ツイッターの影響および展望が今になってようやく具体化してきた。チャープの以前に起きた出来事が、すべてこの瞬間に私たちを導いてきたことを考慮すると、BC(ビフォア・チャープ)と言う用語を作っても問題はないと思われる。そして、現在起きていることは、新しいムーブメント(AC、アフター・チャープ)の象徴となっていると言っても過言ではない。ツイッターの進化における新しいチャプターが動き出したのだ。
ツイッターの現状と未来図、そして、同社初のカンファレンスで明らかにされた情報をすべて正確に描くには、多大な時間、および、スペースが必要になる。パート 1では、ツイッターの社会への社会学的なインパクト、ネットワークの正確なサイズを精査し、同時にツイッターが抱える難問や機会も明らかにした。パート 2では、ストリーム、インタレストグラフ、そして、ツイッターの新しい広告プラットフォームをおさらいし、説明していこうと思う。
イベント全体において、中心に据えられていたのは開発者のコミュニティだけではなかった。紹介された全てのメリットを享受するのは、ユーザー、そして、これからツイッターを紹介される個人、つまり、私たちであった。情報、そして、“新しい”ツイッターの詳細が新しい現実を視覚化し、経験を生み出していたが、主役はあくまでも私たちだった。
クリス・メッシーナ氏、ケビン・マークス氏、ストウ・ボイド氏、そして、その他諸々の人々が何度となく示唆してきたように、ウェブはページではなく、ストリームを中心に回りつつある。ウェブ上の私たちの今日の行動は、コンテンツを発見する力、そして、消費する力を私たちにもたらしている。自分でフォローする人物を決め、自分でクリックする価値のあるリンクを選び、読み、そして、さらに重要な共有する価値がある情報を決めるのだ。
購読するフィード、そして、ソーシャルグラフで私たちがフォローする人々の流れを形成するアクティビティが、アテンションダッシュボード、ツイートデック、シースミック、フートスイート、ピープルブラウザ等を介して流れるストリームに持ち込まれる。アテンションダッシュボードは私たちが学習する仕組みであり、私たちを新しい発見に導いてくれる。私たちには、何がフォローする人達を動かし、刺激するのかを見る洞察力が与えられている。また、関連性、そして、願わくば知名度を得ることが出来る場所であり、私たちが次々に分かち合うものが、アテンションダッシュボードであり、そして、最終的には私たちをフォローする人々および彼らをフォローする人々のストリームでの認知度、交流、そして、リアクションを決定するのだ。
ソーシャルネットワーキングは他人との結びつきを遥かに超えて進化している。私たちは、知り合い、そして、知り合いになりたい人とつながりを持つことで、コンテクスチュアル・ネットワークを形成している。このような直接および間接のつながりは離れ離れの状態で私たちの習慣、願望、そして、使命に価値を与えるのだ。コンテクスチュアルな関係の最も魅力的な点は、実生活の行動のパターンを映し出していることだ。しかし、オンラインで私たちが形成し、育む交流は、追跡可能な足跡を残し、これが私たちの行為、興味、そして、協力関係を自分達が思っている以上に効果的に確定している。
私たちは複雑な生き物であり、無数の願望に心を奪われる。誰かをフォローし、そして、多くの人にフォローされる一方、私たちはある時は意識的に、そして、ある時は無意識のうちに内外の関連するネットワークを育み、このネットワークが関心ごとのキーワードに応じて拡大し、縮小し、形を変えていく。
現在はリアルタイムなソーシャルウェブの時代であり、瞬く間にオンラインのアクティビティを分析し、興味、そして、その結果形成されるソーシャルグラフを要約することが出来るツールが開発されている。さらに多くのツールが今後も登場するだろう。
チャープで学んだように、ツイッターのCOOを務めるディック・コストロ氏は、テーマ化されたつながりに関するアイデア、つまり、つながりを形成し、共通の話題に関する会話を展開するツイッターユーザーの連携と位置づけ、インタレストグラフと呼んだ。このような内向きおよび外向きの関連するネットワークがツイッターの収益化戦略の基盤を築いているのだ。
チャープが行われる直前、ツイッターはプロモーティド・ツイートを導入した。グーグル検索で表示される広告と同じように、プロモーティド・ツイートはツイッターの検索結果の上部に表示される。ツイッターはこのつぶやきが“役に立つ”点を約束している。
早い段階で、ベストバイ、ブラヴォ、レッドブル、ソニー・ピクチャーズ、スターバックス、そして、ヴァージン・アメリカがプロモーティド・ツイートを採用しており、さらに多くの企業がこの機能を利用するだろう。
プロモーティド・ツイートはその名の通りのサービスであるが、通常のつぶやきと同じように見せ、そして、同じような役割を持たせることが出来ると謳っており、要するに返信、リツイート、そして、お気に入りを含む通常のつぶやきの機能を持つ。
恐らくプロモーティド・ツイートの最大の価値は、関連性のストリームの頂点を維持することが出来る点であろう。プロモーティド・ツイートを初期に試した企業はすべてツイッターのアカウトを維持する一方で、フォロワーのアテンションダッシュボードを通過する彼らの大量のコンテンツにより、事実上、他の企業が投稿する魅力的なオファーの多くがかすんでしまう効果がある。
ツイッターによると、プロモーティド・ツイートはタイムリーでもあるらしい。ツイッターのアクティビティの大半は、ドットコムの外部で行われているため、開発者達は、プロモーティド・ツイートをアプリに統合するかどうかを決めることが出来る。
ツイッターが定義しているように、プロモーティド・ツイートと個人の興味の間にはつながりがあるため、リアルタイムで当面関連する情報を提供する強力な手段となるだろう。
ブランドは、注目とリアクションをソーシャルグラフおよびインタレストグラフのストリームで得ようと必死である。消費者がブランドに関連する情報を共有すれば、これは無料の広告であり、ウェブ上に広がっていく口コミのきっかけになる。企業、企業のサービス、製品等に触れるオーガニックなつぶやきは、無料の広告と考えられている。プロモーティド・ツイートは、有料および無料広告のハイドブリッドを作りだす。私はこのハイブリッドをスポンサー付きメディアと呼んでいる。プロモーティド・ツイートは有料メディアとしてスタートし、リツイートされる度に無料広告に姿を変えるのだ。
コストロ氏は「エコシステム全体が収益を上げる」ことを考慮し、新しい収益化モデルを位置付けることで、愛を分かち合った。ツイッターはプロモーティド・ツイートの収益を50-50の割合で配信パートナーと山分けしているのだ。
プロモーティド・ツイードよりも近い将来明らかになる取り組みは、より大きな物議をかもしだす可能性がある。現在、プロモーティド・ツイートは検索結果にのみ表示される仕組みを採用している。コミュニティのシステムと文化が試され、浸透すると、有料のつぶやきは次にインタレストグラフと興味のあるトピックを結びつけるストリームに入り込むだろう。繰り返すが、広告主は、つぶやきの履歴に反映されている、継続的な行動およびリアクションを介して、興味を示し、コミュニケーションを取る個人のストリームにつぶやきが表示されることで価値を得るのだ。
しかし、広告主はチャンスだけではなく、新たな難題にも向き合わなくてはならない。プロモーティド・ツイートは、前向きな反応、そして、最終的に口コミおよび重大なアクティビティを促すため、キャンペーンに関連性を求めるのだ。ツイッターはユーザーの間のコミュニケーションを変えるだけでなく、広告をリアルタイムで状況に合わせ、人間性を与えるきっかけを提供している。 人々を結びつけ、刺激を与えることが出来なければ、キャンペーンはぶざまに失敗するだろう。一方、消費者の感情および好奇心に訴えかけるキャンペーンは、オンラインのソーシャルグラフ、そして、最終的には現実世界に反響していくだろう。
ディック・コストロ氏は、分かりやすい例を与えてくれた。「例えば、私がコーヒーに関するつぶやきを大量に投稿しているとしたら、私はスターバックスの広告の格好のターゲットになるでしょう」。この場合、スターバックスは、リアルタイムのインタレストグラフをの概念を喜んで受け入れるはずだ。
スターバックスに早い段階でプロモーティド・ツイートを採用させた点は確かだが、ツイッターはそれだけでは飽き足らず、クラウトと言う名の影響を計測するスタートアップ企業と手を組み、革新的なアウトリーチ・プログラムを運営している。クラウトは、積極的に関連するトピックをつぶやくインフルエンサーを特定する力、そして、ツイッターにおける重要な地位を維持する力をマーケッターに与える。実際に、先日、インフルエンサーにスターバックスのパイクプレイスローストの無料のサンプルが配られた。これは彼らがコーヒーにおいて権威として認められているためだ。
様々な方法で、ツイッターのプロモーティド・ツイートはこの戦略を反映している。しかし、現在、個人のインフルエンサーから、影響力のある人物だけではなく、コーヒーに興味を持っている人にまで、スターバックスはこの戦略を拡大して採用している。
カンファレンスで何度も繰り返し使われていた言葉があった。それは、反響と関連性だ。これはコミュニティに支持される広告プラットフォームを作ろうとするツイッターの姿勢を強調している。
コストロ氏も言及していたように、“ユーザーに響かないつぶやきは消える”運命にある。
反響は、ソーシャルオブジェクトの補強もしくは延長とも言える。有料であれ無料であれ、紹介および露出の役目を持ち、ソーシャルオブジェクトを提示するつぶやきは、会話を口火を切る能力を持っている。しかし、その程度およびボリュームはソーシャルオブジェクトの関連性および共有能力によって決まる。
ツイッターは、この反響をユーザーがつぶやきを利用する各種の方法を計測するメトリクスとして利用している。そのため、この反響のスコアがプロモーティド・ツイートの効果および寿命を決める。反響は、つぶやきの認知度、そして、リツイートされる頻度、お気に入りに登録される頻度等、つぶやきを介して行われる行為を分析する。
開発者達に加え、ツイッターはユーザーエクスペリエンスがツイッターを土台となって支え、今後も支えていくと真剣に考えているようだ。そのため、経験もプロモーティド・ツイートを刺激する要素の一つである。このような金銭を支払った上で得た機会は、当初はCPM(1,000インプレッションあたりのコスト、または、つぶやきを見た正規のユーザーあたりのコスト)に基づいて、効果を計測することになるだろう。しかし、私が注目したのは、ツイッターがメトリクスとしての反響を中心として、パフォーマンス、精度、そして、可能性が軌道を描いていること、そして、コストモデルがCPMから、ROIモデル、つまり投資収益率に移行することを心得ている点だ。ROIモデルの詳細は明らかにはされなかったが、リアルタイムウェブに導入されるあらゆるアイテムが、例え重要性がゼロに等しくても何かしらのレスポンスを促す点は間違いない。広告主は、創造力を働かせるだけでなく、プロモーティド・ツイートが実施可能、リツイート可能、そして、繰り返しになるが再び言わせてもらうと、お得なつぶやきを配信する必要がある。
ユーザーが作成したつぶやきに対する広告、ソーシャルウェブ全体のアップデートから投稿に至るまで、ツイッターのメトリクスはあらゆるソーシャルメディアの形式に当てはまるだろう。関連性がなければ、反響を促すことは出来ず、反響がなければ、重要性を確立させることは出来ない。
私たちは、ソーシャルメディアで、自分達に値する関係、反応、そして、信用を得ているのだ。
前回: パート 1 – 数字で見るツイッター。
この記事は、Brian Solisに掲載された「The State and Future of Twitter 2010: Part 2」を翻訳した内容です。
これを読むと、従来のリンクグラフ型(=Google型)のインターネットの捉え方が限界にきていると強く感じざるえないですね。ウェブはページではなく、ストリームを中心に回りつつある。そしてリンクグラフに変わってソーシャルグラフが登場し、特に人々の興味の範囲と関連性を表すインタレストグラフはリアルタイムに変化する。その情報自身をツイッターやFacebookが握っていることに、Google自信も脅威を感じているでしょうが、1人のソーシャルユーザーとしてもGoogleが圧倒的な検索インフラとして君臨すること以上に恐怖を感じますが。。。インターネットの進化からソーシャルウェブの未来まで色々なことを考えさせられる充実の記事でした。 — SEO Japan
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