AIの未来とインテリジェントサーチ : SMX West2018レポート

公開日:2018/03/19

最終更新日:2024/02/20

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3/13から3/15にかけて、米国のシリコンバレーの中心都市サンノゼにて「SMX West 2018」が開催され、SEO Japan編集部も参加して参りました。セッションレポート、スピーカーへの質問、独占インタビューなど、SMX Westの様子を数回に分けてお伝えしていきますので、どうぞお楽しみください!– SEO Japan

Shelby Reed

スピーカー:Shelby Reed氏 Microsoft Bingアド セールス部門長
モデレーター:Chris Sherman氏 Third Door Media

Shelby氏について

北米の広告セールス部門を統括
Bingとのパートナーシップで企業の成長を促す助けをしている

Shelby氏のバックグラウンドについて

自分が6歳の頃には周囲のいろんな事に対して疑問を持っていて、周りの大人に疑問をぶつけてましたが、どの疑問も検索によって解決され得るような世の中になりました。
この6歳の少女の疑問のように、顧客が抱える疑問に対して回答を提示できるようになるまで、業界が発展したのはとても幸運なことです。

AIの現状について

我々の仕事は顧客が検索を行う中で、正しい場所、正しいタイミングで企業のブランドメッセージに触れさせることです。

AIのAの字を、マーケターとしての能力の「Amplifying(拡大)」と捉えたらどうでしょう?

顧客に対して、より意味があり、コネクションが強く、関係性を重視した体験が提供できるようになるのです。

我々は情報世代から体験世代への過渡期にあります。

情報世代:コンシューマのインサイトを理解するために、膨大な情報を集め理解する。
体験世代:予測的な分析と、インテリジェントで行動を促すようなアウトプットを行う。

そしてチャットボットやAR/VRを通して、仮想空間ではなく現実空間でどのように自社のサービスと触れているのかを理解することが出来ます。

一方で、スナップチャットのようなリアルタイム動画共有は完全にメインストリームとなり、そして飽和状態となっています。

さらに、Cortana、Alexa、Siri、GoogleAssistantのようなデジタルアシスタントはほぼ市場に浸透しています。

ARはもう少しでマスマーケットに浸透します。これが実現することで、我々マーケターはより強いコネクションで、会話を通しながらも、感情でつながるような、完全没頭型の体験を提供することが出来るようになります。

我々はスマートでエンゲージした体験を作っていき、物事はよりシームレスになりますが、全てバックグラウンドでAIが働いていることに顧客は気づかないでしょう。

AIは「人、場所、もの」などの点を結び付け線にします。

今日は、AIの認知能力をどのようにしてマーケターが活用していくのかについてお話しします。

AIは理解します

AIは見ます

AIは聞きます

AIは話します

そして、AIは感じるのです。

検索とBingについて

検索はかつてないほど多くの人に信頼されています。とある調査によると、74%の消費者がWebサイトやブランドがいうことよりも、検索に信頼を置いています。
Search is Changing
2020年までに、200億ものIoTデバイスが存在するようになると言われています。

また同じ2020年までに、人々は企業との関係において85%は人を介さない形で持つようになるだろうという予測もあります。

現在でも月に1.48億人ものマンスリーアクティブユーザーがおり、180億もの質問がされています。

米国でも2人に1人はBingを使っており、5回に1回はBingを通して検索が行われています。

AIは知っている

デジタルアシスタントは時間、場所などの背景を理解しています。
理解しているからこそ、意図を理解し、アクションへつながるような提案をしてくれるのです。
予測からアクションまで
また、AIはテキストや音声入力で説明せずとも、意図を理解してくれる

例えば私が、「今日の晩御飯は何が良いと思う?」と夫にメールで訪ねたとしましょう。
初期のバージョンのCortanaならば、こう考えるでしょう。

メールを送ったのは「女性」で、送った時間は「夕方」 ⇒ 彼女の旦那さんが今日の晩御飯に何を食べたいかを聞いているはず ⇒ レシピを表示

ここに更なるシグナルを加えることで、答えは変わってきます。

メールを送ったのは「女性」で、送った時間は「夕方」。しかし彼女はまだ「オフィス」におり、過去には「レシピの検索はほとんどしない」ということが分かっている ⇒ 「今日の晩御飯は何が良いと思う?」というメールの裏に「今日は私のために何を作ってくれるの?」という夫への意図があることを読み取ることができる

(会場笑い)

AIは聞いている

我々はキーボードから卒業し、音声検索が主流になっていて、音声検索のエラー率は6.3%までになっています。(これは人間の翻訳家が、ミスを犯す確率と等しい)

2020年までに、50%の検索は音声と画像によるものになると言われています。

また、検索の言葉も変化しています。

「天気」 → 「今日は傘がいるかな?」
「ニュース」 → 「今日のトップニュースは?」
より口語的で、会話調のクエリへとなっていくでしょう。

また、音声は検索クエリの長さを長くしています。
音声検索クエリ長さ

さらに我々の別の調査では、シンプルな事実の検索から音声検索へ移行していることが分かりました。
音声検索への移行

逆に、個人の予定の予約、デリバリーのオーダー、旅行の予約、などは音声検索が比較的難しい領域です。この領域をカバーするためにチャットボットなどを活用しました。
Q&Aは「クエスチョン&アンサー」から「クエスチョン&アクション」になったのです。

検索のワードは、より複雑で、話し言葉ベースになっていくでしょう。

それを調べるために「ANSWER THE PUBLIC」という良いツールがあります。
Answer the public

※ANSWER THE PUBLIC・・・キーワードを入力することで、検索者のインテントを5W1Hなどで分析するツール。英語のみ対応。

このようなツールは、広告やオーガニックの戦略を考える上で助けとなるでしょう。

AIは話す

AIは話す
翻訳システムは、かつて無いほど即座に回答を返してくれます。

AIは見ている

AIは画像を見て理解しています。
画像認識技術によって、ファッションモデルの写真から、どのブーツを買えば彼女のスタイルを真似できるかを教えくれます。
AIブーツ画像
またHololensを使うことで、WEBの体験から実際に自身のリビングルームに擬似的に家具を置くことができるようにもなります。
hololens

AIは感じている

AIによって、生活内で生まれる感情がデジタルプラットフォームに組み込まれるようになっています。

Caption Bot

画像に写っている人が、一体どのような状況で、どのような感情を持っているのかを読み取ることができます。複数の顔の感情や、アナケンドリック(有名人)の顔を識別することができます。
caption bot

これらのあらゆる感覚を統合されることで、デバイスを問わずより没頭型の体験を顧客に提供できるようになります。

今後数年で80%のブランドがチャットボットを活用するようになるでしょう。

AIはセールスとなり、パーソナル旅行ガイドとなり、美容コンサルタントとなり、家の修理エキスパートとなるでしょう。

そんな中で、修理のMicrosoftとHomeAdvisorのパートナーシップが実現しました。

Home Advisorとの連携

HomeAdvisor・・・家の修理事業者を紹介するプラットフォーム。今までは、リストから修理事業者を選ばなければならなかったのが、自動で修理事業者を選定してくれる。例えば、「水道が壊れた」と入力することで、配管工が自動で選ばれ、当日のうちに修理事業者が家に来て修理を行ってくれる。

HomeAdvisor Ryan氏へスピーカー変更
Lian氏

Microsoftのチャットボットの活用について

配管工の仕事はトイレの修理から、台所の修理まで多岐に渡るため、チャットボットでメッセージの往復を自動化した。将来的には、写真から必要な修理を推定することを可能にする。

サービス連携

Botコネクター→様々なプラットフォームと連携(Skype メッセンジャーetc…)
botコネクター

再びShelby氏へスピーカー変更

Microsoft Cognitive Service

Microsoft Cognitive Serviceでは、以下のことができるようになります。

  • Vision・・・顔の表情から、ボットが画像や動画での感情を理解することができる。
  • Speech・・・話し言葉と、書き言葉の双方向の変換を可能にする。
  • Language・・・自然言語でのコマンドを理解させることができる。
  • Knowledge・・・ウェブ、学術、個人データからのリッチな情報を統合。
  • Search・・・BingAPIを利用して数十億のウェブページ、画像、ビデオ、ニュースへのアクセスが可能

Microsoft Cognitive Services

まだパイロット版ではあるが、検索結果内にチャットボットが表示される実装をしています。これにより、かつてないほど人間的な回答ができるようになるでしょう。
検索結果内チャットボット


アメリカでは日本以上にBingを使用しているユーザーは多く、検索のインターフェースもよりリッチなものになっており、以前多面強調スニペットの記事で紹介した「複数視点アンサー」などの検索画面での機能も採用されています。また、Shelby氏がAIの認知能力が向上していることに度々言及していましたが、これが今後もマーケターの役割を変えていくのは間違いないでしょう。– SEO Japan

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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