コンシダード・パーチェス・パターン(Considered Purchase Pattern / 熟考した上での購入パターン)は、B to Bのウェブサイトにとっては強力なモデルと言えるだろう。なぜなら、とても多くの企業が軟弱にもパンフレット・パターン(紙のパンフレットのように構成・デザインされたサイト)でサイトを構築しているままだからだ。ここで紹介する戦略を用いることで、競合者が費やすコストよりも遥かに少ないコストで新たにリードおよび売上をもたらすことが出来るようになるだろう。そのためには、これらの戦略を正しく理解する必要がある。そうすれば、ウェブで競合者よりも優位な立場を確保することが出来るチャンスが巡ってくるはずだ。
このパターンは“コンシダード・パーチェス”と呼ばれる。顧客候補が何を買うべきかを考えている際に、救いの手を差し伸べるために策定されるためだ。コンシダード・パーチェスを念頭に置いて構築されるウェブサイトは、以下の点を抑える必要がある:
以下のような場合、コンシダード・パターンをベースにウェブサイトを構築することを勧める:
通常、関係者にはバイヤー、インフルエンサー、ゲートキーパー、承認者、委員会、投資者、そして、CEOの伴侶が含まれる。
私は前回のコラムでポータル・パターンを説明し、マーケティング部門をパブリッシャーのように組織化する戦略を推奨した。コンシダード・パーチェスはマーケティングにおいてより起業家的な組織を求める。このモデルでは、それぞれのコミュニケーション—メール、ホワイトペーパー、記事、オンラインセミナー—が製品として見られる。顧客候補は、企業が注目および連絡先情報に対して提供する役に立つ情報に“料金”を支払うのだ。
起業家的なマーケッターはそれぞれの新しいコミュニケーションを製品の立ち上げのように取り扱う:
要するに、それぞれのコミュニケーションに、広告およびフルフィルメント戦略が用意しなければならないと言うことだ。
ウェブサイトにおいては、eコマース・パターンに関するコラムの中で私が説明した戦術が必要になる。つまり、ホームページはその役目を果たさなければいけない。ホームページで勧めている特定のコンテンツを売り込むのだ。
それぞれのコミュニケーション“製品”に、サイト訪問者が読みたくなり、ハウスリストに加わりたくなるような強力な製品ページを用意する必要がある。このコンテンツをまとめ、—それぞれの関係者がそのコンテンツを見つけやすくなるように—分類することが重要だ。
ポータル・パターンのように、コンテンツの展開は、勢いがすべてである。頻繁に“製品”をリリースする必要がある。コミュニケーション製品の毎月のスケジュールはもちろんのこと、毎月ニュースレターを発行すると言うアイデアにげんなりする多くのマーケッターを私は見てきた。
デジタルなコンテンツは融通が利く点を理解する。コンテンツの一部が多数の“コミュニケーション製品”を促進する可能性があるのだ。
例えば、カンファレンスのプレゼンを録音し、ポッドキャストとして配信することも出来る。顧客候補は注目と言う貨幣で料金を支払う。オーディオを文字に起こし、ホワイトペーパーとして提供することも可能だ。この場合、顧客候補は連絡先情報を貨幣として用いる。ホワイトペーパーのそれぞれのセクションがブログのエントリになる。ブログのエントリをメールの中で取り上げることが出来る。さらに、ブログのエントリの抜粋をツイッター、フィエスブック、そして、リンクトインで紹介することも出来る。
この転換作業の多くは自動化することも、アウトソースすることも出来る。デジタルなコンテンツを有効に利用しよう。
私の祖母は1990年代後半からオンラインで友達作りをしている。もうすぐ90歳の祖母は、友達や家族と連絡を取り合い、写真、リンク、そして、日常生活の面白い話を分かち合っている。祖母のお気に入りのソーシャルネットワークはメールであり、まさにこのメールこそが、あらゆる顧客候補が利用しているソーシャルネットワークなのである。
毎年、最も効果の高いオンラインマーケティング戦略として、企業がハウスリストのメールを挙げる理由がここにある。調査を誰が行っているかなどは関係ない。しかし、メールはまだまだ成長するポテンシャルを秘めている。
ハウスリストのメールは、顧客候補からメールを介した会話を継続することに関して、許可をもらわなければならない。“ハウスリスト”は、顧客候補のデータベース、彼らの連絡先情報、そして、選択に対する直接的なマーケティングである。また、分割化およびターゲッティングに役立つ限定的な情報もハウスリストに含まれることがある。
私が仕事を引き受ける企業のほとんどが、長い間使っていないようなリストを持っているにも関わらず、マーケッター達は無邪気に新しいソーシャルメディアサイトを使って実験に精を出している。これでは宝の持ち腐れだ。
「顧客候補は私たちのメールを望まないのです」と気弱なマーケッターが述べる。
それは間違えている。顧客候補の人達は、意思決定をコンテンツ豊かなメールに頼っているのだ。問題は、彼らがそのメールを価値が高いとは思っていない点である。
マーケッターはコンテンツによっては何度もメールを送信しても問題ない。顧客の候補が、コンテンツを貴重だと思っているなら、一時間に一通のペースでメールを送ってもよい。コンテンツの関連性が薄れると、彼らは次第に購読を止めるようになる。価値および関連性のあるコンテンツを作ろう。そうすれば、検討段階の間、顧客候補の注目を維持することが出来るはずだ。
コンバージョン志向のハウスリストのメール戦略は、許可、頻度、非宣伝的なコンテンツ、そして、テストによって成立する。
許可。 話しかけることを明確に許可していない人にメールを送るべきではない。既存のリストを持っているものの、許可を得ていないなら、メールを送信し、許可を貰うことが先決だ。「YES」の確率を上げるために、役に立つコンテンツを少し利用しよう。
頻度。 メールを送るのが1ヵ月に2度以下なら、売上の機会を見逃している可能性が高い。次回のニュースレターを2つ、もしくは3つに区切ってみよう。区切ったものを同じ週に送信するのだ(繰り返そう。同じ週に送信するのだ)。その後、購読解除率に注目しよう。上がっているなら、間隔を広げればよい。
非宣伝的なコンテンツ。 上述のコンテンツ志向の戦略を採用するなら、メールが有数のマーケティングチャネルである点をよく理解しておいてもらいたい。製品志向の情報を頻繁に送るべきではない。製品の情報と教育的なコンテンツを組み合わせよう。
テスト。 メールはテストするのが簡単なツールである。件名を幾つか試すだけで、サイトへのアクセス数、コンテンツの閲覧、そして、営業部門への電話の回数を最大化するレシピが浮かんでくるはずだ。
訪問者がやって来たら歓迎する。 ハウスリストを作るつもりなら、より多くの訪問者をリードに変える必要がある。
コンテンツ志向の販売サイクルを実施するなら、コンテンツをより多くの人に読んでもらわなければならない。
一連の強力なランディングページは、上述した2つの戦略には欠かせない。ランディングページは、訪問者に行動を起こしてもらうことを念頭に策定される。そして、マーケティングのニーズがその行動を決めるのだ:
ホームページは、ブランドや製品を学ぶためだけに存在する。他の要素に関しては、ランディングページが必要になる。コンバージョン率の高いランディングページを作成するには、以下のポイントを押さえておきたい:
一つのことに集中する。 1つのページでは単一のアイテム、トピック、もしくはアクションのみを取り上げるべきである。ページは訪問者を導いた“オファー”にマッチしている必要がある。コンバージョン率の高い、リードを生成するランディングページは、訪問者の気を散らしかねないサイトのナビゲーションを削除していることが多い。
アクションを売る。製品やサービスを売るのではない。ページ上の宣伝文句は、訪問者に行動を促すことを念頭に作成されなければならない。例えば、訪問者にオンラインセミナーに登録してもらいたいなら、セミナーのコンテンツ、プレゼンター、そして、特典に的を絞ろう。
登録フォーム内でメールを送る許可をもらう。
結果を計測する。どのトピックが顧客候補の人達の興味を最も引いているのか、徐々に理解していく必要がある。ページのアクセス数、ページに滞在した時間、ダウンロードの数、記入されたフォームの数、もしくは電話の回数をモニタリングし、それぞれのページの効果を特定しよう。
ここまで読み進めてきたなら、若干、目まいがしている人もいるだろう。コンテンツが多くなれば、メールも増え、そして、ページも多くなるのだ。
しかし、上述の戦略は相乗的な効果を持っている。要するに、効果は足し算式に増えていくのではなく、掛け算式に増すと言うことだ。コンテンツへのさらなる投資が、ランディングページに対する飼料となり、これがハウスリストを拡大していく。メールのキャンペーンを実施することにより、クリックスルー率の上昇が見込まれるだろう。これは良質なコンテンツのおかげであり、その結果、コンバージョン率の高いランディングページにトラフィックがもたらされるのだ。
顧客候補の人々が購入のきっかけをつかむころには、彼ら、そして、インフルエンサーにとって、皆さんのブランドはトップオブマインド(一番最初に思い浮かべてもらえること)になっているはずだ。まさに効果的なコンバージョン戦略と言えるだろう。
このシリーズにおける私の目標は、5種類のウェブサイトのカテゴリーにおけるコンバージョンを決裂させてしまう3つの戦略を精査することだ。これらの戦略を適切に利用しよう。そうすれば、コンバージョン率アップにつながる最適化を行うことが出来るだろう。反対に不適切に利用すると、なかなか改善するのが難しくなるはずだ。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Considered Purchase: Core Conversion Marketing Strategies」を翻訳した内容です。
This article on Columns: Conversion Science first appeared on Search Engine Land.
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元々シリーズで連載されていた記事からコンバージョン改善に関する記事をピックアップして紹介しました。熟考して購入する購買行動を「コンシダード・パーチェス / Considered Purchase」と定義する表現は使えますね。日本語でうまく訳せなかったのですが。。。細かいアドバイスも多くありましたが「製品ではなく、コンテンツを売れ」と言う基本的なアドバイスはともすれば自社製品を全面アピールしてしまいがちなB2B企業には参考になるのではと思います。 — SEO Japan
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