コンバージョンを増加させるための、ユーザーを説得する6つの原則

公開日:2019/03/25

最終更新日:2024/03/04

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SEOやその他の施策によって多くのユーザーに訪問してもらえたとしても、Webサイト側が望む行動を取ってくれるとは限りません。つまりは、コンバージョン率が上がらないということになるのですが、コンバージョン率を高めるための施策は積極的に採用していきたいものです。

今回の記事は、あっと驚くテクニックのご紹介というよりも、ユーザーとのコミュニケーションを取る上で不可欠な、普遍的な原則を紹介している記事です。それぞれの原則の具体例も併せて紹介されているので、多くの方のご参考になればと思います。


マーケティングキャンペーンを成功に導くためのツールや、それが提供する機能は常に変化を繰り返している。しかし、時代が変わっても常に有効である、ユーザーを説得させる6つの原則が存在する。それらを用いることで、コンバージョンを加速させるための、競争力のあるランディングページの作成も可能だ。

1984年に“Influence: The Psychology of Persuasion(影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか)”が発売されて以来、Dr.ロバート・チャルディーニが提唱する説得における6つの原則は、多くのマーケターによって用いられ、顧客をコンバージョンへと導く助力となってきた。

伝統的なマーケティングのブログを読んだことがあるのであれば、下記の用語に聞き覚えがあるだろう。

  • 返報性(Reciprocity)
  • 社会的証明(Social proof)
  • コミットメント(Commitment)
  • 権威(Authority)
  • 好意(Liking)
  • 希少性(Scarcity)

この記事では、チャルディーニ氏が提唱する6つの原則がどのようにして、より競争力のあるコピー作成やWebサイトへのトラフィックを増加させる魅力的なランディングページデザインなどに用いられているかを解説する。

1.返報性(Reciprocity)

返報性とは適した利益を他者と交換し合うプロセスのことだ。

返報性はフックとして用いることができるだろう。

あなたはユーザーの関心を得るために、彼らへ、何かを与えなければならない。

この原則は、デジタルマーケティングの領域でも当たり前のように使われている。例えば、ユーザーのEメールのアドレスを得るために、有益なコンテンツを提供する、といった具合だ。

返報性の原則に従って何らかの利益を得るためには、あなたは何かを与えるための準備をしなければならないことになる。

多くのユーザーは、彼らにとってなにかしらの有益なことを得られなければ、ニュースレターに自身の情報を登録することはないだろう。

Search Engine Journalでは、何百もの有益な資料を提供しており、その結果、ユーザーへのコンタクト情報を得ている。

このギブ&テイクの原則の例を下記に記載する。

多くの作業がこのコンテンツに費やされており、結果として、多くのユーザーが快く自身の情報を提供してくれた。ユーザーにとって何の利益もない場合と比べ、Eメールの登録数は改善されることとなった。

トップレベルに位置するブログを訪れて欲しい。そこでは、何らかの形で、返報性の原則が用いられることに気がつくだろう。

この戦術はSEO目的でも使用でき、多くの被リンクを獲得することも可能だ。被リンク数が増えれば、ランキング、トラフィック、Webサイト全体のコンバージョンの向上が期待できる。

また、広告のコピーにも応用でき、CTRの上昇を目指すことも可能だろう。

一般的ではあるが、無料トライアルという手法は、何かを与えることで、リードを獲得するための有効な手段だ。

ソフトウェア業界が、顧客をマーケティングファネルに導くための鍵となる手法と言えるだろう。

そのため、無料トライアルの告知を広告文の中でも目立たせることは、非常に重要なのだ。

2.希少性(Scarcity)

希少性もユーザーを説得させるための非常に優れたテクニックだ。こちらを用いることで、広告のクリック数の増加や、ランディングページに訪問したユーザーをコンバージョンへと導く手助けとなるだろう。

希少性は、見逃すことへの恐怖(FOMO:Fear Of Missing Out)を喚起するものだ。

我々は、何らかの選択をしなかった場合に後悔の念に駆られることがある。FOMOはこれに基づいており、多くの人の感情面に訴える手法なのだ。

希少性の例を下記に挙げてみよう。

限定生産や限定版の商品

Booking.comが用いる希少性のテクニックは非常に優れている。可能な限りの領域で、希少性に関わるメッセージを記載しているのだ。

クーポンやセール期間

ブラックフライデーのようなセール期間は短期間で多くの人々を購入へと向かわせるが、これもFOMOの原則に基づいている。

人々は、本当は必要ないものかもしれないが、後に後悔することを恐れ、購入を決断する場合がある。

Amazonは“lightning deals(タイムセール)”によってこの原則を利用している。非常に短い期間での購入条件を提示し、より多くの売上を獲得しているのだ。

希少性の原則をランディングページのコピーに用いることで、CTRやコンバージョン増加を狙うことも可能だ。

全てのビジネスが期間限定のセールに頼っているわけではないが、Booking.comはこの戦術を年間を通して用いている。彼らがWebサイト上で販売している製品(ホテルの部屋)の供給状況をうまく利用しているのだ。

3.権威(Authority)

賞の受賞歴、業務歴、業界内の認定、専門性など、権威の象徴を用いることで、自社のサイト内で我々が望む行動をユーザーが取ってくれる手助けとなるだろう。

この説得の原理は、おそらく最もレバレッジを効かせることが難しいだろう。なぜなら、真の権威を獲得するには時間が必要となるからだ。

あらゆる市場において、権威となることに簡単な方法はない。しかし、自身を権威のある存在に位置づけるためのテクニックはいくつか存在する。

自社の功績を目立たせる

自身のサイトがノミネートされた、もしくは、賞を獲得した実績を目立たせよう。業界内での認知が高まることにより、権威を示すことにつなげることができるのだ。

自社スタッフの専門性を際立たせよう

サービス業では特に重要であるが、自社メンバーの能力を示し、優れた企業であることを示そう。

透明性を高めるために、可能であれば、LinkedInのプロフィールなども併せて記載しよう。

業界内の認定をWebサイトへの訪問者に示そう

多くのサイトで基本となることではあるが、その重要性を軽視すべきではない。

これは、訪問者があなたのWebサイトで確認したいことの1つでもあるのだ。

業界のイベントにスポンサーとして参加する

協会やつながりを通じて権威性を得る方法である。

あなたのブランドを適した場所で目立たせることで、特定のトピックにおける権威性を示すことになるのだ。

さらに、主要なイベントにおいて公演する機会をもらえたら、権威性を示す上でさらに効果的だろう。

高品質なコンテンツの作成と共有

高品質なコンテンツの作成と情報の共有によって、あなたの専門性を示そう。

優れたコンテンツの参照元となることは、あなたのブランドを業界内の権威に位置づけることになる。

大規模な調査に基づいたホワイトペーパーのような、あなたの専門領域においてリーダーシップをとれるコンテンツの作成は、その一例と言えるだろう。

上記のテクニックを用いることで権威性を得ることにつながり、それはWebサイトへのトラフィックを得る機会へとつながるだろう。

4.コミットメントと一貫性(Commitment & Consistency)

ユーザーは、一度コミットメントを示せば、その後の彼らの意見と行動はコミットメントを伴った一貫性を持つことになる。

原則として、自身のコミットメントに縛られる感覚に陥るだろう。

顧客にコミットさせる手法を確立することは、彼らに行動を促し、最後までやり通す大きな機会を得ることになるだろう。

この手法の例をいくつか挙げてみよう。

ユーザー自らが予約できるようにする

全ての業界で使用できる手法ではないが、特定のビジネスにおいて予約は必須である。

ユーザー自身が予約を取ることを可能にすることで、彼らにコミットを依頼することになり、最後までやり通す可能性を高めることにつながる。

ライブチャット機能を導入する

ライブチャット機能の導入は、顧客があなたのブランドと会話するというコミットメントを獲得する機会となる。

まだ多くの業界で採用されているわけではないが、コミットメントと一貫性を獲得しうる、比較的容易な施策と言えよう。

連続したフォームの設計

Optimizely社の調査によると、フォームの要素が複数のステージで構成された場合、コンバージョン率が上昇するとのことだ。

デザインにおける連続性は、ユーザーへ一つ一つのフォームを記入させ、記入が進んでいる感覚をもたせることでコミットメントの原則を利用していることになる。特定のフォームに記入し、次のステップに進むというコミットメントを得ることで、残りのステップも完了させたいという気に駆られるのだ。

5.好意(Liking)

人々は、好ましい人による要求を聞き入れる傾向にある。

人々は、同僚やセレブリティなどの口コミを信じる傾向にあるが、これは、ここ数年でインフルエンサー・マーケティングが活発になっている理由の1つと言えるだろう。

チャルディーニ氏の言葉を引用すると、「我々は自身と似た人々を好む傾向がある」とのことだ。そのため、ターゲットとなる顧客の共通点を発見することは、ブランドが注力すべきことと言えるだろう。

好まれる存在になることは、ブランドにとって難しいことのように感じるかもしれない。しかし、この説得の原理を獲得するための手法も存在する。

ペルソナの作成

ペルソナを作成し、今まで作成したコンテンツをペルソナが好むように仕立て上げる。

ペルソナを使用したコンテンツ戦略は、ターゲットユーザーの関心を引き、コンテンツに興味を持ってもらえるものになるだろう。

ペルソナの作成を通じて顧客の悩みを理解することは、あなたのブランドが彼らの悩みを解決するために何をすべきかを把握する機会を与えてくれるだろう。

チャリティーへの参加

あなたの顧客が気にかけている問題に対して、チャリティーに参加してみよう。

例えば、あなたがローカルビジネスを営んでいて、その地域特有の問題がある場合、その問題を解決することが可能かどうか、検討してみよう。

無償の奉仕活動かもしれないし、一回限りの仕事になるかもしれない。

この施策には従業員も積極的に参加してくれるかもしれない。

この原則には曖昧な部分があることは認めるが、上記の施策を行うことで、あなたのブランドが潜在的な顧客から好かれる機会を得ることができるだろう。結果として、Webサイトへの訪問客のリード獲得や顧客獲得のチャンスが高まるのだ。

6.社会的証明(Social proof)

社会的影響は非常に強力だ。

人々は、友人や同僚が行っている行為や提案した内容を自分も行うといった傾向がある。

セールストレーナーのキャベット・ロバート氏は、「95%の人々は”真似をする人(Imitators)”であり、5%の人々は”提唱する人(Initiators)”である」と述べている。

社会の大部分の人々は、周囲にいる人の提案や決定に影響を受けているため、この説得の原理が非常に強力であることは明らかだろう。

社会的証明は、オンラインのブランドでも積極的に使用されている。下記に例を挙げてみよう。

レビュー

顧客によるポジティブなレビューを表示しているECサイトは、Webサイトのコンバージョンをあげるために社会的証明の力を活かすことができると理解している。

クライアントや顧客からのレビューを掲載しているBtoBのWebサイトも、同様だ。

ケーススタディ

ケーススタディは顧客によるレビューをさらに深ぼったものだ。

BtoBの業界でよく見られるが、ケーススタディは自身のブランドのストーリーを提供し、それは、あなたがWebサイトに掲載しているメッセージを届けたいと願っている人々に向けられたものなのである。

オンライン上で獲得した認知

もう一つの社会的証明を活かす手法は、あなたのブランドがオンライン上の適切な場所で見られるようにするということだ。

スタートアップ企業が新しく開発した製品を紹介するさいに、“採用している企業”のリストを掲載するが、これは一例と言えよう。

とてもシンプルな作業で、非常に小さなブランドでさえも社会的証明の力を使用することができる。

ポジティブな意見の掲載は、コンバージョン率にもポジティブに作用する。上記のような施策を検討しているのであれば、今すぐに行うべきだ。

まとめ

この記事で紹介した6つの説得の原理は、あらゆるコンテンツのタイプ(テキスト、ビジュアル、動画)に用いることができ、コンバージョン率の増加に寄与するだろう。

Webサイトへの訪問客の関心を掴むための簡単な施策は存在する。その施策を実行することで、購買やコンバージョンの決定に影響を与える重要な行為を、顧客に取ってもらえるのだ。

こうした視点を欠かしてしまうと、顧客に対し過度な情報を提供してしまい、Webサイトのコンバージョンを失うことにもつながってしまうだろう。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「Using 6 Principles of Persuasion to Increase Conversions」を翻訳した内容です。

普遍的な原則を6つにシンプルにまとめてくれた記事でした。元はビジネス書の内容ですが、Webマーケティングに即して、うまく説明してくれています。

記事内で紹介された施策は、普段から目にするものが多かったですが、こうした原則を意識すると、各施策の目的も明確になりますね。

自身のWebサイトで、上記の原則を満たす施策が行われていない場合、積極的にアイデアを出し合ってみても良いかもしれません。

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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