シリコンバレーの外にスタートアップエコシステムを作ること

公開日:2014/05/16

最終更新日:2014/05/16

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先日、ヨーロッパのスタートアップがシリコンバレーで資金を調達するべきではない理由という記事を紹介しましたが、ではシリコンバレー以外でスタートアップシーン、時にエコシステムとして機能する環境をつくることは可能なのでしょうか?カナダのモントリオールで起業家兼投資家として活躍する筆者が自身の経験を踏まえた記事ですが、まさにそんなエコシステムを作ろうと頑張っている東京を中心とした日本にとっても気づきがある内容の記事。 — SEO Japan

ここしばらく、スタートアップコミュニティを築くことに関わってきた。モントリオールでは、起業家の朝食イベントを始めたし、NextMontrealをローンチし、スタートアップ/創設者にアドバイスすることに時間を費やしたし、イベントで話したりもした。それはとても楽しかったが、相当な仕事量だった。そして今、私はHalifaxにいる。今も色んなことをやっているが、そのアプローチは異なる。最近では、個人により焦点を合わせ、成功するために必要な条件を持っていそうな人を探して、彼らに倍掛けするのだ。それは、何よりもまずスタートアップの成功によってスタートアップエコシステムは成功するのだという信念に基づいた、より個人を中心としたアプローチだ。スタートアップ―実際には、創設者/起業家―が、全ての中核なのだ。

起業家はたくさんのサポートを必要としている。それこそが、コミュニティが大きな役割を果たす場所だ。そして、Halifaxではいくつか素晴らしい活動を目にしている。幸運にも、まだ私は、真の成長にしばしば伴う数多くの馬鹿げた虚勢は目にしていない。(Halifaxを“北のシリコンバレー”だと宣言した人はまだいないのだ…少なくとも私の前では。)

最近、ケンタッキー州Louisvilleに行って、リーンアナリティクスと起業家精神について話した。私はその街をほとんど見ることはなかったが、たくさんの人に出会った。とてもフレンドリーで、とても活気があって、この地域の優れたスタートアップをサポートするために尽くしている人達だ。あるプレゼンテーションで、私は、シリコンバレーの外にスタートアップエコシステムを作るために必要なことについて話をした。そのプレゼンテーションは、以下に埋め込んである。

私が共有した多くのアイディアが、Louisvilleや他の場所で起こっている。それは良いことだ。

大部分の起業家は、今いる場所が自分のスタートアップを経営するのに相応しい場所だからそこにいるわけではない(シリコンバレーやニューヨークやその他いくつかの場所以外は)。

彼らがそこにいるのは、彼女や彼氏やパートナー、家族やその他無関係なこと(でもとても重要なこと!)が理由だ。それはそれでよい。その事実を受け入れ、起業家をサポートし彼らを成功させるために、自分の地域で自分にできる最大限のことをするのだ。世界の中で自分のいる小さな場所がスタートアップを築くのに最高の場所であるかのようなふりをしないこと…それは違うのだ。

このプレゼンテーションを見ると、私が“人を引き止めないこと”を提案しているのが分かる。それは、自分の街や地域に人を地理的に結び付けておこうと図らないことに関連している。私はいつも、“その人自身が自分が成功する可能性が一番高いと考える場所に行かせてあげるのだ”と言っている。人々は優秀な人材を失うことを恐れるため(そして実際にそうなのだが)、反対に合うだろう。でもどうだろう:あなたは、自分の街を囲む難攻不落のドームを作って、残りの世界が存在しないふりをすることはできない。これは『トゥルーマン・ショー』ではない。もしくは、新しいスティーブンキングのテレビ番組(実際に街を覆った不思議なドームのようなものに関する話)ではない。

起業家は、世界が存在するということを知っている(少なくとも知っているべきだ)し、あなたは、決して、決して、決して、創設者やスタートアップの最大の利益にならないことをしたり提案したりすることはできない。もしあなたが、あるスタートアップがシリコンバレーやトロントやニューヨークやその他の場所に移転すべきだと分かっているのなら、彼らにそう伝えるのだ。頭脳流出を恐れてそうしないことは、恥だ。長期的に見ると、良いことよりもより多くの損害を与えている。

シリコンバレーの外でスタートアップコミュニティを作ってサポートするために、あなたにできることはたくさんある。

起業家に焦点を合わせるのだ。内部から作ること、自分の力を尽くすことに焦点を合わせるのだ。子どもたちにコードを教える。簡易化した共有可能な書類を作る(例:合併書類、雇用契約書、タームシートなど)。コミュニティとして警笛を鳴らす(ただしやり過ぎないこと!)。

起業家が参加する必要もある。

ただ座って指をパチンと鳴らして、みんながあなたの助けに走ることを期待しないこと。あなたは、コミュニティに貢献しなければならない。自分の場所を選ぶのだ。いくつかのイベントで話をし、経験の少ない起業家に指導をし、高校に出向いて起業家精神について子供たちを興奮させるのだ。全てのイベントに参加しないこと(私たちは、人づきあいのいい人を必要としているのではない)。シリコンバレーに行き、そこで何が起きているのかを体験し、そのエッセンスと文化の一部を持って帰るのだ。そして、あなたが勝った時には再投資するのだ。エンジェルになり、あなたの後に続いている起業家たちにお金と時間を戻すのだ。

ほぼどんな場所でも成功するスタートアップを築くことができることは分かっている。私たちは、場所よりも、起業家の勝利を手助けすることに焦点を合わせる必要があるのだ。彼らが勝つ時、みんなが勝ち、エコシステムが姿を現す。


この記事は、Instigator Blogに掲載された「Building Startup Ecosystems Outside of Silicon Valley」を翻訳した内容です。

プレゼン資料の17ページ目のエコシステムの地図はナルホドと思う内容でした。エコシステムにはまずは成功したスタートアップが必要とはその通りと思いますし、日本を見ていても成功したスタートアップの起業家がエコシステムの道筋を築きつつありますよね。言葉の問題もあり、大半の起業家にとって日本が「自分が成功する可能性が一番高いと考える場所」でもありますし、市場自体もそれなりにありますから、独自のエコシステムは十分にできそうな気はしますが、世界を変えるような、「Big Vision」を持った起業家や事業は出にくいデメリットもある気もまたします。もちろん、小さい成功の積み重ねに大きな成功も出てくると思いますし、実際、日本からも世界を変える野望やビジョンを持った起業家は出てきていると思いますし、5年後10年後の世界が楽しみですね。ちなみに過去に紹介したドイツ東南アジアフィリピン)のスタートアップ事情はこちらから。 — SEO Japan [G+]

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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