サーチマーケティングもディスプレイ広告との連携による相乗効果が求められる時代になってきました。ディスプレイ広告を考える時、普段サーチでは余り考えない概念が「ビュースルー」の問題。ユーザーに広告の表示はしたがクリックはされなかったケースをどう考えるか、ユーザーが広告を見たかどうかがわかりずらいこともあり、ディスプレイ広告単体でも評価が難しいこの指標。今回はそんなビュースルーを検索マーケティングにおいてどう考えるべきかという興味深い記事を。 — SEO Japan
一般的にビュースルー率は、不十分なメトリクスと見られており、SEO業界ではあまり話題にならない。ディスプレイのプランナーはビュースルーを重要視しているが、検索マーケッターはこのメトリクスを信頼せず(PPC経由のビュースルーは密かに認めている)、クライアントは混乱し、不安に感じている。
同じ週に3名のチーフマーケティングオフィサー(CMO)からこのトピックに関する質問を受けたため、私はビュースルーの良い点と悪い点を取り上げた新しいリソースが必要であると感じ、このテーマに関するホワイトペーパーを新たに作成した。それが、「ビュースルーのアトリビューションを公開: ラストタッチが教えてくれないこと」(註:何故かリンク切れになっているようです)である。
結論を下す上で、私自身がiクロッシングでメディアを運営した時に行った調査、新しいタグマン / IABの調査で得たデータ、そして、セールスフォース・ラジアン6やチャンゴの小売業者のクライアント等の組織による意見を参考にした。
このホワイトペーパーを要約した記事では、ビュースルーを検索マーケッターの視点で説明し、ディスプレイの予算を増やすために必要な答えを提供し、そして、皆さんの上司や顧客に情報を提供することを望んでいる。
目次
結論を急ぐわけではないが、私は適切な状況下ではビュースルーを信頼している。100%ビュースルーの功績を認めるわけではないが、0%も認めないわけでもない。これが正しい答えだ。これから説明していくが、その中間が全ての関係者にとって最も適していると言えるだろう。
ビュースルー、別名ポストインプレッションまたはVTとは、あるユーザーが広告キャンペーンを見た際に、サイトを訪問する行為や購入を行う行為等のアクションを起こすものの、広告自体はクリックしない状態を指す。私達の業界はこのコンセプトを難しく、そして、複雑にしようとしているが、答えは意外と単純である。
VTは様々なマーケティングの局面で見られる。その中でも最も受け入れられているのは、TV、ラジオ、または屋外の広告であろう。
企業はこういったチャンネルにデジタルよりも遥かに多くの資金を投じて、オーディエンスに接触しようとしている。また、ビルボードから店での購入に至るエンゲージメントのパスを直接見ることは出来ないものの、企業は支出を止めようとはしない。オフラインの広告は、VTのオフライン版に完全に依存しているのだ。
検索マーケッター達がビュースルーを気に入らない、または理解していない理由の一つは、PPCの世界においてメトリクスまたは機能としてビュースルーが存在しないことだ。PPCでは、検索ユーザーを発見し、そのユーザーに対して広告を使って応じることが可能であり、ユーザーは広告をクリックするかしないかの判断を下すことになる。
クリックはPPCにおいて次の2つの理由で良いメトリクスと言える – まず、そもそも唯一のメトリクスであり、次にユーザーが(検索において)求めた際にのみメッセージが表示されるため、この情報のやり取りの一環としてクリックは最終的な決定の役目を持つためである。
ディスプレイは大きく異なる – 「検索リターゲティング」等の戦略に力を入れていないなら、広告はリクエストに応じて表示されるわけではなく、個々のユーザーの要求にフィットする有力な推測の下、表示される。
ディスプレイは質問に答えるわけではなく、投げ掛けられる質問に影響を与える役目を負っている。クリックは検索の世界にはフィットするかもしれないが、ディスプレイの世界にはフィットしない。
クリックがディスプレイに対してはメトリクスとしては妥当ではないと言う主張は単なる意見に過ぎないのかもしれないが、クリックが、ディスプレイメディアの世界では、ランダムであり、且つ非論理的なイベントである点を実証した確かな調査が存在するため、単なる意見として片づけることは出来ないだろう。
ディスプレイ広告をクリックする人達は、オンラインコミュニティにおいては、デジタルメディアの経験に欠け、収入が少ない最も若いグループか最も高齢のグループであることが多い(そのため、25-45歳のユーザーをターゲットにした高所得者を対象とした企業なら、計測する対象としてクリックほど不適切なアイテムはない)。
現在、大半のクリックは、16%未満のインターネットユーザーによって行われている。
(イメージ: コムスコア / スターコム・メディアベスト)
ある調査結果では、クリックのコンバータの層が、コンバージョンが起きる際の典型的な顧客のプロフィールとは異なり、米国市民の平均と一致していたことが判明した。反対に、VTのコンバータはサイトのプロフィールと完全に一致していた。
消費者は単純にクリックしないため、VTはデフォルトの主なメトリクスとなる。
様々な方法が存在するが、クッキーを使ってその後のコンバージョンと広告のインプレッションを相互に関連付ける方法が最も一般的である – これはダブルクリック等の広告サーバーを用いて行うことも、あるいは、メディアベンダーの独自のピクセルを利用する手もある。次にマーケッターはVTの収益の何%がキャンペーンにとって正確なのかを把握しなければならない。
中には、広告が表示されていても表示されていなくてもサイトを訪問する人もいるはずであり、この調査の目的は、実際に増えているのは何人かを割り出すことである。
この目的は、通常、PSA(パブリックサービスアナウンスメント)テストを使って達成することが出来る。このテストの詳細は以下のソースで確認してもらいたい:
ディスプレイ自身のチャンネル内で計測されるインパクトの他にも、ディスプレイはPPC、SEO、そして、ダイレクトロードトラフィックにも計測可能なインパクトを与えることが証明されている。
代理店で働いていた頃、私は自由に用いることが出来たクライアントのデータを使って、このインパクトを評価するチームに加わったことがあり、このような調査の建前や噂に惑わされることなく、具体的な結果を証明することに自信を持てるようになった。
私達は、しっかりとした構造を持つディスプレイプログラムは、全国規模の旅行ブランドに対し、PPCにおいてCTRを15%高め、CPCのコストを11%以上低下させることを突き止めた。さらに、この調査の結果では、自然検索のクリックで13.7%の増加が、そして、全体的なサイトのトラフィックにおいても若干の増加がみられた。
アトラス社が実施した調査でも同じような結果が現れ、ディスプレイを検索に加えるたところプログラム全体でクリックの回数が4倍増加し、また、コムスコアは賢明なディスプレイの購入を介してPPCにおけるブランド検索が50%以上高まることを実証している。
このトピックに関する皆さんの意見をコメント欄で聞かせてもらいたい。あるいは、置かれている状況について私に相談したいなら個別に連絡を取ってもらいたい。最後に、ホワイトペーパーとアトリビューションモデルのコンセプトをライブで説明した最新のSEMPOのオンラインセミナー(リターゲティングエクスポーズド)もチェックしておくことを薦める。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「View-Through Attribution For The Search Marketer」を翻訳した内容です。
元々クリック率やコンバージョン率の高さが評価され活用されてきた検索マーケティングだけに、その価値や効果が無視されてきたビュースルーの概念ですが、サーチマーケティングもディスプレイ広告との連携が求められるようになった現在のウェブマーケティング、改めてその価値に着目し、より優れた相乗効果を引き出すと共に、サーチマーケ単体での可能性も考えてみても面白いかもしれません。 — SEO Japan [G+]
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