先週、RTB(リアルタイム・ビッディング)が今後急速に成長するという記事を紹介しましたが、今回はRTBが今後成長を続けるために抱える課題について考えた記事をad exchangerから。企業向けにRTBの比較購入ガイドを書いたアナリストへのインタビュー記事で、英語圏RTBのリアルな最前線が感じられます。 — SEO Japan
Econsultancy(Eコンサルタンシー)による最新のリアルタイムビッディング(RBT)のバイヤーズガイドには、メディアバイイングの状況に関する要約に加え、現在の要求する側のプラットフォーム、トレーディングデスク(リアルタイムの取引を可能にするシステム)、そして、供給する側のプラットフォームの評価も提供されている。RTBシステムは予想を超えるスピードで成熟しているものの、一貫した計測の欠如やその他の問題によって、マーケッターによる採用が遅れているとこのガイドは結んでいる。
アドエクスチェンジャーは、Eコンサルタンシーでシニアリサーチアナリストを務めるモニカ・サヴァト氏にインタビューを行った。
このレポートを作成する上で驚いたことはありましたか?
モニカ・サヴァト: 私が特に衝撃を受けたのは、実験段階から安定した成長へとマーケットが動く早さ、そして、拡大するテクノロジーがもたらされる早さの2点です。セクター全体が、広告スポンサーとパブリッシャーにプログラミングを介した広告の取引のメリットを説明する取り組み、そして、RTBに関連する一般的な作り話や誤解を解決する取り組みに励んできました。また、心強いことに、ベンダーは力を合わせて業界全体の標準を策定し、メディア購入のプロセスに利用することが可能なAPIを規定しています。これはマーケットが成熟化しつつある点を示す最初の兆候と言えるでしょう。RTBの採用は今後数ヶ月間で加速していくのではないでしょうか。
RTB市場をどのように評価または定量化していますか?そして、メディアの買い手および売り手の間に浸透する日はすぐにやって来るのでしょうか?
2011年のRTBの出費は2010年と比べ2倍近くに増えており、基本的に今年も同じような増加を見込んでいます。米国は少なくとも1年はヨーロッパよりも先に進んでいますが、その他のマーケット、とりわけヨーロッパ、中東、アフリカ、アジア太平洋地域、そして、中南米のその他の地域では、RTBの採用は早まっています。世界的に見ると、RTBは2015年までに広告収益全体の4分の1を占めると推測しており、楽観的な見通しでは、50%を占めると予測しています。現時点では、メディアの買い手も売り手も実験段階であり、浸透するのは2、3年後になると私達は見ています。
「浸透」はどのようなものになるでしょうか?マーケットシェアに関して、RTB/プログラム広告とハイタッチ/ダイレクト的な広告の売り上げの適切なバランスを教えて下さい。
プログラミングを介した販売とダイレクト販売に「適切」なバランスがあるとは思えません。マーケットの動きがとても速いため、確かな数字を見分けるのは至難の業です。この業界が直面している最大の困難は、現在の状況です: 自動的に取引を円滑化するためのテクノロジーは存在するものの、広告スポンサーはメディアバイイングのアプローチについて賢い判断を下す必要があります。
オーディエンスによって購入が促される傾向がありますが、多くのブランドの広告スポンサーは、データを使って購入を補う価値を理解していないのが現状です。現在のRTBの支出の大半は、所謂「簡単に達成することが可能な」アイテムに関連しており、メディアの買い手側がRTBの完全なポテンシャルを理解し、基本的なリターゲティングや直接的な反応をベースにしたキャンペーンから移行するようになると、RTBは幅広く支持されるようになると考えています。すべてのディスラプティブテクノロジーに言えることですが、マーケッターが当該のスペースにアプローチする仕組みが変わる必要があり、また、RTBの採用に関しては、ベンダーがこのような変化にいかに適応し、期待を管理するかに大きく左右されるのです。
その2010年7月から2011年1月にかけてのレポートの件ですが、BSkyB社のディスプレイ広告の支出において、RTBは2%から18%に増加していました。Skyは広告の買い手として、どれほど進んでいるのでしょうか?アーリーアダプターの中でも他社をリードしているのでしょうか?それとも、中間に位置するのでしょうか?
NMAのイベントでSkyのセールス & オンラインマーケティングを統括するマシュー・ターナー氏はプレゼンを行い、マーケットが確立されれば50%まで増加すると述べていました。従って、Skyは間違いなくアーリーアダプターに当たります – つまり、データの応用において最先端を進む広告スポンサーであり、オンライン広告の予算の半分をRTBを介して費やしているのです。中間に位置する企業は25-30%をRTBに割り当てます。
RTBのエコシステムにおいて、マーケッターが抱える最大の痛みはどこにあると考えていますか?
マーケッターにとって最大の難問の一つに挙げられるのは、一貫した計測の欠如です。RTBの分野では、チャンネルの統合に関する話題がよく取り上げられていますが、マーケッター達はそれでも多くの技術的な問題やワークフローの問題に直面しています。幸いにも、業界のエキスパート達は、オンライン広告には信頼できる、合理的なアトリビューションモデルに欠けていると堂々と認めており、少なくともマーケットが「見て見ぬふりをする」段階からは抜け出していると言えるでしょう。一貫したRTBの「用語」において意見をまとめ、標準的なRTBのAPIを規定し、そして、一般的なメトリクスのセットを確立して成功を評価する取り組みは、RTBをマーケッターに採用してもらうためのベンダーの試みにおいて絶対に欠かせません。
パブリッシャーに関してはどうですか?
昨年と同じように、販売チャンネルの対立、価格の悪化、そして、ブランドの弱体化に関するトピックがよく取り上げられてきました。 こういった問題はパブリッシャー側にとっては現在進行形の懸念ではありますが、業界自体は過去1年間で大幅に動きました。ベンダーがマーケットに学んでもらうため努力を積み重ねてきたおかげで、パブリッシャーはより多くのインベトリをリリースして(一部のケースでは、プレミアムのプレースメントも)、ダイレクト販売を補う傾向が見られます。
とりわけ個人の市場に関しては、間違いなく良い兆候と言えるでしょう。個人の市場を介した取引は、プログラミングをベースにした購入を始める方法として、より慎重なタイプと見られることがあります。テクノロジーベースの広告は、セルスルー率が高いパブリッシャーの間で浸透しつつあります。このタイプのパブリッシャーは、インベントリのアクセスを制限し、すべてのインプレッションで最高の価格を得ることを望んでいるためです。
ツイッターでモニカ・サヴァト氏(@monicasavut)とアドエクスチェンジャー(@adexchanger)をフォローしよう。
この記事は、ad exchangerに掲載された「Report: RTB Space Gains Steam, Hurdles Remain for Brands」を翻訳した内容です。
BSkyBといえばイギリスで1000万人近い(以上かも)の有料会員を持つ大手衛星放送会社ですが、そんな会社がRTBを積極利用しているのがテレビ業界への皮肉ではありませんが時代の流れを感じます。効果測定はRTBに関わらず常につきまとう問題ではありますが、5年後にはRTB問わずマーケティング効果測定の統合プラットフォームで圧倒的な製品が出てきているのでしょうか。パブリッシャーがダイレクトな広告販売の余りをRTBで補うというモデルはかつてのダイレクト広告+アフィリエイト、みたいな流れで面白いですね。アフィリエイトよりは収益があると思う、というかあってほしいですが。。。私の会社もニッチメディアを運営しているのでダイレクト販売が中心とはいえ若干気になる動向でした。 — SEO Japan [G+]
SEO最新情報やセミナー開催のお知らせなど、お役立ち情報を無料でお届けします。