Googleが世界で最も魅力的な雇用主の1つであることは周知の事実である。しかし、あるスタートアッププロジェクトが、マサチューセッツ工科大学(MIT)のブラジル人学生イザベル ペッシェ マットスにGoogleとMITを途中で辞めさせたのだ。そして、それはそんなに悪い考えではなかったようだ。彼女が加わったスタートアップはLemonと呼ばれ、報告によると、そのレシート記録アプリ(私達のレビュー参照)のおかげで1,000万ドルもの資金を調達した。
それは、運や特権に関する話ではない。イザベル ペッシェの軌跡は、大きな困難を乗り越えた決断の輝かしい例なのだ。多くの同級生とは異なり、イザベルはアメリカのトップの大学に入るように育てられたわけではなかった。彼女は、締め切りの2週間前に外国人のためのMITのプログラムについて知ったのだと、思い出して笑っている。
もしあなたが出願しようとしたことがあるなら、それが先回りを要するプロセスであると知っているはずだ。しかし、18歳のイザベルはくじけなかった。急いで推薦状を集めてできるだけ早く面接をアレンジした。最終的に彼女はその一流大学に入る数少ないうちの1人になったのだから、確実にそれをする価値はあったのだ。
イザベルが高校で数学を得意としていたとは言うものの、MITで勉強するためにボストンに引っ越すことは、彼女のような人にとっては注目に値する功績だった。彼女は、ブラジルのスラムで育ったわけではないが、典型的なブラジルのエリートに属していたわけでもない。彼女のような中流階級の家庭には、奨学金がなければMITの授業料を支払うことは決してできなかったと、彼女は説明する。
彼女のバックグラウンドに関してさらに際立っていることは、イザベルが起業家に囲まれて育ったわけではないことだ。父親は長い間同じ会社で働き、彼女の家族の中に独自のビジネスを経営している者は誰もいない。それでも彼女は、起業家以外としての自分を想像することはできなかったと認めている。
MITの起業家コンペを通して、彼女は最初のスタートアッププロジェクト―発展途上国のためのピアツーピアのモバイルシステム―に取り組むこととなった。このプロジェクトはコンペに勝つことはできなかったものの、とても成長できる体験だったと彼女は言う。
MITでの学業は、偶然ではあるが、イザベルにとってシリコン・バレーへの大きな一歩となる結果になった。MITの学士号の後、彼女は、大学がプライベートカンパニーとパートナーシップを組んで実施しているプロフェッショナルの修士号を選んだ。
その半分はカリフォルニアを舞台にしており、彼女にマウンテン・ビューにあるGoogleで働くチャンスを与えた。それは、彼女にとって、トップのテクノロジー企業で働く最初の経験ではなかった。彼女には、以前にMicrosoftでのインターン経験があったのだ。
しかしながら、イザベルはあなたが思うほどGoogleでの自分の業務を楽しんでいなかった。そして、彼女が二重生活と説明するものを引き起こすこととなった。昼間はGoogle翻訳の業務に従事し、仕事が終わるとすぐに、スタートアップ仲間とのネットワーク作りのために出掛けた。
予想通り、彼女はすぐに仕事のオファーを受け、数カ月間、ビデオプラットフォームOoyalaに勤めることとなった。ボストンに戻る時が来ると、彼女は決意した。学位を取る代わりに、ブラジルに戻って自分のスタートアップをローンチしようと。
しかしながら、イザベルがラテンアメリカの起業家メイヤー・マークとウェンセラオ・セラーレス(セラーレスが提供しているEラーニングサービスについて触れている私達の記事)と知り合いになった時、事態はかなり異なる展開を見せることとなった。覚えているかもしれないが、2000年のドットコムバブルの真っただ中、アメリカの大手金融サイトパタゴン.comがスペインのサンタンデール銀行に7億5,000万ドルで売られた時、この2人はラテンアメリカ最大級のスタートアップのエグジットに関係していた。
イザベルに会った時、この2人は彼女に自分達がローンチしようとしている新しいスタートアップについて詳しいことを話した。イザベルはそのアイディアをとても気に入ったため、ブラジルに戻らないことを決め、自分のアイディアに取り組むことを中断した。
その代わり、彼女はすぐに、のちにLemonとなるものに加わった。イザベルによると、これが彼女に自分が最も求めていた2つのこと―スタートアップを作ること、自分が敬服する人と働くこと―を結合するチャンスをくれたのだ。
恐らくあなたが読んだ通り、モバイルファイナンスの分野におけるキープレイヤーになることを固く決心しているLemonにとって、事態はすぐに好転した。誕生から6ヵ月のスタートアップは、買い物のレシートをスキャンして記録するためのそのアプリを使用する何十万人ものユーザーをものすごい速さで獲得した。今では、20人の従業員がいて、その成長を助けるために必要な資金を持っている。
彼女の目を見張るような実績にもかかわらず、イザベルは驚くほど謙虚だ。彼女は、自分はまだ数百万ドルの会社を作ってはいないのだと指摘し、マーク・ザッカーバーグとの比較に異議を唱える。もし彼女に試練を乗り越える自分のストーリーをシェアする意思があるとしたら、それは未来の起業家を元気づけることができればと願うからである―それは私達も同じだ。
この記事は、The Next Webに掲載された「Meet Isabel: This 23 year old entrepreneur dropped Google and MIT for Lemon」を翻訳した内容です。
アメリカンドリームってまだまだあるんだ!と思わずにはいられないエピソードでした。彼女が元々スタートアップで働くことや起業家を夢見ていたわけではなく、アメリカに来てから環境に染まって一気に才能が開花したのが新しいというか自然体でうらやましいというか。もちろん、まだまだ始まったばかりのスタートアップに過ぎませんし、今後どうなっていくかは全く未知数ですが、事業の成否とは別に彼女の未来は明るそうです。ちなみにLemonについてはこちらの日本語記事で読むことができます。 — SEO Japan
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