他者と差別化することが出来ないウェブサイトのパブリッシャーには未来はないと私は考えている。今年の初め、私は差別化したコンテンツの重要性を取り上げていた。ユーザー生成型コンテンツ(UGC)を数多く手に入れる取り組みは、有意義な選択肢と言えるだろう。しかし、言うのは簡単だが、実際に実行するのはなかなか難しい。今回のコラムでは、UGCを入手するための選択肢を幾つか検証してみたいと思う。
UGCは差別化に大いに役立つ。なぜなら、サイトに競合者のサイトが持っていない貴重なコンテンツの層を加えることが出来るためだ。当然だが、やみくもに手に入れるだけでは不十分である。時間と労力を割いて、どのようなコンテンツがサイトのユーザーエクスペリエンスに価値を与えるのか解明する必要がある。
UGCをサイトに加える取り組みにおいて重要なのは、テキストの塊を加えるのではなく、エンゲージメント(様々なやり取りを通じて行われる交流)である。グーグルのパンダアップデートによって、ユーザーのエンゲージメントがSEOのランキングの要素である点が浮き彫りになった。また、エンゲージメントのメトリクスの影響も高まっていると私は推測している。その上、この取り組みを行うボーナスとして、製品を説明するためにどのような言葉が用いられているのかを把握することが出来るメリットもある。
それでは効果的なUGCの例を一つ挙げよう。アマゾンは、ユーザーのレビューをサイトに巧みに統合している:
まずは既にサイトに寄せられているトラフィックを活用する手を検討してもらいたい。この戦略には多くの価値の高いコンテンツをとても早く集める効果が見込める。テッククランチは、ユーザーから投稿に数多くのコメントを残してもらっており、見事にこの戦略を実行している。しかし、この方法でUGCを作成するには、十分に既にトラフィックを獲得していることが前提である。
また、コメントプラットフォームを用意する必要もある。これはブログプラットフォームで無料で提供されている。さらに、アキスメット等のアンチスパムシステムをインストールしておくと役に立つ(こちらも無料)。しかし、フェイスブックコメント等のプラットフォームを利用する手もある。テッククランチはまさにこの手法を採用している:
フェイスブックコメントは、フェイスブックのアカウントにログインする必要があるため、スパム対策の意味合いもある。これはアカウントを使ってスパムをしたくないと言う心理を利用している。また、フェイスブック自体も悪意のあるアカウントを削除する強い意志を持っている。
2011年11月の時点で、グーグルはフェイスブックコメントをインデックスしている点が明らかになっている。サイトで生成される素晴らしいコンテンツは全てサイトの手柄として認められるため、SEOの効果もある。
バザールボイスやパワーレビュー等のプラットフォームも人気が高い。これらのプラットフォームは顧客のレビューをサイトに統合するためのシステムである。コンテンツを手に入れる方法としては優れているものの、グーグルがこのコンテンツをインデックスしていると言う証拠はまだ目にしていない。何か証拠を把握しているなら、コメント欄で指摘してもらいたい。
また、非プラットフォームのアプローチを採用することも可能だ。サイトのビジターからコンテンツを集める手法はそれほど難しくはない。例えば、NFL.comも実施しているように、投票を統合することも出来る:
投票は、大量のテキストをページに与えるわけではない。そもそも、それが目的ではない – 価値を与えることが目的なのだ。関連する投票調査は、サイトとユーザーとの交流を高める上でとても役に立つ。
実物の店舗を構えているなら、客足のトラフィックを活用することが出来る。店に足を運んでくれた人達に簡単な調査に協力してもらおう。インセンティブとして小額の割引を提供することが可能であり、直接売り上げの増加につながりつつ、配信することが可能な素晴らしいデータを集めることも出来るため、最高の戦略と言っても過言ではない。
ウェブサイトのビジターに関連するデータを集めることが出来るように調査を策定してもらいたい。製品のレビューを書いてもらうのも一つの手である。
フェイスブック、ツイッター、もしくはグーグル+等のソーシャルメディアコミュニティで多くのサポーターを獲得しているなら、活用可能なオーディエンスを既に得ていることになる。
このようなコミュニティは、強力なブランドを持つ企業なら容易に構築することが可能だが、知名度が低い人達は苦労するだろう。今回はオーディエンスを構築する方法には触れないが、ソーシャルメディアでの存在感を高めると、非常にオーディエンスの獲得を目指す上で、役に立つと言うことだけは伝えておこう。
もう一つちょっとしたアドバイスを贈らせてもらおう。リソースが限られているなら、複数のプラットフォームで中ぐらいの規模のオーディエンスを構築するのではなく、単一のプラットフォームで大きな規模のオーディエンスを構築することに専念しよう。
それなりのサイズのオーディエンスベースを築いたら、そこでも投票調査を実施することが出来る。カプラン大学はこの手の投票を巧みに実行している:
コメントが合計で109本投稿されており、まずまずの成果と言える。また、サイトで活用することが可能な有益なデータを集めることにも成功している。製品の1つを利用する上での重要なアドバイスを10点提供する試みも推奨する。この手法も素晴らしいデータを集めてくれるだろう。
まだオーディエンスを構築していないものの、すぐに何かしらの行動を起こしたいのなら、フェイスブックの広告を利用する取り組みを検討してもらいたい。ここでも投票タイプの調査は効果が見込まれる。
この取り組みを成功させる上で重要な鍵を握るポイントを幾つか挙げていく:
サイトのトラフィックが多くないなら、または、ソーシャルメディアのオーディエンスの規模が小さいなら、フェイスブックの広告を利用する手が考えられるが、その他にも選択肢はある。
アマゾンのメカニカルターク(MT)の利用を検討しよう。労働コストはとても低く設定させているため、UGCを提供する上での質を心配する人もいるだろう。
メカニカルタークのユーザー層に関してニューヨーク大学が効果したデータを見ると、参加者の70%以上が米国在住であり、35%が$6万ドル以上の収入(米国の全人口では45%)を得ていることが分かる。また、MTでは米国の参加者に限定することも可能である。
メカニカルタークのメリットは、複雑な調査を作り上げ、多くの貴重なデータを集めることが可能な点である。以下にMTを利用して実行可能な取り組みを幾つか挙げていく:
アイデアは尽きない。創造力を発揮しよう。ただし、MTでは、個人情報を集めることは出来ない。この行為はメカニカルタークでは固く禁じられており、この規則を破ると、すぐに調査は削除される。何度も繰り返すと、アカウントを差し止められる。
以下に、MTに代わるサービスとして検討に値するサービスを幾つか挙げていく:
冒頭でも指摘したように、UGCにおいて重要なのは、テキストの塊ではなく、エンゲージメントである。サイトのオーディエンスにフィットするアイデアを考案する作業が、最も大変なタスクと言えるだろう。
アイデアに窮しているなら、時間を取って、オーディエンスにアイデアの投票調査に参加してもらうか、あるいはフェイスブック広告または「データを獲得するクリエイティブな方法」を幾つか採用し、アイデアを求めよう。
まずは時間を割いて、アイデアを振り絞ろう。この段階を終えたら、多くのデータのサンプルを集め、そして、参加を促すコンテンツをサイトに提供することが出来るようになるだろう。
この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Keys To Engagement, User Generated Content & SEO」を翻訳した内容です。
ブログを書くだけでも大変なのに(最も日本企業はブログで情報発信している企業が特に大手で少なすぎるようですが、、)Twitter、Facebook、Mixi、Google+と各人気ソーシャルプラットフォームが次から次に企業用サービスをリソースしており、どこから始めたらいいか分からないという企業も多いと思いますが、記事にあるように「単一のプラットフォームで大きな規模のオーディエンスを構築する」ことから始めてみても良いと思います。
とはいえ記事にもあるように「サイトのオーディエンスにフィットするアイデアを考案する作業が大変なタスク」なのも事実なんですけど。SEOの検索エンジン対策でもそれなりに柔軟な頭とアイデアが求められましたが、ソーシャル時代のSEOはさらにクリエイティブな発想が求められる作業になりそうです。 — SEO Japan
SEO最新情報やセミナー開催のお知らせなど、お役立ち情報を無料でお届けします。