インハウスSEOとは何?メリット・デメリットや実践のステップ、注意点を徹底解説

公開日:2025/12/24

最終更新日:2025/12/24

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SEO(検索エンジン最適化)を行うとき、「外注するか、それとも自社で行うか」で迷った経験はないでしょうか。さらに、自社で取り組むにしても「どんな体制が必要か」「人材や知識は足りるだろうか」と悩むケースも少なくないでしょう。

 インハウスSEOとは、SEOを外部業者に委託せず、自社内で計画・実行・改善まで行うこと(内製化)を指します。企業にとっては、コスト削減やノウハウの蓄積などのメリットがある一方で、リソース確保や属人化リスクといったデメリットもあり、慎重な検討が必要です。

 この記事では、インハウスSEOの基本からメリット・デメリット、実践のステップ、失敗しやすいポイントと対策などを詳しく解説します。

インハウスSEOとは?

インハウスSEOとは、SEO施策を外部のコンサルティング会社や制作会社に委託せず、自社内で企画から実行、改善までを行う取り組みのことです。

ただし、「完全内製化」が唯一の選択肢ではありません。戦略立案や分析は社内で担い、実装部分(コーディングや記事執筆など)は外部に委託する「ハイブリッド型」も存在します。

重要なのは「自社のリソースと目的に応じた、最適な体制を取ること」です。必ずしも全てを内製化する必要はなく、社内で担う領域と外部に委託する領域を明確にすることも重要です。

今、なぜインハウスSEOが求められるのか?

インハウスSEOが注目を集める大きな理由として、SEO自体が企業の事業成長に不可欠な要素になっていることが挙げられます。検索結果からの流入は継続的に顧客を獲得できるチャネルであり、特にBtoCのECサイトやBtoBのリード獲得では売上や商談数に直結します。そのため、SEOは「事業基盤を支える戦略的投資」として位置付けられるようになりました。

しかし、SEOを外部業者へ完全に委任するとコストがかかります。加えて、業者との意思疎通に時間がかかり、サイト修正やコンテンツ公開にスピード感を欠くケースもあります。このタイムラグは、企業にとって機会損失につながります。

一方で、自社でSEOを担う「インハウス化」には、コスト削減だけでなく、社内にSEOの知識やノウハウを蓄積できるメリットがあります。こうして獲得した知識やノウハウは社内資産として残り、持続的な競争力の源泉となります。

 こうした背景から、インハウスSEOは「中長期的に企業の競争力を高める戦略的な選択肢」として注目を集めています。

インハウスSEOの4つのメリット

ここでは、スピード、ノウハウ、コスト、ブランド一貫性などの側面から、インハウスSEOのメリットを詳しく見ていきます。

1.柔軟かつ迅速な施策実行

外部に依頼している場合、確認や契約上の調整に時間がかかることがあります。例えば、新しいキャンペーンを告知するランディングページのメタ情報を変更したい、あるいは急なアルゴリズムアップデートに対応したいといった場面で、外注ではタイムラグが発生しやすくなります。一方、インハウスSEOであれば、担当者の判断でスピーディーに施策を実行でき、ビジネスチャンスを逃さず対応できます。

2.ノウハウの蓄積

インハウスSEOの場合、日々の施策を通じて得られる知識や分析結果は、企業の資産となって社内に残ります。一方、外注に依存していると、施策のノウハウが外部パートナーに偏り、社内に残らないリスクがあります。インハウスSEOを継続すれば経験が積み重なっていき、新規事業にも応用可能です。これは「目に見えない投資効果」として企業の競争力を底上げするポイントと言えるでしょう。

3.コスト削減効果

外部コンサルティング会社や制作会社にSEOを依頼すると、毎月数十万円から数百万円の費用が発生するケースも少なくありません。もちろん、インハウスSEOの初期段階では、自社に専門知識を持つ人材の採用や教育、さらにSEOツールの導入など一定の投資が必要です。しかし長期的に見れば、外注費の削減に加え、投資対効果(ROI)の改善が期待できます。自社でPDCAを回せる体制が整えば、施策を継続するほど成果が積み重なり、コスト効率が高まっていくでしょう。

4.ブランドの維持・向上

外部パートナーに記事制作やコンテンツ改善を依頼すると、自社独自のトーンやブランドイメージを正確に反映させることが難しい場合があります。とりわけ企業理念や商品ストーリーを大切にしている企業にとって、言葉選びやトーンの作り込みは非常に重要です。その点、インハウスSEOであれば一貫した表現がしやすく、ブランドの維持やイメージの向上につながるでしょう。

インハウスSEOの4つのデメリット

インハウスSEOには多くのメリットがある一方で、導入にあたっては注意すべき点も存在します。

1.初期リソースの負担

SEOを内製化するには、専門的な知識を持つ人材を採用したり、既存の社員を育成したりする必要があります。さらに、分析用の専用ソフトウェアの導入や、担当者の教育なども不可欠です。こうした初期投資は決して小さくはなく、特に中小企業にとっては「すぐに利益を生む施策」とは捉えにくい側面があります。そのため、短期的なコスト削減だけを期待して内製化を始めると、途中で頓挫してしまうリスクがあります。

2.知識やスキル不足のリスク

SEOは単なる記事作成やキーワード選定にとどまらず、サイト構造の最適化やアクセスデータの分析、ユーザー行動の理解など、幅広い専門領域を含んでいます。担当者がこうした知識を十分に持たないまま取り組むと、誤った施策を続けてしまったり、改善が遅れて成果が上がらなかったりする可能性があります。特に、検索アルゴリズムの変化に対応できない場合、せっかくの労力が無駄になることも考えられます。

3.成果が出るまでの時間的制約

SEOは広告のように施策を実行した直後から結果が出るわけではなく、数か月から半年以上のスパンで効果を検証する必要があります。外部の専門会社であれば、過去の実績データをもとにある程度の成果予測やロードマップを提示してくれますが、内製化ではそうした「見通し」が不足しがちです。そのため、短期的に成果を強く求める経営層から「結果が出ていない」と判断され、予算が削減されてしまうケースも少なくありません。

4.属人化のリスク

SEO業務を特定の担当者に任せてしまうと、その人の退職や異動によって、これまで蓄積してきた知識やノウハウが一気に失われてしまうリスクがあります。属人化はSEO施策の停滞を招くだけでなく、組織としての持続的な成長を妨げる要因にもなりかねません。これを防ぐためには、複数人での分担体制を整え、施策やノウハウをドキュメント化して共有する仕組みづくりが不可欠です。

インハウスSEOに向く企業とは?

インハウスSEOは、どの企業にも適しているわけではありません。特に成果が出るまで時間がかかるSEOの性質を考えると、向き不向きが存在します。

大前提となるのは「社内にSEO担当者を確保できるかどうか」です。専門知識を持つ人材がすでに在籍していれば理想的ですが、マーケティングやサイト制作の経験を持っている人ならSEO担当者として育成が可能です。

さらに、インハウスSEOは特に「本業がWebに密接に関わっている企業」に向いています。例えばECサイト運営会社や、BtoBでのリード獲得を重視するIT企業などは、検索流入がそのまま売上や契約数に直結するため内製化のメリットが大きくなります。逆に、Web集客が事業のごく一部にすぎない企業では、リソースを投下しても費用対効果が得にくいかもしれません。

また、成果を急がずじっくりと取り組める体制も欠かせません。SEOは短期間で劇的な効果が出るものではなく、数か月から1年単位での改善が求められる施策です。試行錯誤を重ねながらノウハウを蓄積していく姿勢が必要で、そのためには経営層や現場に「腰を据えて取り組む覚悟」が求められます。成果を早急に求める体質の企業や、予算が短期で打ち切られやすい環境では、インハウスSEOは軌道に乗る前に頓挫してしまう可能性が高いでしょう。

インハウスSEOを実施する5つの手順

インハウスSEOを実際に進める際には、段階を踏んで体制を整えることが大切です。5つのステップに分けて見ていきましょう。

STEP1.目的の明確化、KPI設定

まず取り組むべきは「目的の明確化」と「KPI設定」です。SEOで何を実現したいのかがあいまいなままでは、どんな施策を行っても効果を測ることができません。売上や会員登録数などの最終目的を定め、その達成に向けて「検索順位の改善」「オーガニック流入数の増加」「コンバージョン率の向上」といった中間指標を設けましょう。

STEP2.チーム体制の構築

次に、SEOリーダーを中心にコンテンツ担当者、技術担当者が連携して動くチーム体制を構築します。小規模企業で全員をそろえるのが難しい場合でも、外部リソースと補完しながら進めることは可能です。特にテクニカルな改善(サイト構造や表示速度など)は専門性が高いため、必要に応じて外部エンジニアのサポートを受けるのも現実的な方法です。

STEP3.戦略設計、リサーチ

体制が整ったら、自社のターゲットに合わせたキーワードリサーチや競合調査に着手します。無料のツールで基礎的な分析を始めることもできますが、より高度な調査を行うには有料ツールの導入を検討しましょう。さらに、得られた情報をもとに「コンテンツマップ」を作成し、どのテーマをどの順序で公開するかを整理していきます。

STEP4.SEO施策の開始

施策の実行段階では、オンページSEO・オフページSEO・テクニカルSEOの3軸をバランスよく進めます。ユーザーの検索意図に沿った高品質なコンテンツ制作や、メタデータの最適化、内部リンクの改善はオンページSEOの代表例です。一方で、被リンク獲得やSNS活用などはオフページSEOにあたり、これらを通じて外部からの評価を高めていきます。そして、検索エンジンに正しく評価されるための基盤として、クローラビリティやページ速度改善、モバイル対応などのテクニカルSEOも欠かせません。

STEP5.測定と改善(PDCA)

SEOに重要なのは、継続的な測定と改善です。Google Search ConsoleやGA4を活用してデータを分析し、成果を定期的に確認し、必要に応じてコンテンツのリライトや施策の見直しを行います。また、Googleのアルゴリズムは頻繁に更新されるため、常に最新情報をキャッチアップし、それを施策に反映させることが成功の鍵となります。

よくある失敗と対策

インハウスSEOを進める企業が陥りがちな失敗には、典型的なパターンがあります。例えば、リソース不足が代表的な例です。担当者が少人数しかおらず業務が回らないケースでは、優先順位を決めて部分的に外注を組み合わせることで負担を軽減できます。

また、経営層の理解不足も大きな壁となります。SEOは成果が出るまで時間がかかるため、短期的な数値だけを追い求める経営層には効果が見えにくいものです。この場合、検索順位や流入数などの定量データに加えて、ブランド認知の拡大や問い合わせ増加といった定性的な成果も報告し、長期的な投資価値を伝えることが必要です。

さらに、KPIが未整備であることも失敗の原因となります。成果を測る指標がなければ、施策の進捗があいまいになり、チームのモチベーションも低下してしまいます。SEOのゴールを最終的な売上に設定しつつ、その手前に短期・中期の指標を設けて段階的に評価することで、継続的に改善が進みやすくなります。

そしてもう一つ、見落としがちなのが「知識更新が止まる」ことです。SEOの世界は常に変化しており、数年前の知識がすでに通用しないこともあります。最新の情報をキャッチアップするためには、外部セミナーへの参加や有料ツールの活用、専門家との情報交換などを継続的に行うことが欠かせません。

これらの失敗を避けるためには、「全てを完璧にしようとして自社で抱え込まない」ことがポイントです。社内で対応できる領域と外部の力を借りる領域を柔軟に切り分け、知識やリソースの限界を意識しながら進めることが、インハウスSEOを長期的に成功させる秘訣といえるでしょう。

当社SEOコンサルタント渥美より

AIの登場によりインハウスSEOは身近なものになりつつあります。しかし、いきなりインハウスSEOをしようと思ってもGoogleやSEO全般の流れを把握していないとこれは何のためにやっているのか?と疑念を抱いたり、結果が伴わなかったりして成功しないケースも多々あります。最初は専門家と一緒になってSEOに取り組み、少しずつ親離れする感覚で内製化にシフトしていくことが結果、成功の近道ではないかと考えています。

渥美 嘉将

アパレルECの運営を経験した後、SEOコンサルタントとして10年以上の実績、計100件以上のクライアント案件に携わる。テクニカルSEOの知見が豊富で分析、改善起案を得意としており、長年に渡り月間数億UU規模の大規模WebサイトにおけるSEOプロジェクトをメインで担当し続けている。お客様に寄り添うことを何より大切にしている。

まとめ

インハウスSEOにはメリットと課題の両面があります。特に、専門人材の確保や社内体制づくりが成功の分かれ道となります。「どこまで内製化すべきか分からない」「リソース不足が不安」という場合は、外部専門家とのハイブリッド運用も検討すると良いでしょう。

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編集者情報

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アイオイクス SEO Japan編集部

2002年設立から、20年以上に渡りSEOサービスを展開。支援会社は延べ2,000社を超える。SEO/CRO(コンバージョン最適化)を強みとするWebコンサルティング会社。日本初のSEO情報サイトであるSEO Japanを通じて、日本におけるSEOの普及に大きく貢献。

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