過去の戦略が新しい戦略に生まれ変わる。かつて、文書をまとめて顧客候補の企業に郵送するための予算を決める際に、マーケッター達は大事な疑問を自分たちに問いかけていた。“このダイレクトレスポンスメールのROIは、紙、印刷、郵送、フルフィルメントに対する投資の妥当性を証明することが出来るのだろうか?”その答えがNoなら、“もっと広い意味で価値を求めるのか、要するに、ブランディングすることが目標かどうかか?”と問う。私たちは、行動を呼びかけて販売するタイミング、そして、ブランディングする方法を心得ていた。
検索革命が、コンテクスチュアル(コンテンツ連動)にターゲットを絞った広告スペースに対する非現実的な期待感を助長することで、私たちの頭脳の一部に支障をきたした。従来、“検索”は十分に役目を果たし、ダイレクトレスポンスマーケティングを情報を求める検索に実施することも、そして、誰も検索しない“通りがかり”のコンテクスチュアルな広告に実施することも出来るほど、コストはかからなかった。現在、CPC検索のコストは以前よりも遥かに高くなった。その一方で、フェイスブックとグーグルが刺激を与えることにより、コンテクスチュアルなマーケティングが大幅に拡大している。ヤフーは、有名なマイクロフーの取引を結ぶことで、検索から身を引こうとしているにも関わらず、大量のコンテクスチュアルな製品を運営している。あらゆるサイズおよびフォーマットのバナー広告とディプレイ広告を販売しているパブリッシャーは、検索エンジンよりも遥かに多い。コンテクスチュアルな広告には、アクセスが集まるからだ。
まずは朗報から伝えよう。検索マーケティングは、ダイレクトレスポンスの分野に対しても、しっかりとした結果を残すことが出来る。当然ながら、投資するクエリが有効か否か慎重に判断する必要がある。例えば、「手術」に対する検索は、「外科医」を探しているユーザーのダイレクトレスポンスよりも範囲が広い。「外科医」には適度に情報が含まれていると言えるだろう。論理は簡単だ。「手術」に対する検索には、購入モードに入っているかどうかは“不明確”だが、“外科医”を検索している人は、購入段階に達しているか、もしくは近づいているかのいずれかであり、次回の手術のために適切な医師を探している可能性が非常に高い。
かつて、私たちは4歳児にハガキを贈り、オペレータがスタンバイしている電話番号を掲載して、電動式の車椅子や無料のスダフェドのサンプルを提供するようなことはしなかった。ダイレクトレスポンスの資金を、地元の刑務所の受刑者に送られる来週のマクドナルドのハッピーミールに投じるなど、ありえなかった。このような投資が、ダイレクトレスポンスに対するROIの期待とは一致するわけがないからだ。
それでも、私たちの多くはブランディングに関連するメリットを把握していた。ダイレクトレスポンスは簡単に得ることは出来なかったが、同じ刑務所で、出所する人のための図書館プログラムへの出資をKFCに呼び掛けることも可能であった。もちろん、社会復帰したメンバーが、ニキビ面になりながら、コールスロー付きのクリスピーミールを頬張る日がやって来るのは数ヶ月後になるだろう。しかし、刑務所の図書館への協力に込められた良心は、おいしいチキンウィングのロゴと写真と繰り返し重なり合い、ターゲットのマーケットにおけるKFCブランドのイメージをやがて改善させる可能性を秘めている。私たちはこの類のマーケティングを“ブランディング”と呼んでいた。覚えているだろうか?
検索の奇跡が、早期導入者に対して、投資の還元を非常に低いコストで実現させた。現在でさえ、意図的に焦点を絞り、分割化を行ったダイレクトレスポンス検索は、投資に対して利益と言う形で答えてくれることがある。ただし勘違いしないでもらいたい。グーグルのコンテンツネットワーク、AOL、もしくはフェイスブックの広告に見られるようなコンテクスチュアル広告は、ダイレクトレスポンスの売上を生成することがあるが、コンテクスチュアルな広告ネットワークは、ブランディングに適しているケースの方が多い。そう、例のブランディングだ。覚えているだろうか?抜け目のないマーケッターには違いが分かるはずだ。
コンテクスチュアルマーケティングは、直接質問に答えるのではなく、デモグラフィック(層)の特徴にターゲットを絞るため、意図を探り出す取り組みは、上述した通常のキーワードマーケティングとは異なる。例えば、全米退職者協会(AARP)が、フェイスブックのバナー広告で64歳のユーザーに退職給付金を持ちかける戦略は、ダレクトレスポンスを豊富にもたらす。同様に、フォーブズの雑誌の読者用に用いたバナーを、投資ビークルに関連する技術的な用語をフィルタリングして掲載することで、レスポンスを導く手もある。
反対に、ミネソタ州ダルースの整形外科医がフェイスブックの広告を買って、「サッカー」、「サッカーをする」、「娘とサッカーをする」、「息子がサッカーをするのを見る」のが好きな地域のユーザーすべてに表示する場合はどうだろうか?この場合、ダイレクトレスポンスは見込めないかもしれないが、サッカーをする子供を持つダルースの親に、子供に手術が必要になったとき、思い出してもらえる可能性が高い。コストの面でも魅力的な戦略と言えるだろう。私たちはこれもブランディングと呼んでいる。
検索でのダイレクトレスポンスの成功が、文句のつけようのないROIを導き、私たちは緩みすぎてしまった。何はともあれ、検索エンジンマーケティングは、とても効果が高く、コンクスチュアルなネットワークでさえ、従来のブランディングの分野においてもダイレクトレスポンスを豊富に稼ぎ出している。しかし、大量のインプレッションがコンテクスチュアルの分野、その中でもソーシャルにターゲットを絞った分野で可能になり、ブランドマーケッターの欲を助長している。
ブランドマネージャーは、現実的な範囲で期待することが重要だ。恐れることなく、コンテクスチュアルな分野でブランディングを行おう。現実的な目標を設定し、関係者(上司など)に信頼してもらう必要がある。.002 %のCTRと.6%のコンバージョン率は、ブランディングの期待感を考慮すると、大きな差があるように思える。ダイレクトレスポンスの有望なデモグラフィックなセグメントを定義する機会を逸してはなならない。しかし、何よりも、ダイレクトレスポンス検索の魅惑と特異性の誘惑に負けてはならない。
私がマーケッターのキャリアを始めた頃、私たちはダイレクトレスポンスマーケティングを基にROIのポテンシャルを決定しなければならなかった。ダイレクトレスポンスの可能性がないことが分かると、ブランディングの選択肢を選んだ。最近は、ソーシャルのPPCおよびその他のコンテクスチュアルなネットワークがブランディングの取り組みに対し、優れたCPMの値を提供している。過去の戦略が新しい戦略に生まれ変わる。今こそ基礎に立ち返るのだ。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Branding, Direct Response, Intent & How Search Made Us Soft」を翻訳した内容です。
This article on Columns: Brand Aid first appeared on Search Engine Land.
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