単一の動画を出来るだけ多くの動画チャンネルで配信することが、ビデオシンジケーションの基本的な取り組みである。この取り組みにブランディングにおけるメリットがあることは明白である。ブランドに特化したメッセージが現れる場所が増えれば、動画を見て、ブランドのインプレッションに触れてもらえる可能性も高まるからだ。要するに、自分のサイトに来てもらうことを期待するのではなく、自分から動画を持ち出して、見てもらうのだ。
ビデオシンジケーションのSEOのメリットは、ブランディングのメリットほど明らかではないものの、動画の同時配信がグーグルでのランキングを大幅に上げるポテンシャルを持っていることを示す証拠が確実に存在する。その典型的な例がリール SEOのマーク・ロバートソン氏が1年前に行った単純なテストだ。同氏はチューブモーグルとビデオワイルドファイヤー(後ほど紹介する)を使って、ある動画を出来るだけ多くの動画サイトに配信し、ターゲットに選んだ「SEO Sales Training」と言う検索用語で上位にラインクインすることを願った。その結果、比較的競争が少ない検索用語が、シンジケーションの力を借りると、動画の検索結果を独占することが出来る点が証明された。
当然ながら、これはパズルのワンピースでしかなく、競争の激しい動画の検索の難関を突破するわけでもない。しかし、このテストは、検索ランキングを上げるためにシンジケーションの利用する価値を証明している。これから紹介していくツールは、動画を出来るだけ多くの動画サイトおよびソーシャルメディアに投稿するために必要な作業を簡素化する利点を持っている。
TubeMogul(チューブモーグル)は、経験上、最も話題に上がり、人気の高いビデオシンジケーションツールと言えるだろう。2006年あたりにサービスの提供を開始し、動画SEO/分析業界においては、仙人のような存在である。そのため、役に立つ改正や強化を何度も行い、確固たる地位を築いたサービスと言える。
メリット: インプレイと呼ばれるチューブモーグルの分析ソフトウェアは安定感がある。これはチューブモーグルとその他のライバルとの最大の違いである。インプレイは、アクセスし、単一のレポートインターフェースにまとめ、すべての分析データを集める。I私の経験上、動画キャンペーンまたはソーシャルメディアキャンペーンを運営する際の最大の難関および時間のかかる作業の一つは、間違いなく、データを集め、要約する作業である。代理業者のレベルでは、インプレイのレポートは特に有効である。なぜなら、データを直接既存のレポートテンプレートにエクスポートすることが出来るからだ。
デメリット: チューブモーグルは、その他のあらゆるビデオシンジケーションツールと同じ問題を抱えている。これは、すべての動画投稿サイトが異なる故に発生する問題である。ユーチューブ、ビメオ、Imeem、ヤフー!動画。これらのサイトはまったく標準化されていないのだ。そのため、一括投稿は便利だが、それぞれの動画サイトの微妙な差異を反映することが出来ない。すると、ブランドが不注意もしくは無知に見えてしまう。これを価値のある代償と捉えるか否かはブランド次第である。そのため、チューブモーグルをビデオシンジケーション戦略に加える際は十分に注意する必要がある。
初めてTraffic Geyser(トラフィック・ガイザー)のウェブサイトを訪れた人は、“詐欺”を行っているサイトだと思ってしまうだろう。しかし、強引な営業目的のでたらめなメッセージをやり過ごすと、このサービスがビデオシンジケーションのツールとして役に立つことに気付くだろう。また、トラフィック・ガイザーはバックエンドのリード生成フォームクリエイター、そして、自動レスポンスおよびリード通知システムを用意している。私はこれらの機能を利用したことはないため、どちらもお薦めすることは出来ないが、シンジケーションシステムとしては興味深い機能と言える。
このツールをリサーチしているとき、私はトラフィック・ガイザーが「このシステムを使って、たった1つのウェブサイトで1年間に$250,000近く稼いでいます」と言う引用を使っているのに気付き、深夜のインフォマーシャルを思い出し、思わず一人でニヤニヤしてしまった。しかし、トラフィック・ガイザーにとっては効果があるのだろう。有効な販売戦略とは思えないが、触れないでおこう。
メリット: このサービスは比較的使い方が簡単であり、また、ビデオシンジケーション、またはマーケティングの初心者に、使い方から潜在的な利益まで、基本的なマーケティングのコンセプトを網羅するトレーニングビデオを用意している。
デメリット: トラフィック・ガイザーのウェブサイトおよび販売プロセス全体に神経を逆撫でされた点は既に述べただろうか?率直に言って、これだけでも、私はこのサービスを避け、他のサービスを選びたくなる。しかし、中にはそれほど気にならない人もいるかもしれない。トラフィック・ガイザーの最大の欠点は、すべてのビデオシンジケーションソフトウェアも抱えている問題であり、動画ホスティングプラットフォームごとに違いをカスタマイズすることが出来ない点だ。
VideoWildfire(ビデオワイルドファイヤー)もまた、インフォマーシャル型のウェブサイトだが、どうやら成果を挙げているようだ。ビデオワイルドファイヤーはローコストのサービスであり、チューブモーグル等のサービスと比べると、バックエンドの機能は物足りない。しかし、その他の多くのサービスと同じように、支払った金額に応じた機能を得ることが出来ることに変わりはなく、機能が見劣りする分、ビデオワイルドファイヤーは価格が安い。このサービスは、ブランドや代理業者よりも個人に向いているが、あらゆるレベルの動画マーケティングのプロを陰て支えてくれるはずだ。
メリット: 料金は約20ドル/月に設定されており、安価で利用しやすいサービスと言えるだろう。ビデオワイルドファイヤーは、使い方が簡単であり、動画形式およびスライドショーのプレゼンテーション形式によるサポートは頼もしい。最も基礎的なレベルにおいては、私はビデオワイルドファイヤーを推している。概して、宣伝通りの効果があり、動画を様々なホスティングサービスに投稿することが出来る。オプションの機能は少ないが、もともと大半のユーザーにとっては不要なものであり、問題視する必要はないだろう。
デメリット: ビデオワイルドファイヤーのウェブサイトは好きになれない。恐らく評判の良いブランドや代理業者は嫌悪感を抱くだろう。しかし、同サービスがターゲットにする顧客は個人ユーザーの確率が高く、彼らはオンラインの存在感についてあまり気に留めないだろう。しかし、それぞれの動画サイトには予想出来ないトラブルが起きる可能性がある現実があり、その打撃を受けてしまうだろう。 ビデオワイルドファイヤーもしくはその他のソフトウェアベースのシンジケーションサービスを利用すると、アップロードする動画の閲覧ページの多くで著しいギャップが生じてしまうのだ。
Hey!Spread(ヘイ!スプレッド)は既に紹介した3つのツールと似ており、各種の動画ホスティングサイトに動画を配信するための様々なサービスを寄せ集めている。ヘイ!スプレッドは、それ以外にもオンラインの動画のトレンドを分析する機能や動画のエンコーディングサービスなど複数の機能を提供している。2007年にサービスを開始したこのサービスはチェックしておきたいサービスの一つである。
メリット: ヘイ!スプレッドは柔軟な価格設定を行っている。決まった月額を用意していない。その代わりに、使った分だけ料金を支払うシステムを採用している。散発的に動画キャンペーンを行うブランドや代理業者にとっては、魅力的なオプションである。また、ヘイ!スプレッドは、ユークローンと呼ばれる既存のユーチューブの動画をヘイ!スプレッドがサポートするホスティングサイトのネットワーク全体に再配信するサービスも提供している。
デメリット: ユーチューブの動画をリピートする機能のようだが、ソフトウェアベースのサービスを利用する際の欠点は既にお分かりだろう。ユーザーは、個人であれ、ブランドであれ、代理業者であれ、ソフトウェアによるソリューションを採用するなら、その利点および責任をよく考えなけれならないだろう。一体どちらが重要なのだろうか?短い時間で出来るだけ多くの場所に動画をアップロードする必要があるのだろうか?それとも、必要な手順を踏んで、それぞれの動画を個別のプラットフォームにカスタマイズすることで、ブランドの品位を保つことの方が重要だろうか?
手作業による投稿はツールではないが、ローコストのインターンや海外のスタッフを採用する際のメリットも紹介しなければいけないと感じたので挙げさせてもらった。自動化するのではなく、紹介したソフトウェアを用いた結果と同様の結果を得ることが出来るが、遥かに多くの作業をこなさなければならない。
メリット: ローコストのスタッフを採用する際の最大の利点は、ソフトウェア & カスタマイゼーションを利用した際に発生するデメリットを克服することが出来る点である。自動化ツールは、時間、そして、お金を節約することが可能な点を売りにしている。確かに時間を節約することは可能だが、そのために幾ら費やすことになるのだろうか?動画のページをカスタマイズすることが重要なら、自分でカスタマイズする以外の方法は現時点では存在しない。しかも、この作業にはハイレベルなスキルが要求されるわけではない。過去、私はターゲットに選んだホスティングサイトに投稿およびカスタマイズするプロセスを説明する文書を作成したことがある。
デメリット: 当たり前だが、全て手作業だと、時間がかかる。また、たとえインターンや海外の労働力を用いることで、コストを抑えることが出来たとしても、まずは作業が完了するのを待ち、次に他の誰かにQ/Aを行ってもらわなければならない(少なくとも満足出来るレベルまでスタッフの能力が上がるまでは)。開発されている安価もしくは無料のソフトウェアと比べると、手作業は、選択肢に入る資格すらないかもしれない。しかし、考えてもみてもらいたい。特に代理業者のレベルでは、ピークを外した時間なら(夜間等)、手作業を通して仕事を完了させることも可能なはずだ。
また、トランスクリプションのようなタスクも手作業で賄えるだろう。クライアント、もしくはブランドが、手作業による投稿およびカスタマイゼーションに対する予算を割くことが出来るなら、選択肢として残しておきたい。
各種のホスティングサイトの側には標準を決めなけれならない理由は見当たらないので、自動ビデオシンジケーションの完璧な解決策が誕生するとは考えにくい。しかし、チューブモーグルやヘイ!スプレッド等のサービスは現時点で最も完璧に近い存在と言えるだろう。これらのサイトはまた、大半のブランドや業者が容易に得ることが出来ないデータを集める分析ツール等、さらに価値を加えている。動画キャンペーンを始める際、もしくは、動画をマーケティング戦略の一環として考える前に、何が重要か、何が効果的か、もしくは何が正確かを時間を割いてじっくり考えるべきである。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「5 Video Syndication Tools That Can Boost Search Results」を翻訳した内容です。
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