Twitterの現状と未来図シリーズのパート 2では、プロモーティド・ツイート、新しい広告プラットフォーム、そして、関連するトピックおよび最終的には個人が関連性があると見なすであろう広告を通して、ユーザーを結び付ける“インタレストグラフ”を試すことで、ツイッターをパワーアップさせるメトリクスのシステムを取り上げた。パート 3では、チャープカンファレンスで明らかにされたニュースおよびアイデア、さらに、ツイッターを“消費メディア”と位置付ける新しい機能、そして、この機能が新しいユーザーを獲得し、同時にすべてのユーザーの行動と貢献を高める仕組みを調査していく。
ツイッターのCOO、ディック・コストロ氏は、ツイッターを“多くの人々がサイト、クライアント、もしくは、外部サイトのウィジエットを通してつぶやきを読むものの、つぶやきを作成していない”消費メディアと位置付けていた。
ツイッターがソーシャルメディアのテクノグラフまたはソーシャルグラフィックス分析に固執するなら、コストロ氏の指摘は正しく、また、多くのリサーチャーのソーシャルメディアに関する主張を代弁していることになる。つまり、誰でも参加することが可能な民主的なプラットフォームを提供していても、登録したソーシャルネットワークのユーザーの多くは、自分でコンテンツをアップデートもしくは投稿するのではなく、他人のアップデートやコンテンツを読むことに集中している。そのため、ソーシャルメディアが当面の間は大量生成ではなく、大量消費されると推測することが出来るだろう。
これと同じように、チャープカンファレンスの開催中に大量コンテンツ消費に関連する2つの主要な告知が行われた。
「つぶやき保護」とは、見事なタイトルだ。米国議会図書館が、公のつぶやきは保存する価値があるとみなしていることが発表されたのだ。そのため、最初のつぶやきを含め、ニューメディアと定義された会話のレポジトリが、米国議会図書館に貯蔵されることになる。
現在に至るまで、数十億ものつぶやきがオンライン社会およびデジタルカルチャーの進化に貢献しており、間違いなく現実の世界の文化にも影響を与えているはずである。世界的な祝典から、賛否両論の選挙、自然災害、胸が痛くなる災害、そして、地域のイベントや個人の目標達成に至るまで、つぶやきのアーカイブは、ソーシャルメディアでの“私”によって刺激を受ける世代を象徴している。そして、つぶやきおよびリツイートが投稿される度に、人々のコミュニケーション、私達が関係を築く方法、そして、メディア自体が見直されてきたのだ。そして、この傾向は今後も続くだろう。ツイッターは、行動を反映するだけでなく、影響を与えるポップカルチャーを見ることが出来るレンズに進化したのだ。
米国議会図書館は、提案の一環として、非商業的なリサーチ用、公開表示用、そして、保護用のつぶやきを内部の図書館に半年後に掲載する。
公開されている重要なつぶやきの例の中には、ツイッターの共同ファウンダーのジャック・ドーシー氏の最初のつぶやき(https://twitter.com/jack/status/20、オバマ大統領の2008年の選挙での勝利に関するつぶやき(https://twitter.com/barackobama/status/992176676)、そして、エジプトで逮捕されたものの、ツイッターを利用したことで、一連の騒動が起こったために釈放されたフォトジャーナリストの2本のつぶやき(https://twitter.com/jamesbuck/status/786571964)と(https://twitter.com/jamesbuck/status/787167620)。
グーグルは、ツイッターに料金を支払い、2009年12月に完全なリアルタイムのツイッターのつぶやき配信を受け入れる取り組みを始めた。それ以降、フィードを40ヶ国の言葉に拡大し、ユーザーが最も関連するコンテンツを見つけることが出来るように、トップリンク機能を導入した。
米国議会図書館による発表を受け、グーグルはReplay(リプレイ)の告知を行った。リプレイとは、つぶやきの公のアーカイブをインタラクティブなタイムラインに結び付ける新しい機能であり、会話の歴史を解き放ち、好きな時点に戻って、発見し、学び、もしくは回想することが出来るようになる。
今後は好きな時点に焦点を絞り、会話の感情および状況を反映したつぶやきを“リプレイ”することで、それぞれのつぶやきを深く理解することが出来るのだ。履歴をリプレイするには、検索を行い、検索結果ページの「Show options」をクリックし、次に「Updates」を選択する。
最初のページには、上部に新しいチャート、そして、最新のつぶやきが掲載される。このチャートはある意味バーチャル版のタイムマシンであり、特定の年/月/日を指定し、あらゆる時点のつぶやきを閲覧することが出来る。
検索データが示すように、ソーシャルネットワーク内部の検索が、場合によっては既に通常の検索エンジンに匹敵している。メジャーなオンラインの目的地となるサイトでは、リファラーのトラフィックの大半が大規模な検索エンジンではなく、ソーシャルメディアから寄せられているのだ。
チャープで、ツイッターは1ヶ月で約190億回の検索を処理していると報告した。ツイッターの共同ファウンダー、エバン・ウィリアムズ氏もまたツイッターが毎日6億ものクエリを処理したと発表していた。その多くが自分の@名前を含む会話を探している個人によって実施されたのだろう。どちらも注目に値するスタッツである。
サーチエンジンランドのダニー・サリバン編集長は、一歩踏み込んだ調査を行い、上述のスタッツを客観的にとらえ、ツイッターの検索をその他の従来の検索およびソーシャル検索のアクティビティと比較している。2010年1月に発表されたcomScoreのスタッツを用いて、サリバン氏はツイッターが報告した数字をもとに基準となる値を設けた:
Google: 880億/月
Twitter: 190億/月
Yahoo: 9.4億/月
Bing: 4.1億/月
私たちは当初、毎月実施される検索クエリの総数において、常にユーチューブが、グーグルに続き、その他の検索エンジンよりも常に上位にランクインしている点に驚かされた。上述のスタッツを見ると、ユーチューブがグーグルの880億と言う数字に貢献していることが分かる。しかし、サリバン氏の計算によると、検索サイトで実行される検索の合計において、ツイッターはグーグルには負けるものの、厳密にはヤフー!の上にランクインしているようだ。
しかし、サリバン氏は、以下のように警告している:
さて、警告の時間だ。まず、私たちはツイッター自らが報告した数字とcomScoreが予想する数字を比較している。comScoreはツイッターのスタッツを報告したことがない。ツイッターはcomScoreのレーダースクリーンに登録さえしていない。
これは二つ目の警告が要因になっている可能性が非常に高い。ツイッターのトラフィックの大半は、ツイッター自体で発生しているわけではない。そうではなく、APIのコール – つまり提携者がツイッターに検索を送り、情報を返すシステムによってもたらせれている。comScoreのような格付けサービスは通常このようなクエリを含めず、特定のウェブサイトでモニタリングすることが可能なトラフィックに焦点を絞っているのだ。
ツイッターは成長を続けており、同じように検索の回数も増加している。チャープで、サリバン氏はツイッターの検索部門を統括するダグ・クック氏と講演を行った。クック氏によると、ツイッターの1日の検索クエリは7億5,00万回に達しているようだ。また、同氏はツイッターが早ければ2010年5月には10億の大台に届くと予測している。
私たちが数年にわたって大々的に議論してきたように、ユーザーの獲得および維持を困難にする問題の中で、大きな問題が、「ツイッターでフォローしよう」、つまり導入された時点、またはフォローするように勧められた時点からの経験、そして、ユーザーに自分の意思でツイッターを訪問してもらい、アカウントを作成し、その後、奇跡的にツイッターを日常的なコミュニケーションおよび何かを発見するサービスとして利用する方法を閃いめいてもらうためにクリックしてもらうことである。
開始時により意義深い経験をしてもらうために、ツイッターは@anywhereを導入した。この機能をフォースクエアは、“とてつもなくシンプル”と表現した。
@anywhereは、パートナーのウェブサイトが容易にツイッターの機能を統合することが出来るように開発された。ツイッターのアイデア(と言うよりも希望と言った方が正しいかもしれない)は、パートナーのサイトのビジターがサイトを去ることなく、既存のツイッターの機能を利用してもらうこと、そして、ホストされているツイッターの著名人と交流してもらうことだ。
@anywhereのプラットフォームを積極的に受け入れるのは、やはり従来型のメディアだ。様々な経緯で、CNN、ニューヨーク・タイムズ、MSNBC等の大きなメディアブランドは、世界中のツイッターユーザーのストリームに浸透していることに気づいている。そのため、このアクティビティから間接的に利益を得るのではなく、情報源のサイトで活用し、直接的に促すべきである。
ニュースが速報される時代は終わり、つぶやかれる時代が始まった。また、ツイッターでメディア提携部門を統括する、クローエ・スラッダン氏がステージ上で述べていたように、「@Anywhereはページビューを関係に変える方法」である。
@Anywhereはカスタマイズ可能なプラットフォームであり(JavaScriptを数列調整するだけ)、ホストのサイトで本領を発揮する。いろいろな意味で、これはフェイスブック・コネクトへの公式な対抗策であり、ホストのサイトでビジターにコンテンツを楽しんでもらえるような仕組みを作り、同時にユーザーのオンラインアクティビティとそれぞれのソーシャルグラフに橋を架けることで、影響を受ける全てのサイトの間にトラフィックをもたらすソーシャルエフェクトを促そうとしている。
現在、私たちに「ツイッターでフォローしよう」と求める人々にまともに依存している経験を重視するモデルを支持し、ツイッターに登録したばかりのユーザーを迎えるユーザーリストの開発が進んでいる。例えば、ビジターとして記事を気に入ったため、その記者をフォローしたいと思ったら、その場でフォローすることが可能になり、また、フォローしたいと思うようなコンテンツを作成している可能性があるその他のツイッターを利用している記者のリストを検討することも出来る。
シティサーチは@anywhereを使って、ユーザーが商業施設の完璧なリアルタイムのスナップショットを手に入れることが出来るように工夫しており、ユーザーが当該の施設を気に入った場合、ツイッターを介してシティサーチドットコムから直接交流を始めることが出来る。
ガーディアンは、@anywhereを使って、選挙の候補者と読者を結び付けている。ガーディアンによると、「現在、ページの内部で議員の候補、そして、ガーディアンの記者に質問することが出来ます。これはオーディエンスと権力を握っている者、または、公職に就く者の間の垣根、そして、読者と私たちの記者の間の垣根を私たちが取り払おうとしている何よりの証拠です。」
@anywhereを利用している企業は次の通りだ : アドエイジ、アマゾン、ビング、シティサーチ、ディグ、ディスカス、eベイ、フォースクエア、ゴーカー、グーグル、ゴーワラ、ザ・ガーディアン、ザ・ハッフィントン・ポスト、ハンチ、マッシャブル、ミーボ、MSNBC.com、ザ・ニューヨーク・タイムズ、セールズフォース.com、WSJ.com、ヤフー!、ユーチューブ。
ツイッターのプラットフォームを統括するライアン・サーバー氏は、ツイッターに10万個以上のアプリが登録されていることを発表した。なるほど、ワンフォーティー.comのようなアプリが役に立つ理由が分かる。注記: 私はワンフォーティーのアドバイザーだが、この情報を求めてそもそも私は参加したのだ。また、これだけ多くのアプリが存在するため、ツイッター専用のアップストアが欲しい。
ツイッターのトラフィックの75%が外部のアプリからもたらされていることを受け、サーバー氏は開発者への感謝および気持ちを次のように表現していた。「ツイッターはエコシステムのおかげで成り立っています。皆さんなしでは成功を収めることなど不可能です」
その通りだ。開発者のコミュニティは“穴埋め”を遥かに超越する活躍を見せてくれた。彼らは個人の関連性および熱意を、さもなくば曖昧なネットワークに縫いこんだのだ。一般ユーザーの注目を集めたのは私たちだ。ブランドをコミュニティに引き入れたのも私たちである。そして、開発者が作ったアプリケーションを採用し、ツイッターが学ぶため、共有するため、つながりを持つため、そして、成長するために貢献してきたのは私たちユーザーなのだ。
チャープで、ツイッターはロバート・スコブル氏が「スーパーつぶやき」と呼びそうな機能を紹介した。実際の名前はあまり派手ではないが、このつぶやきには多くの情報が詰まっている。
開発者向けのAnnotated Tweet(アノテイティド・ツイート:注釈付きのつぶやき)は、壇上で発表されたニュースの中で一番重要な情報であった。
アノテイティド・ツイートを「目に見えないハッシュタグ」と呼ぶ人が多いが、この名称ですらアノテイティド・ツイートの能力とポテンシャルを的確に表現することが出来ていない。クリス・メッシーナ氏がハッシュタツのコンセプトを紹介した際、同氏の言うとおり、ハッシュタグは、コンテクスチュアルなリファレンスをそれぞれのつぶやきに組み込むため、そして、必要に応じて会話をまとめ、探すことを目的に作られていた。しかし、60日前後に公式に立ち上げられるアノテイティド・ツイートは、データの裏のデータ(メタデータ)を今以上のレベルで取り込むことが出来る。このつぶやきの新しいフレームワークは、クリエイティブな開発者が指定する特定の情報をまとめ、明らかにするだろう。
最後に、チャープが開催される一週間前にウェブを駆け巡った情報の一部を紹介しよう。ツイッター、そして、ソーシャルネットワーク全体が、世界をコンパクトにする鍵を握っているため、是非皆さんにこの情報を知ってもらいたい。このシリーズのパート 2で取り上げたコンテクスチュアルなネットワークまたはインタレストグラフについてあらためて考えてみると、地理が徐々にうやむやになっていくことが分かる。私たちは自分達を魅了し、刺激する事柄によってつながりを持ち、モニターを覗き込む際、事実上、フォローすることに決めた人々、そして、自分のフォローすることに決めた人々が暮らす世界を眺めていることになる。私たちは新たな情報民主主義を形成しており、この民主主義こそが私たちが投資し、育む利害関係を代表している。
ツイッターは、地理的に異なるユーザーベースに関して、「グローバル・インフォーメション・ネットワーク」と言う用語を用いて、その成長を文章にまとめている。事実、登録したユーザーの60%が米国の国外で暮らしている。
やはり世の中は狭い。
前回: パート 1 – 数字で見るツイッター。パート 2 – ツイッターの新しい収益化戦略をおさらい。
この記事は、Brian Solisに掲載された「The State and Future of Twitter 2010: Part Three」を翻訳した内容です。
こうしてみると、ツイッターが進化し続けているのが改めて理解できますね。来年の今頃どうなっているのか楽しみです。ツイッター自身もでしょうし、その進化に合わせてそれまでにかなりの進化を遂げているのでしょうし、 — SEO Japan
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