Googleが公表し、度々更新されている品質評価ガイドライン。Googleの「Webサイトの品質」に対する考えを読み解くことができるものであり、SEO担当者以外でも目を通された方は多いと思います。
非常に重要な資料であることは間違いないのですが、「読むとGoogleのアルゴリズムの中身がわかる」や「順位をあげるための方法が書かれている」といった資料ではありません。
では、我々は「品質評価ガイドラインをどのようにとらえるべきか」「サイト運営にどう活かすべきか」、これらを解説したSearch Enjine Journalの記事を紹介させていただきます。
※参考:Google 品質評価ガイドライン解説(2019年5月版)|電通デジタル
昨今のSEO業界では、Googleのコアアルゴリズムへの答えを、品質評価ガイドラインの中から見出そうとする動きが見られる。
果たして、品質評価ガイドラインには、Googleのアルゴリズムを把握する手がかりが書かれているのだろうか。もしくは、それはサードパーティの品質評価者へ、Webサイトを評価する方法を教えるためのマニュアルに過ぎないのだろうか。
品質評価ガイドラインはE-A-T(Expertise:専門性、Authority:権威性、Trustworthiness:信頼性)という概念が記された文章である。SEO業界にいる者には、「専門性・権威性・信頼性」が欠けていることが、特定のWebサイトにおけるトラフィックの減少の理由であると信じている者がいる。
目次
Googleが専門性、権威性、信頼性のあるサイトに良い順位を与えているという考えは、決して非論理的な考え方ではない。
E-A-Tが欠けているサイトは、Googleのアップデートによってネガティブな影響を受ける可能性がある。
品質評価ガイドラインは、品質評価者に対し、コンテンツの著者が専門家であることを確かめるため、著者の経歴を確認することを求めている(資格を保有しているか、受領歴はあるか など)。その理由は、「品質評価者がコンテンツの著者の信頼性を確認する方法を理解してほしい」と、Googleが望んでいるからだ。
SEO業界にいる者は、著者の経歴を強力なランキングシグナル(指標)として扱うこともある。Googleのウェブマスターヘルプフォーラムを覗けば、著者の経歴の欠如をサイトの順位下落の要因としているSEO担当者を発見できる。
著者の経歴と信頼性を強力なランキングシグナルとして認識し、「これらのシグナルが欠けていることがランキングの下降を引き起こしている」とするSEO担当者がいるのだ。
Google検索のトップであるベン・ゴメス氏は、「品質評価ガイドラインはランキングを生成するアルゴリズムについて書かれているものではなく、Googelが望む検索結果になっているかどうか、人間の評価者からのフィードバックを得ることが目的だ」と述べている。彼は、品質評価ガイドラインを読むことを時間の無駄とは思ってはいないが、他にも考えるべきことがあるとも述べている。
Google検索のヴァイス・プレジデントであるベン・ゴメス氏のCNBCによるインタビューについて、ビル・スラウスキ氏がTwitterで言及している。ベン・ゴメス氏は、「品質評価ガイドラインは、Googleのアルゴリズムを説明したものではない」と述べている。
「品質評価ガイドラインは、我々が”検索アルゴリズムをどうしていきたいか”を示したものとみなすことができる。」とGoogle検索、アシスタント、ニュースのヴァイス・プレジデントがCNBCに語っている。「品質評価ガイドラインは、検索エンジンのアルゴリズムがどのようにして検索結果を順位づけしているか、については書かれていない。基本的には、アルゴリズムがすべきことを示した内容となっている。」
ベン・ゴメス氏のインタビューはこちらで読むことができる。
品質評価ガイドラインは、アルゴリズムの実験をレビューする方法を、品質評価者に指南するためのドキュメントとして存在している。
品質評価ガイドラインには、ランキングシグナルを解説する内容は記されていない。非専門家へ、Webサイトをレビューする方法を伝えている。それだけだ。
アルゴリズムを分析するために品質評価ガイドラインを使用することは、間違った使い方である。
品質評価ガイドラインは、「Googleが高品質なWebサイトをどのように説明しているか」について書かれているのである。
品質評価ガイドラインには、ランキングシグナルやGoogleのアルゴリズムの要素については書かれていない。つまり、Wikipedia、ニュースサイト、Yelpのようなレビューサイトなどを確認するよう、品質評価者に求めていたとしても、Googleがそれらをランキングシグナルとして使用しているわけではない。
「Googleのアルゴリズムの変更が機能しているかどうか」を評価する目的で、サイト品質の確認を、品質評価者に求めていることを意味しているのだ。Googleが、品質評価者の直感ではなく、公平な視点による評価を求めることは、非常に理にかなったことである。
おそらく、これが、Googleが品質評価者に該当のサイトや著者が信頼に値するかを見極めるために、第三者視点での評価を依頼している理由だ。評価者の主観的な判断より、よっぽど強固な証拠となるからだ。
品質評価ガイドラインは、検索エンジンのアルゴリズムの仕組みを示す内容を提供しているわけではない。
Googleのアルゴリズムを理解する目的でこのドキュメントを使用することは、誤ったことである。品質評価ガイドラインをもとにアルゴリズムを読み解こうとすると、間違った結論を導き出してしまうだろう。
品質評価ガイドラインは、高品質なWebサイトを作成する手助けとなるアイデアを含んでいる。しかし、特定のランキングシグナルについての説明は記述されていない。
品質評価ガイドラインを読んだことのある者は多いだろう。
そして、「品質評価者やGoogleが自身のサイトをどのように評価するのか」と、不安を覚える者もいる。そのため、彼らは品質評価ガイドラインに書かれている内容に従うことで、”品質評価者に対して”サイトを最適化しようとしている。
しかし、アルゴリズムの向かっている方向と、品質評価ガイドラインの目的は、必ずしも一致しない。
ジョン・ミュラー氏も品質評価者の役割について、以下のとおりに説明している。
Googleのチームがアルゴリズムに改善を加えた場合、その改善結果をテストする。品質評価者は、そのテストの手助けをしてくれているのだ。
我々は品質評価者へ、改善が行われた場合と行われなかった場合の検索結果ページのリストを渡す。そして、彼らにそれらの検索結果を見てもらい、どちらの検索結果が良いか、理由を添えて判断してもらっている。
その判断の手助けとなるために、我々は品質評価ガイドラインを作成しているのだ。
品質評価ガイドラインは、品質評価者が検索結果を評価する手助けとなるために存在している。特定のランキングシグナルについて言及しているわけではない。
品質評価者による評価は、「特定のサイトのランキングに対し、直接の影響を与えていない」と、ジョン・ミュラー氏は述べている。
その理由は、品質評価者はGoogleのアルゴリズムを評価しているのであって、特定のWebサイトを評価しているわけではないからだ。彼らがWebサイトを確認する目的は、「アルゴリズムの変更がどの程度うまくいっているか」を評価するためである。
品質評価による評価がただちにあなたのサイトや特定のサイトに対し影響を与えることはない。
彼らに対し、なにか対策をする必要はないのだ。品質評価者への最適化は必要ない。
我々は、各Webページの関連性を理解するため、Web全体を自動的、アルゴリズム的に評価したいと考えている。品質評価者は、そうした我々のアルゴリズムの改善の手助けをしてくれているのだ。
「我々は品質評価者に特定のページの評価を求めているが、そのことに対し、サイト運営者が危惧することはない」とジョン・ミュラー氏は述べている。
品質評価者があなたのサイトの特定のページを評価しているのか、また、彼らは何をしているのか、ということについて心配する必要はない。
なぜなら、品質評価者が行っていることは、Webサイトを順位づけすることと、完全に独立しているものだからだ。
Googleのアルゴリズムの内部を考察するのであれば、特許や論文を参考にしたほうがよい。検索エンジンや大学は、彼らの発見を守るため、特許を申請している。Googleは、スタンフォード大学などと同様、多くの論文を公表している。マイクロソフトも同様だ。
特許や論文内にある検索エンジンが使用しているテクノロジーの理解に苦しむ人は多いだろう。それらは簡単に理解できるものではなく、論文に書かれているテクノロジーが実際に使用されているかどうかもわからない。
しかし、論文が公表されたという事実は、「ランキングシグナルとして実際に使用されるかもしれない」という仮説として捉えることもできる。論文の存在は、ただの仮説をアップグレードすることにつながるし、実際にその技術が使用されることだってありえるのだ。
特許や論文の探し方がわからない場合は、ビル・スラウスキ氏のSEO by the Seaを読むといい。何か新しい特許があれば、彼が記事を書いてくれるだろう。
品質評価ガイドラインに関連した多くの理論は、特許や論文の内容に基づいたものではない。
例えば、「著者の経歴が強力なランキングシグナルであり、サイトの順位下落の要因として十分な要素である」という理論は、論文や特許の内容に基づいたものではない。
明確な根拠のないランキングシグナルを信じるということは、この地球が平であると信ずるものと同じ領域にいると考えられる。これは都市伝説のようなものであって、事実や根拠に基づくものではないのだ。
品質評価ガイドラインに記載されていることが、必ずしもランキングの基準であるとは限らない。
※ジョン・ミュラー氏による、品質評価ガイドラインの説明の動画はこちら(https://www.youtube.com/watch?v=MD6ABXMMuaI&feature=youtu.be&t=707)から視聴できる。
品質評価ガイドラインは、かつては非公表(それでもリークされていましたが・・・)でしたが、現在は誰でも閲覧できるようになり、非常にオープンな資料となっています。それに伴い注目度も増している感がありますが、それゆえ、「品質評価ガイドラインを読めば、検索結果での順位を上げることができる」と考える方も増えているかもしれません。
記事では、しつこいくらいに「品質評価ガイドラインとランキングに直接の関係はない」と述べていますが、大事なことなので繰り返し強調しているといった意図を感じます。
品質評価ガイドラインは非常にボリューミー(しかも英語)な資料であるため、しっかりと読み込んだにもかかわらず、誤った理解をしてしまうと非常にもったいないです。Webサイトの状況によって異なりますが、適切な理解をもって活用するべきでしょう。
SEO Japanでは、SEOやCRO(コンバージョン率最適化)を中心としたメールマガジンを週に一度、木曜日に配信しています。
担当者のコラム(読み物)や、質の高い記事をピックアップして配信していますので、ぜひご購読ください。
なお、noteにてバックナンバーも公開していますので、ぜひ試し読みしていただければと思います。
SEO最新情報やセミナー開催のお知らせなど、お役立ち情報を無料でお届けします。