DMCAとは「デジタルミレニアム著作権法」の略称です。インターネットの進化と共に、情報の流通速度は目覚ましい速さで増加しています。コンテンツは、一瞬にして世界中に拡散する可能性を持つ一方で、その著作権を不正に侵害されるリスクも高まっています。
ブログ運営者・クリエイター・企業など、インターネット上で情報を公開するすべての人にとって、コンテンツは重要な財産です。しかし、大切なコンテンツが無断でコピーされ、他者によって利用されていることに気づいたとき、どのように対処すればよいでしょうか?
この記事では、DMCAの基本的な概要から、具体的な申請方法、悪質な虚偽の申請への対処法まで、日本のユーザーが知っておくべきポイントを解説します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
DMCAとは、デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)の略称で、1998年にアメリカ合衆国で制定された著作権に関する法律です。デジタルコンテンツが主流となる現代における著作権の保護と管理には、多くの課題やトラブルがあります。その中で制定された「DMCA」という法律は、インターネット上での著作権侵害に対処するための重要な法律です。
DMCAは、インターネット上での著作権を保護する目的で定められています。著作権者の権利を侵害するコンテンツを発見した場合、著作権侵害に対する申し立てをオンラインサービスプロバイダ(Webサイトの運営者など)に通知できます。通知を受けたプロバイダは、該当するコンテンツを迅速に削除することにより、著作権侵害に関する法的責任から免除されるという「ノーティスアンドテイクダウン手続き」がDMCAには規定されています。
以前は、ウェブサイト上のコンテンツが無断で複製された場合、著作権所有者は侵害を行ったサイトの管理者を特定し、直接削除を要求する必要がありました。しかし、悪意を持った侵害者の場合、特定や交渉は非常に困難です。盗用コンテンツがGoogleなどの検索エンジンに表示されつづけることで、正規のサイトがトラフィックを失い、結果として大きな損失を被ることもありました。また、従来の著作権法では、インターネットサービスプロバイダ(ISP)に対する免責規定が不足しており、ウェブサイト管理者が著作権を侵害した場合の賠償責任がプロバイダに及ぶことも懸念されていました。
しかし、これらの課題はDMCAの導入により対処が可能となったため、著作権侵害の問題がより効率的、かつ迅速に対応できるようになりました。
インターネットの普及により、著作権侵害は世界的に大きな問題となっています。DMCAはアメリカの法律ですが、日本のユーザーにも影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
日本に居ながらアメリカのオンラインサービスを利用する際、DMCAは著作権保護のための国際的なルールとして機能します。GoogleやYouTubeをはじめ、日本でもほとんどの方がアメリカのオンラインサービスを利用しているでしょう。
日本のユーザーが、アメリカのオンラインサービスにコンテンツを投稿する場合には、この法律の下で保護される著作権を侵害しないよう注意が必要です。もし著作権を侵害してしまった場合、DMCAの通報システムを通じて削除要請が行われます。
DMCAによる保護は、著作権が存在するあらゆるデジタルメディアコンテンツに適用されます。媒体もテキスト・画像・動画・音楽などさまざまです。このように、アメリカの法律でも日本で影響があることは知っておくとよいでしょう。
日本国内で運営されているウェブサイトであっても、サービスが国際的に利用されている場合やアメリカのオンラインプロバイダを利用しているサービスはDMCAの対象です。アメリカのオンラインサービスプロバイダを使用したサービス例は以下の通りです。
これらのサービスはアメリカの法律下で運営されているため、日本に居ようともDMCAの影響を受けることになります。Google・YouTube・X(旧Twitter)など、日本でも広く普及しているサービスはより注意が必要です。
しかし、日本国内の著作権法とDMCAは異なります。それぞれの法律を理解し、コンテンツを提供する必要がありますが、すべてを理解するのは困難かもしれません。たとえば、日本の著作権法では認められている一定の行為が、DMCAの下では違法と見なされる場合もあります。判断に困ったときは専門家に相談するとよいでしょう。
インターネット上で自分のコンテンツが無断で使用されていることを発見した場合、DMCAに基づき、権利侵害のコンテンツを削除するための申請を行うことができます。削除申請の方法は以下の通りです。
「著作権侵害による削除」にアクセスして行う方法を解説します。削除申請を行う前に、まず、Google Search Console(サーチコンソール)にログインが必要です。
申請フォームには、氏名・会社名・メールアドレス・住所・電話番号など、正確な個人情報を記入する必要があります。虚偽の情報を提供すると罰せられることもあるため、注意してください。また、代理人を通じて申請する場合は、「代理人としての申請」を選択し、関連する情報を正確に入力します。
これらをできる限り明確に記述しましょう。
最後に、「宣誓供述書」に署名し、申請内容が真実であることを宣言します。申請を送信する前に、記入内容に誤りがないか再度確認することが重要です。
以上の手続きを踏むことで、Googleの検索結果から不正に使用された著作権物を削除できます。Googleは著作権侵害を報告するための専用のフォーム(日本語対応)を用意しているため、違法コンテンツを見つけた場合は、利用するとよいでしょう。
申請後、Googleからの連絡を待ちましょう。Googleからは申請の受領確認と、処理の進捗状況を知らせるための通知メールが送られてきます。申請内容が不完全な場合や不明確な点があるときは、Googleから追加の情報を求められることもあるため、注意が必要です。ただし、虚偽の申請を行うことは法的な問題を引き起こす可能性があるため、申請の際には十分に注意しましょう。
次は、DMCA申請後の影響について確認していきましょう。
申請が承認されると、問題のあるサイトはGoogleの検索結果から削除され表示されなくなります。そのため、ページやコンテンツへの訪問者数は大幅に減少するでしょう。
検索結果に関しては以下のページをご覧ください。
検索ボリュームはどう調べる?SEOとの関係やフェーズ別活用法を解説
自然検索とは?概要・順位が決まる仕組み・増やす方法などを紹介
DMCA請求が無効であると判断された場合や、適切な異議申し立てがあった場合には、削除されたコンテンツは検索結果に再び表示される可能性があります。また、違法なコンテンツだと認められた場合も検索結果画面では非公開となるだけで、コンテンツがなくなるわけではありません。
ここからは悪質なDMCA申請を受けた場合を見ていきましょう。
著作権を侵害していないにもかかわらず、競合の評価を下げようとして、悪質なDMCA申請を提出される場合があります。それにより、ビジネスや評判に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。
悪質なDMCA申請を受けた場合は、迅速にカウンターノーティス(異議申し立て)を提出し、必要に応じて法的アドバイスを求めることが重要です。また、著作権の理解を深め、日頃から問題のないコンテンツ作成に取り組むことも有効な対策になります。
悪質なDMCA申請とは、不正確または不当な理由でコンテンツの削除を要求する行為です。具体的な例としては、以下のようなケースが考えられます。
これらの事例により、正当なコンテンツが削除され、表現の自由に制約がかかってしまいます。インターネット上での情報共有が注目される中、不当な情報がオンライン上に残ることもあるため、悪質なDMCAには必ず申し立てを行いましょう。
悪質なDMCA申請により被害を受けた場合、著作権法の下で定められた虚偽の請求に対する損害賠償を求めることができる。著作権にかかわる法律は判断が難しいため、専門家のアドバイスを受けながら適切な手続きを踏むことが大切です。
DMCA(デジタルミレニアム著作権法)は、著作権保護とインターネット上の表現の自由をバランスよく保つための法律です。自分のコンテンツが不当に使用されていると感じた際には、DMCA削除申請ができます。また他者のコンテンツを使用する場合には、著作権侵害にならないよう注意が必要です。また、悪質なDMCA申請を受ける可能性もあるため、注意しましょう。
DMCA申請は重大な法的措置を招く可能性があり、ただコンテンツが削除されるだけでなく、場合によっては名誉棄損や損害賠償責任を負うことにも繋がります。そのため、DMCA申請は事実に基づいて慎重に行い、疑問がある場合は専門家などに相談するとよいでしょう。あらゆる企業のサイト改善やSEOの課題に伴走型で向き合いつづけて20年以上の実績がある弊社へお気軽にご相談ください。
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