで行われるSMX Advancedに参加予定です。今回参加したSMXの上級版と言うことで、より高度なセッションが満載の予定ですが、勿体ぶらず積極的に情報発信していく予定ですのでよろしくお願いいたします。
またそれまで数か月時間が空いてしまいますが、元々イベントのレポートを掲載する予定で再開したSEO Japanですが思った以上に好評でしたので、何か他の形で情報提供をしていくことができないか検討しています。3月中には発表できると思いますので、またよろしくお願いします!
それでは改めて今回のSMX Westレポート、お付き合いいただきありがとうございました。
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