今回は2020年1月13日にロールアウトされた、Googleコアアップデート(January 2020 core update)の影響調査の記事となります。
Search Engine Landのバリー・シュワルツ氏が各ツールベンダーから意見を募り、それらをまとめてくれています。米国のツール会社のため、日本の実態とは異なる可能性がありますが、今回のアップデートもグローバルに展開されているため、一見の価値はあると思います。
ロールアウトから2週間ほど経ちますが、自身のサイトの状況と比較してみてはいかがでしょうか。
我々はデータプロバイダーのいくつかに声をかけ、「今回のコアアップデートの影響をどう見ているか」の洞察を提供してくれるよう求めた。
GoogleのJanuary 2020 core updateのロールアウトはほぼ完了している(参考)。
我々は、いくつかのデータプロバイダーへ、Googleのアップデートに関する彼らの発見や洞察を送ってもらうよう依頼した。彼らの意見は「今回のアップデートは大きく、多くのWebサイトに影響を与えている」として、一致している。
目次
Googleから与えられた情報で明らかになっていることをまとめよう。
最新のGoogleコアアップデートは1月13日(月)の12:00PM(東部標準時)あたりでロールアウトを開始させている。
このロールアウトは、1月16日(木)の午前に、「ほぼ完了した」とのことだ。
さらに、今回のアップデートはグローバルに行われており、特定の地域・言語やWebサイトのカテゴリーを対象としていない。つまり、「広範囲に渡る、コア・アップデート」であるということだ。
我々はサードパーティのデータ提供企業に対し、「今回のアップデートについて、どのようなデータとなっているか」という質問をしている。
RankRangerのモーディ・オバースティン氏は「YMYL(Your Money, Your Life)の領域が大きな影響を受けている」と述べている。さらに、「今回のアップデートは大規模だ」と、付け加えた。
「健康と金融の領域の検索結果の上位に大きな動きがある。また、上位10位を見てみると、全ての領域で変動幅が大きくなっている」としている。
下記は、業界ごとの変動と順位推移のチャートである。
「私が観測しているデータによると、おそらく12月6日のアップデートの対象となっていた小売業界を除き、今回のアップデートは領域を拡大しており、あらゆる順位のサイトに影響を与えている」とモーディ・オバースティン氏は述べている。
「しかし、アップデート期間の上位10位のサイトを対象とすると、小売業界も12月に観測されたほどの数値となっている。」
SEMRushのユリア・イブラギモヴァ氏は「今回のアップデートは非常に大規模であり、ほぼ全てのカテゴリの領域で変動が見られる」と述べている。
「SEMRushのデータによると、最も変動していたカテゴリは、スポーツとニュースの領域を除けば、オンライン・コミュニティ、ゲーム、アート&エンターテイメント、そして、金融の領域だ。」
しかし、ユリア・イブラギモヴァ氏は、全てのカテゴリで大きな変化が起きており、「今回のアップデートは特定のトピックを狙ったアップデートではないと見ている」と伝えてくれた。
SEMRushのデータはこちらで確認することができる。しかし、彼らは追加のデータを送ってくれた。
下記は、それぞれのカテゴリの数値をモバイルとデスクトップで分けた表である。
SEMRushによる、今回のアップデートで大きく上昇したサイトは、下記である。
※注:海外のサイト
また、大きく下降したサイトは、下記である。
Sistrixのヨハネス・べウス氏は今回のアップデートについての分析記事を投稿している。
彼は以下のように述べている。
「YMYL(Your Money, Your Life)のトピックに関連するドメインが検索アルゴリズムによって再評価された。
全体として、ビジビリティ(可視率)を伸ばしたサイトもあれば、失ったサイトもある。以前のコアアップデートで影響を受けたドメインの方が、より影響を受けている傾向がある。明確な変動は、アップデートの度に見られなくなっているようだ。
Googleは自身の算出への確信を強めており、過去の算出から大きく逸脱することはなさそうだ。」
下記に今回の変化を表しているSistrixのデータを記載する。
Sistrixによる、今回のアップデートで大きく上昇したサイトは、下記である。
また、大きく下降したサイトは、下記である。
SearchMetricsの創業者である、マーカス・トバー氏は次のように述べている。
「1月のアップデートは”あなたは誰であるか”という観点によって、良い・悪いという判断の変化を戻したように思える。低品質なコンテンツに罰を与えるものと、GoogleがYMYLを強化するものとは、それぞれ別のコアアップデートだ。
2019年の3月や9月と同じほど多くのページに影響を与えていないようだ。しかし、特徴は似ている。」
下記は、SearchMetricsが共有してくれた具体例である。
Onhealth.comは、2019年3月のアップデートでは良い結果を手にし、2019年9月のアップデートでは悪い結果を手にしている。そして、2020年1月のアップデートでは再び良い結果を手にしている。
Verywellhealth.comは、複数のコアアップデートで悪い結果となっている。
Draxe.comは、良い結果を得ている場合も、悪い結果を得ている場合もある。今回のアップデートでは+83%と大きな良い結果を得ているが、以前のアップデートでは大きな悪い結果を得ている。
Sistrixによる、今回のアップデートで大きく上昇したサイトは、下記である。
また、大きく下降したサイトは、下記である。
コアアップデートによって悪い影響を受けてしまった場合にどうするべきか、Googleはそのアドバイスを共有してくれている。
しかし、回復のための特別なアクションがあるわけではない。実際、順位状況が悪くなったからといって、あなたのページに不備があるとは限らない。
しかし、コアアップデートにヒットした場合に考慮すべき質問のリストをGoogleは提供してくれている。
アルゴリズムの変更にヒットされた場合、そのリカバリのための特別な方法を見つけることは困難だ。コアアップデートについては、特にそうだろう。
こうしたデータや過去の経験やアドバイスが示すことは、「コアアップデートは広大で、全体的な品質の項目を多くカバーしているようだ」ということだろう。
今回紹介したデータは、この考えをさらに強化するものであると考えている。
そのため、もしあなたのサイトがコアアップデートの影響を受けた場合、状況を離れた場所から見てみたり、サイト全体を俯瞰して見てみたり、サイト全体を改善するために何ができるか、それを考えてみることが必要だろう。
それぞれのツールがそれぞれのデータを見ているため、出される見解が完全に一致することはありません。それでも、「今回のアップデートの規模は大きい」と「YMYL領域が特に影響を受けている」という点は一致していると思います。
また、「特定の領域・項目・特徴に限っていない」という点もますます強くなっていると思われます。その結果、さらに「これを直せば良くなる」と言うことが難しくなっているのは確かでしょう。
ユーザーのために何ができるのかを常に考え、少しでもサイトを改善していくことが、コアアップデートに対する一番の「対策」であると、改めて感じさせる記事でした。
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