グーグルの米国内の広告収入は150億ドルであり、米国のイエローページのマーケットは約140億ドルと言われている。この額の大半はいまだに印刷媒体が占めているが、グーグルがローカルの分野に本格的に参入するにつれ、オンラインへの移行は加速している。
さらに、携帯電話は位置を認識し、位置情報を検索のサジェストに組み込むことが可能になり、そして、第四四半期のカンファレンスでグーグルのジョナサン・ローゼンバーグ氏は、モバイル広告が既にグーグルにおいて10億ドル規模のマーケットになっている点を明らかにしている。
グーグルはローカリゼーションを数年に渡って行っており、最優先課題に挙げていた。「最近、新鮮度以外に焦点を絞っている取り組みはありますか?」と尋ねられたアミット・シンガル氏は次のように答えている:
ローカリセージョンですね。複数の国々では私たちは十分に地域に特化しているとは言えません。複数の言語が用いられている国、あるいは、主要な国と言語が同じ国は目に余る状況が続いています。
オーストリアではドイツ語が用いられていますが、ドイツのウェブは規模が大きく、ドイツのつながりは広範に渡るため、ドイツの結果の方が多く表示されるのです。また、英国では米国の結果が寄せられます。インドやニュージーランドでも同じ現象が起きています。そのため私たちはチームを結成し、ローカリゼーションを大幅に勧めてきました。そして、既に国際的に大きな成功を得ています。
私はローカル化への取り組みに関する記録を取ってきた。そして今回グーグルが新たにローカライズした検索結果を立ち上げたので、概要を見ていこうと思う。まず、グーグルの公式発表に目を通し、次に数本の質の高い レビューが投稿されているので、是非、参考にしてもらいたい。
ローカライズされた結果の一部は、例えば、Chicago pizzaだけではなく、pizzaやflowersのような、単一の用語の検索にも表示される。
地域の事業をこの新しいフォーマットで宣伝すると、グーグルは戦術的な事業面でのメリットを得ることが出来る
始まったばかりなので、過去が例がなく、どう判断すればよいのかまだ分からない。まず、イエローページのディレクトリーは大打撃を受けると言いたくなるところだが、あまり大きな影響を受けない可能性がある。しかし、結果は適切な位置に掲載されており、グーグルはテストを行い、データを集めることが出来る点を忘れてもらいたくない。
データのソースが増えれば、アルゴリズムよりも良い結果を出す可能性が高い。事実、グーグルはグーグル自身のウェブサイト上の検索者の行動を追跡することで、最も豊かなデータの情報源の一つを得ていると明かしたことがある。
このデータにおいて競合者に対するアドバンテージを確立する強力な方法が2つある:
イエローページサイトは当初フェアな扱いを受けるかもしれないが、最終的に彼らは徐々に搾取されていく状況に追い込まれるだろう。モバイルでつながった世界では、グーグルは97%のマーケットシェアを占めており、ローカライズされた検索のオートコンプリート機能および実際の場所にマッピングする広告を提供し、ネットワークに対するモバイルクーポンを作成しており、イエローページサービスを提供する企業は孤立無援の状態と言えるだろう。あるいは僅かの区画しか場所を与えられない状況だ。 😉
彼らは死に物狂いで、主な競合者同士でクロスライセンス契約を締結している。しかし、これはデータをさらに商品化するだけである。
昨年の12月、R.H. DonnelleyのCEO、デビッド・スワンソン氏が「人々は私たちのことを製品会社だと考えているようだ — イエロページ– しかし、私たちはイエローページの利用者から料金を取っているのではなく、広告のメッセージの作成、そして、検索結果に表示させる支援を行うことで収益を得ている…現在、私たちと交流していることさえほとんどの人が知らないはずだ」と話したとき、私は身が縮む思いがした。
高い解約率を把握し、上述のコメントを読んだ後、私は同氏にアドワーズでの乏しいアフィリエイトが辿る運命に関するメモを送ってあげるべきだと思った。心配する必要はない。やがて真実が明らかにされるだろう 😉
しかし、さらに状況を悪化させる事態が判明した。検索のサジェスト機能がローカル化され、コアの検索にローカルが大幅に統合されるだけでなく、グーグルはさらにテレマーケィングを行い、定額の地図広告を提案しているのだ(無料のトライアル付きで)。さらに完全に自動化された定額制の自動の地域のアドワーズ広告のテストも再開している。
企業はどのように収益を最大化させることが出来るのだろうか?コストを外面化して、収益を内面化するのだ。単刀直入な手法である。これを効果的に実施するため、グーグルは出来るだけ多く中間業者を省こうとしているのだ。要するに、グーグルは、事業にトラフィックをもたらすのではなく、破産に導くことで、データを手に入れる決断を下したと言っても過言ではない。
最終的に、何が商品化されるのだろうか?それは労働だ。もっと細かく説明しよう:
当然だが、グーグルはマーケットの運命を強調し、また、このようなデータを“全体”として利用するだけだと述べて、クレームから言い逃れている … しかし、仕事を失うのが自分なら & または労働を自分に対して使われるのなら、“全体”を言い訳にされても納得いかないだろう。
ただし、グーグルが頼っている事業が破産するなら、グーグル自身の検索結果に悪い影響を与えないのだろうか?
与えないのだ。
それには2つ大きな理由がある:
グーグルの変更の多くが当初はあまり収益化されない理由は、そうすることで人々に動機を疑われないようにするためだ。
グーグルは次のような観点で見ているのだと思う : “私たちは関連性のシグナルを消しても気にしない。なぜなら、新しいシグナルをいつでも作ることが出来るからだ。自分達に競争上の独自な利点を与えつつ、他の連中が使う井戸に毒をたらせば、一石二鳥だ。曖昧なグレイエリアの出版契約のようなものだ。スタートアップによるイノベーションが法外に高くなる一方で、グーグルには競争上のアドバンテージを確約することが出来る”。
グーグルがこのようなことを公言することはないが、非公開の内部のスライドを見ると、このような考えが戦略の一部になっている点が分かるはずだ。
本当のグーグルのガイドラインには以下のような点が記されているはずだ:
グーグルのスパムの認識について考える際の基本的なアドバイスを贈ろう。グーグルが同様のサービスをあまりコストも労力もかけることなく提供することが出来るなら、そのサイトはスパムである。
グーグルがそんなことを認めるわけはないが(独占禁止法があるため)、検索結果の問題に言及したことはある。また、よそよそしい評価用の文書には以下のように綴られている:
クエリを入力すると、検索エンジンのユーザーは結果ページを見ることになる。結果ページの結果をリストと考えてもらってもいい。時々、“リストを求めるクエリ”の最高の結果が、そのリストからの最高の個々の例になることがある。検索結果のページ自体がユーザーにとって役に立つリストなのだ。
上述の内容を読むと、一部のSEO業者は“でもこれはローカルの分野だけでしょ”と主張したくなるはずだ。
個人的にはその考え方は愚の骨頂だと思う。
ユニバーサル検索が公開されたときのことを思い出してもらいたい。最初、一部のニュースサイトを対象とした限定的なベータであった。その後、グーグルはユーチューブを買収し、検索業界の状況が一変したのだ…誰もが動画や様々なアイテムを常に欲しがるようになった。 😀
このグーグルを売り込むコンテンツが豊富なSERPが、ローカルの分野だと思ったら、そのうちがっかりするだろう。なぜなら、ローカルから次の分野に移行していく可能性があるからだ:
グーグルはクエリの分類化を行い、検索トラフィックを大半の人々が理解しない方法で形成することが出来る。パブリッシャー達が十分な量の同じ類のデータを提供し、同じ類のタグを利用しているなら、グーグルがエンドユーザーに提供する新たなナビゲーションのセットを作成していることになる。
クリック料金所を通過するまでは、パブリッシャーのウェブサイトをナビゲートする必要はないのだ。
グーグルのサーチウィキは大部分において失敗であった。ユーザーを混乱させたからだ。グーグルはサーチウィキを約1年前にローンチしたが、おそらくほとんど好転していないのだろう。サイドウィキがローンチされた時、ダニー・サリバン氏は次のような見解を表明した:
サイドウィキは、グーグルが必死に手に入れようとしているアイテムをまたも狙うための取り組みなのではないだろうか ? 質の高いコメントを提供するエキスパート達のコミュニティだ。グーグルは共同設立者のラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏がウェブページを格付けするシステムよりも欲しがっていたアイテムだと述べている。彼らはウェブ全体でページに注釈を付けるシステムを求めていたのだ。
この臨界質量に到達する唯一の方法は、このアイテムを検索結果に持ち込むことだ。まずはローカルのみだが(& スクレイプ + eコマース等のその他の分野に導入される)、彼らの狙いは分かっているはずだ。狙いを定めていなければ、怖くはない 😉
スクレイプ / マッシュ / リダイレクト。これはフェアユースの法律の範囲内かもしれないが、支持を得ることは難しいだろう。いずれ状況を把握しているパブリッシャー達は、別の望ましいパートナーと手を組むようになるだろう。グーグルに対して旅行のバーティカルおよびTVマーケット内の企業から既に反発の声が上がっている。
最終的に、検索エンジンを売り込み、そして、推奨するのはウェブマスター、ウェブデザイナー & ウェブディベロッパーである。グーグルが作りだす価値よりも多くの価値を得ている、あるいはグーグルの検索結果にはあまりも多くの様々なジャンクが含まれていると言う見解が一致するようになると、彼らは最少主義 + パブリッシャーフレンドリーな検索サービスに検索者を送りこむようになる可能性がある。最近、Blekko(ブレッコ)という検索エンジンが新たにローンチされた。彼らの検索へのアプローチは、かつてのグーグルのアプローチとそっくりである。 🙂
この記事は、SEO Bookに掲載された「Localization, Unique Data Sets & the Future of Search」を翻訳した内容です。
最近、Googleがローカル検索に独自コンテンツを差し込みすぎているという議論が米国で再燃しており、関連記事をSEO Japanでも紹介しましたが、その流れが加速化していくことだけは間違いなさそうですね。ローカル検索はその第一歩程度の話で、ほぼ全ての需要と市場がそれなりにあるバーティカル分野でGoogleは同様の展開が可能なわけですし、徐々にしてくるのでしょう。実際、検索を抑えていることで競合他社より圧倒的なユーザーに関するデータも得られるわけですし、よりユーザーニーズにあったサービスを提供するにしても圧倒的に有利なポジションにいるともいえます。バーティカル分野のポータルにとっては当然うれしい話ではないですし、ユーザーと企業をつなぐ存在としてGoogleが圧倒的な存在になりすぎてしまうことにも一抹の不安は感じますが。。。とはいえ、ある程度避けられない未来なんでしょうね。 — SEO Japan
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