SEO戦略の組み立て方(便利なテンプレート付き!)

公開日:2013/03/17

最終更新日:2024/03/08

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SEOで大きな成果を上げるにはテクニカルな知識や各手法を理解しているだけでは不十分。サイトの全体像を把握し、いかにビジネスを向上させていけるかという戦略的なマーケティングプランに落とし込み実践していけるかが重要です。とはいえ、MBAを持っているわけでもなく、戦略にはイマイチ自信がない、、そんなあなたのためになぞっていくだけですぐに実行可能なSEO戦略の組み立てガイドをプレゼント。ともすれば、ディテールにこだわりすぎ・細部しか見えていない、と批判されがちなSEO専門家ですが、これを読んで大局観を持ったSEOを実践したい。 — SEO Japan

会社の経営者とSEOコンサルタントが共に大きなメリットを得ることが出来るものがあるとすれば、それは、戦略計画のテンプレートである。マーケティングにおいて、戦略ベースのアプローチが、手法ありきのアプローチに勝ることは周知の事実である。難しいのは、事業を成功に導く戦略を考案する取り組みである。今までこのような戦略を策定したことがない会社にとっては、尚更、難易度は高い。

SEO戦略のテンプレート

SEO戦略のテンプレートとは、道路標識のように従い、マーケティングビジネスに対する、独自の戦略企画書が出来あがるまで、適応、修正、カスタマイズすることが可能な「ルール」(と言うよりもガイドラインに近い)のセットである。

これは容易に繰り返し、再現することが可能なプロセスだが、SEO業界で、SEO戦略を進化させるアプローチとして、誰も実施していないのが不思議である。

それでは、簡単に従うことが可能であり、且つ強力なプロセスを基に会社の戦略を形成したい方のために、これから、SOSTACモデルをベースとした計画テンプレートを作る方法を伝授していく。

SOSTAC計画モデル

1990年代、総合的且つ柔軟であり、様々な顧客のニーズに合わせることが可能なマーケティングシムテムを計画する上で支援するため、PR Smith社によって、SOSTAC戦略フレームワークが提唱された。

SOSTACは、以下の用語の頭文字を取っている:

  • Situation – 現状
  • Objectives – 今後の目標
  • Strategy – 目標を達成する方法
  • Tactics – 計画を実行に移す方法
  • Actions – 担当者は誰か、いつ実施するべきか
  • Control – 計測および記録を行い、目標を達成したかどうかを確認する

優れたマーケティング戦略を描くための、この体系的なアプローチは、シンプルな上にエレガントであり、また、強力且つ効果が高い。そして、SEO戦略を計画するテンプレートのフレームワークとして利用することが可能である。

それでは、SOSTACを詳しく説明していく。

1. Situation / 状況分析 – 現状

マーケティングの取り組みを始める前に、現状を把握しなければならない。SEOの観点では、以下のポイントに注目する:

  • サイトのパフォーマンス
  • 獲得している検索エンジン経由のトラフィックの量
  • コンバージョン率が最も高い、最も優れたキーワード
  • 競合者との比較

実績を評価することで、今後の取り組みの生産性が上がる。適切な問いかけを行い、答えを出す – まずまずの滑り出しと言えるだろう。

a. ビジネスは好調か?経営のプロ、ピーター・ドラッカーは、「ビジネスの調子はどうですか?」と言うセリフからコンサルティングに入る。ウェブトラフィック、セールスの量、収益、資産、負債、キャッシュフロー、経費を調査しよう。ビジネスは軌道に乗っているだろうか?芳しくない場合は、理由を挙げていこう。

b. 長所は何か?業界、または、マーケットの同分野の競合者との違いは何だろうか?なぜ顧客から求められたのだろうか?競合者との差別化をどのように行っているのだろうか?

c. マーケティング戦略を策定しているだろうか?現在のマーケティングキャンペーンとSEOの取り組みに注目しよう。期待通りの効果を上げているだろうか?どのアクティビティの効果が高いだろうか?そのアクティビティは会社にどのような影響を与えているだろうか?

d. 目標は明確に決められているだろうか?ターゲットのオーディエンスは、明確に定義されているだろうか?最高のキーワードを把握しているだろうか?お得意様(および上位のキーワード)の総収益における割合が少ない場合、その点に気づいているだろうか?より一層の支援を行うことに力を入れているだろうか?

e. 弱点はどこか?最もコスト効率が高く、インパクトが強いマーケティングのチャンネルおよびSEOの取り組みを採用しているだろうか?効率を良くするためには、どうすればいいのだろうか?

f. 危機への対策を講じているか?テクノロジーの革新や現状のディスラプトテクノロジーは、事業に悪影響を与える、または事業を閉鎖に追い込むだろうか?あるいは、業界の激しい変化を利用するための対策を練っているだろうか?競合者に、力、多様性、そして、創造性の面で劣っているだろうか?

2. Objectives / 目標設定 – どこに向かうのか?

現状を把握したら、目標と目的を決める必要がある。

a. 最大の目標は何だろうか?なぜ、その会社、またはウェブサイトは存在するのだろうか?綱領を明確に規定しているだろうか?簡潔な「ポジショニング宣誓書」に言い換えることが出来るだろうか?ポジショニング宣誓書では、なぜ事業を運営しているのか、そして、誰にサービスを提供するのかを明記する必要がある。

b. 何を達成するために取り組みを行うのだろうか?利益の獲得が主なモチベーションだろうか?それとも、別の何かを達成したいのだろうか?マーケットに貢献する計画をどのように策定しているのだろうか?

c. どのマーケティングのメソッドに力を入れていくのだろうか?SEO計画のどの要素が、より多くのクライアントをもたらし、セールスへのコンバージョンを改善し、その結果、リピート客の獲得および推薦をもたらすのだろうか?

d. マーケティングでどのような取り組みを実施するのだろうか?リードや条件を事前に満たした真剣な顧客候補を増やそうとしているのだろうか、より多くの直接的な売り上げを成立させようとしているのだろうか、推薦を促そうとしているのだろううか、それとも、ビジネスパートナーを求めているのだろうか?大きな成功を収めたいなら、それぞれの目的に応じて、具体的にメッセージを調整する必要がある。

明確に目標を定義したら、SMARTテストにかけて、最高・最善のターゲットであることを確認しよう。

S – Specific(具体性)。目標は明確であり、具体的だろうか?
M – Measured(計測)。目標は測定することが出来るだろうか?
A – Actions(行動)。どのような行動が、目標を達成させるのだろうか?
R – Realistic(現実性)。目標は実現可能だろうか?
T – Time(時間)。期限内に目標を達成することが出来るだろうか?

現状を把握し、主要な目標を掲げたら、次のステージに進み – 戦略を固めていく。

3. Strategy / 戦略の策定 – 目標を達成するには

戦略は、SEOの取り組みに対するハイレベルな設計図である。ローカルSEO、ブランド構築等に焦点を絞る可能性がある。これは「全体像」を描く段階であり、詳細を決める必要はない。しかし、SEO戦略の特質を明白且つ堅実に描く必要がある。

まずは、焦点の絞り込みを行い、他社よりも良いサービスを提供することが可能なオーディエンスの具体的なグループを決める。このグループの大きさは、会社の規模および範囲に左右される。ただし、ターゲットのマーケットを明確に定義することで、非戦略的なマーケッターが落ちる大きな落とし穴、- 理想の顧客候補は、消費者全員だと言う誤った考え – を回避することが出来る。

顧客候補の検討がついたなら、さらに詳しく把握するステップに進む。買い手の心理を学び、何を求めているのか、そして、いつ求めているのかを正確に解明することで、競争においてアドバンテージを獲得し、また、巨額の利益をもたらす原動力を得ることが出来るだろう。また、このオーディエンスにアピールするためのマーケットのターゲティングを行う取り組みには、楽にコンバージョンを大幅に高める効果が見込まれる。

この知識を基に、ポジショニングを調整し、マーケットでの受け止められ方をコントロールすることが出来るようになる。

4. Tactics / 手法 – 計画を実行に移す方法

全体の強度は、最も弱い部分に左右される。つまり、戦略の強さは、戦略を実行するために用いるアクションによって決まる。

この段階では、実行するステップ、そして、理想の結果を描く。SEOの成果を正確に推測するのは難しいが、合理的な推測を行うのは可能なはずであり、この推測がSEOキャンペーンの道路標識の役割を果たすようになる。

a. どのツールを利用するのか?(SEOを含む)あらゆるタイプのマーケティングの分野に対して、様々なツールが開発されている。しかし、利用するツールの数を絞り、効果的に、そして、巧みに利用するべきである。

b. 取り組みの計画を行う。様々な異なる成果をもたらすために、同じツールを用いることが出来る。適切な理由で適切な取り組みを一つ選ぶことで、成果におけるシナジー効果が期待できる。

c. メッセージを送る。理想の顧客候補に標準を絞ろう。余計な文言は省き、オーディエンスの最大の望みまたはニーズに直接訴えかける必要がある。混乱した顧客候補は、購入を控える傾向がある点を忘れないでもらいたい。

d. 一貫性を保つ。ブランディング、そして、直接的な販売は、反復することでより有益な効果をもたらす。

e. 予算を獲得する。戦略的にマーケティングを行おうとすると、初期の段階でコストが嵩む可能性がある。マーケティングの計画に必要なリソースと資金を、取り組みを実際に始める前に割り当てておこう。さもなければ、失速し、勢いと資金を失ってしまうだろう。

5. Actions / 行動 – 誰が担当しているのか?

戦略と手法の計画を策定したら、次のステップ – 役割の割り振りと期限の設定 – に進む。

役割、そして、タスクを完了する期限を明確に設定していない場合、マーケティングの取り組みはやがて沈滞し、失速する。この段階では、肝心な日々の活動 – 何をするべきか、誰が実行するのか、そして、いつまでに終わらせるのか – を決めていく。週ごとにまとめるのであれ、あるいは、別の時間枠を設けるのであれ、誰もがアクセスし、理解することが可能な素案を提供する必要がある。

a. リーダーを選ぶ。SEOのアクティビティの具体的な要素を担当する個人を選ぶ。

b. 期限を決める。マーケティングカレンダーを策定し、各アクションのステップに対する期限を決める。

c. 実行可能かどうか?能力、スキル、または、資格ではなく、経歴に基づいてタスクを割り当てる方針は、大きな誤りである。

d. 進捗状況を測定する。追跡する基準を決定する。タスクが終わりに近づくと、その点が分かる仕組みになっているか?容易に測定することが出来るのか?どのぐらいの頻度で記録するのか?

e. 結果を文書にまとめる。キャンペーンの進捗状況に関する視覚的なフィードバック、そして、成果を共有することで、チームに活力を与え、協力体制を改善する効果が見込める。現代の複雑なSEOの世界では、協力的なチームの取り組みを行っているかどうかが、成功の鍵を握る。

6. Control / 管理 – 観察 & 測定

SEOプロジェクトのウェブ分析では、進捗状況を確認し、初期の状況分析に照らして見直しを行う。SEO戦略が、時間の経過とともに成長し、進化していく中、フィードバックを行って、戦略の変更および調整を行い、穴を埋め、そして、戦略をより強固なものにする必要がある。

a. 適切に計測を行う。検索ランキングの上昇は確かに重要だが、ビジネスの収益への主なインパクトを計測する方が重要度は高い。

b. 誰が計測を行うのか?スクリプトとソフトウェアの記録のデータが計測を実行する。しかし、データをまとめて、チームのメンバーに提示する取り組みを行うスタッフが必要である。早い段階でトレンドを見つけることが出来れば、アクションを修正し、より優れた成果を上げることが出来るようになる。

c. どのぐらいの頻度でデータを計測するのか? 情報の収集および分析は、一度実行したらそれで終わりではない。理想のスケジュールを立て、予定通りに計測を行うよう努力するべきである。

d. どのようなツールおよびリソースを必要としているのか?計測システムの難易度とコストは、事業の範囲と規模、そして、SEOの取り組みの多様性によって決まる。

e. データをどのように解釈するのか?SEO戦略の分析にどのようなインパクトを与えるのだろうか?計画テンプレートには、事前にこの点を明記しておく必要がある。

f. どのようなバックアッププランを用意しているのか?期待通りに事が運ばなかった場合、どのように態勢を立てなおすのだろうか?計画の変更を誰が決めるのだろうか?いつ変更するのだろうか?あらゆる不測の事態に備えることは不可能だが、幾つか選択肢を用意しておくと便利である。条件が全て平等な場合、最も多くの選択肢を持つ者が勝利を収める点を忘れないでもらいたい。

このように、強力なSOSTACのフレームワークをベースとした手順に従うことで、SEO戦略計画用テンプレートを堅実に組み立てることが出来る。

計画テンプレートを策定することで、収益および利益の増加、主要な事業目標の達成、目標達成の早さの改善、そして、コストの軽減と言う大きなメリットがもたらされる点を覚えておこう。このようなステップを踏むことで、闇雲にSEOのツールを使ったり、標準的なSEOのチェックリストを利用して、最高の結果を願う方針を圧倒的に上回る結果を得られるはずだ。

戦略的な取り組みは、徹底した努力が求められる。初期のコストは嵩むだろう。そして、実を結ぶまでに時間がかかるかもしれない。しかし、実際に効力を発揮すると、競合者を圧倒する成果をもたらし – さらに素晴らしい結果を出すようになるだろう。 

これは、SEO戦略の価値、そして、計画テンプレートを作成する意味そのものである。

全ての道はローマに通ずと言う諺がある。計画テンプレートを基に優れたSEO戦略に到達する多くのルートを見出すことが出来るだろう。私は、SEO業界およびデジタルマーケティング業界に10年以上関わっているが、今回詳しく説明したアプローチの効果は証明済みである。だからこそ、SEO戦略を用意する重要性を理解するものの、どのように戦略を策定すればいいのか分からないその他の会社の経営者、そして、SEOコンサルタントの皆さんにこの方法を伝授することで、手を貸し、モチベーションを与えたかったのだ。

最後に、SOSTACモデルをSEO戦略に適用するため、このモデルを進化させ、計画テンプレートを作成するさらに優れた(または異なる)をご存知の方がいたら、是非、教えてもらいたい。 私は出来るだけ疑問に答え、私なりの方法で支援するつもりである。そこで、コメント、質問、または、提案をコメント欄に投稿するか、あるいは、コンタクトフォームを使って、直接私に連絡を取ってもらいたい。このSEO戦略の重要なトピックに関して、活気ある議論を重ねたい。

Trond Lyngboは、Metronet NorgeのシニアSEOストラテジストであり、10年以上の経験を持つ。Trondは、「Importance of SEO for Your Online Business」と「Power Social Media Marketing」の著者でもある。ツイッターで@TrondLyngboをフォローしよう。


この記事は、SEO Bookに掲載された「How To Devise Your SEO Strategy The Easy Way – With a Planning Template」を翻訳した内容です。

SOSTACモデル、実は私も初めて聞きましたが、日本ではほぼ知られていないようですね。米国でもモデルとしてはマイナーのようですが、至極当たり前のことを整理しただけともいえる(好意的理解です)、分かりやすく実践的な内容、誰でもすぐに参考にできそうです。単純にこのテンプレートに沿って戦略を立て実践していくだけでも、SEO成功の確率は相当上がると思いますね。SEO以外にもあらゆるマーケティング戦略の策定に使えそうですし、戦術はあるが戦略が足りないと揶揄されがちなウェブマーケティング業界、是非多くのマーケッターに活用してほしい内容でした。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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